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第2章 GPTがもたらす影響(全2記事)

自社でのChatGPT活用法を探るフレームワークの実践ガイド 企業がGPTを導入する際に直面する4つの壁

「”100年後の世界を良くする会社”を増やす」をミッションに掲げるコンサルティング会社 リブ・コンサルティングが、「自社プロダクトがキャズムを超えるためのGPT活用方法」をテーマとしたイベントを開催。今回は、同社シニアコンサルタントの島孝行氏が登壇したセッション「GPTがもたらす影響」の模様をお届けします。フレームワークを使ったChatGPTの実用事例の検討法などが紹介されました。

フレームワークを使ったChatGPTの実用事例の検討

島孝行氏(以下、島):この(ChatGPTと自社サービスの連携を検討する際に使える)フレームワーク上で、御社のサービスにどう落とし込めるかや、当てはめられるかを考えることが、GPTを搭載するかの1つの鍵になります。

少しイメージが湧きづらいかなと思い、私のほうでケースを2つほど用意させていただきました。例えば、御社のサービスをSalesforceみたいなSFA(営業支援システム)だと考えた時に、このサービスにどうGPTを乗せて活かしていくかを見ていきます。

例えば、「文章要約・抽出」でいきますと、SFA上には活動タブやメモなどの情報が散らばっていますが、マネージャーはこれをどう見ればいいのか。この人(メンバー)がしっかりと活動しているのかがわからない状況は、けっこうあると思います。

そういうのは、業務の日報を担当別に自動生成して、マネージャーは情報を蓄積したタブを観測するようにすればいい。そういうUXができれば、SFAとして使ってもらえるのではないかという発想が、文章要約からできます。

また、営業パーソンは忙しいのでけっこう適当なメモを書く方も多いですが、フォーマットに沿って自動で「文章変換」するGPTプロンプトを組んで、SFA側で勝手に変換してくれたり。こんなことが実現すると、UXがどんどん上がってくると考えます。

あとは、「思考アシスト」でいくと、顧客情報に基づく営業戦略をどう練っていくかは、初期のスタートアップにおける悩みの種です。顧客情報の元データに基づいたたたき台を、一緒に議論しながら作ることがSFA上でできるとおもしろいのではないか。

顧客情報に基づいて、自動的にセグメント分けをして分析を掛け、案件別に施策のガントチャートまで練る「自律型エージェント」を作ってくれると、非常にいいのではないか。

そんな観点でGPTの活用可能性を考えていく。フレームワークはそのように使っていただければと思います。

ナレッジマネジメントツールでの活用可能性

:もう1つ、ナレッジマネジメントツールの例も簡単にご紹介します。例えば「文章の要約・抽出」では、議事録の要約とネクストアクションを抽出できるようなGPTフォーマットを乗せるだけでも、だいぶ違うと思います。

あとは4番の「文章の校正」で、誤字脱字や、表現が統一されていないものを統一するだけでも、かなり見やすいものになります。書く人によって、表現や文脈がかなり飛ばされると思いますので。

「ここはこういう文脈で書かれていると思いますよ」と、段落と段落のつなぎをGPTにやってもらうとか。そういったところもGPTはできるので、御社における考え方の1つの起点になるかなと思います。

あとは、「アイデア生成」の5番ですと、現状を踏まえた上での管理方法の改善。ナレッジマネジメントツールでよくある、どう管理したらいいのかがわからなかったり、どんな階層分けでどこをやればナレッジが作られる業務フローになるのかわからないので、管理方法のアイデア分けをしてもらう。

6番の「思考アシスト」では、何の業務にいつ活かすべきかの示唆出しや、たたき台を作ってもらう。

9番「自律型エージェント」は、現状はこういったデータが貯まっているが、こんなデータが不足していると示唆出しをしてもらって、こういうデータを取れる仕組みを作るオペレーションフローを、ナレッジマネジメントツール側に組んでもらう。そうすると活用方法がかなりわかりやすくなったり、顧客体験も向上するのではと考えます。

9つのフレームワークは、御社のサービスやツールがどういうかたちで発散ができそうかとか、提供価値として(GPTを)乗せられるのはどういうところかを考えるための、1つのフォーマットになっています。

企業がChatGPTを導入する際の4つの壁

:最後に、リブ・コンサルティングがこの市場観において、どういうことをやっているかを簡単にお伝えできればと思います。大きく3点実施しています。社内でハッカソン(ソフトウェア開発の関係者たちが短期集中的に開発作業を行うイベント)を実施しながら商品化をしたり。

社内環境で各種β版ツールを開発して、自社でどんなGPTツールが活きるか。活用機能や提供価値の観点から、どれが一番PMF(顧客が満足する商品を最適な市場で提供すること)しそうかという市場探索を行ったり。あとは事業開発コンサルの商品化を行っています。

ハッカソンですと、(スライドの)「アイデア出し」や「独自データ活用を実験」「ユースケース検討・評価」。

あとはデータ活用やタレントマネジメントもやらせていただいています。

例えば人材プロフィールのダッシュボードをGPTに読み込ませて、誰にアクセスすればいいか、どんな人脈を使えばいいかがわかるようにしているところが、社内側のβ版の開発になります。

最後に今後に向けて、GPTの実装や社会的にどう広がっていくかという概念的な話もできればと思います。基本的に(スライドの)この4つのハードル(「セキュリティのハードル」「価値探索のハードル」「利活用のハードル」「責任のハードル」)を意識すると、御社で導入する際や、今後市場化する際の理解に役立つかなと思います。

「セキュリティのハードル」は、耳にタコができるぐらい何度も聞いているとは思いますが、社内業務をインストールすることに抵抗感がある方がいるので、ちゃんとした情報がインプットされる環境を作れるかや、どう築いていくかが1つの観点です。

あと、先ほどの9つのフレームワークを使う中で、御社がどんな提供価値をするとサービスが一番跳ねるかを考えるのが2つ目「価値探索のハードル」の観点。

3つ目の「利活用のハードル」は、それがきちんと業務フロー上に乗るのかという観点です。GPTを使うのがいいことなのはわかっても、誰もそれを使わない状況が一番まずいと思いますので、UI/UX上でどこに乗せるのかをプロダクト開発の設計で考える。

最後の「責任のハードル」は、ハルシネーションという、例えばAIがつく嘘をどうやって防ぐか。AIがミスをした時に、誰が責任を持つかを明文化しておく。ここらへんもしっかりと考えておかないと、リスクが生じる部分ではあります。

この4つのハードルをちゃんと超えられると、企業としてもGPT活用の方向性が見えてくると思います。

結論としてはGPTに即した組織をしっかりと立ち上げた上で、そこにリソースをはって投資しましょうというのが、今後の意思決定の戦略になってくるかなと認識しています。

私からは以上です。ありがとうございました。

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