アドバイスをくれる「AIニキ」「AIネキ」の存在

木内翔大氏(以下、木内):(AI関連の情報収集のコツとして)情報を人にキュレーションしてもらうのはアリだと思うんですね。

もちろん僕らも、キュレーターとしての役割があるからやるっていうのもあるんですが、みなさんの環境というか、人的なネットワークの中で自分に必要な情報を教えてくれる「AIニキ」「AIネキ」みたいな人を……(笑)。

チャエン:ブレイキングダウンですか(笑)?

木内:AI先輩、AIニキ、ネキをつけたほうがいいだろうなとは思っていて。そういうのもあって、僕もコミュニティを運営しているんですが、オフ会とかで実際に仲良くなって話すと、自分がつまづいたような問題に「そんなん、こうすればいいじゃん」みたいな感じで、けっこう教えてくれるし。

パートナーオフ会と言って、専門家が集まる飲み会とかも主催しているんですけど、意外と専門家でも、本当に基礎的なAPIの設計も知らなかったり、いろいろあったりするので、お互い教え合う環境を作るのがすごく重要かなと思います。

樋田洋斗氏(以下、樋田):いいっすね。ネット上だけじゃなくて、リアルでコミュニケーション取れるような人で、ニキ・ネキをちゃんと作っていくということなんですね。

茶圓将裕氏(以下、チャエン):「ネキおらん問題」ありません? AI界隈、ネキおらん説。

木内:昨日ちょうどチェルシーさんと話して。

チャエン:AI女子、ほんま少ないんで。

樋田:ここから赤髪のAIネキになっている可能性もあるんでね。

木内:めちゃくちゃブレイクしそうですよね。

樋田:絶対おもろいでしょ、AIネキ。いいっすね。

ChatGPTのプラグインを使いこなすには

樋田:けっこう参考になったと思うんですが、あと少ししか(時間が)ないのでどうしようかな。

木内:やばい。

樋田:どうしようかな。個人的にプラグイン(の活用法)を聞きたいんですが。

チャエン:これ僕、ちょうどYouTube出したんです。

樋田:ですよね。

チャエン:AIスクールといって、けっこう金掛けて本気でやっているので。7,000円の全編があるので、それを見ていただくのがいいかなと思います。ぶっちゃけ1個だけですけど、「WebPilot(ウェブパイロット)」というリンク学習以外、正味そんな使わないというような。

木内:やっぱりそうですか。

チャエン:ぶっちゃけそうです。直接やったほうが速いです。食べログとかも直でやったほうが速いし、動画編集もあんなん直でやったほうが絶対に速いので。

ただChatGPTは今、ブラウジング機能がなくて最新のネット情報を拾えないので、そこだけ弱いんです。そこで「WebPilot」とかを使うと、「リンクを入れて要約して」と言うと記事を要約するので、そのくらいですね。

樋田:「WebPilot」です。

チャエン:それだけでいいんじゃないですか? というくらい。

樋田:だから前提として、ChatGPTは課金しておけということですね。

チャエン:20ドルはね。居酒屋、ランチ1回ちょっとくらいなんでね、がんばってほしいなというところですかね。

樋田:確かに。でも、月2,000円レベルであの機能たちを使えると考えたら、十分いい投資かなと思うので。

木内:このあとちょっと話すでしょうけど、プラグインというよりコードインタプリタとか、そっちの有料機能が大事だから、たぶんリサーチ系は「Perplexity(パープレキシティ)」とか「Bing」で事足りるので、みなさんも無料ツールで組み合わせてやっていけるかなと思います。

樋田:OKです。ありがとうございます。

アカウントが飽和する中で難しくなる差別化

樋田:じゃあラスト重テーマ、ガチ答えがないやつにいければと思います(「全員がAIを活用し始めたらSNSでの差別化が難しい問題」)。

これはどういう背景かというと、SNSに興味がある、かつ今回みたいにAIの知識を今後もインプットしてくださるんだろうなと思うんですが、みなさんが同じようなことをやっていくと、おそらくAIを活用したSNSアカウントが飽和し始めるんですよね。

それが当たり前になる瞬間が、1年後なのか2年後なのか、もうちょっと早い未来でも訪れてしまうんだろうなって思うんですよ。ただそうなってくると、SNS上での差別化とか自分らしさって何なんだよとか、そういった部分がわからなくなってくるなと思うんです。

答えはないんですが、競合優位性というか、自分らしさ、差別化ポイントをどう作るのか、お二人からぜひおうかがいしたいなと思ってテーマ用意したので投げます。

チャエン:僕の中でSNSは大きく3つあって、おもしろいお笑い系か、シンプルに美男美女のビジュアル推しか、情報推しか。たぶん前の2つは先天的なものが大きいと思うんですよ。おもろいやつは、元からおもろいんで。

3つめの情報系で差別化は、再現性があるかなと思っていて。誰もやっていないところを見つけて深掘りですかね。AIはけっこう増えましたけど、画像生成ガチ勢とかはおらないし、3D生成ガチ勢とかもいないんで、水平じゃなくて垂直にぶった切って極めないと難しいかなと思っていますね。

今はフォロワーが少なくてもバズりやすい

樋田:深掘りしていく1個のジャンルを決めるのが、むずいんじゃないかなと思うんですよ。逆に、腹が決まっちゃえば深掘っていくのって楽しくなるじゃないですか。最初の1点を決めるのがむずいと思うんですけど、どう考えます?

木内:最初の1点。たぶん僕は、チャエンさんより情報発信が遅かったかなくらいだと思うんですが、2月中旬に「スプレッドシートにChatGPTを連携させる」みたいなやつでバズったんですよね。

僕は教育系をずっとやっているので、ビジネス教育とかIT教育とかいろいろなネタをやってたんですけど、それが当たって「あ、これなんだな」と気づいたんです。普通のSNS運用の話になっちゃうんですが、自分の垂直のニッチ領域をどう見つけるか。見つけるまではいろいろ張って投稿してみて、エンゲージが高いものを見つけていく。

今のXやInstagramのアルゴリズムって、フォロワーさんが多い・少ないはそんなに関係ないじゃないですか。なのでバズやすかったりするので、そこで仮説検証をグルグル回すというのが基本になってくるかなと思います。

チャエン:あとはやっぱり、インセンティブ設計に尽きると思っていて。結局、続けたら絶対に勝てるので、いかにモチベーション上がるかということで、投稿したら自分に利益をもらえるような仕組み、先にバックエンドを作るほうがいいと思いますね。

樋田:具体的にはどういうことですか?

チャエン:例えばスクールを始めて、フォロワー2とかでもいいので、発信したらスクールに入ってチャリンみたいな感じを作らないと、続かなくないですかね? と僕は思っていて。

樋田:フィーの出口か何かを作っておく、みたいな話ですか?

チャエン:フィーでもいいし、直の素材を作ってもいいんですが、本業あって、副業や空き時間で黙々とやるのはきついと思うんです。個人的にはそう思ってたりします。。

樋田:なるほど。

ツールが充実し、クオリティの高いコンテンツが量産されるように

木内:話を戻すと、「SNSの差別化が難しくなるのか」というそもそもの議題で言うと、どう思います?

チャエン:かなり難しくなっていく。昔よりコンテンツも量産が簡単になったじゃないですか。だいぶ昔も「Canva」とかで簡単になって、さらに簡単になるので、まあまあなクオリティが量産されて差別化がかなり難しい。なので、キャラ推しとかになるんですかねと思いながら。

木内:でも、それってもうすでに起きているじゃないですか。プレイヤーが増えて、SNSマーケティングは重要だぞってなって、マジョリティが入ってきているから、十分差別化って難しいじゃないですか。

チャエン:そうですね。

木内:逆にChatGPTや生成AIを入れても、めちゃくちゃクオリティが爆上がりして市場が取れるかというと、現状だと人間のリテラシー、使用者のリテラシーにキャップが掛かっちゃうので、現状で起きていることがより加速していくという話でしかないのかなという感じがします。

樋田:(差別化の難易度の高さは)避けられないってなっちゃうんですかね。その中でも勝てるものというと、キャラを作り込むという感じですか?

チャエン:ちょっと脱線するかもですが、10年、15年で、働かなくてもチャリンチャリンというか、AIが稼ぐと思うので、そんな無理せず差別化を考えなくても楽しくやればいいんじゃないかという、元も子もないことをよくセミナーで言っていますね。

樋田:なるほど。好きなことをやる、みたいな。

チャエン:好きなことをやっていいんじゃないですかね。どうせ暇になると思うんで。10年、15年は壮大な暇つぶしかなと思っているので、僕は今、おもろいことだけやるという感じですかね。

“AIに仕事を奪われる”という考えを逆手に取る

樋田:木内さんはどうですか?

木内:よくAIの議論で、差別化とか「仕事がなくなる」ってあると思うんですが、チャエンさんのおっしゃるとおり、10年後、15年後はホワイトカラーの仕事がみんななくなって、働かなくてもベーシックインカムがもらえるから生きていけるよねと。

それが理想だと思って、僕も18歳からIT業界でやっているんですが、そこに行くまでの過渡期が大変だし、みんな怖いわけじゃないですか。

そこで1つ、マインドセットとして持つと楽になるのは、もし自分の仕事が置き換えられるとか、簡単なスキルだったら人間よりAIのほうができるというのであれば、逆にAIさえ使えればどのスキルでも手に入るという、マインドセットを持つといいんじゃないかなと思っています。

樋田:なるほどね。

チャエン:いいこと言いますね。

木内:いいこと言うんです(笑)。

チャエン:(笑)。僕はけっこうネガティブ派なんですけど。

木内:そうですよね。「リスキリング」と経産省が数年言って、それこそ助成金もすごく出ているじゃないですか。日本総国民みんなリスキリングして、いろんなスキルを身につけてと言っているんですが、生成AI時代はそういった話ではなくて。

どのスキルよりも、結局はAIを活用するスキルが上に来ちゃうというか、AIさえ使えれば全部のスキルが手に入るという状況になっているのは事実なので。そういう意味ではAIに親しむとか、まずはChatGPTに触れてみるとか、自分の専門領域、垂直領域で使えるツールを使うとか、それで十分力は手に入ります。

差別化よりも“自分のキャラクターの解像度を上げる”

木内:その中でSNS運用というと、みなさんマーケターでもないし、たぶんマーケティング、ターゲティングを学んだことないと思うんですが、ChatGPTが使えれば、マーケティングの基礎や分析とかができるんですよね。

なので、そういった意味でマーケティングスキルを、逆にChatGPTを使ってみなさん使えるようになるのが重要なんじゃないかなと思っています。

樋田:さっきのチャエンの話につながりますが、(AI活用で)どんなスキルも手に入るということって、言い換えると「何にでもなれる」みたいな。

ということは、何かなりたいものを決めて、なり切るためにAIを使って「できている感」を出すとか、できているようにするのは、キャラを作っていくという話につながるなと思いました。

そうなってくると、差別化をどうこうするというよりかは、「自分はどんなキャラを作りたいんだっけ」「どんなキャラでありたいんだっけ」「何者になりたいんだっけ」みたいなところの解像度を上げることが、実は良かったりするんですかね。

チャエン:そうですね。おっしゃるとおり、けっこう今って分断されるじゃないですか。テレビを見ないので、SNSやレコメンドでも、ぜんぜん友だちと話が合わなくて島が小さくなる。そこで極めると、ある程度差別化はできると思うので、何になりたいかは自問自答ですかね。どの領域だとがんばれるかとか、そのへんが大事かなと思いますね。

樋田:なるほどですね。

ChatGPTの有料機能を使えばマーケティング分析も可能に

木内:具体的な話をすると、マーケティング分析がChatGPTでできるんですよね。さっきの話の「役割を与える」というところで、「あなたはSNSマーケターです」という役割を与えた上で、「私のアカウントを分析してください」と。

ChatGPTの有料機能はAdvanced data analysis(旧Code Interpreter)という機能で、例えば、XやInstagramの自分の投稿履歴をCSVで吐き出して、それを読み込ませると、あなたの投稿を分析しますと。そこから「こういうところが反応良いです」というマーケティングの分析をChatGPTがやってくれる時代になっているんですね。

それもそんなに難しくなくて、本当に5分ほどでできてしまう。ググればやり方は出てきます。そういった意味で、マーケティングの分析、そこから競合優位性というか、自分のUSPを考えさせることとかも、ChatGPTと壁打ちしていけばできるようになってくる。そういったところで差別化を具体的に測っていくのはできるんじゃないかなと思っています。

チャエン:その具体的な方法も最近つぶやいたので、またリツイート(リポスト)しておきます。テンプレのプロンプトもあるので。けっこう便利ですね。

樋田:ありがとうございます。いいですね。

木内:僕らもがっつり使って、壁打ちとかやってたりしますよね。

チャエン:そうですね。リツイートしたので、それを見てもらうといいですね。

樋田:ありがとうございます。

AIの活用で業務の効率も大幅にアップ

チャエン:勝手にグラフとかパワポとか改善案を出すので、SNS運用の月1ミーティングのレポートが一瞬でできるという。ちょっと粗いですけど。

樋田:マジすか。僕らの仕事、うちの会社の仕事はなくなるっすね。

チャエン:業務効率化はできますが、ある程度はまだ人間が必要なので。けっこうすごいのは(AIは)文章がわかるので、AI系の情報とか、ChatGPT系とか、格言系とか、サウナ系とか、勝手に投稿を分けるんですよ。それができるのがすごいなと思って。

人がやるのはけっこう大変じゃないですか。そこまでできるのがChatGPT、いわゆる言語に強い大規模言語モデルの良さなので、めっちゃすごいですよ。

樋田:いいですね、今のもツール紹介みたいな感じで、後日ハッシュタグをつけて投稿するようにしましょうか。掘っていけば無限になんでも出てくるんだろうなと思うんですが、ちょうど時間になりましたので、これにて終了したいと思います。

また、お伝えしたようにぜひXをフォローしていただいて、X上でもいろいろ発信していただけると思いますので、ぜひみなさんチェックしていただければと思います。本日はお時間いただいてありがとうございました。

木内・チャエン:ありがとうございました。

(会場拍手)