CLOSE

AIを搭載し進化し続けるクラウドERPでデジタル化の礎を構築。ERP活用の新しいアプローチとは(全1記事)

2023.11.06

Brand Topics

PR

日本企業を成長軌道に戻すカギは「クラウド化」? SAPジャパンが描く、ERPを活用したビジネス変革の実現

提供:SAPジャパン株式会社

クラウドソリューションを提案するSAPジャパンが主催したイベント「SAP NOW Japan」。本記事では、同社のクラウド事業責任者が、ERP活用の新しいアプローチについて解説したセッションの模様をお届けします。SAP社が提供する「クラウドERP」による業務効率化のポイントや、目まぐるしい技術革新に対応するために必要なこととは。

SAPが提供する「クラウドERP」の有用性を解説

稲垣利明氏:お忙しい中、本日は「SAP NOW Japan」にご来場いただきまして、誠にありがとうございます。これから、SAPのクラウドERPのご紹介をさせていただければと思います。

このセッションを担当させていただく、SAPジャパンの稲垣と申します。エンタープライズクラウド事業ということで、今はSAPのクラウド事業の担当をしております。よろしくお願いいたします。

先ほど基調講演がありましたが、ご参加された方も多くいらっしゃったんじゃないかなと思います。そこでも触れられていた「クラウドERP」がどういうふうになっていくのか、みなさまに共有させていただければと思っております。

まず、SAPはクラウドERPと言っていますが、そもそもクラウドってなぜやっていくんだっけ? というところから考えていきたいと思います。

(スライドの)一番左側ですが、SAPジャパンにおいてもSAPグローバルにおいても、「ビジネスの俊敏性」「サプライチェーン(の堅牢性)」「サステナビリティ」の3つにフォーカスしていくと、2023年の年初から一貫してメッセージをさせていただいております。

クラウドシフトはなぜ必要なのか

では、このクラウドシフトが必要な理由を考えていきたいと思います。「クラウド」というキーワードは、この業界にいて意識されていない方はいらっしゃらないと思いますが、クラウド化って何なんでしょうか?

例えば、データセンターを使ったらいいのか、自社のハードウェアを持たずにクラウドプラットフォームを使ったらクラウド化なのか。やりたかったのがそれなのかというと、多くの場合は違うんじゃないかなと私たちは考えてます。

例えば、将来にわたる変化対応力(の向上)であったり、「自社だけにとどまらず、End to Endでビジネスプロセス全体をつなげて優位性を出していきたい」とか。

ハードウェアだったり、SAPで言うベースのところをなるべく効率化して、「作る」から「使う」にシフトすることで、より会社の事業の戦略に近いところにリソースを振り向けていきたい。こんなことが望まれています。

これらのどれか、またはもうちょっと違うものだったり、これらのすべてだったりが、クラウドによってもたらされるとお考えになられているところがあるんじゃないかなと思っています。

そこに対してSAPは、ERPも含めたクラウド化。また、せっかくクラウド化するのであれば、コアをクリーンに保つClean Coreでアップグレードのサイクルを早めていく。

Cloudify Servicesと言っていますが、それを実現するためにさまざまなサービスを提供して、お客さまの支援をしていく。製品をクラウド化するだけではなくて、やり方も含めてサポートしていくことが、SAPが実現したいと思っていることです。オープニングでは、そもそもの意義みたいなところに触れました。

クラウドベンダーの買収を始め、15年前から事業を多角化

これは2023年から使い始めたSAPの全体のポートフォリオの絵です。どこかでご覧いただいたことがあるんじゃないかなと思いますが、これを歴史とともに少し振り返ってみたいなと思います。

SAPは15年ぐらい前に非常に大きな経営的な意思決定をしました。それまではERP一本足で事業運営をしていた会社だったんですが、事業を多角化させてERPだけじゃない領域をやっていく。さらに、ERPをオンプレミスで提供していましたので、それまではオンプレミスの会社でしたが、全体としてクラウド化を進めていく。

その2つを実現していくために、まず最初にとった手法は、多くのクラウドSaaSベンダーを買収することでした。

ご存じの方もいらっしゃるかもしれないですが、SAPはドイツの会社です。創業から30年、40年、ほとんど大きな買収をせずに、とにかく自社で開発してきました。

ERPですので、ソフトウェアを買ってきて、ガチャっとくっつけてきれいに動くかといったら動かない。だから、自分たちで完全に整合性の取れたERPを作って、必要な機能は自分たちで開発してきたのがSAPでした。

ただ、ERP以外の領域に関しては、徹底的に・積極的に必要なものを買収していくということで、過去10年、15年で4兆円以上の買収をしてきました。それらがERPの周りにある、人に関する部分、調達に関する部分、お客さまに関する部分と、いろんなポートフォリオが構成されていったわけです。

多様な機能を1つの環境にまとめたプラットフォーム「SAP BTP」

当然、ERP以外の領域に製品が増えてきたので、それらの製品をつなげていくことが必要になってきました。それに伴って(スライド)下の「SAP BTP(Business Technology Platform)」が拡張されてきたわけです。

「SAP BTP」の基盤がしっかりと整ってきて、今あらためて進めているのがパートナーソリューションです。

SAPの製品ポートフォリオの中にパートナー製品がしっかり入ってくることは、なかなか今まではなかったんですが、非常に多くのパートナーソリューションが「SAP Store」上で展開されています。

これはグローバルの会社だけではなくて、日本の企業のサービスなども「SAP Store」を経由して、SAP製品との接続が担保されたものが提供されていっている。ここを担っているのも「SAP BTP」です。

15年前の大きな意思決定の中で、最初はSaaSベンダーを買収してきましたが、その後は本丸のERP部分のクラウド化も進めてます。

今、このクラウドERPは「SAP S/4HANA Cloud」の「Public edition」と「Private edition」というかたちで提供されているんですが、これについては後で詳しく触れていきたいと思います。

自社開発だけでなく、優れた技術は積極的に取り入れる

全体の話をもう少し進めます。これだけカバー範囲が広がってくると、アプリケーション、クラウドサービス、製品それぞれだけではなくて、ビジネスプロセス全体のプロセスをしっかり管理していく必要が出てきました。ここで「SAP Signavio」が威力を発揮するようになるわけです。

さらに2023年の5月、先ほどの基調講演でも触れられてましたが、AIや「Green Ledger」というキーワードが出てきてました。特にAIの部分は、個人的にも非常に大きな発表だったと認識してます。

「ChatGPT」であったり、それを擁するOpenAI、またはマイクロソフトさんや、IBMの「Watson」、Google Cloudの「BigQuery」といった非常に優れたテクノロジーを連携し、それをSAP製品の中に組み込んでいくアライアンスが発表されました。

我ながらSAPは自前主義の会社だと思ってますが、特にことAIの必要な機能に関しては、自社で開発していくだけではなくて、すでに確立されているいいものは積極的に取り込んでいくという意思決定をし、全体のポートフォリオを組み立てています。

これらを全部をきれいにまとめていくことはなかなか難しいんですが、キーワードは、より広範に、クラウドを用いることでより早く、さらにAIの機能がどんどん拡張されていくことでより効果的に、というふうに捉えていただけるといいんじゃないかなと思います。

SAPに搭載されているデジタルアシスタント機能

ジェネレーティブAIを中心とした領域は非常にスピードが早いですし、今後もどんどん技術革新が進んでいくと思います。

SAPが全体としてやっていきたいことは、ERPによってもたらされた効率化、ここ10年ぐらい取り組んできた機械学習を使った効率化、予測の高度化というところから、さらにこの領域は大きな変化を遂げると考えております。さらに、大きいだけじゃなくて、非常に早い変化が訪れると考えています。

だからこそのクラウドというところもあるんですが、じゃあいったいSAPシステムの使い方はどうなっていくのか、デモを見ながらご紹介できればと思います。

「Fiori化された」「昔の『GUI』とは変わってきた」というのは、当然みなさんもご存じかと思うんですが、これはデジタルアシスタントというAI機能です。メニューを辿っていって「あれがしたいんだけど」みたいなことをやる必要がないです。

例えば「この間行われた打ち合わせの内容を要約して」と入れたら、要約してくれるわけです。「ああ、そうだそうだ、これをやらなきゃいけなかった」と思い出して、実際のアクションをしていきます。

AI技術の活用で、業務をさらに効率化

「こういう機能はどうなってるんですか?」と、質問されたことに回答しなきゃいけない。その回答をするにあたって、どういう回答をすべきなのかもデジタルアシスタントが提案してくれます。

それから、日程調整もしなきゃいけないです。これも自分のスケジュールを見て、候補日を提案してきてくれるわけです。スケジュールと連携して候補日が出てきて、あとはこの内容をベースにメールの文面をドラフトして送ればいいだけ。

もちろん、必要な修正やエディットは必要になるでしょうけれども、アプリケーションの中にAIが埋め込まれていくと、こういうことをやってくれるようになっていきます。

すごく便利な世界ですし、いろんなAIの機能をスクラッチで作っていくってことも可能です。そうじゃないとできないこともあると思います。

ただ、多くの機能をアプリケーションの中に埋め込んで、ユーザーが意識せずに便利な世界をクイックにエンジョイできるようにしていくことが、ビジネスプロセスを持っている、アプリケーションを提供しているSAPが提供する価値なんじゃないかなと考えています。

AIの要素技術はもちろん今後も投資していきますが、いいものがあれば外のものも積極的に使っていく。それらを埋め込んでいき、ユーザーの時間を本来傾けるべきところに傾けてもらえるようにしていこうというのが、SAPの全体の戦略です。

クラウドERP「SAP S/4HANA Cloud」の活用ポイント

先ほど少し触れたクラウドERPは、「SAP S/4HANA Cloud」の「Private edition」と「Public edition」の2つです。

差は何かというと、Private editionはシングルテナントです。これはクラウド環境ですが、そのお客さましか使わない固有の環境を提供します。Public editionはマルチテナントのイメージしやすいSaaSをご利用いただくものです。

シングルテナントの場合は、カバーする領域のアプリケーションの運用はSAPがやることもあるでしょうし、お客さまがやる場合もあるし、もしかしたらパートナーさまがやる場合もあるかもしれませんので、選択肢を残します。

パブリッククラウドの場合は、利用料も、インフラも、定期的なバージョンアップも含めてSAP側がやっていくものです。

旧来からあったオンプレミスというのは、例えばサーバーの置き場所はいろいろあると思うんですが、そのいかんにかかわらず、SAPが製品だけを提供するものです。

先ほどの基調講演の中でもあった、「AIや『Green Ledger』の機能がクラウド版にフォーカスして提供され、オンプレミス版には提供されない」と言っていたのはどういうくくりかと言うと、左の2つ(Public Cloud、Private Cloud)と右の1つ(オンプレミス)に分かれていくかたちになります。

クラウド版に特化し、新機能開発へ集中投資

もう少しブレイクダウンしていくと、ドイツを中心としたSAPの開発部門で、「SAP S/4HANA」の開発環境はもともと1つなんです。これがオンプレミス版とプライベートクラウド版に分かれていたんですが、アプリケーションのコードは共通でした。

パブリッククラウド版は何かと言うと、アプリケーションのコードは共通なんですが、マルチテナントで使っていただくためには相応の環境が必要ですので、その専用の環境にデプロイされていました。これが2023年の初めまでというか、変わっていく前まで(の環境)ですね。

「Green Ledger」やAIなど、これから他にも出てくるかもしれません。これらが変わってくるので、「SAP S/4HANA Cloud」というクラウド版に、こういう新規の機能を集中的に投資して開発していく。

一方、オンプレミス版の「SAP S/4HANA」も2040年までの保守は約束させていただいてます。当然保守も継続されますし、そこは変わらないんですが、現時点で言うとAIや「Green Ledger」などの新規で発表された機能はクラウド版のみに提供していくと言われてる。これが、発表されている内容になります。

「オンプレミスで作る」から「クラウドを使う」時代へ

なぜそういう戦略をとっているのか。「クラウドを使う」と「オンプレミスで作る」を比べてみた場合に、プライベート版とパブリッククラウド版で「SAP S/4HANA」でもリリースのサイクルは異なります。

ただ、例えばパブリッククラウド版ですと、半年に1回新機能がリリースされ、半年に1回アップグレードが必要になるわけですね。

すでにご利用いただいてるユーザーのお客さまの実例で言うと、1週間から2週間ぐらいで半年に1回のアップグレードを運用していただいてますが、どんどん新機能が出てきて、先ほどのAIの機能も2023年の年末にリリースされてきます。今後もどんどんリリースされて、半年に1回のアップグレードでどんどん提供されていく。

一方でオンプレミスの場合は、みなさまご存じかと思いますし、お感じいただいてると思うんですが、1度導入すると少なくとも5年、10年はバージョンアップまで同じバージョンを使っていただく。

例えばパッチの適用であったり、マイナーなバージョンアップグレードに関しても、「何か起こったら」というふうに思うと、なかなか新機能の取り込みは難しかったというのが今までの現状だったんじゃないかなと思います。

目まぐるしい技術革新に対応するために必要なこと

じゃあ、クラウドで半年に1回のアップグレードができるのかというと、できるんです。ただ、やるためにはClean Coreももちろん重要です。多くのアドオンがあったら、テストにしても何にしても、そんなに短サイクルでアップグレードしていけるわけがありません。

なので、クラウドERPそのものの使い方も考えなければいけないですし、変えていかなければいけないです。

ということは、プロジェクトのやり方・あり方も変えていかなければいけない。当然、プロジェクトの進め方もそうですし、エンドユーザーの方とのコミュニケーションもそうですし、何を目的にするのか。

一番大きなポイントは、SAPの導入プロジェクトを始めて、何年か経ってGo live(開発していたシステムなどが本番環境で稼働を始め、利用者への提供が開始されること)して、「やった! Go liveした!」で終わりではなくて。

クラウドというのは、どんどん新しい機能が出てくることが前提になっていますので、Go liveしたところから始まるんですよね。それを、いかに短サイクルで運営していくのか。

じゃあなぜそれをやるのかというと、将来に向けた変化への対応もそうですし、これから技術革新がどんどん進んでいくテクノロジーをキャッチアップしていくために、今の時点で提供されているバージョンでいいのかというと、そうじゃない。

どんどん新しいものを取り込んでいくためには、Clean Coreを実現し、そのサイクルで回っていくアップグレードにも耐えられるように、使い方も運用体制も変えていく。これが、今後目指していくべき姿なんじゃないかと考えているのが、SAPのクラウド戦略そのものであるのかなと思います。

SAPのパブリッククラウド型ERPが、日本を成長軌道に戻す足がかりに

今日の基調講演の中でもキーワードがいろいろ出てきましたが、「プロジェクト期間を縮めるためにどうすればいいんだ?」というのも、まさにCloudify Servicesはそのためのサポートなんです。

ご参考までに、SAPの「SAP S/4HANA Cloud」のパブリッククラウド版です。データがアジアパシフィックジャパンというくくりなんですが、今、新規で「SAP S/4HANA」のパブリック版を導入いただくお客さまの平均プロジェクト期間は3.5ヶ月です。

ことインドだけに絞ると8週間、2ヶ月です。当然、何にもないシンプルなところにスッと入れるだけなのでそういう(短い)期間なんですが、日本を含めたアジアパシフィックジャパン全体は3.5ヶ月と言いました。

じゃあ今、パブリッククラウドを導入していただいている日本でのプロジェクトの平均がどうかというと、14ヶ月です。Apple to Appleではないので、必ずしも並べて比べられる話ではないんですけれども。

先ほどの基調講演の中でもあった、凋落が始まっている日本を成長軌道に戻せるのかという話と、個人的に関連があるような気がしてならなくて。

ここに対してしっかりと取り組んで、意識を変えて使い倒して、新しいことをキャッチアップしていく。非常にパワーはかかりますが、一緒に取り組んでいけるとうれしいなと思っております。

以上で私の発表を終わらせていただきます。今日の資料をダウンロードできるQRコードを出しておりますので、ご興味をお持ちいただけましたら、ダウンロードいただいて共有いただければと思います。

ご清聴、ありがとうございました。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
著者フォローや記事の保存機能など、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

会員の方はこちら

SAPジャパン株式会社

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

  • 海外拠点がサイバー攻撃者に狙われやすい“4つの理由” 実例からひもとく「EDR」+「SOC」の効果と特徴

人気の記事

新着イベント

ログミーBusinessに
記事掲載しませんか?

イベント・インタビュー・対談 etc.

“編集しない編集”で、
スピーカーの「意図をそのまま」お届け!