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心に従うリーダーシップ〜ビジネス成功の鍵は禅にあり〜(全4記事)

リーダーに「やめたほうがいいですよ」と言える組織は、勝手に成長する 心理的安全なチームを作る「全機現」とは

坐禅や瞑想、マインドフルネスを実践するビジネスリーダーが増えている今。本イベントでは一見矛盾するようにも思える禅とビジネスの深い関係について、臨済宗大徳寺派願修寺住職の岩山宗應氏と、株式会社シマーズ代表取締役の島津清彦氏が語ります。禅や仏教を正しく理解し坐禅を継続することが、ビジネスの成功につながる理由とは。本記事では、執着を手放すことの重要性について語りました。

前回の記事はこちら

成功してもしなくても、自分の価値は変わらない

島津清彦氏(以下、島津):ありがとうございます。いかがでしょうみなさん。

質問者1:質問いいですか?

島津:はい、お願いします。

質問者1:こんばんは、ありがとうございます。Emiriといいます。今の瞬間を愛するという中で、ただ野球選手もみなさんも「より良くしていきたい」という向上心があるじゃないですか。それっていろんなフェーズの向上心があると思うんです。

一種の渇望感に突き動かされて「より良くしていきたい」「これを改善していきたい」「成長していきたい」とか感じると思うんですけど。それとまた「今十分足りている」という状態って、どうつながっていくんですかね?

島津:レオさん、どうぞ。

岩山宗應氏(以下、岩山):すみません。島津先輩、先に失礼いたします。

島津:はい(笑)。

岩山:じゃあ1つ聞きますよ。例えばあなたがバスケットボール選手だと想定しましょう。もしリーグ優勝できなかったとしたら、それによってあなたの人間としての価値は変わりますか?

質問者1:変わらないです。

岩山:そこなんですよ。

質問者1:えぇ!?

岩山:変わらないんですよ。それを体をもって感じてほしい。

質問者1:(笑)。

岩山:そう。でも錯覚しちゃうんだよ。相手に負けてリーグ優勝できなかった時に「俺は駄目な人間だ」ってなっちゃう。違うんだよ、あなたは価値がある人、あなたはすばらしい。命を両手いっぱいに持っているじゃないか。それを体でもって感じ取ればいいんだよ。それと結果は別の話。だからこの瞬間を愛するというのは、結果を愛してくださいと言っているんじゃないんです。

自分自身のこの瞬間を徹底的に自覚して、自分という存在を愛すると同時に向上心を無限に持ってください。もうガッツガツ行ってください。私なんか「今のままじゃ絶対に駄目だ」って毎日思っています。でもだからといって自分自身の存在が欠けているかというと、1ミリも欠けていないんです。

質問者1:なるほど、可能性を信じるということですね。

岩山:可能性は無限にあるじゃないですか。成功してもしなくても、あなたの価値は下がらない。でもそれは頭で考えても難しいから座禅をしましょう。座禅をすればわかるというと、完全に勧誘しているような感じだけど(笑)。

すみません。でも本当に僕はそう信じていますし、僕はこの体をもってそれを普通に実践しているんですよ。だからこれは私からの答えです。

質問者1:ありがとうございます(笑)。

失敗した時こそ思い出すブッダの教え

岩山:ですから向上心を持っちゃいけないなんてことは本当になくて、もうガッツリ持ってください。好きなだけ舞い上がってほしいんですけど、でも同時に今の瞬間を愛するというのは、ご自身の存在自体を愛すればいいんじゃないですか。その存在はどんな結果であろうと変わらないんですね。

島津:ありがとうございます。ぜんぜんピントがずれちゃうかもしれないんですけど、僕は今58歳なんですけど、人生でこの1年が一番働いているなと思っていて(笑)。

岩山:(笑)。

島津:本も一番読んでいるし、人とも一番会っているし、また会社も新しくいろんなことをやろうとしていて。「なんでそこまでやるんですか」といった時に、それって言ってみれば向上心が1つありますと。

こういうことを届ければ、もっと世の中や少なくとも自分が関わったクライアントさんとかも絶対に良くなるという。例えば禅の教えをサービスにした時に、「絶対にこれは良くなる」という確信があるんですね。

死ぬ時に後悔すると思うから、確信があるのに動かない、飛び降りないことはもう選択肢として僕の中ではないんです。だから動いているんですが、もちろんビジネスって結局道具なので、世の中をよくする1つのツールなんですよね。

確信があるからめちゃくちゃ走っている。だけどうまくいかないこともある。(滑りながら)ゴケーンみたいな感じで(笑)。その時は、仏教、ブッダの教えの「苦しみは常にセットだから、最初からもうポケットに失敗と苦しみを入れときなさいよ」と(いう教えを思い出します)。

どうやって自分の苦しみをいい子いい子して治めるかの方法が、全部ブッダの教えにあるんですよね。座禅が一番のメインディッシュになっていて、それをやるとぶつかって怪我しても、悩んでも、いい子いい子でスーッとコントロールできるともう明確に書かれているんです。

執着を手放すと、自然と結果がついてくる

島津:苦しみとか自分の中に引っかかっているモヤモヤを取り払うと、人間は誰でも無限の可能性を持っているから、その蓋をどう取るか。取ったらもうあとは源泉かけ流し状態というか。

岩山:なるほど(笑)。おもしろいですね。

島津:要は掘る深さの問題なだけで、温泉ってどこを掘っても出るんですよ。人間の可能性もまったく一緒で、掘るか掘らないか。掘り切ったらもうブワーッと源泉かけ流し状態になるから、その蓋を取るために座禅をしているということでございます。

質問者1:蓋ってなんですか?

島津:蓋というのは、苦しみの原因である自分に対する必要以上の執着なんですね。向上心をいっぱい持ってくださいと言ったんですけど、物を人に渡さないとか、人の物まで取っちゃうような自分のためだけの欲になると、「もっともっと」となって、結果自分が苦しむ。

その自分の中にある執着が取れると「もう負けてもいいし勝ってもいい。成功しても失敗してもいい」となって、なぜかうまくいく。目標を追いかけるんじゃなくただ座ることが、結果的に良い結果、ご利益、いろんな人たちが応援してくれるみたいな、逆回転が起こり始めるんですよね。

実はいったん中締めまであと7分になりましたので、レオさん、これは第2弾をやる感じになってきましたね(笑)。1年に1回じゃなくなるかもしれないですけど、あとでまた相談させてください。

岩山:わかりました(笑)。

「経営」は実はもともと仏教用語だった

島津:ちょっと私のほうで少し進めさせていただきたいと思います。結局ビジネスと言ってもすべては人や心や仲間、お客さまとの関係性とか(によって成り立っていると思います)。ある意味、その心のメソッドである禅とか仏教が結果的にビジネスにも良い効果をもたらすんじゃないでしょうか。

それと経営も、実はもともと仏教用語なんですね。「経」というのは、お経とか経典の「経」で、もう変わらない縦軸。ずっと語り継がれる普遍の真理。会社とかお寺の経営もそうですけど、何を目指すのかという理念とか、最近の流行りでいうとパーパスみたいなものがものすごく大事で、これは絶対に変えてはいけない。

多少変えるのはいいんですけど、普遍的なものをちゃんと据えておく。一方で営むという字はマネジメントなので、いろんなツールを使ったり効率良くしたりして、どんどんその時代の流れに合わせて変えていくという、この仕分け。

変えちゃいけないものと、どんどん新しくマネジメントしていくもの。この縦軸と横軸、これ自体が実は経営で。事業の運営はもともと仏教用語なので、そんなことからも禅とか仏教には、経済や経営に役立つ隠れたヒントがたくさんありました。

それでなんと経済の言葉の語源も、もともと「経世済民(けいせいさいみん)」と言って、経は縦糸というお話をしましたが、世の中をまっすぐ正してより良い世の中にしていく「経世」。そして「民」は一般の方たち、「済」は救済を指すんですね。だから社会の課題解決をしていってより良い世の中にしていくことが、実はもともと経済というビジネスなんですね。

そこに資本主義とか、あまりにもお金が主役になりすぎると「もっともっと」と自制が効かなくなることも起こりうるんですけれども。人々の困りごとを救済して、より良い世の中にしていきましょうというところですので、実は僕はこの言葉の意味を知った時に、いろんなスイッチが入ったんですね。

「何か困っている人はいないかな」「世の中の課題はないかな」ってあらためて見直して、それに対して新しいことを考えて何度もスタートを切り続けてきました。ちょっとこのへんは時間の関係で割愛します。

会社が勝手に成長していく「全機現」という考え方

島津:そして目指すところは「全機現」。もう私はあっちこっちで「全機現、全機現」と言っているんですけど、「機」というのは人が持っているすべての機能。レオさんも先ほどからおっしゃっているように、みんな可能性を持っているんですけど、でもそれが発揮できない。

それは例えば蓋があるからなのか、空気を読んで出せないのか、そもそも気づいていないのか。だからこの機能をちゃんと出していくような、みんな一人ひとりが自分らしくいられるチームや組織ができたら、会社は勝手に成長していく。

「それはやめたほうがいいですよ」とか、みんながリーダーに対していろんなことが言えるような(空気)。まさに心理的安全に「右に行くぞ」ってリーダーが言った時に「右に行ったら落っこちちゃいますよ」ってメンバーが言えるかどうかという。

そういった一人ひとりがちゃんと自覚して動くことが、私が目指す1つの世界感です。この全機現という言葉は、実は禅と経営の目指す1つのゴールなのかなと思い、ご紹介をさせていただきました。

ということで、最後はちょっと駆け足になりますが、じゃあ実際にどうやってマネジメントしたらいいかというと、実は般若心経をもとに、私がかつて企業再生した時の方法を落とし込んでやっています。「観自在菩薩行」とあるのですが、まず観察から入ると。

今この瞬間、ちゃんと目の前の事象に対して深く観察するところから入って、そのあと傾聴とか自分のやりたいことを言ったり。こんなステップも参考になるかなということで、駆け足にはなりますけども、一応今日のお題でございます。

「心に従うリーダーシップ〜ビジネス 成功の鍵は禅にあり〜」ということで、岩山住職を迎えてここまでお話をさせていただきました。お忙しいと思いますけども、第2回をご相談させていただけたらと思っております。

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