「受注の半数以上が新規案件」の鉄のモノづくり企業

畠山成光氏(以下、畠山):みなさん、ご安全に! 光成工業の畠山と申します。私たちのテーマは「kintoneで作るわくわく×どきどき」です。この発表では、IT素人集団がkintoneを盛り上げるために行った、社員の巻き込みや楽しい活用事例についてご紹介します。

みなさん、kintone楽しみたいですか!? 「はーい!」 そんなみなさんのために、私たち新しい言葉を作っちゃいました。こちら「kintone×enjoy」を、「kinjoy」と称させていただきます!

みなさん、ぜひ一緒にやってください。右手でお願いします、右手で。これkintoneのkになりますので。私が「Let’s」と言ったら、続いて「kinjoy!」とお願いしますね。それではみなさんやってみましょう。いきます。

Let’s kinjoy! ありがとうございます! 今日から2日間、盛り上がっていきましょう。

それでは本題に移ります。私が勤める会社は有限会社光成工業といいまして、創業44年の製造業です。所在地は岩手県一関市、社員は約100名ほどおります。主要製品は物流用の台車、産業用の棚です。

特徴としては、受注の半数以上が新規案件ということです。鉄製品、なんでも作ってみせるぜぃ! 私たちは鉄でモノづくりをする会社です。

kintone導入後、年間売上が5億円アップ

畠山:次に私の自己紹介です。生まれも育ちも岩手県、畠山成光と申します。積極性がマックス、イケイケ系でございます! みなさん、ここ笑うとこですよ。あっ、ありがとうございます(笑)。

それでは4年間の成果をご覧ください。年間の売上がkintone導入後5億円アップ! こちらの数字、なんとなんと全体の30パーセント増です。30パーセントですよ、30パーセント。すごくないですか?

さらに年間の紙を2万枚削減。その上、月70時間くらいあった残業が、70時間くらいあった残業が……なんと、ゼロに! いや、kintoneすごくないですか? ただここまでくるのに当然、kintone導入前と導入後と、それぞれ課題があったわけなんです。

導入前の課題、「共有されない情報」。弊社では受注の半数以上が新規案件ですので、営業からの情報のフィードバックがとても重要になります。そこでこういったやり取りが行われていました。「その情報言ったぞ!」「いや、聞いてない!」、こんなやり取りは日常茶飯事。このような状態ですので、現場の雰囲気は常にギスギスしておりました。

そこで自分たちで改善を進めてみることとしました。フォーマットの作成、新規ルールの確立、数百万円をかけて新システムの導入を行いましたが、これらはうまくいきませんでした……!

当初は、5人に1人しか使ってくれないアプリ

畠山:そんなこんながありまして2019年、転機が訪れます。kintoneの導入が決定しました。kintoneは社長が持ってきました。そして、さまざまな部署から4人のメンバーが集められ、kintone推進チームが発足しました。俺たちの改善はここからだ!

……とはいかなかったんです。導入後も課題がありました、「使われないアプリ」。弊社では全社展開ができるように、日報アプリから導入を開始しました。しかし5人に1人しか入力してくれませんでした。「なんだkintoneよう、数百万もかけて作ったシステムと一緒じゃねえかよ! もうこったなもんよう! あぁやべぇ、やべえぇぇぇ!」。

案の定、社長より緊急招集されました。社長に怒られると思って行ったんですけれども、案外社長は冷静に「なぜ進まないと思う?」と問いかけました。

我々、うろたえました。「ルールがわからないんじゃ?」「いやいや、メリットが伝わってない」「いや、使い方がわからないんじゃないか」。

そこで社長の一言です。「全員でやること! 全体朝礼で宣言せよ!」。えぇっ、全体朝礼で宣言!? 我々、驚きました。というのも、スケジュールを確認しましょう。緊急招集、今日8月8日。全体朝礼での宣言が8月10日。みなさん、お気づきですか……? 準備期間、わずか1日なんですね。

そこで「やっちゃう?」「もうやってやろう!」「派手にいきますか!」。だって俺たち……「楽しいこと好きだっちゃ!」。もうなんか吹っ切れちゃいました。「社長をビビらせちゃおう」みたいな感じで、開始の宣言として告知動画の作成。準備期間を経て、キックオフとして開始の儀式を行うこととしました。

「マジすか~!!」が社内の流行語に

畠山:それからは速攻で役割分担を行い、わくわく、どきどきの巻き込み動画を完成させました。

これからその動画をご覧いただきます、よろしいですか? Are you Ready? Let’s kinjoy!

【動画再生】

ナレーション:2019年、10月1日。光成工業の未来が変わる。

男性1:大変です! 日報が……日報用紙がどこにもありません!

畠山:こちら各部所の職長たちです。これから出てくる彼には、何も伝えずに撮影を行っております。

男性2:なんでしょう。

女性:ご協力願います。

男性2:なんでしょう。何? 何……何よ!(笑)。

女性:(笑)。

男性2:「これからみなさんにはkintoneを使って日報の入力をしてもらいます。よって、日報用紙は消滅します」……は? マジすか?(笑)。

畠山:この言葉が社内の流行語になりました。

男性3:それはやるしかねぇ。

畠山:こちら工場のトップ、工場長です。

男性3:事件は現場で起きてるんだ!

ナレーション:日報用紙が完全になくなる日まで……あと52日。

【動画終了】

畠山:この動画で全社員に衝撃を与えた2ヶ月後、予定どおりキックオフを行いました。「ビリビリッ」「サヨナラ!」「ま〜〜じすか!」。日報の原本を破り捨てました。これにより我々、覚悟が決まりました。

この企画終了後、日報アプリの入力率がぐんぐんアップしました。宣言動画後には入力率が2倍に。キックオフ後にはさらに2倍。日報アプリの入力率が81パーセントにアップしました! みなさん、いきますよ。Let’s kinjoy! kintoneの導入に成功!

kintoneを使った「リアル脱出ゲーム」風の社内イベント

畠山:この企画の成功により我々、調子に乗っちゃいます。弊社では年間に10回ほどの社内イベントを行っておりますが、その社内イベント×kintone。「やっちゃう?」「それ絶対楽しいやつ~!」「盛り上げるぜいっ」ということで、新たなキャラが生まれました。

ナレーション:同胞を救いたければこのゲームに参加してもらおう……ただし、安全にな。

畠山:イベント当日に生まれた存在、「傀儡の怪人カトゥーヒサ」の誕生です。社員にもっとkintoneを活用してもらおうということで、kintoneと社内イベントの融合で、リアル脱出ゲームの要素を兼ね備えた謎解きレクリエーションを行いました。

イベントのテーマは「安全」。iPadを使い、kintoneをフル活用してイベントを行いました。チーム対抗でクリアタイムを競い合ったんです。それではこのイベントで実際に活用したアプリをご覧いただきましょう。

こちら、回答アプリ。回答アプリに答えを入力すると、カトゥーヒサが正解かどうか答えてくれます。楽しい活用事例ですね。みなさん、いきますよ。Let’s kinjoy! 社内イベントとの連携に成功!

ベテラン社員のために作った、専用の日報アプリ

畠山:このイベント終了後、社員にアンケートを取りました。さまざまな声が集まったんです。「えっ、kintoneでこんなことができたの?」「いや、楽しかった」「kintoneすげぇな」。社員のkintoneに対する関心が高まったんですね。これにより改善はさらに加速していきます。

アプリに対する意見や要望がどんどん出てくるようになったんですね。「よっしゃ、ここまできた」って感じです。それではその声を実際にご覧いただきましょう。

こちら、塗装のベテラン社員のテルオさんの声です。「はっぱ、めぇねじゃ。こぃず入れんのひで(ぜんぜん、見えない。これは入力が大変だ)」。

そう。これは小さなスマートフォンの画面では、入力項目の多い日報アプリは入力が大変だという声だったんですね。この声に応えるために、個人専用の日報アプリを開発しちゃいました! テルオさんのためだけのアプリですよ。

こちら、日報アプリ・TERUO Modelです。入力項目は最小限に、受注番号と時間のみです。「そんなに少なくていいの?」って思いませんか? いいんです! 我々の予実管理に必要なのは、その案件にかかった時間のみです。収集したい情報と目的がはっきりしていれば、こんな簡単な日報でもいいんです。

こちら、krewDataの画面です。左にあるのが日報アプリ、そして一番下にあるのがテルオさんの日報アプリです。これらをkrewDataを使い、1つにまとめ、集計アプリに……集約~。

最終的にテルオさんの日報は塗装の部署に入ります。「おもせぇな、きんとん(おもしろいなぁ、kintone)」。みなさん、いきますよ。Let’s kinjoy! 改善の声を集めるのに成功!

成功要因は、kintoneの入り口を「楽しい」にしたこと

畠山:私たちは「楽しい」を入り口にkintoneをスタートさせました。そこからしっかり情報の集約ができるようになったんですね。それだけではありません。会社が1つになったということなんです。まだ終わりません、会社を飛び出します。

kintone hive仙台でつながった絆。東北の仲間たちと、アプリの合同開発を行いました! 場所も職業も違う私たちが、kintoneを通して新たなkinjoyを生み出すことができました。

この企画を通してわくわく、どきどきを、全国のみなさんにお届けしまーす! みなさん、いきますよ。Let’s kinjoy! アプリの合同企画に成功!

みなさん、いかがだったでしょうか。ここでまとめです。導入動画、社内イベント、そしてテルオモデル。わくわく、どきどきがどんどんステップアップして、kinjoyは会社の文化になりました。kintoneは会社の文化まで構築しちゃうんですね。では、なぜ私たちは成功したのか。

成功のきっかけ、それは自分たちらしさを大切にしたこと。それが私たちの場合「楽しさ」でした。わくわく、どきどきすることに全力で取り組んだんですね。その結果、今では日々楽しく業務を行っております。kintoneを入れてよかった! 本当、kintoneありがとう!

私たちの発表は以上になります。それでは最後はこの言葉で締めましょう。Let’s kinjoy! ありがとうございました、ありがとうございました!

kintoneの浸透度を見える化したアプリを合同開発

司会者:畠山さん、ありがとうございました! では今から質問をさせていただければと思うんですが、本題の前に1個だけ(笑)。何回「kinjoy」やられました?

畠山:いやもう、5回ぐらいやったんじゃないですかね。

司会者:もっとやってたかと(笑)。 裏でずっと私もやってました。

畠山:もっとやってましたかね。ありがとうございます、もう汗だくですわ。

司会者:(笑)。さっそく、では質問なんですが。スライドでもありました、アプリ合同開発はどんなものになるんでしょうか。

畠山:これはkintoneの浸透を見える化したアプリになります。

司会者:なるほど。

畠山:こちらなんとなんと、今リアルタイムでキンコミにアップしてます。その合同で作ったアプリをアップしておりますので、みなさんキンコミをご確認ください。またわくわく、どきどきがありますので。

司会者:(笑)。素敵ですね、全国に広がっていきますね。ありがとうございます。では畠山さんの発表、以上となります。ありがとうございました。

畠山:ありがとうございました!