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第706回 「その頼み方で、相手は動いてくれるか?」(全1記事)

ついやりがちな「仕事の頼み方」NGパターン3選 ビジネスシーンにおける“相手が動いてくれる頼み方”のコツ

日本最大のビジネススクール「グロービス経営大学院」が、ビジネスパーソンに向けて、予測不能な時代に活躍するチャンスを掴むヒントを配信するVoicyチャンネル『ちょっと差がつくビジネスサプリ』。本記事では、相手を動かす仕事の頼み方について、ポイントを解説します。 ■音声コンテンツはこちら

仕事を頼んだのに、相手に動いてもらえない……

本山裕輔氏:今日は「仕事の頼み方」をテーマにお話しできればと思います。第681回目の放送では、「仕事を頼まれた時にどうすればよいのか?」というテーマでお話ししました。

そのあと、この話を聞いてくれた知り合いから「次は仕事の頼み方を話してよ」と言われましたので、今回は「その頼み方で、相手は動いてくれるか?」というテーマでお話しできればと思います。

仕事を頼むシーンを思い浮かべると、けっこういろんな困り事があったりしますよね。例えば、こちらが思っているスピード感でなかなか相手が動いてくれないとか、こちらが頼んだとおりのアウトプットになかなか仕上げてもらえないとか。

原因はいろいろあると思うのですが、あえて1個だけあげなさいと言われたら、それは仕事の頼む時の「想像力」に問題があると言えるのではないでしょうか。

「想像力」というキーワードはいろいろな定義があると思うのですが、私の中で一番しっくりきている定義は、「自分以外のあらゆる人間の視点に立って物事を考える能力」です。

仕事を頼む時に、意外とやりがちなNG事例

では、想像力が足りていないと、いったいどんな仕事の頼み方になってしまうのでしょうか。今回は悪い頼み方の事例を挙げた上で、逆にどんな頼み方をすればよいのかを考えていきたいと思います。

1つ目の悪い例は、期限を書かずに仕事をお願いしてしまうことです。これは私も意外とやってしまいがちなんですが、期限を書かないことがなぜあまりよくないのか。それは、相手に余計な手間を発生させてしまっているからです。

期限が書かれていないと、頼まれた側としては「これはいつまでに対応すればいいでしょうか?」と、わざわざ聞き返さないといけませんよね。結果、メールやチャットのやり取りが1往復分余分に増えてしまいます。納期を書いておけば、本来であればこのやり取りはいらなかったはずですよね。

それに、期限を書かないで相手に依頼するということは、その作業の優先順位や納期をいつまでにするのかという判断を相手に押しつけているとも言えます。

相手に仕事をお願いするのであれば、ただ頼んでおしまいではなく、頼んだ仕事を期待どおりの品質で、期待どおりの納期に仕上げてもらう。そこまで責任を持つことが、期限を設定することが意味するところなのではないかと思います。

可能な限り、相手のスケジュールを先に確認する

仕事を頼む時に避けたい2つ目のパターンは、相手の予定をいっさい確認せずに仕事を頼むことです。休みの日に依頼が飛んできて、しかも休みの日が期限になっている。これは何度か経験したことがある方もいらっしゃるのではないかと思います。

もし相手が社外の人であれば、相手の予定を把握するのはなかなか簡単ではないので仕方がない部分もあると思います。ただし、相手が社内の人間であれば、相手の予定を確認するひと手間が重要だと思います。

社内で共有されてるカレンダーを確認する作業は30秒もかからないのですが、これをサボって連絡してしまうと、相手に「すみません、その日は休みなんですよ」「期限をずらしてもらえますかね」と言わせてしまうこともあります。

ですので、仕事を頼む前には、可能な限り相手の予定を先に確認することも大事なポイントではないでしょうか。

依頼内容に過不足があると、相手に手間をかけてしまう

仕事を頼む時に避けたいパターンの3つ目は、長文で依頼するとか、すごく少ない情報で依頼することです。要は、依頼内容に過不足がある状態で送ってしまうことなんですね。

例えば、本当は3行書けば十分な情報を、10行、20行も書いて依頼すると、そのぶん相手に文章を読み解く手間を与えてしまいますよね。

あるいは、1行くらいで「とりあえずこの業務をやっておいてください」とだけ指示すると、指示された相手は「なぜこの業務をやらないといけないのか」「具体的にどういう状態に仕上げればいいのか」が、よくわからないんですよね。

これは私もやってしまうことがあるので、自戒の意も込めてなのですが、こういったことを防ぐポイントが2つあるかと思います。

1つは、相手が持っている情報量をとことん想像することです。具体的には、相手はどの部署のどの役職の人で、日々どんな仕事をしているのかを可能な限り具体的に考えるということです。

「自分が伝えたいこと」ではなく「相手が知りたいこと」を書く

例えば、相手が入社して間もない営業系の仕事をしている。こういった方にシステムの入力をお願いするとします。

この場合、いきなり社内用語やシステム用語ばかりが入った依頼を送ってしまうと、相手に「え、どういうこと? 何かの呪文かしら」と思われる可能性もありますよね。なので、相手が持っている情報量や置かれている立場を可能な限り想像することが大事になってきます。

依頼内容の過不足をなくすためのもう1つのコツは、自分が伝えたいことではなく、相手が知りたいことだけを書くことです。

私も昔、文章が長くて怒られたことがあるのですが、その時に「相手が知りたいことじゃなくて、自分が伝えたいことしか頭にない。だから文章が長いんだ」と怒られたんですね。なので、相手が知りたいことファーストで考えることができると、スマートな仕事の頼み方ができるんじゃないかと思います。

以上、相手が動いてくれる頼み方とそうでない頼み方にはどんな違いがあるのかをお話しさせていただきました。当たり前な内容もあったとは思いますが、何か1つでも学びがあれば幸いです。

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