『英語は10000時間でモノになる』著者が勉強のコツを解説

傳智之氏(以下、傅):それでは、橋本大也さんをお迎えします。橋本さん、よろしくお願いします。

橋本大也氏(以下、橋本):こんにちは。よろしくお願いします。

:よろしくお願いします。

橋本:それでは「英語はChatGPTでモノになる」という話をお話ししていきたいと思います。『英語は10000時間でモノになる』という私の本は、たぶん英語学習の単行本として、初めてChatGPTを取り上げた本なんじゃないかと思っています。

2022年の暮れから2023年の初めぐらいにこの本を書いていたわけですが、4月発売で、ちょうどその頃にChatGPTがオープンになりました。私はたまたま2021年ぐらいから開発者としてGPTを使っていたので、早く飛びつくことができて、早く本に書くことができました。

ただ、書いていたのが1月とか2月ぐらいですから、(ChatGPTについて)たくさんは書けなくて。その後、ChatGPTもどんどん進化していますし、たくさんノウハウがたまってきたので、この本には書けなかったけれども、その後にたくさん学んだことを今日は紹介していこうと思っています。

文章を入れると、AIが自動で難しい単語をピックアップ

橋本:長いプロンプトや短いプロンプトをいろいろ紹介していきます。まず最初のものは、本でも似たようなものを紹介していましたが、「以下の文章から難しい英単語をピックアップして、日本語英語辞書を作成してください」というプロンプトですね。

これは確か本にも書きましたが、今も非常に有効で、英語で聞いてもいいですし、日本語で聞いてもいいです。

これは『高慢と偏見』という古典の小説を入れて、その上で「そこから日本語英語辞書を作成してください」と言っています。そうすると、こんな感じで難しい単語をピックアップしてくれるというものです。

これを読んでから先ほどの本文を読むと、けっこうスラスラ読めるので、こうやって小説やニュースをどんどん読んでいける。これは基本中の基本だと思います。

記事やニュースを読む前に、文章の難易度も把握できる

橋本:次は『ニューヨーク・タイムズ』ですね。私は毎日『ニューヨーク・タイムズ』を読んでいて、一番読んでいるメディアですが、『ニューヨーク・タイムズ』は比較的難しいですね。文章が長いし、ChatGPTの助けを借りて読むべきメディアだなと思っています。

例えばこんな文章があったとします。アメリカには、図書館で貸し出すことを禁じられた本があるんですが、それをあえて取り上げて読みましょうという「禁書週間」という週間があるんです。その禁書週間がいやらしいというか、逆に良くないと、禁書週間を批判するエッセイという、ちょっとややこしいものがあって。

先ほどのややこしい文章を「以下の英語の文章はTOEICと英検では何点レベルの人が読めますか?」と聞いてみるとおもしろいんですね。そうすると「これはけっこう難しめですね」という判定をしてくれます。だから、自分が読もうとしているニュースの記事を貼り付けてみて、「TOEICや英検で言ったらどのぐらい?」と(ChatGPTに質問してみる)。

『ニューヨーク・タイムズ』の場合は、だいたいTOEICで800点、900点とか、英検だと準1級、1級以上と言われるんですが、難易度が事前にわかるからとても判断しやすいです。

ただ、たとえ難易度が自分より高くても、ChatGPTの支援を受ければ簡単に読めますよという話も、この後していきます。

Windows 10以上の機器には無料で使えるコンテンツも

橋本:本(『英語は10000時間でモノになる』)を出してからというか、つい最近ちょっと状況が変わってきました。より多くの人がChatGPTと同じものを使えるようになったという話です。

Windowsの人には特に朗報で、Windows 10以上の人はChatGPTの有料版、GPT-4と同等のものがタダで使えるようになりました。みなさんは入っていますか? Windows 11の人はWindows Updateをすると入ると思います。9月末からは、こんな機能が使えるようになってきました。

それから、残念ながら11じゃなくて10の人も、Microsoft Edgeというブラウザをインストールすれば、「Bing Chat」という(GPT-4と)同等のものが使えるようになります。エンジンはどちらもChatGPT有料版と同じGPT-4なので、すごくお得なんですね。

Windows 11の人は最新版にアップデートをすると、無料で左下に「Copilot(プレビュー)」というのが出てきます。これを押すと右側のチャット画面が立ち上がって、ここで立派にGPT-4相当を使うことができるんですね。

テキストやURLを貼付しなくても要約が可能

橋本:おもしろいのは、「Copilot」という機能があって、同時に開いているブラウザの内容を読んでくれます。Copilotは、PDFやWordといったファイルにも対応をしています。

例えば『ニューヨーク・タイムズ』をPDFファイルに保存して、「このPDFはTOEICと英検ではどのレベルで読めますか?」と聞きます。そうすると、デスクトップで開いている書類は何でもいけるんですが、「レベルにしてこれぐらいですね」と言ってくれます。

これはWindows 10でやっているのかな。Microsoft EdgeのBing Chat機能で、先ほどのCopilotと同じようなことができますので、ぜひこの機能はどんどん使いましょう。これは、ブラウザで読んでいる内容について、質問したり要約させたりできるというのがポイントなんですね。

ChatGPTだと、文章を貼り付けたり、あるいはURLを入れたりしないといけなかったですよね。だけれども、このCopilot機能を使うと、ブラウザやメイン画面で見ているものに対して質問したり要約させたりできるから、ニュースを読むのはすごく便利になりました。

おすすめのプロンプトで「Summarize this page in easy English」というふうにすると、『ザ・ニューヨーカー』の10ページ以上ある長文のエッセイも、すぐに読める要約文に変換してくれるんですね。だから、そっちを読めばだいたい読んだことになる。

これなら『ニューヨーク・タイムズ』だろうが『ザ・ニューヨーカー』だろうが、ぜんぜん怖くないわけです。要約を読めば、だいたいわかるんだから。

洋楽の「歌詞の文脈」も理解して変換

橋本:他にもいいのは、文脈に応じて意味を聞くことができること。例えば、洋楽の歌詞を使って英語を勉強したい人っていますよね。でも、日本の歌詞もそうですが、歌詞ってけっこう難しい。

辞書的に単語を変換しただけではダメで、歌詞の文脈の中でその言葉の意味を捉えないといけないんですよね。(ChatGPTでは)そういうことができるようになりました。Copilot、あるいはEdgeのどちらでもいいんですが、この機能を使います。

例えば歌詞で勉強したい時に、ここではエド・シーランの『Perfect』という、いいバラードのページを今開いています。「Lyrics」というのは歌詞のサイトですね。

こうやって歌詞のページを見ながら、例えばサビのところでエド・シーランが「I don't deserve this」と言っているけれども、これを表示しながら「『I don't deserve this』って何ですか?」と聞いてみるわけです。

「What is the meaning of ◯◯ in this page?」と聞いてみると、文脈を理解した上で「『I don't deserve this』とはこういう意味だよ」と言ってくれるんですね。

「『彼女がすごく美しくて、性格も良くて、僕には釣り合わないぐらいもったいない女だよ』という意味だよ」って、ちゃんと答えてくれます。辞書以上、自動翻訳以上の正確さで英語の意味を教えてくれるわけですね。

私の本は「一日中英語を使おう」という趣旨だから質問も英語でしていますが、もちろん日本語で答えさせてもいいです。

それでも英語が難しい人のための「奥の手」

橋本:さらに、「要約でも難しい」と思ったら、もっと奥の手があります。「このページの内容を英語のポエムにして」と頼んじゃうんですね。

例えばこれは、「Amazonが衛星を打ち上げて軌道に乗せました」というけっこう長い記事で、しかもサイエンスやテクノロジーの言葉がいっぱい入っているからちょっと難しめなんです。

要約させてそれでも難しいという人は、「Turn this page into an English poem」でもいいんですが、「このページの内容を英語のポエムにして」と頼むと、こんな詩を書き始めるんですね。

「Amazon's satellites soar to the sky」というふうになっていて、「rocket they fly」とかわざわざ韻を踏んで、今のニュースをすごく圧縮します。確かに、この詩を読むとなんとなくわかります。要約でもまだ難しいという人はポエムにしてもらっちゃうと、だいたい言っていることがわかりますよ。

あとはいろいろ韻を踏んでいるのもおもしろいですね、途中が「game」「aim」「mess」「stress」と、ほとんど韻を踏んでいるので、ちょっとおもしろい英語読解になります。

今読んでいるニュースに対して質問することができる

橋本:次ですが、もちろん要約させることはできます。これも「自分のビデオを4ヶ国語にAIで翻訳させたよ」という記事なんですね。「Medium」という、日本でいうnoteと同じところですが、個人ブログみたいなものです。

自分のYouTubeビデオを4ヶ国語に翻訳させられるAIはおもしろいなと思ったんですが、要約するだけじゃなくて、質問することもできるわけです。ここでは「そのAIは日本語にも翻訳できるの?」と、私がCopilotで聞いているんですが、そうすると「できるよ」という話をしてくれます。

こうやってCopilotやEdgeのBing Chat機能を使うと、ニュースを読みながらそのニュースについて質問をすることができます。裏側では、ChatGPTと同じものが使われています。

他にも、日本語のニュースを読んでいる時にも英語を勉強する方法がこれです。これは今、いろいろと炎上しているジャニーズの事件です。「アメリカ人はこのページのニュースについてどう感じていますか?」なんて聞くと、右側でいろいろ答えてくれるわけですね。

ちょっとこの画面には映ってないですが、「どうでもいいと思っているよ」みたいなことも書かれていました(笑)。日本語のニュースを読んでいるんだけど、「アメリカ人だったらどうかな?」というふうに、英語の勉強に使うこともできるというテクニックです。

要約した内容から画像も作成できる

橋本:さらにこれはちょっと斬新な技なんですが、日本のマヨネーズ好きなアメリカ人の女子がいて、「日本のマヨネーズ最高」「何にでもマヨネーズをかけて食べられるよ」という記事を、延々と長々と書いているんですよ。

こういうページをさっきみたいに要約してもいいんですが、「please draw a picture of what this article is about」というコマンドを使うと、そのページの内容を絵にしてくれるんです。

今、Copilotは「DALL·E」という画像生成AIの機能を組み込んでいるんですね。だから「○○の絵を描いて」と頼むと、画像生成AIが出てきて絵にしてくれるんですよ。

「日本のマヨネーズ最高」と言って、いろんなものにマヨネーズをかけた体験をブログにしている人の記事は、こんな1枚の絵になるんですね。何にかけているかわからないんですが、「とにかくマヨネーズをかけまくったよ」という意味になります。

これもある意味要約みたいなもので、そのページに書いてあることを早く・一瞬で捉えることができるので、こういったおもしろいこともできます。