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数理最適化のエキスパートが断言「AIブームで見落とされがちな重要技術」 1,300社が導入した「演繹的AI」が意思決定を変える
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井上和幸氏(以下、井上):前半で話があった自律型4.0は、今日聞いておられるみなさんはたぶん好まれる方が多いと思うのですが、一方で、自律型では自分で決めていくことが求められたり、方向づけを自分でしないといけないとか、概ねすべてについて自責になります。
それは人によってはしんどいことで、どちらかというとまず「こうしていきなさい」と言ってもらったほうがやりやすい人はいると思います。
小杉俊哉氏(以下、小杉):そうですね。
井上:小杉さんもあると思うんですけど、僕らも次世代役員研修の時に一番根幹テーマになるのが、これまではあえて言えば1.0もしくは1.Xだったけど、「いや、それじゃ駄目だ」と。それを転換する役員陣になってほしいみたいな話は多いですね。
先ほど名前が挙がった会社もそれを継いでくれる1.0のリーダーが出てくればいいけど、たぶんほぼ無理です。
小杉:まぁ無理ですよね。
井上:永守さん自体も言っていますし、柳井さんも言っています。ある面は、集団経営に移行していくんだ、みたいな言い方になっていますけど。
小杉:まぁ、創業者の真似はできないですよ。創業者の子どもだって真似しても絶対うまくいかないですからね。なぜなら創業者ではないですから。
井上:今、ご質問をいただきました。「人事マンですが、恥ずかしながらマネジメントとリーダーシップが混ざって語られる場面が多いと感じています。ここを現場リーダー陣とどう語り合えばよろしいでしょうか」というご質問をいただきました。
小杉:ありがとうございます。このスライドは本の中にも出ているものですが、マネジャーは日本人がすごく得意というか、自分の役職・役割をすごくちゃんとやるんですよ。これをやらないと組織は回らないので絶対必要なのですが、これしかやらない人もすごくまた多いわけですよね。
(スライドにあるように)リーダーのほうは何かを始めたり変えたり、「人に注目」「信頼を築く」「長期的展望」ですね。「なぜ、何を」から考える。「自分のオリジナル」「現状へのチャレンジ」「自分自身という個人」ですね。
つまり、役職・役割関係なく自分で何かを提案して、周りを巻き込んでそれを成し遂げようとするのがリーダーですよね。ちゃんとやるのではなく、正しいことを行う。正しいことは、環境や時代が変われば変わりうる。
上司が言っていることが必ずしも正しいとは限らないんです。先ほどのコロナ禍の話に戻るんですけど、本質的にどうなのかを、常に自分の頭で考えることですよね。変えようとか、始めようとなるのがリーダーです。
冒頭でずっと言っていた、20パーセントルールだとか15パーセントカルチャーだとか、一定の比率を自分で動かすのは、まさにこのリーダーのことを言っています。それを一部でもやっていれば、それについてその人はリーダーシップ発揮している。つまりリーダーのように組織で働いていると言える。こういう4.0の姿にもつながるわけですよね。
井上:よく「いや、(必要なのは)マネジメントじゃなくてリーダーシップだ」みたいな言い方をする方もいます。話の流れや力点によってはもちろん、「そうだね」「なるほどね」となるんですが、小杉さんが今話してくださったとおり、組織人として両方必要ですよね。
小杉:両方必要です。本にも書いていますが、すごくおもしろいなと思ったのは、GEのクロトンビルの研修所で、日本人ですが長らくコーチをしていた牛島仁さんという方とパネルで話した時です。
「日本ではみんなマネジャーばっかりやるので、『リーダーシップも発揮しないといけないんですよ』と私は研修で常々、マネジャーどころか経営者にも言っているんです」という話をしたら、「えっ、そうなんですか!」とすごくびっくりされて。
「アメリカではみんなリーダーばっかりやろうとして、ちっともマネジャーをやらないんですよ」と。「『あなたは役職があって給料をもらっているんだから、マネジャーもやってください』と言わないといけないんですよ」と。この彼我の差を知って、非常にびっくりしたんですよね。
だから、もちろん両方必要ですけど、どっちがイノベーションを生みやすいかとか、新しいことがやれるか、変化を起こしやすいかは、圧倒的にリーダーのほうに分があるわけです。そういったことが日米企業の現在の大きな差になっているとも言えますよね。
井上:確かに、国民性ですかね。
小杉:先ほどのインプット分のアウトプットの話に戻ると、アウトプットの極大化につながるのは、このリーダーのほうをやらない限り駄目ですよね。効率をいくら追求してもそれはマネジメントの話で、効果をいかに生むかはリーダーのほうだとも言うことができますよね。
井上:すごくわかりやすいですね。マネジメントで考えれば、ミドルからトップに向かっているとすると、トップマネジメントに向かえば向かうほどリーダーシップ要素は多くあるということですよね。
小杉:そうです。ですから、このスライドに示されている定義を考えた1人である、ハーバードのジョン・コッターは「有能なトップは80パーセントの時間をリーダーに使っている」と。20パーセントがCEOや社長業なんだと言っていますね。
井上:わかりやすいですね。
小杉:そういった点では管理職層、中間管理職層は(マネジメントとリーダーシップの比率が)50パーセント、50パーセントぐらい必要だということになるわけですよね。役職のない担当者でも、20パーセントはリーダーとしての仕事に充てていないと会社は回らず、業界の流れが激しければ、さらにその比率は高いとも言っている。
日本の企業にとって、とても参考になる話ではないかなと思います。
井上:本当ですね。わかりやすいし、やはりそういう目線で棚卸したり確認することは大事ですよね。
小杉:大事だと思います。
井上:自分でも、どっちをやっているかなと考えてみるのは大事ですよね。
小杉:先ほどの2パーセントの話ではないですけど、マネジャーとリーダーを意識して使い分けしている人がどのぐらいいるかというと、企業で研修していると、やはり2パーセントぐらいですよ。50人に1人、100人に2人ぐらいですね。
多くの人は考えたこともない。「何が違うの」「そんなこと忙しくて、やること多くて考えている暇がないよ」と言うんです。
そういう人は変革しないといけないとか、新しいことをやる時にマネジメントをしようとするんです。だからうまくいかないんですね。新しいことはベンチャー、スタートアップと一緒で試行錯誤が必要ですから、「リーダー」のほうでやらないといけない。管理できないわけです。
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