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稲垣栄洋さんとザッソウ第3回 雑草は何でも知っている(全3記事)

なぜ人は「越境」に関心を持つのか 植物学者・稲垣栄洋氏が語る、人が境目を作りたがるわけ

ソニックガーデンの代表・倉貫義人氏と仲山考材の仲山進也氏が、毎月さまざまなゲストを迎えて「雑な相談」をするポッドキャスト『ザッソウラジオ』。 今回は雑草の専門家である稲垣栄洋氏をゲストに迎え、雑談・相談の「ザッソウ」と、植物の「雑草」の共通点などに迫ります。本記事では、働き方としても注目される「越境」について語られました。

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「枠」は人間が勝手に決めたもの

仲山進也氏(以下、仲山):ちょっと話が変わるかもしれないですけど、1つ今思い浮かんだ質問があって。最近「越境が大事です」みたいな、働き方として「越境」というのがキーワードになりつつありますけど、越境って草の世界から見るとどういうことになりますか?

稲垣栄洋氏(以下、稲垣):「越境が大事です」はどういうニュアンスで使うんですかね? それこそ「カテゴリーとか枠を外れていく」という意味ですか?

仲山:たぶんそうですね。

稲垣:だとすると、例えば「雑草って図鑑通りじゃありません」といって、なんか枠をはみ出している感じがするんですけども、雑草から言わせると、「いや、そもそもその枠って人間が勝手に決めているだけでしょ」で、そもそも枠がないんですよね。だから枠の中とか枠の外という意識が、たぶん枠を持っている人の考え方で。

仲山:めちゃくちゃわかる(笑)。

稲垣:雑草は別に「自分は自分」だから。「いや、これは図鑑と違うな」とか「図鑑通りだな」というのは、人間が見たらそう思うだけなんですよね。

仲山:いやあ、めっちゃ一瞬で僕も腹落ちしたというか。

稲垣:(笑)。

倉貫義人氏(以下、倉貫):僕、そっち派だな。

仲山:僕もそっち派です。取材をしていただいた時に、「仲山さんの働き方はめちゃくちゃ越境してますね」って言われて。

稲垣:なるほど、なるほど。

仲山:「というか、越境しているつもりはないんですけど」みたいな話をして(笑)。

稲垣:そうですね。「この境を越えてやろう」とは思っていないですものね。

仲山:そう。「境目ってあります?」みたいな話をして。

稲垣:そうですよね。

倉貫:「越境しよう」と言っている時点で境目を作っているので。「境界をなくしたほうが良くないですか?」って。

稲垣:確かに。

仲山:「というか、そもそもありましたっけ?」と。

倉貫:「境界をなくしたほうが平和じゃないですか?」という。「あなたはこっち、私はこっちだから、こっちに来なさい」とかじゃなく、「ないほうが平和じゃん」って僕もずっと思っていて。「越境」って言わないんだよなと思っていたのが、今の話で腹落ちしましたね。

人が境目を作りたがるわけ

稲垣:でも、外から見る人が境を置いて、「仲山さんはこの境を越えているな」と見るのはしょうがないと思うんですね。そうじゃないと理解できないので。

倉貫:その人の理解として「越境しているな」という。

稲垣:そう。でも仲山さんは別に。

倉貫:別に越えたつもりは何もないというか、自由という。

仲山:(笑)。

稲垣:その通り生きているだけで、「図鑑にどう書いてあるかは知りません」という。

仲山:そうですね。それこそ図鑑に描く絵を描いた人からすると、決めた境目があるから。

稲垣:そうそう。「仲山さんらしくない」と言うかもしれないけど、「いや、そんなのあなたの見方です」って言うだけですよね。雑草に言わせればね。

仲山:いやあ、良かった。僕の越境の捉え方がめちゃくちゃ肯定された(笑)。

倉貫:いいっすね。本当、越境じゃないほうが自由だな。

仲山:それこそ、例えば八百屋さんの店先でのお客さんと立ち話。店の敷地からちょっと外れた公道でお客さんと立ち話をしていたら、それは越境ですかとか。あと、それが店から100メートル離れたところだったらどうなのかとか考えていくと、やはり線ってデジタルじゃないよなっていう。

稲垣:そうですね。

仲山:アナログですよね。

倉貫:そうなんですよ、そうなんですよ。

仲山:全部つながってますよね。

倉貫:いや、めちゃくちゃおもしろい話をしましたね。

仲山:今回は本に書いてある話が多めになっちゃいましたね。

倉貫:結局いつものあれですけど、草の話ばっかりされたはずなのに、勝手にこっちが人間とか働き方とか会社の話に置き換えて話せるので、おもしろさしかなかったなっていう。

仲山:本当ですね。

倉貫:最後にがくちょの生煮えの越境の話が解決できたっていう。

仲山:ああ、良かった。

稲垣:(笑)。

倉貫:ザッソウできたという。いやいや、良かったな、おもしろかったな。

「ザッソウラジオ」と「雑草ラジオ」

仲山:あと、ザッソウラジオのリスナーさんに共有したいこととしては。

倉貫:本家「雑草ラジオ」。

仲山:「雑草ラジオ」(笑)。

稲垣:(笑)。

倉貫:ぜひリスナーのみなさん、「ザッソウラジオ」を片仮名で検索していただくと僕らが出ますけど、草の「雑草ラジオ」で検索していただくとYouTubeが出てきて、本当に草を大好きな方が、ずっと雑草のことを語っているというYouTubeチャンネルがあって。

僕らは「おもしろいな」と思って見ていたんですけど、稲垣さんに「『雑草ラジオ』というYouTubeがあるんですよ」と言ったら、「それ、教え子です」って言われて。

仲山:(笑)。

稲垣:(笑)。

倉貫:「つながっとんのかい」っていう。

仲山:なんと教え子さんだったという。

倉貫:つながりまくってしまったやつですね。いやあ、おもしろいですね。

仲山:で、この前ね、その「雑草ラジオ」をやっているぜきさんと僕ら4人でZoomでザッソウをさせていただいて。

倉貫:本当に雑草愛をずっと語っていただいて。

稲垣:(笑)。

仲山:(笑)。

倉貫:「雑草ってすごい」という話をしているだけなのに、働き方とかビジネスでもすごいねみたいな、コントみたいな時間になりましたけどね。

稲垣:(笑)。すれ違いコントですね。

倉貫:すれ違いコントですね。

仲山:あはは(笑)。おもしろかった。

倉貫:いやあ、おもしろかった。

稲垣:おもしろかったですね。

抽象化と連想のおもしろさ

倉貫:ということで稲垣さん、第3回までお付き合いいただきましたが、最後にご感想をいただいて終わりたいなと思いますが、いかがだったでしょうか?

稲垣:いや、本当に私は雑草というか、草のほうの雑草の話をしていただけなんですけど、本当に楽しくて。

仲山:(笑)。

稲垣:でもいろんなところから見ても、結局同じなんだなというのが、なんかおもしろいというかうれしいというか、そういう感じはしますね。いや、本当にありがとうございました。

倉貫:いや、ありがとうございました。またザッソウラジオに遊びに来てください。

稲垣:はい、ありがとうございます。

(ここで稲垣さんが抜けて、クロージングトーク)

倉貫:いやあ、今回もめちゃくちゃ楽しかったですね。

仲山:稲垣さんとお話しするのは、僕は今日が3回目です。倉貫さんが4回目?

倉貫:たぶん4回かな。

仲山:毎回おもしろいですよね。

倉貫:毎回おもしろいし、忖度してビジネスに寄った話をしてくれているわけじゃなくて、本当に草の話をしてくれているのに、こっちが勝手にひらめくっていうのが、「雑に相談」の「ザッソウ」だなって思いましたね。

仲山:抽象マニアにはたまらない。

倉貫:いやあ、抽象マニアにはたまんないですね。

仲山:(笑)。

倉貫:リスナーの方がどこまで受け取られるかわからないけど。でも、これはたぶん自分のことに置き換えて聴けるやつですよね。

仲山:うんうん。

倉貫:めちゃくちゃおもしろいな。それが本当に草の雑草だったというのがめちゃくちゃいいつながりだった(笑)。

仲山:本当におもしろい。「おもしろい」しか感想が出てこない(笑)。

倉貫:出てこないですね。もしかしたら「組織のネコ」の本がありますけど、ネコの研究家の方とかが出ても、けっこうおもしろい可能性はありますよ。

仲山:でも実際に本を書いている時、ネコの本とか読みましたよ。

倉貫:やっぱりそうですよね。僕らも本当に連想ゲームで生きているのでおもしろい。抽象化して考えられるやつですね。

リスナーへのおもしろさのおすそ分け

倉貫:がくちょ的に、今日の一番の取れ高は何ですか?

仲山:最後に「越境」の話は稲垣さんと初めてさせていただいたので、やはりぶつけてみると、思った通りの答えをいただけるなっていうのがものすごい安心感でしたけど。

倉貫:(笑)。

仲山:「ですよね」っていう。しかも最後はまたザッソウラジオでよくある、最初はデジタル、ゼロイチの話から始まって、最後は「越境って、線でゼロイチじゃないよね」みたいな話で終わったことも良かったかな。

倉貫:いや、そうね。螺旋っぽかったですね。

仲山:そう、1周した感がまたありました。倉貫さんはどうですか?

倉貫:僕は全般的に、いつもはゲストの話を聞くばっかりなんだけど、わりと今日は自分でもしゃべっちゃったんだけど、なんかシンパシーを感じるところが多すぎて。

それがしかも、自分の本の『ザッソウ』から草の雑草につながって、今日みたいな話になるところに、僕の中で螺旋がつながった感があるんですよ(笑)。

仲山:まさに、まさに。いろいろループがつながっていますよね。

倉貫:そうそう、ザッソウ本を書き始めたところからのループがつながったというのが、本当に良かったなというところで。稲垣さんと何回かしゃべって、話がおもしろく、その瞬間だけ僕らが楽しんでいたやつが、ザッソウラジオという場で少なくとも音声で残せて、あとで聴き直せると思うと、「いや、これ、本当に良かったな」と思って。

仲山:確かに、確かに。いやあ、おもしろいな。

倉貫:今回はなかなかのおもしろさを、みなさんも知っていただけたんじゃないかなと。

仲山:ちょっとこのおもしろさをおすそ分け。受け取ってくれる方がいたらうれしいなと思います。

倉貫:いると思いますね。ということで、今回のゲストは稲垣先生でした。ザッソウラジオでは、みなさんからのメッセージや質問、相談をお待ちしております。今日の回の感想とかだけでもぜんぜんありがたいですよね。

仲山:そう、感想をいただきたいですね。

倉貫:「おもしろかった!」とかね。がくちょのFacebookやnoteのコメントでも、「聴いています。おもしろかったです」とかってけっこういただきますけど、Facebookでつながってないみなさんでも、フォームからご感想をいただけたらありがたいです。お聞きのポットキャストの、ザッソウラジオのプロフィール欄に掲載されているGoogleフォームから、お気軽にお寄せいただけたらと思います。

ザッソウラジオは毎週水曜日、午前中に更新しています。Spotify、Appleポッドキャスト、Googleポッドキャストで聴くことができます。「おもしろいな。また次のゲストを聴きたいな」と思っていただけたら、ぜひチャンネル登録していただけるとありがたいです。ということで、今週はここまでです。ありがとうございました。また来週。

仲山:ありがとうございました。

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