2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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教育ニュースレター「Discover Edu!」の創刊記念イベントが開催され、『自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方』著者の島村華子氏と、『夢をかなえるゾウ』シリーズ著者の水野敬也氏が登壇しました。本記事では、兄弟姉妹がいる家庭における「声かけ」や愛情表現のポイントなどを解説します。
田中亜紀氏(以下、田中):お時間が迫ってきたので、次で最後の質問になってしまいます。「兄弟姉妹の育て方、関係性」です。
下の子を褒めると上の子が拗ねてしまう。親の関わりによって自己肯定感を下げてしまっているのかなと心配している方。姉妹のうち上の子がすごく甘えてくる方。
あとは3人のお子さんのお母さまから、「それぞれと1対1の時間をなかなか作ることができない中、子どもそれぞれに合った褒め方、叱り方をどのようにするといいでしょう? 兄弟がいる中でもそれぞれを伸ばすヒントをうかがいたいです」。
島村華子氏(以下、島村):水野さんは(お子さんが)4人いらっしゃいますが、どうやっています?
水野敬也氏(以下、水野):そうなんですよ。これもあるなぁって。みんな僕のことが好きで、わっと寄ってくるんですよ。「抱っこして」って言われたら、とにかく僕は抱っこするようにしてるんです。
これは諸説あるんですが、僕は抱っこ派なんですよ。子どもの頃は「この世界はお前の味方だ」って言ったほうがいいから、とにかく抱っこしていく。そうしたら(同時に抱っこ)2人いけるんですが、3人になるともうぐちゃぐちゃになってきて。
島村:(笑)。
水野:結局、一番上の子は「もういいや」ってなって拗ねて、喧嘩して。だから寝かしつけも、一番上の子は最初は1人で寝てるんですよね。
それでほかの2人を寝かしつけていく感じなんですが、「そういえば『トントンしてくれない』みたいなことを(一番上の子が)言ってたな」と。ただ、その前にめちゃくちゃ喧嘩してるので、「トントンなんてやれるかい」みたいな感じになってるんですが(笑)。
島村:(笑)。
水野:下の子を寝かせて、また次を寝かせて。その時に「ここでトントンしたほうがいいんだよな」と言う天使と、「いや、もう疲れたしお前はよくやったよ。もういいよ。しかもアイツ、お前にめちゃくちゃなこと言ってきたぞ」と言う悪魔が出てくる瞬間があって。
天使と悪魔が均衡する時があるんですよね。この時に僕は天使を選びたい。それで、その日は(天使を)選べたんですよ。
島村:おぉー。
水野:(寝かしつけが)全部終わったあとにその子のところ行って、トントンを始めたらまだ起きてたので、「大好き」(と伝えました)。いつも寝る前にできることができたので、「これは貯金ができたぞ。この貯金はでかい」みたいな(笑)。
島村:安心貯金、でかいですね。
水野:天使と悪魔が均衡してなかったら、だいたいどっちかになっちゃうんだけど、均衡した時に天使の羽をつかめるかが子育てなのではないか、ということで(笑)。
島村:(笑)。確かに。
水野:だから、常に不平等になっていくのはしょうがなくて。
島村:確かに。上の子は自分でできることが増えてくるので、手がかからなくなると、どうしても下の子に目がいきがちになりますもんね。
水野:よく言う「お姉ちゃんだから」が良くないっていうのは、もう昔からいろんな場所で聞いてたので、子どもたちに向かって「お姉ちゃん」という単語を発したことは1回もないんですよ。
「あなたはお姉ちゃんだからこうだよ」っていうのは絶対にやめておこうと思ったので、名前で呼んでます。ただ今おっしゃったように、自分でできることが増えていくと、どうしても(上の子に構うことが)できない。だって、おむつ替えられない子のおむつを替えるしかないので。
島村:そうですよね。
水野:だから「最近寂しがってるな」「2人で遊びたがってるな」が、時間的な制約で許されない瞬間もたくさんあるので。上の子と習い事へ行ったあとに遅くなると、ご飯に遅れてまた家で怒られるけど、今はクリスマスのイルミネーションがあるので、ここだというタイミングで「イルミネーションに行くぜ!」みたいな(笑)。
島村:大事(笑)。すばらしいですね。年齢によってできることや手がかかることはどうしても違いはあるので、不平等になってしまうことはしょうがないというのは前提です。なので水野さんがやられてるように、できる時に。
ちょっとご飯が遅くなって怒られたとしても、子どもにとってその時間は本当に掛け替えのないものなので。水野さんにとっても、ですけどね。
家族みんなでいる時の子どもの表情と、2人だけでいる時の表情はけっこう違ったりすると思うので、それを見られるすごく素敵な機会だとは思います。「一人ひとりと過ごす時間を持てる時に持つ」とおっしゃったように、天使の羽に手が伸ばせる時は伸ばす。
水野:子どもってすごいなと思うのが、全部わかってるなって思う瞬間があるんですよ。(親に対して)「こいつ今、苦しんでるな」って。だから余裕な時じゃなくて、本当に苦しみながらトントンしたこの「1トントン」が、いかにこっちの力を使ってるのかをわかってるんですよね。
余裕がある時じゃなくて、苦しんでる時こそやるのが、愛情表現としてすごく大事なんじゃないかなと。でも、子どもはそれを全部知ってるなって思うんです。だからたまに「神さまなんじゃないか」と思う瞬間はあるんですよ。
島村:わかってて試練を課してる、みたいなね(笑)。でも、そうかもしれないです。それこそ「今、この状態で愛情をかけてほしい」と、本当に愛情をかけてくれるのかを無意識的に試してる可能性も……。試してると言ったらちょっと言葉は悪いですが、それを知りたいと思ってるのはありますよね。
癇癪を起こしてる子どもって、10代の子どもたちとけっこう似てるんです。要は「ほっといてくれ」という感じなんだけれど、実際にほっておかれたら困ると思ってる。
島村:特に思春期の子どものカウンセラーをしてる心理学者の先生がいらっしゃるんですが、その方が言ってたすごく印象的な話があって。
10代の子どもが親とすごく喧嘩して、親に対して「あんたたちの顔も見たくないから、部屋から出てけ」と言った。それが毎日続いていて、親御さんも本当に疲れてしまって部屋から出ていったので、子どもが部屋に戻ってきた時には親がいなかった。
それを心理学の先生に「自分が戻ってきた時に親がいなくて、すごく悲しかった」と言ったそうなんですね。その心理学の先生は「でもあなた、自分が親に出ていけって言ったんでしょ」と言ったんですが、「自分で言ったんだけど、やっぱりそこで戻ってきてくれないことにすごく寂しさを感じた」っと言ってたんですって。
だから子どもって、「出て行け」と言葉で言ったとしても、最終的には「こういう自分でも愛してくれてるよね、そうだよね」という確認がすごく必要なんですよね。
お嬢さんにとってはその「1ポン」が、「お前のことを本当に愛してるよ」という確認の仕草だったと思うので、すごく大事な瞬間だったんじゃないかなと思います。
もちろん、その「ポン」ができない日があったからって、それで終わりというわけではないですが、そのポンの積み重ねがいかにできるのかが、信頼貯金というか、安心貯金につながるっていうのはすごく納得ですよね。
田中:ありがとうございます。聞きながら感動して、胸がいっぱいになってしまいました。
田中:そして残念ですが、そろそろお時間となってしまいました。内容の濃いトークをありがとうございました。終了の前に、ぜひみなさんにお知らせしたいことがあるので、少しだけ紹介させてください。
先ほどご紹介した島村先生のご著書『自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方』、まだお読みになったことのない方は、ぜひこの機会に読んでみてください。
そして水野さんと島村さんの対談が大好評配信中です。「聞く、ほぼ日。」の「水野敬也の『子育て本を100冊読んだのに正解がわからなくて泣いてます。』」が本当におもしろいんです。私もドはまりしています(笑)。こちらもぜひお聞きください。
では、本日は本当にありがとうございました。最後に島村さん・水野さんから一言ずつお願いしたいと思います。まず水野さん、お願いしてもいいでしょうか。
水野:今回ご参加した方すべてに伝わったと思うんですが、島村さんの魅力って、本に書いてある理論的なものにめちゃくちゃ造詣が深いというのと同じぐらい、優しい。包み込んでくれる、みたいな。これが今の子育てに必要だと思うんですが、めちゃくちゃ過酷です。
水野:今日、実は妻が体調を崩してまして。朝、まず7時に一番上の子のご飯を作って、小学校に送り込むじゃないですか。そのあと下の2人にご飯を食べさせて保育園に連れてって、戻ってきて次は4人目の幼稚園。これが間に合わなくて、9時半に電話してるんですよ。
昨日も遅れて「すいません、今日もちょっと遅刻します」と。7時から秒単位でめちゃくちゃがんばってきたのに、9時半に謝ってるっていうのがもう……。
島村:つらい。
水野:「なんなんだ、このつらさ」みたいな。でも、これってやっぱり答えはないなと。極論、時代だと思うんですよ(笑)。島村さんのすばらしい考え方を実践して、どんどん楽になる部分も絶対にあるんですが、子育てってどうしようもない時もあって。
その時に包み込む相手というか、愚痴を言い合う相手でもいいんですが、たぶんこの話をした時に聞いてる方の何人かが「あぁー、私もそう」って絶対になってると思うんですよ。
この両輪でいくのが一番いいし、島村さんは両方を持ってる方なので、本当にあらためてすばらしいなと。「島村さんについていけば間違いないって、実はこういう意味だったんだな」とあらためて思いました。今日は本当にすばらしいお話をありがとうございました。
島村:ありがとうございます。
田中:島村さんからも一言お願いいたします。
島村:水野さんも聞いてくださってる方も、本当にお疲れさまです。今日もギリギリだった理由、よくわかりました。お時間を割いていただけることが本当にうれしいです。
水野:ちょうど今日は参加すべきタイミングで、めちゃくちゃいいセミナー日和だったと思います(笑)。「なんでこいつ、こんなに感情が高ぶってんだ」と思うでしょうけど、今日は朝からのこれなので……。
島村:本当にきついですよね。しかも「がんばってるよね、よくやってるよ」と言って、パンパンってしてくれる社会があんまりないじゃないですか。冷たい中で1人で戦って、「何のためにこれしてるんだ?」っていう。
水野:仕事だったら報酬や社会的に得られるものがあるんだけど、子育てはそれがない。これがつらいんですよ。
島村:本当に。愛情を持っているのは当然なんだけれども、速攻で返ってくるような報酬とか、目の前でちらつかせるような報酬がないものなので。本当に大変なことをしてらっしゃるなっていうのは思うので、尊敬しかないです。お話を聞かせてもらえるだけで本当に感謝です。
感情が高ぶってる時、愚痴を言いたい時があったら、ぜひまたお話しさせていただければ(笑)。
水野:島村さんには聞きたいことがたくさんあるので、愚痴が出ちゃったらすみません(笑)。
島村:ぜひぜひ(笑)。また聞かせていただきたいです。
水野:エビデンスとか、最初の話もすばらしかったです。「目の動き」の話、もうマジそこでしびれたんですよね。アンケートって、別に嘘を書けばいいじゃんって前から思っていて。小学校の時に「あなたは今、人生が不幸で死にたい思いになりますか?」って、いやこれ誰が本当のこと書くんだみたいな(笑)。
島村:(笑)。そうですよね。
水野:ずっと思ってたので、「うわぁ、目の動きか。すげぇな」と思いました。
島村:新しい研究はいろいろやってるので、そういうのを知ること。あとは自分の感情をすり合わせて、自分にとっても子どもたちにとっても心地いい子育てがいかにできるのかは、本当に実験で試練の道なのでね。本当にみなさんには「お疲れさま」の言葉しかないです。
でも、今日はお話しさせていただいて本当に私も楽しかったので、ありがとうございました。
水野:ありがとうございました。
田中:それでは以上をもちまして、「Discover Edu! スペシャルセミナー・島村華子さん×水野敬也さん 明日から、声かけが変わる! “自分でできる子”に育てるための『ほめ方 叱り方』」を終了します。みなさま、本日は本当にありがとうございました。
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