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「顧客体験価値」ランキング上位常連企業のデータ活用(全2記事)

2024.03.26

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データのプロがただの「集計屋さん」になってしまう理由 自社データを活用し、成果と価値を最大化するために必要なこと

提供:株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー

インターブランドジャパンの「顧客体験価値(CX)ランキング」で、2022年に1位、2023年に4位に選出された株式会社丸亀製麺。同社は、「感性とデータサイエンスの両立」をキーワードに掲げる「KANDO(感動)ドリブンマーケティング」を展開して、顧客体験価値を高めていると言われています。 一方、数々の企業のデータ活用を支援する「データ領域プロフェッショナル常駐サービス」を提供する株式会社メンバーズ メンバーズデータアドベンチャーカンパニー(通称:DA)は、パートナー企業として丸亀製麺のデータ活用も支援しています。 今回は、CXランキング上位常連企業の丸亀製麺の取締役マーケティング本部長 南雲克明氏と、同社のデータ活用を支援するメンバーズデータアドベンチャーカンパニー社長 白井恵里氏に、顧客体験価値を高めるための考え方やポイントをお聞きしました。後編は、安売りをしなくても成長できるモデルづくりや、自社に溜まったデータを活用して「成果」を出す方法などが語られました。

前回の記事はこちら

データのプロが「集計屋さん」になってしまう理由

───「KANDO(感動)ドリブンマーケティング」を推進する丸亀製麺さんが、データ分析でDAさんの「データ領域プロフェッショナル常駐サービス」を利用するようになった経緯を教えてください。

南雲克明氏(以下、南雲):データに精通していて、それをマーケティングの実践の場で使える方ってなかなかいないんですよね。そういう人は引く手数多というのもあると思いますが、採用できないんですよ。

白井恵里氏(以下、白井):そうですね。

南雲:我々は高速で意思決定をしたいので、データについてはスピードを求め、今回DAさんに「即戦力で、かつ、我々のスピード感と意志をちゃんと理解してくれる人を」とお願いして、常駐で入っていただきました。

スピード感や理解度も高く、コミュニケーション力もある人なので、今は部の会議などにも出て、他のメンバーともうまくやってくれています。データのプロであることも大切ですが、きちんとコミュニケーションも取って、一緒に楽しくやってくれる人のほうがうちの会社にはハマりますね。

白井:弊社もそこは大事にしています。データはその会社固有の業務や文化を反映するものなので、データだけを見ていても意味はわかりません。なので会議などに出て、チームや会社が向いている方向や文脈の中に自分も身を置かないと、言われたことをただ集計する「集計屋さん」の域を出ることができません。

南雲:確かに、それ以上の価値が出せないですよね。

白井:特に丸亀製麺さんはオフィスもすごく開放的な造りで、そういうところからもコミュニケーションを大事にする会社さんだなと思います。弊社もコミュニケーションを大事にしているので、その点で価値を出せると思っていました。

───「データ領域プロフェッショナル常駐サービス」は、文字通りにデータのプロがさまざまな企業に常駐するというサービスでしょうか。

白井:はい、データサイエンティスト、データアナリスト、データエンジニアといったデータのプロフェッショナルが、お客さまの会社に常駐するサービスになります。弊社メンバーも社員同様にお客さまのオフィスに出社し、同じ環境で業務をして、チームの一員として動いて内側からデータ活用を進めていくスタイルです。常駐するメンバーは全員弊社の正社員で、採用・育成を弊社で行っています。

弊社のビジョンの中に「データをキーに人の心を揺り動かす」という言葉がありますが、データを操作するだけではビジネス上の成果って出ないと思うんです。何が成果を生むのかと言うと、人の行動が変わることです。「買ってくれる」「来店してくれる」といったことが行動の変化ですが、その前に心が動くんですよね。

その心の動きはデータには現れません。でも、「心の動きにアプローチする」という前提でやらないとデータ活用は机上の空論になり、ビジネス上の成果が出ません。そうすると企業もデータを見限ってしまうので、すごくもったいない。

生産性向上などに無限の可能性を秘めるデータの活用で、しっかり成果を出す会社でありたいということで、「データをキーに人の心を揺り動かす」ことを大事にしています。

データの奥に潜むヒント

───「心の動きにアプローチする」という考え方は、丸亀製麺さんの「KANDOドリブン」の考え方と合致しそうですね。

南雲:そうですね。データの奥に潜む何かを見出したいですよね。毎日数字を見ていると、たまに気づくポイントみたいなのがあるじゃないですか?

白井:ちょっと違う動きがあるところ。

南雲:そう、ちょっと違う動きをする時がある。ポジティブなこともネガティブなことも、「これ何だ?」というところを探っていくとけっこうヒントがあったりしますね。

これは僕らクライアント側の課題ですけど、データを正しく使えるリテラシーが絶対に必要です。データのプロの人たちの力をフルに活用し、引き出せるようなクライアントになるために勉強しなければいけないなと思いますね。

白井:ありがとうございます。とてもやりやすいです。

南雲:クライアントがわかっていなければ、パワーやスキル、バリューを発揮しようがないじゃないですか。

白井:そこから啓蒙していくのも弊社の役割ではあるんですが、どうしても時間がかかってしまうので、データを正しく使うリテラシーや、発注側の意思決定の大事さをわかってらっしゃるお客さまだと成果を早く出しやすいですね。

南雲:マーケターの方たちでも、意外とわかっていない人が多いですよね。

白井:マーケはアートの部分を切り離せないところがあるので、難しいですよね。

南雲:そうですね。

白井:でも、アートの部分だけだと属人化した職人みたいになってしまい、その人が転職したらどうするのという感じになってしまいます。

南雲:けっこうあるあるですね。

常駐サービスの導入効果

───常駐サービスを導入されてから、どういった効果が現れていますか。

南雲:意思決定を速めるためにデータ分析を高速で回したいというところが根底にありましたが、そこは想定どおりと言うか、スピードがだいぶ上がり非常に助かっています。

また、スピード以外にも効果が現れています。例えば、商品ローンチ前に口コミを得るための露出を「プレバズ」と言いますが、この効果をすぐに数字で出してというオーダーにも対応できるようになりました。プレバズの効果を測れると、例えば、それまで1億円かけていたところを6,000万円でも同じ効果が出せることがわかったりする。そうすると、4,000万円を別のところに回すこともできます。

データサイエンスチームにはまだ不十分なところもありますが、昔に比べると僕や会社のオーダーに対応できるようになってきました。しかもスピードが上がっている。それは(DA常駐者の)大坂(冬子)さんがデータの集約などをやってくれているからだと思うんです。そこを任せられるので、メンバーが他のところに注力できるようになった。

効果としては、スピード化とともに、マーケティングの最適な投資配分や効率化、成果の最大化ができる。さらには、やりたいことの幅が広がるというのもありますね。

安売りをしなくても成長できるモデルづくり

───いろいろなところに効果が現れているようですが、今後はどういった役割を期待していますか。

南雲:けっこう僕は野心家なので。いい意味でですよ!(笑)。

白井:いいですね(笑)。

南雲:今2週間でやっていることを1週間でやって欲しいと言っているわけですよ。なんだったら「1週間と言わず5日で」とかね。特に外食ビジネスは速さが成果につながる。「他社よりも早く」や、「消費者が気づくよりも早く」というのも含めてですけど。他が気づいていないことのほうが価値が高いので、データは早く出せるほど価値が上がります。

あとは先ほど言いましたが、EX(従業員体験価値)からのCX(顧客体験価値)というスパイラルを作って、「感動が創られて、業績が上がる」というモデルを実践しようとしています。まだ不十分ですけど、我々トリドール流のモデルとして確立させて、丸亀製麺から日本の他のブランドや、日本だけでなくグローバルに、なんだったら外食産業全体に展開する。

「おいしいものをより安く」というのは古い価値観だと思います。今はおいしいもの、付加価値のあるものを適正価格で提供して、その分を従業員や環境、社会貢献に回して、持続可能なビジネスモデルを作る時代だと思うんです。

トリドールは今は日本の外食産業で5番手か6番手です。もっと上にいかないと大きな影響力がないですけど、我々なりに20数兆円と言われる日本の外食産業で働く人の価値や、外食産業で働くおもしろさ、ポジション(を築いていきたい)。子どもから「お父さんは外食産業で働いていてかっこいいよね」と言われるようなことを、おこがましいけどやりたいんです。

データの活用と感性の掛け算で、安売りをしなくても成長できるモデルを丸亀製麺、トリドールで証明して、それを業界のデフォルトにしたい。外食産業で働くみんなが外食にしかできない高い体験価値を提供して、高い給料をもらって、すごく素敵な仕事だと思われるようにしたいという思いがあります。

そのためにデータを高速で回して、業績につながるモデルをたくさん作って、それが中でも外でも使われるようなマーケティングをしていきたいと思います。先ほどのKANDO(感動)スコアに関連したところなど、まだまだやりたいことがたくさんあるので、メンバーズさんにはまたご相談したいなと思っています。

白井:ぜひぜひお話を伺わせてください。

エンジニアが幸せに働くための取り組み

───データ活用と感性の掛け算によって、「安売りをしなくても成長できるモデル」を実現していくのは、今の時代とても大切だと思います。

白井:メンバーズグループも、クリエイターやデジタルの仕事に関わる人たちの地位向上と適正な給与の実現を目指しています。そのためには業界に影響力がある必要があるので、「どんどん業績を上げていくぞ」と取り組んでいます。

常駐サービスや、SES(システムエンジニアリングサービス)などは、昔から多重下請け構造でマージンを多く取られて労働者に渡る給料はすごく少ないという、わりといい業界ではなかったんですね。

でも、エンジニアの常駐ってどの企業さんも欠かせないんですよ。大企業であればあるほどだいたいSESでエンジニアさんを雇って、自社の根幹になるようなシステムの開発をしています。でもその人たちに払われている給料はすごく少なく、残業も多かったりする。

これだと幸せに働けないし、スキルアップもできないですよね。技術のある人たちがお金も時間もなく、スキルアップをする余裕がないという状態だと、みんなの技術力が上がらず国全体の生産性が下がっていくことにもなります。

我々は常駐ビジネスにおいて、しっかりお客さまに貢献して成果を出す。その成果から適正なお金をもらって、適正な給料を支払うだけでなく、本人がスキルアップできるような研修機会なども作っていきたいと思っています。

そのために他社を介さずお客さまと直接取引をしますし、弊社から他社に発注することもありません。それによって、メンバーの対価、報酬、業務量のコントロールをできるようにしています。

大事なものは成果です。難しい顔でデータを触っているだけで、お客さまの売上になっていないとお金はもらえないので、まず成果を出す。そして研修でスキルアップしたらそれをお客さまに価値として還元し、新たな成果を出してさらにお金をもらうという循環を作る。こうしてお客さまと一緒に成長していけたらいいなと思っています。

自社に溜まったデータを活用して「成果」を出す方法

───最後に、あらためてCX(顧客体験価値)向上に取り組む方々に向けたメッセージをお願いします。

南雲:僕の持論は「3倍のスピードで動け」です。スピードは価値なので、スピードセンスを磨く。それがマーケターとしての力やCXの向上にもつながるので、ここを意識するのがいいと思います。

そして、自社のブランドサービスで「一番心を動かすポイントは何だ?」と。短期的なことではなく、心を動かすインサイトですね。データとマーケターの感性でこれを見つけられたら勝ちだと思うので、仮説と実践を繰り返しながら追求していく。我々もまだ完璧じゃないですけど、ここに力を入れたら結果が出やすいのではないかと思います。

もう1つ、特にお店を持つ企業はそうですが、やっぱり働く人のモチベーションは重要です。先ほど「内発的動機」のお話をしましたが、我々のような小売企業は働く人が内発的じゃないと長続きしません。社内を内発的に変える取り組みができると成果につながりやすいのではないかと思います。

───白井さんはいかがでしょうか。

白井:今、「データが手元にない」という企業さんはほとんどないと思います。データは大きな可能性を秘めた資産ですが、活用しなければ価値を生みません。そのデータを「どうしよう」となった時、最初にデータを見にいくのではなく、まず「自分たちがどうなりたいか」「どうなったら理想か」「どうなったら意味があるのか」というところを考えることが、データ活用で成果を出すために必要だと思います。

なので、自社にデータに詳しい方がいらっしゃらなくても、「自社のビジネスはここがテコで、こうやっていきたい」というお話をいただければ、データの専門家として、実現方法をご提案させていただきます。みなさまの「こうなりたい」を実現するお手伝いができたらうれしいなと思いますので、ぜひ声をかけていただけたらと思います。

南雲:企業に合わせて、「この目的やこの課題ならこういう人」というのはけっこう大事ですよね?

白井:大事ですね。到達したいことがあって、そのためにどういう業務が必要で、その業務を遂行するためのスキルや要素は何かと分解するとわかりやすいんですけど。

単なるスキルよりも、「担当者の方とスピード感が合いそう」「慎重さが合いそう」といったことのほうが大事だったりもするので、パズルを組み合わせる感じですね。今、弊社はデータの専門家が150人以上いて、業界有数の規模なので、それだけいれば合う人がいるかなと思います。

南雲:こういうタイプはニーズが多くて被ってしまうとか、逆にニーズがなさそうな方たちが余ってしまうといったアンバランスも難しそうですよね。

白井:実は、弊社は採用要件にデータのスキルを入れておらず、コミュニケーション力や考え方などを見ているんですよ。

南雲:そうなんですか。

白井:きちんとコミュニケーションが取れたり、お客さまの成果に向き合えそうな人を採用しています。そういう人のニーズは常に大きいので。ハードスキルはあとで身につけてもらえばいいですが、コミュニケーション力や考え方ってけっこう変わらないじゃないですか。

南雲:確かに、確かに。

白井:採用でその変わらないところを担保して、スキルは入ってから研修で身につけることもできます。そうすることで、ニーズが多いタイプの人をより多くご提案できるようにしています。

南雲:なるほど、勉強になります。

白井:いえいえ。ありがとうございます(笑)。

───貴重なご意見をたくさん聞かせていただきました。本日はどうもありがとうございました。

南雲・白井:どうもありがとうございました。

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