ビールを片手にウェルビーイングを語り合うイベント

佐々木絢氏(以下、佐々木):みなさん、こんばんは。noteの佐々木です。今日はnote placeのラウンジエリアからウェルビーイングについて考えていきます。今日のイベントはキリン(ホールディングス)にご提供いただいています。そして、ゲストのみなさまにもお越しいただいています。みなさん、今日はよろしくお願いします。

一同:お願いします。

(会場拍手)

佐々木:ではゲストのみなさんをご紹介する前に、お手元に飲み物がありますよね。年末ですし、まずはこれで乾杯をしていきたいと思います。じゃあ開けていただいて。泡が出てきた。

一同:じゃあ、かんぱーい!

(会場拍手)

佐々木:もうちょっと飲んでいただいて大丈夫です。なぜキリンさんがnoteとイベントをすることになったかを、イベントの発起人であるキリンの担当者の方からメッセージをいただいたので、ご紹介したいと思います。

「なぜ私たちが、みんなと一緒に未来を考える場所を作りたいと思ったか。それは4年前からnoteの街で発信する中で、未来に向けて社員が語った思いに共鳴する人が生まれていることを実感したからです。

『どんな未来になるんだろう』という私たちからの問いかけに、企業の垣根を越えて、noteの街を越えて、自由に素直に声が行き交う場ができたなら。多くの人にとって明日のヒントになるかもしれない。もしかしたら、小さくとも未来を変えられるかもしれない。そんな予感を持っています」と。思いがこもっていますね。

今日は、ここにいるみなさま、見てくださっているみなさまと一緒に、これからの働き方や暮らし方について考えていけたらと思います。

ではお待たせしました。自己紹介です。みなさま、お一人ずつ簡単に自己紹介をお願いできたらと思います。まずキリンの秋葉さん、お願いします。

秋葉:はい。よろしくお願いします。キリンで人事の仕事をしております。人事の仕事の中でも従業員の働きがいを高める「働きがい改革」というものを担当していまして、常にウェルビーイングと「働く」の関係を考えているので、今日はたくさんヒントをいただけたらなと思っています。

あと小学生の子どもがおりますので、自分自身の「働く」と子育てのバランスをとったウェルビーイングを今日は考えてみたいと思います。よろしくお願いします。

20~30代の女性を対象にしたリスキリングプラットホーム

佐々木:では、続いてSHE株式会社CEOの福田さん、自己紹介をお願いします。

福田:SHEの福田です。よろしくお願いします。SHE株式会社は、ミレニアル世代の主に20~30代の女性を対象にしたリスキリングプラットホームを運営しています。女性が20~30代になって、結婚や子どもを産むというライフイベントがあっても、自分らしく働き続けられることをサポートする、そんな事業をやっています。

石川:今、何年目なんですか。

福田:26歳の時に起業して、今、創業7年目ですね。

石川:リスキリングという言葉が注目される前からやっていたってことですよね。

福田:(リスキリングという言葉が注目される)もっと前です。

秋葉:すごい~。

福田:最近リスキリングが盛り上がっていてうれしいなと。やっと私の時代が来たなという感じです。

石川:そうですよね。来ましたよね。

佐々木:時代が追いついてきた。

福田:私も1歳と3歳の息子がおりまして2児の母です。今、会社でもけっこうウェルビーイングを組織の中心にして、組織開発を行っています。自分個人では母業と社長業の両立にすごく悩んでいたりするので、そのヒントがもらえたらと思っています。よろしくお願いします。

佐々木:よろしくお願いします。さっきから、もうどんどん発言していただいていますが、予防医学者の石川さん。

石川:今日は未来について、いろいろ話したいと思います。よろしくお願いします。

佐々木:みなさん、よろしくお願いします。

(一同拍手)

ご意見やご感想などは「#みんなで考えるウェルビーイング」をつけて、XやYouTubeのコメント欄にぜひお寄せください。この放送中にも取り上げていきますので、ぜひぜひお願いします。

ウェルビーイングの定義

佐々木:では今日のテーマの1つ目です。ウェルビーイングという言葉、なんか難しいなぁと個人的には思っていて。世の中でも捉え方がぜんぜん違ったりするので、みなさんの捉え方を聞いてみたいと思います。

「我こそは」という方にお願いをしたいのですが、石川さんは絶対に最後にしていただいて(笑)。じゃあ、秋葉さん。

秋葉:はい、我こそは! そうですね。ウェルビーイングを自分に置き換えると、自分がイメージする自分でいられる。かつ、それに向かって自分が何かをしている状態だと思います。一生懸命考えた結果、そこに帰結いたしました。

佐々木:ありがとうございます。ちなみにそれは今日のために考えていただいたのか、もうふだんのお仕事を通じて考えていらっしゃったのか。

秋葉:今日のために考えました。

佐々木:あ、そうなんですね。

秋葉:考えたんですけど、今までやってきたことをいろいろ思い起こすと、要はそういうことかなと。自分のために一生懸命勉強して新しいことをしたり、新しいところに行って新しい人と出会ったり。それって究極は「自分がこうありたい」を求めて行動していることなのかなと思いまして。

佐々木:ありがとうございます。福田さん、今の話を聞かれてどうですか。

福田:すごく共感するなと思いました。私もウェルビーイングの言葉の定義をちゃんと理解しているわけじゃないんですけど。

私の中では人生の豊かさとして捉えていて。かつ、その豊かさは自分にとっては自己決定力や、自分で人生の手綱を握るところから生まれてくるものだなと思っています。

仕事を一直線でがんばることもいいかもしれないし、子育てとのバランスをとっていくこともいいかもしれない。自分はもう遊びに振り切るという人生もいいかもしれないし。

どんな人生でもいいんですけど、自分がちゃんと意志を持って人生を選択していくことがウェルビーイングなんじゃないかなと私は捉えています。

佐々木:ありがとうございます。

秋葉:そのとおりだと思いました。

佐々木:すごい。

自分のウェルビーイングをはかる問い

佐々木:ではここで、正解を?(笑)。

(一同笑)

石川さん、ウェルビーイングについて教えてください! 

石川:いや、わからないですね。そもそも定義を問う、「○○とは何か」と聞くと、だいたい迷っちゃいますよね。例えば「キリン社とは何か」。社員に聞いても、たぶん答えは一致しないはずですよね。

秋葉:そうですね。

石川:「秋葉さんとは何か」って、たぶんわからない。

秋葉:わからないですね……。

石川:「とは何か」は、人を混乱させる魔法のような言葉なので、「とは何か」をくっつけちゃいけないんですよ。「自由とは何か」と言われても困るじゃないですか。

ちなみに日本政府の方針では、ウェルビーイングは「生活満足度」と訳されています。

福田:へ~。生活満足度。

石川:もちろんそれは今の生活もあるし、将来の生活もある。あ、これ(資料)は国の骨太方針に書いてあるんですけど。

佐々木:難しそうですね。

石川:だから「自分の生活に満足していますか」だけなんですよね。例えばこれが「幸せ」という訳され方をすると、もうほとんどの人がついてこれなくなっちゃう。抽象的、哲学的すぎるから。

生活という具体的なものに対して「自分が満足しているかどうか」。昔は「こういう生活がいい生活だよね」という模範があったんですよ。「夢のマイホーム」「いつかはクラウン」とかですね。いい学校に行って、いい会社に入ってみたいな。

みんなが納得できる「こうしたら満足だよね」という生活のロールモデルがあったんです。でも今はないから、ウェルビーイング(生活満足度)と言われて混乱する人が多いのかなと思います。

佐々木:事前にいただいた質問の中に「ウェルビーイングと幸福は何が違うんですか」という質問ものがあって、ちょうど今、その部分を答えていただけたなぁと思いました。私は石川さんのお話をうかがうまで、ウェルビーイングは「幸福」と思っていたんですけど、「生活満足度」という……。

福田:へぇ~、初めて知りました。

秋葉:生活なんですね。

福田:けっこう現実的な指標なんだなと。

秋葉:そうですね。

石川:どうなんですか、生活に満足しているんですか?

秋葉:そうですね……。あらためて生活満足度を問われると、満足はしていない気がします。

明治時代は「変化しすぎ」、今は「変化しなさすぎ」と言われる日本

石川:満足はしていない。ちなみにウェルビーイングの測定は、自分の生活を10段階で自己評価するやり方なんです。

秋葉:自分で評価するんですね。

石川:10点が理想で、イメージする生活ができている。0がもう最悪の生活。「何点ですか」というすごく単純なやり方なんですね。

秋葉:感覚なんですね。

石川:理想がすごく低い人は簡単に10になるんですよ。

福田:ちなみに今の日本の平均は何点なんですか。

石川:6点前後ですね。

福田:6点前後。へー、ちょい満足みたいな。

佐々木:海外に比べると?

石川:低いですよ。

佐々木:低いんですね。

石川:15年前はけっこう高かったんですけど。この15年でいろいろな国に抜かされていった……残念な状況が。

福田:それは海外諸国が上がったわけじゃなくて、日本が下がった感じなんですか。

石川:いや、海外が上がって、日本は変わっていないです。

福田:あ、変わっていないんですね。

石川:日本は本当に不思議な国で。例えば明治や大正の頃は「日本は変化しすぎだ」と外国人から言われていたんです。「こんなに変化が得意な国はない!」と。でも今は「変化しなさすぎだ!」と言われていて。僕は「この国は一体なんなんだろう」といつも不思議に思うんです。

佐々木:そうなんですね。

石川:世界がどんどん変化する中、日本だけ変化せずに壮大な逆張りをしている国だと思っています。

(一同笑)