2024.11.26
セキュリティ担当者への「現状把握」と「積極的諦め」のススメ “サイバーリスク=経営リスク”の時代の処方箋
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入山章栄氏(以下、入山):でも、日本を片づけたかったこんまりさんに世界を見せるきっかけとして、当然川原さんが大きな役割を果たされていると思うんですよ。きっかけを与えることが、まさにプロデューサー(の仕事)なのかなって僕は思うんですけど。やはり日本にはそれが大事なんですかね。
川原卓巳氏(以下、川原):それで言うと、恐らくきっかけを作ってくれたのは彼女で、彼女の本という傑作が世界へ進出する橋を架けてくれたんですよね。僕がそこから何をやったかと言うと、人と出会い、つながり、紡いでいくことをやり続けていて。
きっかけもチャンスも変化も、やっぱり必ず人から来るんですよね。僕はそこの人と向き合い、彼女のビジョンを代弁し、共にやっていこうという仲間が作れたことが、プロデューサーとして世界でやれている理由だと思っています。
片づけというものに関しては、伝えれば伝えていくほど、「あ、これって本当に人類共通の感覚なのかもしれない。『自分のときめく人生を生きていきたい』という、心の源泉的なものがちゃんと響いているんだな」って。
話してみると、片づけというものによってそのきっかけが作れているんだと本当にわかりますね。地位とか職業にかかわらず、みなさん必要とされていることなんだなと実感してます。
田丸:めちゃくちゃおもしろいですね。
入山:人間の根源みたいなところでつながっているんですね。田丸さん、いかがですか。
田丸雅智氏(以下、田丸):なるほどなと。僕はやっぱり空想なんですよ。僕は「空想で世界を彩る」みたいなことを言っているんですけど、僕も書き方講座をそれこそ世界中でやりたいというのはここ数年思っていて。
2023年度と2022年度に国際交流基金というところと一緒に声掛けしてもらって、中国で日本語を学ばれている日本語学習者の方に、日本語でやらせてもらったんですよ。なので、まだまだ数は少ないんですけど、外国の方にやっていただくこととか。日本語でやっていただく場合と外国語でやっていただく場合があるんですけど。
これはおもしろいのが、みなさん風刺的なお話を作ってくださって、僕が思わず「ぷっ」と笑っちゃったポイントと、みなさんがどっと沸いたポイントが、どうも通訳で聞いたら同じだったりするんですよね。
音楽とか映像って「国境を越える」ってよく言われるので僕はすごくうらやましいなとずっと思っていて。「言語はなかなか越えられない」ともよく言われていて、僕もそう思い込んでいたんですけど、「あれ?」と思って。
言語は確かに越えづらいんですけど、「ストーリーって越えるんだ」「アイデアって越えるんだな」というのをすごく思っていて。でも考えると当たり前というかよくわかることで、世界中で民話とか神話って共通していたりするじゃないですか。
入山:そうですね。
田丸:ショートショートってシンプルなんですよね。だから、どう表現するかよりも、やっぱりアイデアと、それをシンプルに展開していくような感覚なんだろうなと思っていて。
世界中の人たちが言語も越えて、みんながゲラゲラ笑っていて。それはたぶんアイデアであり、空想であり、ストーリーの力なんですけど、それをもっともっとやりたいなっていうのがすごくあって。空想する人がどんどん増えることで、少なくとも自分は生きやすくなるなと思っています。
入山:タガエミちゃん、どうですか? ここまでの話で何かありますか?
田ケ原恵美(以下、田ケ原):とは言ってもビジネスで考えると、空想を何でもやればいいものではないじゃないですか。その見極め方というか、(ビジネス上での)人との出会いで「人はいいなと思っても」とか。
入山:よくあるやつですね。
田ケ原:どういうふうに精査というか、みなさんは考えられているのかなと。
入山:僕はこれをぜひ、川原さんから聞いてみたいです。
川原:その人のやりたいことだったりときめくことを、どうビジネスにしていけばいいのかがわからない状況を解決する方法は、「人類にとって、これはどういう価値があるのか?」を問うことです。人類にとって価値があるものは、必ず金銭的な価値も生まれるんですよ。
田丸:もう目からウロコというか。もちろんぜんぜん違いますけど、でもそれを意識するだけでも、たぶん目の前の活動って変わりますよね。十分いろんな言葉で「ショートショートはいいですよ。空想はいいですよ」と言っているんですけど。いや、今まで「人類にとって」というのは畏れ多いのもありますし、でもやっぱり考えないことのほうが、たぶん傲慢だなと今思いました。
入山:でも空想は人類を変えますからね。ということは、ショートショートは人類を変えますよ。
田丸:ビビっている暇はないということですね。
入山:こんまりさんは、今のポイントはいかがですか?
近藤麻理恵氏(以下、近藤):まさに片づけの仕事をしていて、片づけをすることでいかに人生が変化していって、ときめいていくのかを目の当たりにしすぎてしまっているので、「これを広げていくことが自分のお役目である」という自覚があるんですよね。
だから、一人でも多くの方が片づけを終わらせて、自分にとってときめく人生を歩んでいって、自分の持っているものを大切にしていく毎日を過ごすことで世界が良くなるって確信して、今の仕事をしています。
入山:なるほどね。今のはタガエミちゃんはどう?
田ケ原:世界でも戦う時の目線もまたちょっと変わるのかなとお話を聞いて思ったりしたんですけど。その時の見方というか、物事の発信の仕方やビジネスの作り方を変えたりっていうのは工夫されているんですか?
入山:日本で戦っていた時から、「ハリウッドに行って世界で」という時(に変えていったということ)ですか?
近藤:そうですね、まさしく。
川原:実はコアになる部分は何も変えてないんですよね。ただ、例えば言語にしても、やはり日本語の語彙って世界中の言語で最も多い部類です。なおかつ人って言語で思考するので、感受性だったり見えているものも非常に多い中で、じゃあ英語話者の人たちがどのあたりのことを受け取ってくれるのか。チューニングはもちろん必要になったかなと思います。
あとはやはりビジュアルですね。見えるものに関しては、何をいいとするのか、何がイケているとするのかは、やはり生まれてきた環境によって全部違うので。例えばお寿司がわかりやすいところで、握り寿司で生魚を乗っけた白い米のやつは、最初はみんな食わなかったわけじゃないですか。
でもそうじゃなく、カリフォルニアロールっていうふうにしてあげて、中身もカニカマのマヨネーズ和えみたいなので、みんなが「食べてみよう」と思えるかたちにしたら、「え? めっちゃうまい」と。寿司に対しての距離感が近づいて、そこからより極めたい人が、「本物の寿司を食べたい」と言って寿司が広まっていったのに、非常に近いなと思っています。
入山:田丸さん、これはショートショートにも、田丸さんのやっている世界観にも、応用というか示唆はありますよね。
田丸:めちゃくちゃそうですよ。僕はすべてが学びになっています。やはりショートショートって読書が苦手な方とか、本来は読めるんだけれども時間がないという方にうってつけで。そういう方ってものすごく人数がいらっしゃるはずなのに、まだまだ価値が伝わってなくて、ポテンシャルに見合った届け方がぜんぜんできてないという課題があります。
ショートショートってアイデアを一言で言えたりするんですよね。「例えばコンテストの受賞作とか僕の自作を紹介する時に、一言二言で「こんな話なんです」とご紹介すると、「なにそれ。おもしろ」と言って、「本は読まないんですけど読んでみます」という方がすごく多くて。
それって平たく言うと本の紹介ではあるんですけど。ただショートショートの場合はもっとコアのアイデアを短く伝えることができるはずなのに、ぜんぜんできてないところが課題としてすごくあるので。今のお話はものすごく勉強になります。
入山:川原さん、いかがですか。
川原:プロデュースをする上で非常に重要な価値の作り方は4つしかなくて、1つが文字ですね。2つ目が写真、3つ目が音声、そして最後が動画。実は人が五感で情報を得る上で現代にフィットしているものって、基本的にはこの4つしかないんです。
なので、いかにショートショートの本質的な価値を、抽象度を上げてこの4つの媒体に落としていくのかをすると、必ず価値が最大化します。
田丸:なるほど。
川原:たぶんショートショートは、作品というかジャンルとしての美しさとして、短い文章で煮詰めてきたからこその濃さだったり変さだったり、人を動かす空想の余白があるので。
じゃあ他の3つのフォーマットにこの要素を持っていくとしたらどうなのかってやると、たぶんショートショートというよりも、さらにコアなエッセンスだけが届いていき、結果ショートショートを知る人が増えていく未来は作れるんだろうなって思いました。
田丸:なるほど、おもしろすぎます。
入山:めっちゃおもしろい。どうですか?
田丸:いや、こんなありがたいお言葉はなかなか。
入山、田ケ原:(笑)。
入山:でもそうですよね。確かに僕みたいな超素人からしたら、もしかしたらショートショートのムービーみたいなのなら、YouTubeで3分ぐらいでできそうじゃないですか。
田丸:そうですね。
入山:今は音声メディアもいっぱいあるから、2~3分で聴けるショートショートをApple Musicに入れるとか。
川原:ああ、(アイデアが)湧いた。ショートショートは絶対、縦型で第一人者目線での映画を作るべきです。だってこうやってみんな見ているから、これをリアルだと思っているわけじゃないですか。この中に空想の世界があったら、人はバグってそれをリアルと認識するはずなんですよ。
入山:メタバースじゃないですか、メタバース。
川原:そう、メタバースです。相手の頭の中に描くメタバースなので、これは絶対うまくいきます。
入山:やばい、決まった!(笑)。
田丸:はあ、おもしろい。はあ、なるほどー。
入山:みなさん、これはアイデアが来たぞー。
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