歴史的な円安の到来

深町芳氏(以下、深町):最近ニュースなんかでも、「円安」という言葉をよく耳にするようになったと思います。

森田哲矢氏(以下、森田):「歴史的な円安」と、ニュースでやってますよね。

深町:「何十年ぶり」みたいにニュースでやっていますよね。じゃあ、ここで1つ質問です。今、1ドル100円だったとして、これが1ドル120円になりました。それは円高でしょうか、円安でしょうか?

森田:ナメないでくださいよ深町さん(笑)。「こんな過少評価されてたんや」と思いますよ。関係に亀裂が入るわ、ほんま。

(一同笑)

東ブクロ氏(以下、東ブクロ):それぐらいの質問ですか。言うたってくださいよ。

森田:円っ……。

東ブクロ:何ですか、今の間は(笑)。

森田:円……高でしょう?

深町:……。

森田:円安でしょう?

(一同笑)

東ブクロ:2択やからな、そりゃ間違えたらそっちいけばええ。

森田:聞き取りづらいわー、アクリル板って!

東ブクロ:聞こえてるよ(笑)。前回もぜんぜんいけてる。

深町:すみません、滑舌が悪くて。

「円安」とは、そもそもどういうこと?

深町:じゃあ、三田村から詳しいご説明をさせていただきます。

森田:そうですね、アクリル板がないほうから。

東ブクロ:いや、ええねんそんなもんは(笑)。

ナレーター:では、恒例の三田村解説。「円安」っていったいどういうこと?

三田村英弥氏(以下、三田村):これから模型を使って円安・円高について話をさせていただこうと思います。

森田:今回の三田村さんの唯一の見せ場っぽいですね。

三田村:ここに全集中なので。

(一同笑)

森田:なんか楽しそうやもんな(笑)。

三田村:まず、資金を1,000円持っています。アメリカで1個1ドルのリンゴを購入する場合、1ドル100円だった場合はリンゴを10個買えます。

森田:クソっ、そのクイズやったら答えられたのにな。

(一同笑)

三田村:まず10個、置いていきます。そして……。

東ブクロ:数がわからんようになってる(笑)。

森田:ヤバっ、今の止まり方。金融関係の仕事の人ですよね?

(一同笑)

ナレーター:これが円安で、1ドルが120円になるとどうなるかというと?

三田村:1ドル120円になると、1,000円÷120円は8.3ドルになりますので、8個しか買えないということになります。

東ブクロ:減るねぇ。

森田:並べてみよう。今度は淀みなくいけるかな?

三田村:1、2、3、4……。

東ブクロ:危なかったよ?

(一同笑)

円の価値が変わると、ふだんの買い物にも影響が

ナレーター:円安の影響でリンゴは8個しか買えませんでした。逆に円高で1ドルが80円になると?

三田村:1,000円が手元資金になるので、1,000÷80。計算すると12.5ドルになりますので12個買うことができます。

森田:ちょっと多いよ。

三田村:これがちょっと難関で。

(一同笑)

森田:12個はさすがにねぇ。

東ブクロ:「難関で」って(笑)。今までどんな難しい話をしてきたんや。

三田村:これがたぶん、今日の一番の仕事だと思います。

森田:三田村さんに12個はまだ早いんじゃない?

東ブクロ:そんな数を数えられへん人なんか。2つずついったらええのにな。

森田:そうねぇ。2つずついったら6回で済むねんけどな。

三田村:あ、そうですね。

東ブクロ:「あ、そうですね」って言うた。

(一同笑)

三田村:これで12個ですね。同じ1,000円で買い物するのに、円安だと8個しか買えません。円の価値が100円から120円に下がっているから8個しか買えない。これが円安ということになります。

逆に円高になると、そのぶん円の価値が上がっているのでたくさんリンゴが買えます。

円安が起きた理由の1つは、アメリカの金利の高さ

ナレーター:ちなみに、最近では2年前に比べて30円以上も円の価値は下がっており、歴史的な円安と呼ばれているのです。

東ブクロ:だから今、海外旅行は大変ですよね。

三田村:我々が(海外へ)行く時に関しては非常にきついところではあるんですが、逆に海外から来る人からすると、ちょっと良いということです。

森田:「日本は物価が安いから」って言われんねや。

深町:そうなんです。こちらをご覧いただいてもよろしいでしょうか。過去の円相場の推移を見たんですが、この青い線がドルの相場ですね。

さっきお話ししたように、100円ちょっとだったものがいったん150円ぐらいまで上がって、今は140円前後なんですね。逆にドルの側から見ると、円の値段は下がり続けているということになります。

森田:「物価安い」って言われるの、なんかちょっと切ないっすよね。

深町:日本人としては残念な感じですね。

森田:なんか貧しい国に見られてるような気がするというかね。

東ブクロ:これは何で決まってるんですか?

深町:一番大きな理由は金利。前回、預金の金利がすごく低いという話をしたんですが、アメリカは今、金利をけっこう高くしてるんです。高い金利でお金を預けたい方が多いですよね。なので、アメリカのドルにお金を変えてアメリカで預金しようという方が増える。

森田:はー、そっか!

深町:なので、円を売ってドルを買う人が増える。それで、売られるので下がる。

森田:だから日本の人もドルを買ってるってことなんや。

深町:はい。大きな機関投資家とか、そういうところの人は円を売ってドルを買ってる方が多いと思うんですね。

森田:それが今のこの円安を生んでるってことなんや。

円高のほうが、日本人にとっては幸せなのか?

森田:円高のほうがみんな幸せなんですか?

東ブクロ:日本人はってこと?

深町:それは一概には言えないです。旅行へ行く時は円高がいいなと思いますよね。それと同じで、外国に物を売っている会社は、円高のほうが高いお金がもらえますよね。それって、立場によって違うということですよね。

東ブクロ:輸出と輸入。

深町:そうです。でも日本って、例えば食料品やエネルギーや原油とか、いっぱい輸入してるじゃないですか。なので、どちらかというと円安がつらい。

森田:そうか。多くの人にとっては円高のほうが幸せだっていうことですか?

深町:家計で考えると、円高のほうが幸せかなっていう感じですね。

森田:どれがいいのかっていうのはわかんないですよね。

東ブクロ:方向で言うたら、円高のほうがいいのかなぁ。

深町:難しいんですよね。1つの考え方として、円が安いということなので、今は外国人が投資しやすいんですよね。そういった意味で、外資が日本に投資しやすくなってるということはあります。

森田:そうか。「今は円が安いから買い時なんじゃないか」といって、日本には外資が入ってきやすいってことなんや。

深町:あとは「もともと30ドル持ってました」という人がいると、その方は価値が上がってますよね。外貨建て資産をもともと持っていた方は、円安で増えているということになりますよね。

資産形成において大切な「分散投資」という考え方

深町:なので私たちがおすすめしているのは、円だけではなくて外貨も持っておくこと。例えば、円安になった時は外貨の価値が上がるので、それが「分散して投資しましょう」につながっていくんですよね。

森田:両方持ってたほうがいいってことや。

ナレーター:これが、上手に投資をするために大切な「分散投資」という考え方。為替だけでなく、株式投資においても重要なことなんです。

深町:円安の話をしてきましたが、最近はちょっと株安で株も下がってるという状況にあるんですよね。こちらをご覧いただいてもよろしいでしょうか。日本の株の動きはオレンジの線で、やはり2023年に入ったぐらいからちょっと下がっている。

森田:落ちてんねや。

深町:アメリカが水色なんですが、アメリカもすごく下がってます。

森田:アメリカもめっちゃ株安なんや。この4つで、日本がまだ一番上ってこと?

深町:そうなんです、よくお気づきいただきました。

外国株を持っていることで、リスクを分散できるケースも

ナレーター:実際、アメリカの代表的な指数であるS&P500種指数と日本のTOPIXを比べてみると、この1年間でS&P500はおよそ15パーセントの下落。一方のTOPIXはおよそ3パーセントしか下落していません。

でも最近、周りにこんな人はいませんか? 「日本株は下がって含み損だけど、アメリカ株はまだ含み益がある」と言う人。

深町:さっきお話ししたように、アメリカ株は15パーセント下がってしまってるんですが、ちょっと前の話題を思い出してください。円安になっているので、実は円に換算した時には為替のぶん底上げをされています。

森田:ドルが高くなるからってことっすね。

深町:すばらしいです。

森田:ありがとうございます! 俺が理解した時に、ものすごいうれしそうにしてくれる(笑)。

深町:じゃあ、次のスライドを。青いほうが、普通にドル建てでS&P500を見たものですね。大きく下がっていますとお話ししたんですが、それを円換算した時がオレンジなんです。

こんなに違いがあって、アメリカ株を持ってた方が15パーセント丸々損してないんですよね。「為替が助けてくれた」ような感じになってます。

森田:へぇー! そうなんや。

東ブクロ:組み合わせて考えるとこなんや。

深町:そうなんですね。だから、外国株を持ってることによってリスクを分散できてたと言える。世界的に株は大きく下がったんですが、ここでちょっと助かった方もいらっしゃるということになります。

東ブクロ:じゃあ、買う時にそのへんも踏まえて買ってはる人が多いってことですか?

深町:日本株だけじゃなくて、アメリカ株とかヨーロッパ株も買いましょうねっていうのはそこが理由です。

東ブクロ:なるほど、これはわかりやすいですね。

株式よりも値動きが緩やかな「債券」への投資

森田:リスクの分散は、ほかにはどんな方法があるんですか?

深町:私たちは株式のお話をメインにやっていますが、それ以外に債券もあるんです。

森田:聞いたことあります、「不良債権」とかの債権ですよね。

深町:不良債権の債権とは、実は字が違うんですね。

森田:あっ、違うんすね! いらんこと言うんじゃなかった。「知ってます」だけでよかったな……。

(一同笑)

深町:地方自治体というか、国もなんですが、お金を集める時にみなさんから広くお金を出してもらうために「債券」というのを発行するんです。

東ブクロ:あっちの「券」ね。

深町:国が発行すると国債、東京都が発行すると東京都債、それからある会社が発行すれば社債とか言うんですが、そういったものにも投資ができるようになってます。

国債であると、10年ものの国債や20年ものの国債があるんですけど、10年経つと必ず返してもらえるんですね。「100万円の額面だったら必ず100万円で返しますよ」っていうお約束のものなんですよ。なので、株式に比べると値動きが緩やかで、リスクが小さいというふうに言われるんですね。

森田:元本保証とはまた別なんですね?

深町:元本保証です。

森田:それは元本保証でいいんや!?

深町:債券は元本保証です。ただし、もしも発行しているところが潰れたりすると返ってこない可能性もあるので、仕組みとしては元本保証なんですが、「ただし債券を発行したところが潰れなければね」という条件つきになります。

東ブクロ:そうなんや。潰れてしまうと、もう返ってこない。

投資先を組み合わせる「バランスファンド」とは

深町:一般論ですが、株式と債券は環境によって値動きに違いがあるので、いろんなものを持ってたほうがいいですよということで、株式だけじゃなくて債券も持ちましょう。

森田:それが分散の方法としてはいいんじゃないかと。

深町:そうです。だから、国とか地域を分散することと、投資の対象も分散する。2つの分散がありますね。

森田:ほかの分散方法はあるんですか?

深町:不動産なんかにも投資ができます。あとは金も人気だったりしますよね。

森田:金の値段・価値が上がってるみたいなの、よく聞く。

深町:あれは実物資産なので、持っておくだけで利息がついたりはしませんが、世の中が不安になると価格が上がったりすることがあるので、そういう分散もありますね。金とか、そういったものに投資できるような投資信託もあります。

東ブクロ:えっ、あんねや。金に投資できる。

深町:ですからいくつかに分けて、いろいろなものをうまく組み合わせて持っておくのが1つの分散のお話です。

1つのファンドで組み合わせられたものを「バランスファンド」という言い方をしてます。株式にばかり投資するのは株式ファンド、債券にばかり投資するのは債券ファンド、組み合わせたらバランスファンドという名前になります。

森田:じゃあ、バランスファンドにしといたほうがいいよっていうことですか?

深町:1つのファンドで済むので、自分でいろいろ選んで買うよりも手間はかからないですね。

東ブクロ:なるほど。いろんなのがあんねんな。

深町:もう、かなりご理解が進んでるので。

森田:(笑)。深町さん、進んでるように見えますか?

深町:はい、ものすごく。成長していただいてありがとうございます。

森田:了解です、ありがとうございます。

東ブクロ:いいですよ、評価してくれてますからね。

森田:これは進んでると言っとこう。

(一同笑)

投資をする時に知っておいてほしい“3つのキーワード”

ナレーター:そんな2人に、突然ですが問題! 安定した資産形成のため投資をする際に金融庁がすすめる、3つのキーワードとはいったい何でしょうか?

三田村:今までのYouTubeの中で何度か(紹介しています)。

深町:「冷蔵庫に貼ってください」とか、申し上げたような気がするんですけど。

森田:いやいや。金融庁は投資をすすめないんで、やめてください。

東ブクロ:前回のやつな。

(一同笑)

深町:投資する時に知っておいてほしい・やってほしいキーワードが3つあるんです。

森田:やってほしい?

東ブクロ:これを書くの?

三田村:はい、ぜひ。3つあります。

森田:投資のキーワード?

深町:4文字、2文字、2文字。

東ブクロ:文字で狭めてくんなぁ(笑)。

三田村:すごい大ヒントです(笑)。森田さんのから(回答を)お願いいたします。

森田:俺から(笑)。金融庁が言ってるんでしょ? 「学んで・実行・得しろ!」。金融庁はこう言ってくれてますよね。

東ブクロ:「得しろ」とまで言うてますか?

森田:いわゆる、そういうことでしょ。

深町:でも2文字、2文字、4文字……。

(一同笑)

東ブクロ:そこは大目に見てあげてください!

森田:文字数制限厳しいねんって……。

大きな失敗を防ぐためにも「分散」が重要

三田村:続いて、東ブクロさん。

東ブクロ:やっぱり、これだけは言ってるんでしょう。「ダメ・絶対・投資詐欺」。

深町さんがわろてくれてる! 鼻でやけど。

深町:(笑)。たぶん前回の「騙されない」という話が頭に残ってらっしゃるんですね。

三田村:正解はこちら、「長期・分散・つみたて」でした。

森田:そういうことね! だからそうか、要約するとこういうこと(学んで・実行・得しろ!)なんですよね?

東ブクロ:いや、ぜんぜん違います。

(一同笑)

三田村:まず「長期と」いうところは、もちろん長く続けていただきたい。1日とか2日という話ではなくて、もし可能であれば5年、10年、お若い方ですと30年、40年という長期でしていただきたいなということです。

深町:実はこの「つみたて」というのも、時間の分散なので分散の1つなんですよ。今日ドーンと買うんじゃなくて、今日も買って来月も買う、再来月も買う……というふうに、買う時期を分散するのがつみたてなので。

森田:そうか。一気につみたてるんじゃなくて、ということですね。

深町:そうです。例えば、仮にお金が100万円あっても、ドンと100万円買うんじゃなくて、5万円ずつ20回に分けるとか。ちょっとまどろっこしいですけど、そうしておくと下がった時にたくさん買えるというのを前にやりましたが、ぜひこれをやっていただくと、そんなに大きな失敗はしないと思います。

東ブクロ:よっぽど分散が大事なんですね。

深町:分散です。

森田:「こいつら、ずっと何学んでんねん」って思ってます?

(一同笑)