2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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ヒット商品を生み出すノウハウを解説した『ブレイクスルーブランディング』『うまいを上手く伝えて売れるを作る。 驚きの商品開発術』という2冊の書籍をテーマにセミナーが開催されました。著者の長田敏希氏と近野潤氏が、商品開発やブランディングにおいて大切な「想い」というキーワードを元にヒットの秘訣を解説します。本記事では、駄菓子屋文化を継承するために取り組んだプロジェクトの背景から、商品開発における“伝え方”の重要性を語りました。
近野潤氏(以下、近野):(参加者への)最後の質問は、このコロナの後にどういうことが伸びてくるのか。これは本にも書かせていただいたんですが、商品開発は仮説力がとても大事です。
「森がこういうところにあるのか」と現状を把握して、「じゃあ次にここを狙っていくためにどういうふうに考えていけばいいんだろう」ということを、常に思考することが大事だと思います。
コロナ後にどういう業態が伸びてくる、もしくはもう伸び始めているというところでいくと、いかがでしょうか。どなたか、ぜひ積極的に手を(挙げてください)。そちらの方、お願いします。
参加者5:ジム。
近野:ジム、正解ですね。すばらしい。ありがとうございます。
(会場拍手)
例えば今、chocoZAP(チョコザップ)。もともとRIZAP(ライザップ)さんがやっているものですね。あとは、なんとかフィットネス24、トゥエンティーフォーでしたっけ。それをchocoZAPさんがもうすぐ抜いていきますが、非常にマーケットが伸びています。これは、コロナ後の健康ニーズで伸びているかなと思います。
あとは、旅行業。これはもう間違いなく、ANAはじめいろんな旅行業が伸びていると思いますよね。私は昨日ウズベキスタンから帰ってきて、帰りの飛行機は韓国経由で帰ってきたんですが、超満員ですよね。
なので今、12月の宿の状況を調べると、もう12月21日は都内のホテルはほとんど埋まっているんですよ。びっくりしましたね。イベントをやろうとして、宿泊する人の宿を取ろうと思ったら、もうほとんどないというぐらい、コロナ後に旅行会社は伸びています。
近野:じゃあ、もう1人ぐらい聞いてみたいですね。はい、どうぞ。そちらの眼鏡のかっこいい方。
(参加者を指しながら)
サウナ、いいですね。サウナ市場ってどれぐらいなんでしょう? ぜひ教えてください。私は名古屋に友だちがいまして、その方がとてもサウナ好きで、最近朝サウナに行くようになったんです。
先ほど言いましたように、全体のお客さまの不満を解決していくことがとても大事な中で、こういうサニタリー商品は、花王さん、ユニ・チャームさん、ライオンさん、小林製薬さんとかがあるんですが、売上順になっています。売上1位は花王さんですけれども、この中で一番利益率が高いのはどの会社だと思いますか?
(参加者を指しながら)
小林製薬さん、正解です。すばらしい。ありがとうございます。小林製薬さんは、花王さんの10分の1の売上ではあるんですが、利益率では圧倒的に高いんですね。
みなさんも「あったらいいな」というCMで気づかれていると思うんですが、この会社は、大手ができないニッチなところで占有率を高める戦略で取り組まれていますよね。
直近の利益率が、花王さんは7.4パーセント。この間の決算で5パーセントぐらいまで下がっていると思いますが、それからユニ・チャームさんが9.3パーセント。
小林製薬さんと言えば、「熱さまシート」「タフデント」みたいな商品(が有名)だと思いますが、(小林製薬の利益率は)12.7パーセントなんですね。
なので、お客さまの不満を解消する商品を一生懸命作ることによって、もちろん売上も大事なんですが、最終的には利益をどう稼いでいくかだと思うので、このへんもとても大事なエッセンスかなと思います。
近野:ここからまた質問です。「あなたたちの話を聞きに来たのに、なんで私たちがこんなに答えなきゃいけないか」と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、コンビニで売っているものを、30秒で思いつくだけ思い浮かべてみていただけますか。
じゃあ続いて、コンビニで売っていないものをあげてみてください。はい、どうぞ。
(参加者を指しながら)
家電、売っていませんね。車、売っていないですね。え? 飛行機! 飛行機は売っていないですね。旅行。チケットはあるけど、まぁ売っていないですね。保険。保険も自転車保険とかありますけど、売っていないですね。他はありますか? カツラも売っていないですね。ありがとうございます。
さすがデザイナーの方々が集まると、そういう視点になる。これがさっきの森・林・木でいくと、森と木を行ったり来たりできるようになる。要は、鷹が上に行ったり下に行ったりして「獲物はどこにいるかなぁ」という、具体と抽象の目が見れるようになるというのがとても大事です。
具体だけで仕事をしている人と、抽象だけで仕事している人、どっちに偏ってもダメだと思うんです。この両方を行ったり来たりして、「コンビニで売っているものは何かな」「コンビニで売っていないものは何かな」と考えられるのがとても大事かなと思います。
例えば、スターバックスさん。この写真を見ればスターバックスとわかると思いますが、じゃあ「スターバックス」さんは具体でしょうか、抽象でしょうか。具体。そうですね。
じゃあ、抽象は何になりますか? 「コーヒー屋さん」「カフェチェーン」、正解です。(スライド)下にスターバックスさんやタリーズさんがありますよね。だから、人と話す時にスターバックスで考えるのも大事なんですけど、それは木の視点です。
まず、カフェというマーケットはどれくらいあるのか。そのカフェの中で、うちらが今度カフェチェーンに参入していくとして、どこが競合相手なのかを見る時に、この具体というかたちになるかと思います。
近野:みなさんに、今からこの駄菓子を配りたいと思います。1人に何本かいくと思いますが、食べながら聞いていただきたいと思います。じゃあ、ここからは長田さんにバトンタッチ。
長田敏希氏(以下、長田):2本ずつぐらい試食をしていただきながら、お話を聞いていただけたらなと思います。このパッケージの駄菓子さんを2人で支援したものがありまして、その例をお話ししながら先ほどの振り返りをしていけるといいかなと思っております。これは旧パッケージになっていますが、この駄菓子を食べたことある方?
近野:また質問してる(笑)!
長田:(笑)。せっかくなので。すごい、9割ぐらいですかね。ありがとうございます。会場の熱がすごいですね。じゃあ近野から、商品開発の切り口と「伝える」ということについて、少し流れでご説明できたらと思っています。
近野:みなさん食べながらでいいんですが、これもどうしても、駄菓子の担当になったらお菓子から考えてしまうのが普通の商品開発だと思うんですけど、まず私と長田社長は「今の駄菓子における現状分析の課題は何だろう?」と考えました。
みなさんご存じの通り、昔は駄菓子屋さんがいっぱいあったんですよね。(全国に)25万軒ぐらいあったのがどんどんなくなって、今はほぼゼロになっています。日暮里の駄菓子問屋街を(スライド)に載せているんですが、今は全部ビルやマンションになっちゃっています。
その中で1軒だけ、駄菓子屋を継いでいるお店が日暮里駅の前にあるんですけど、私はそこのおばあちゃんに「どういう想いで駄菓子屋をやっているんですか?」と聞きに行ったりして、現状分析しました。
近野:それから右側。創業者の高齢化で駄菓子を継ぐ人がいなくて、メーカーがやっていけない。例えば、梅ジャム。売れていたのに廃業しなきゃいけないみたいなことがあります。それから、駄菓子イコール着色料(というイメージ)があったり、不健康で、健康なイメージがない。それから潜在ニーズがつかみきれていないという課題がある。
駄菓子屋さんを復活させるのは、なかなか僕らの力では難しい。じゃあどうすればいいかと考えた時に、その時働いていたスーパーのヤオコーで、この文化を受け継いでいけるような駄菓子の売り場をしっかり作っていって、日本として駄菓子の文化をきちっと継承していこうと、森の視点で考えました。
今食べていただいた(駄菓子を)みなさまに食べていただいたら、「これ、とてもいいね」という反響がありました。
この、駄菓子の新しいコンセプト。今の商品でも十分良かったんだけど、伝統製法だったり、駄菓子の不を解消するようなことに取り組んだり、先ほど長田社長からもあったように会社や従業員さんに聞き取りをしながら、どういう方向性で駄菓子のマーケットをもう一度作り直そうかと考えました。
そして原料についても考えました。今、食べていただいたものは、すべて国産でできています。ですので、ここの社長と産地に行って、北海道のきなこ「とよまさり」を使ったり、それから沖縄の西表島まで行って、沖縄の黒糖を使ったりしながら、さらに添加物不使用で取り組んでみました。
近野:そして、これが出来上がった原料と配合と工程の部分で、もともとこれは袋に入っていなかったんですが、今は一つひとつ個包装になっていると思います。
昔はようじが箱の中にあって、お客さんがそのようじに挿して食べていた。それは今の衛生状況では成り立たないので、1本ずつ袋に入れて食べやすいようにしようということになりました。
こちらは、こだわりの原料をさらにどういう商品で横展開していこうかと考えた時の図です。ここからは、そのデザインをどう考えていくかについて、長田社長からお願いしたいと思います。
長田:今、近野が説明した原料の部分もかなりブラッシュアップされていったんですが、そのこだわりや「おいしい」を、どういうふうにお客さまに伝えていくのかというところで、言語化や可視化が重要になってくるかなと思っています。
僕らも「こういった商品のこだわりが」とか、実際に現地に行ったり、そういうところを交互に踏みながら実際に具現化していったという流れがあります。
商品としても、ネーミングだったり、「昔懐かしい」みたいなキャッチコピーだったり、例えばポップや店頭の広告にも、しっかりと商品を説明するボディコピーがあったり。
あと、その基礎情報として、スペックと言われる、売価、どんな味なのか、どんな機能なのかを表現する言葉だったり、あとはこのパッケージにはないんですが、タグラインという企業さんでキャッチコピーがあったりします。
小林製薬さんだと「あったらいいなをカタチにする」みたいなものがあると思うんですが、企業を一言で伝えていくとどんな言葉になるのかという部分を、言語化というかたちで表しています。
そういった部分と、あとは伝えるほうのデザインですね。パッケージデザインとか広告とか、そういう表現の部分を組み合わせて、おいしいをどういうふうに伝えていくのかを実現していきました。
長田:こちらの駄菓子のご支援をした流れを少しご説明できたらと思っているんですが、まず、この事業をなぜ始めたのかというそもそものところも、経営者の方々と一緒にディスカッションをさせていただきました。
さっき近野からも、「駄菓子屋の文化や事業を、もう少し森の視点で見てみる」というお話があったと思うんですが、実際にこの視点になっていただいて、自分たちはどういうふうに事業に貢献したいのかを話し合ってきました。
その中で「『なぜ駄菓子屋さんを始めたのか』というルーツに、もしかしたら魅力があるんじゃないか」というところから、いろいろディスカッションをしてみたり。
例えば、創業当時のお話もさまざまお聞きさせていただきました。僕らは対話を大事にしているんですが、このようにふせんをして、議論がどんどん進んだ時に、ちゃんと形に残るように整理していくことも大事にしております。
その中で、自分たちのビジョンはどこに当たるのかという話をした時に、駄菓子業界の衛生面に対してけっこう課題感を持たれていました。その中で、しっかりといい素材にこだわっていく必要があるよねということで、「カラダにいい素材の駄菓子で、元気で真っ直ぐな笑顔を育てたい」と、ちゃんと言葉に残されていました。
あとは今回みなさんにご試食いただいたんですけど、この黒みつも相当こだわられています。朝早くから製造してみなさんに届けるという、まさに駄菓子の匠なんじゃないかみたいなところで、そこを目指していこうということも整理していったりしました。
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