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【2023年最新版】これからのフリーランスの生存戦略(全3記事)

上流層の発注者ほど、副業の人を避ける理由 独立のリスクをとる人にチャンスがやってくる仕組みとは

SNSサミット 2023 presented by SAKIYOMIでは、これからの時代を生き抜く武器である「SNS」について各媒体の先駆者をゲストに招き、マーケティング、デザインなどあらゆる場面で必要とされる「SNS思考」について語られました。本記事では、株式会社デイトラ代表取締役の大滝昇平氏、StockSun株式会社取締役の株本祐己氏、株式会社SAKIYOMI CMOの田中龍之介氏が、未経験からフリーランスになる秘訣や発注者目線での副業のリスクについて明かしました。

前回の記事はこちら

企業からの受託と、自分のノウハウを売るコンテンツ販売

田中龍之介氏(以下、田中):せっかくなので別のテーマも話してみたくて。今、個人の方がフリーランスになったり独立するところでいくと、コンテンツ販売もトレンドとしてあるなと思っています。

こういうコンテンツ販売と、今言ったような受託で法人から案件を請けて仕事をすること。2024年を迎えるにあたって個人が独立するなら、ぶっちゃけどっちがおすすめなのかも、ぜひお2人のご意見をおうかがいしたくて。株本さんはどう考えてますか。

株本祐己氏(以下、株本):その人の生まれ持った器とか目標値によって、今取る戦略はすべて変わるんで、どっちがおすすめとかはその人次第というのは大前提としてあるんですけど。

その上で、要はコンテンツ制作って、自分のノウハウを販売することになると思うんですけど。受託は、要は自分よりお金がある人からお金を恵んでもらうと。コンテンツ販売は、自分よりお金がない人からお金をもらうと。例外はもちろんあるんですけど、基本構造はそうだと思うんですよ。

自分よりお金がある人からもらうほうが苦しいんですよ。だから、いかに長く潜って苦しんで受託やって、水面でぱっと息を吸うというか顔を上げるのがコンテンツ販売だと思ってて。

結局コンテンツ販売なんてしても、自分のノウハウの切り売りなので、そんなのどうせ尽きるじゃないですか。だからコンテンツ販売ありきで設計してても、たぶん浅いもの、だんだん絞りかすしか出てこなくなるんで、コンテンツ販売になるものはあくまでサブのボーナスぐらいに考えておいたほうがたぶんよくて。今言ってるのは若い人向けですけど、若いうちはやっぱり苦しい思いをしたほうがいい。

だって独立して1,000万円、2,000万円ってみんな夢見てますけど、世の中の会社で1,000万円、2,000万円稼ぐ人って、受験勉強がんばっていい大学に行って、いい大学から就活をがんばって。高学歴の集団の中でやっと出世して、5年10年耐えて、やっと1,000万円、1,500万円っていくものなのに、コンテンツ販売でそんなすぐいくわけがないですよ。そんな大した人生歩んでないわけですから。

なので、基本的には苦しい思いをして、コンテンツ販売するかしないかは任せますけどって考えてます。

コンテンツ販売だけでは、絶対じり貧になる

田中:確かに、さっきキーワードとして出た、受託の場合は相手は自分よりお金を稼いでいる方とか。それこそ事業でいくと、ある種レベルが高い方から案件をもらう構造になりやすい。自分が仕事をする上で成長のギャップが発生するから、次のステップに上がりやすい構造には絶対になりますよね。自分のキャリア設計においては重要な部分なのかなと思いました。デイトラさんの場合、どうですか。

大滝昇平氏(以下、大滝):そうですね。もう株本さんがおっしゃったとおりではあるんですけど、独立するのにおすすめなのは間違いなく受託というかクライアントワークじゃないかなと思います。駆け出しで独立してコンテンツ販売をやるというのは、自分より初心者を集めて、その人たちに販売していくことになるんですけど。その人たちって絶対に、自分に仕事の依頼をくれる層ではないんですよね。

なので、その人たちに教えるほうにリソースを取られ、自分はクライアントワークでの経験も積めず、本当に数ヶ月とか1年ぐらいやった経験の中でノウハウを発信していくしかないので、絶対じり貧になるんですよね。

瞬間的にうまくいって、200~300万円稼げるみたいなことはあるかもしれないですけど。じゃあ、それで一生食っていけるようなビジネスとしての起業と言えるかというと、そんなことはないかなと思います。

なので、本当に自分が長い経験でクライアントワークをやっていく中で、ポイントポイントでボーナスみたいなかたちで(コンテンツ販売を)していく使い方がいいと思いますね。

未経験からフリーランスを目指す時のポイント

田中:ありがとうございます。ちょっと次のテーマもいってみたいと思います。

今ここに用意してるのが、実際こういう方って世の中にいるよねというところから、デイトラさんの方々が質問を募集したものです。その上で、「こういう状況だったらこういうキャリア選択」とか「こういう最初の戦略がいいよね」みたいなところを2人におうかがいしたいです。

まずママさんからの相談としてあがってたものですね。実際、出産を機に育休に入ったりとか、それこそいったん仕事を終えて退職される方が多いとは思うんですが。

そういう方が、それこそ育休とかの合間時間を使って、何かしらの職種で将来フリーランスになりたいという場合に、そもそもどういう職種がおすすめなのかとか。どういう経験を取りにいくべきなのかみたいなところが、もしあればおうかがいしたいです。じゃあ、大滝さんからお願いできますか。

大滝:そうですね。Webデザイナーを目指したいっておっしゃってるので、この方の場合だったら、もうWebデザインをやってみるのが一番いいんじゃないかなと思います。

やる時のポイントなんですけど、いきなりスクールに何十万円とお金を払うんじゃなくて、まずは小さくやってみるのが大事で。YouTubeとか本とか、あと有料のものでもUdemyとか本当に数千円で受けられる講座で、まずはちょっとやってみて、ちゃんと楽しいと思えるかどうかを確認するのが、めちゃくちゃ大事かなと思います。

好きこそものの上手なれじゃないですけど、やっぱり楽しめないと続かないので。まずはそれを確認するのが一番大事だと思います。

田中:その後、仮にこういう人がスクールに入るんだとしたら、どんなタイミングで検討するのがベストなんですかね。

大滝:そうですね。ちゃんと自分で少しやってみて、もっとスキルアップしたいと思えるかどうか。「この作業はやってて苦痛だな」と思わないかどうかですよね。1~2週間もやってみればたぶん大丈夫かどうかがわかると思うので、その段階で判断したらいいんじゃないかなと思います。

「どのスキルを身につけようか」という考え自体がズレている

田中:ありがとうございます。あとはこれをぜひ株本さんに聞いてみたいです。まさにさっきの例に近い部分なんですが、いわゆる動画編集者として独立したフリーランスの方は、だいたい月収40万円ぐらいで安定したら、ここから次はどうレイヤーを上げていこうかという話になってくると思います。こういう方に対してどういうアドバイスがありますか。

株本:ちょっとこの人に当てはまるかわかんないですけど、さっきのデザイナーもそうですが、デザインを勉強してデザイナーを目指したいという時点でずれてるというか、ちょっと話にならない。最初の段階で仕事が欲しいのであれば、自分がやりたいスキルじゃなくて、そのお客さんが望んでることに全部対応するぐらいじゃないと、たぶんお金ってもらえなくて。デザインで飯を食うってなったら、相当デザインを極めないといけないわけですよ。

一応しょぼいLPを作ってみたいなのもデザイナーの初歩であるとは思うんですけど。それはデザイナーだからというより、たぶんそこで「デザインだけできます」とかだと話にならなくて。コーディングももちろんだし、サーバーとか、そこらへんの周りも全部いじれますとか。

もっと言うと、フォームやLINEもちょっと構築できたりとか、「そこまでやったら発注する側も楽じゃないですか」と。これは動画編集者もそうなんですよ。「痒いとこまで全部手が届きまっせ、なんでもやりまっせ。特にデザインは得意ですよ」みたいな感じで売り出していかないと仕事なんてあるわけがないので、なめてるんですよね。

この人もそうですけど、じゃあこっちが本当に社運をかけて作ったサービスがあって、そのLPを駆け出しのデザイナーに発注するかと言ったら、もちろんするわけない。競合でもっとすごいデザイナーがいるのに、あなたになぜ発注するかって、それは「安くてなんでもやってくれるから」「融通を利かせてくれるから」という以外基本はないっていうのを、わかってない人が多すぎるというか。「どのスキルを身につけようか」から考えてる時点でもうズレてて。

「どのお客さんを喜ばせようか」から入んないと、フリーランスとして独立できないと思いますね。キャリアアドバイスじゃないですけど、全体的にそう思います。

他業種からWeb業界で独立するには

田中:ここの最後に書いてある、動画編集から幅を広げるための選択肢として、転職みたいなキャリアで広がるパターンがあるのかも気になっていまして。実際このあたりってどう思いますか。

株本:転職だと学べてフリーだと学べないという理論もフリーランス向きではないというか。フリーで10年食ってる人も別に、10年前のスキルでずっと食ってるわけじゃなくて。キャッチアップを随時同時進行でやりながらアップデートしてるわけなんで。

だからそれができないのであれば、また厳しい話になっちゃいますけど。転職なんてしなくてもできるやつはできるっていう現実を知ったほうがいいかなと思います。

田中:なるほど。ありがとうございます。あとはそれこそ今会社に勤めていて、なかなかフリーランスになりにくかったり、もしくは転職で別の業界に行きにくいケースがあるのかなとちょっと思っていて。

例えば現在銀行で営業職をやっている中で、「今のまま営業でいいのか」という不安だったり、もしくは転職ないし独立で、どんな選択肢があるのかイメージが湧かない方も多いと思うんですけど。それこそStockSunにいらっしゃる方で、こういうWeb業界以外からのキャリアでいくと、どんなパターンがあったりしますか。

株本:まあ、基本的にないっすね。銀行みたいな会社に勤めてるのは、とてもすごいことではあるんですけど。そこから独立するためにぜんぜん違う畑にっていうのは、基本無理ですね。だからファイナンシャルプランナーとか金融系のそういう仕事を目指すか。

もしくは仮にWeb業界に行きたいと思ってるんであれば、副業でWeb業界のことをやるなんてなめすぎでしょっていう話で。じゃあ僕がWeb業界でずっと働いてて、副業で金融業界のことをやって独立できますかって言ったら、できるわけがないんです。

そういう話だと思うんですよ。だから独立したいんだったら、まずいったん(Web業界に)転職して、銀行マンの時に培った経験とかプライドは1回全部捨てたほうがいいかなと思います。

本業で培った武器を生かす

田中:ありがとうございます。実際こういう方ってデイトラのスクールにいらっしゃるものですか。

大滝:まあ、いらっしゃいますね。ただ、株本さんの話を聞いた後だとちょっと言いづらいところもあるんですけど、副業でも僕はやれないことはないかなと思います。

もちろんレイヤーを上げていく段階になってくると、本業を辞めてしっかりコミットしていく必要はあると思うんですけど。さっき言ったみたいな、動画編集で本当に月数万でいいみたいなレベルの副業だったら、寝る時間を削るとか本業の空き時間で、正直がんばればできると思うんですよね。

なのでやりやすいところで言うと、さっき言ったみたいにまずはいろいろやってみて、どれが自分に合うか、続けられそうかを試すのがいいかなと思います。あとは本当に株本さんがおっしゃったみたいに、みなさんけっこう副業とかフリーランスをやろうと思う時に、キャリアをまったく変えようとするんですよね。

新しいことを0から習い始めて、それで独立しようってされるんですけど、それはけっこうもったいないことだと思ってて。営業事務で何十年やってきましたみたいな方がいるんだったら、Excelの編集方法とかってめちゃ詳しいはずじゃないですか。

そういうところを仕事にしていくとか、リモート秘書みたいなかたちでそっちを副業にしていく。今持ってる武器を見返す方向で考えていくほうがいいと思います。

田中:確かに。それこそ金融に関わるIT業界の会社に法人営業として転職して、そこでITの部分も自分のキャリアとして選択肢が広がっていくのは可能性としてありそうですよね。

副業で案件を請ける人の盲点

株本:副業の話ですけど、例えば今StockSunという僕の会社の中で、がっつり動画編集をお願いして何十万円も毎月払ってたりっていう人がけっこういますけど、当然だいたいみんな本業でやってるんですよね。

しかも例えば「年収チャンネル」っていう僕のチャンネルをまるっと全部任せてる人間は、どういう状況で僕らのところ来たかっていうと、月8万円しか稼いでなくて、実家暮らしで。

会社辞めたばっかりかなんかで、もうそれしかやることがないから、「やらせてもらえるんだったら、もうすべてを注ぎます」みたいなタイプで。そういうやつが来たから「あ、これ一番いいじゃん」って言って、もちろん採用してるわけですよね。

だから、副業でやってる人にはそういうチャンス(がない)。どっちがいいかって言ったら誰でも前者のほうになると思うんで。だから、ライバルはそういう人たちだよってわかったら、また話が変わるのかなとは思います。

上流層の発注者ほど、副業の人を避ける理由

田中:なるほど。確かにそういうチャンスが舞い込むのもリスクをとってるからではあるし。そのリスクをとって「失敗してもいいから、いったんまるっと任せるよ」みたいな案件が増えれば増えるほど、それこそ動画編集だけじゃなくて、周辺の知見も溜まっていく。そういうキャリアにつながるような案件の請け方ができそうですよね。

株本:そうっすね。だから仕事が上流層に上がっていけばいくほど、共通して「仕事をする上で責任の所在が誰にあるのか」という考え方が必ず重要になってくる。だからそれが曖昧なプロジェクトって絶対うまくいかなくて。

けっこう上流ってみんな、「誰の責任で、誰が自分のメンツのためにがんばるのか」という思考で仕事するんですよ。稼ぎ云々という領域を抜ける人って、もう必ず自分のメンツのために仕事をしてたりするんで。だから、責任の領域がどこにあるかを必ず明確にしたがるんですよ。

副業は責任の領域がかなり曖昧なんですよね。「別にミスっても本業があるからいいや」という、あんまり自分のメンツがかかってない人に仕事をお願いするのはどれだけのリスクなのかと。責任の大事さを知ってる人からすると、もうありえないと思っちゃうんですよ。

数千円の仕事だったら別にいいやってなるんですけど、大事なことは任せらんない。その発注者の気持ちがわかってくると、副業って選択肢は月2万~3万円だったらできると思うんですけど、自ずと減っていくのかなと思っています。

田中:おもしろいですね。責任が負えるかどうかが1つ、キャリアが広がる案件につながる鍵になってくるのは確かにありそうですよね。

大滝:デイトラで副業をやってる方も、本当に朝3時に起きて本業の隙間時間や昼休みとか自分で自由に使える時間でメールの返信をして、みたいな。本当に使える時間はすべて注いでるというか。「いかに空き時間で本業レベルのクオリティを出して、本業の人に勝てるか」をやられてる方ばっかりなので、やっぱりその覚悟は必要だと思いますね。

田中:それこそ勝手に1個レイヤーを上げた時の考え方をやったり提案してみるみたいな。おそらくそういう広がり方が、案件として出てくるってことですよね。

大滝:そうですね。

田中:ありがとうございます。

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