この5年で完全な右肩上がりのGoogleリスティング

岡田奈々氏(以下、岡田):続きまして、第7位です。「リード単価」が悩みということで19.2%でした。コメントとしては、「リード単価が高い」「受注コストが非常に高くなってしまった業界」ですね。業界によっても差が出てきている感じですかね。

吴笑冬氏(以下、吴):なるほど。Webの世界はまさにそうですね。Googleのリスティング広告やクリック単価はどんどん上がっていきますし、先ほどの力学で言うと、Googleさんはそれで儲けるので基本的に上げていくのが戦略の1つになる。

我々がそこに乗っかっていると、基本的にはリード単価が高くなるのが当たり前だと思います。なので、そこをいかに抑えるための動きをするかですね。

我々で言うと、Google以外のプラットフォームを使ったり、安価で会員を取ってきてメールで育成してみたりしているわけです。そのために動いているかが大事です。同じことをやっていて、「リード単価が高くなります」というのだったら、垣内さんの代わりに言うんですけど、それは当たり前だと思います。

(一同笑)

:「それを解消するためにどんなことをやっているのか?」というのが、たぶん大事です。でも、間違いなく高くなっているとは思います。「悩みとして、あって然るべきだな」とは思っています。

垣内勇威氏(以下、垣内):最近、Googleがかしこすぎて。指名検索のCPC(Cost Per Click:クリック単価)をどんどん上げてきますよね。

:そうなんですよね。

垣内:他社にどんどん出させるようなロジックになっているじゃないですか。リスティング、本当にヤバいなと思います。

:うちもITトレンドをやっているので、勝手に拡張されていくから、載っている企業の製品名や企業名も勝手に出されちゃうんですよ。

垣内:知らないうちに出ちゃうじゃないですか。

:そうなんですよ。

垣内:言われて除外するじゃないですか。言われなかったら勝手に出ちゃうので、勝手にCPCが上がっていく。リスティング、つらいですよね。

:グラフにすると、5年で完全なる右肩上がりでやっていますからね。Googleの戦略にやられていますね。

リード単価を長期的な視点で評価する

垣内:なので、吴さんがおっしゃっていたとおり、「いかに長い時間軸でお客さんを捉えるか」だと思っています。

本当に「今すぐ」のお客さんだけになったら、当然、1番目のレッドオーシャンだと思うんですけど、その手前側と後ろ側をちゃんと意識するべきだと思うんですよね。潜在的なタイミングから会員や名刺情報をちゃんと取って、継続接触するというのもあるし、リスティングになる前、比較し出す前から勝負するのもある。

あとは、いかにライフタイムバリューを伸ばすという、後ろ側もあると思います。1個100万円の商材を買ってもらったあとにうまくアップセルして、1,000万円、1億円と売上が立つのだとすれば、そこから逆算すればリード単価を上げてもいいということになると思います。

なので、時間軸を長く見て、「刹那のリード単価だけで見ない」をやれると、本当は一番いいですよね。

:確かになぁ。難しいね。

岡田:難しいですね。

:どちらにしろ、基本的にはリード単価を低くしてもいいから、許容範囲を広げてリード単価を落として、長くお付き合いするという考え方を垣内さんから教わっているので、僕の中ではその考えに従ってやっております。

岡田:(笑)。ありがとうございます。

立場の弱いマーケが営業や社内を説得する方法

岡田:では、第6位です。「部署内の意思疎通」が悩みで22.5%ですね。コメントとしては、「相談できる仲間がいない」「上司の能力に意思決定が左右されやすいところ」と来ています。「相談できる仲間がいない」は、お1人でやられているということですかね。

:うちも2人から3人ですし、1年前までは1人だったので、マーケだったらあり得るんじゃないかなと思いますね。

だいたいの企業かどうかはわからないですけど、たぶん営業から始まることが多いと思います。代表が「スーパー営業」をやっていて、売れて、営業を雇って、営業が強くなって、「営業だけだとうまくいかなくなったな」と言ってマーケを担当する人が現れて、それが1人というパターンが多いと思うんですよね。だから、そういう意味なのかなと思います。

もう1つの「上司の能力に意思決定が左右されやすいところ」は、そうですよね(笑)。

岡田:(笑)。

垣内:上司がダメだったら、同情するしかないですよね。

(一同笑)

:そうなるよね。

垣内:「外の先生を入れる」はアリじゃないですか。僕もコンサルで入ったりすると、「言ってくれ」と言うためだけにわざわざ上司を説得することをやりますけどね。

だから、共感して同じことを言ってくれそうな外部の人を探してきて、社内説得のために外の人を使うというのは、わりとよくある手段ですね。

:なるほど。今日はこのあと出てこない気がするんですけど、僕自身も含めて、マーケの専門性が高い人はそんなにいないと思っています。しかも、営業上がりでマーケをやるという順番でいくと、やっぱり営業のほうが強いです。

マーケへの理解って、あとから来る感じだと思うんですよね。だから、そういう環境にあると、その人のバイアスはけっこう強いので、言いくるめるじゃないですけど、そこを説得するためには外部がよさそうですよね。

垣内:そうですね。「自分が売上を立てているし、客を一番知っている」と思っている営業の人に対して、「いや、それは違うんだよ」と言うんだとすれば、外から人を連れてくるしかない。

あるいは、社内でもプレゼンスのある営業の強い人をマーケに充てるかしかないと思います。「上司も厳しい」という状況であれば、外から引っ張ってくるしかないかもしれないですよね。

:そうですよね。もう1つは、「部署内の」と考えた時に、マーケ同士でも意思疎通ができていないパターンってあるんですか?

垣内:マーケ同士......でもありますけどね。スタンスが違って、「売上を上げるためにコミットしたい」という人と、「ツールをめっちゃ使いたい」という人がいるじゃないですか。

:なるほど。

垣内:そういうのは揉めているのをよく見ますけどね。

:「手段がいい」という人も確かにいますものね。オタク気質みたいな方々はそうですよね。

決済者に「費用対効果と根拠」を求められた時の対処法

岡田:ここで、お1人からコメントをいただいております。「費用対効果と根拠を示せないと、新しい施策の承認がもらえません。メルマガを担当していますが、『ホワイトペーパー・動画・セミナーは費用対効果に見合わないので実施しない』と承認されず、頭打ちになっています。どのように進められているか、うかがいたいです」というかたちですね。

:めっちゃ難しくないですか?

岡田:(笑)。

垣内:結局、鶏と卵(鶏が先か卵が先か)なんですよね。費用対効果なんて、やっていないのに証明できないので、「これだけ売上を作ります」ってコミットするかどうかだと思っているんですよね。

例えば、ホワイトペーパーを1個ダウンロードしてもらったのに、「CPA(Cost per Acquisition:顧客獲得単価)で3,000円です」という話です。

「ホワイトペーパーを何件ダウンロードさせたら何件受注するか?」を計算してしまえば、「これだけ取ります。なので200万円使わせてください」というふうに稟議を通すのでしょうけどね。言ったもん勝ちみたいな世界ではあるかなと思っています。

:なるほど。

垣内:結局、何かしらそういう「お金につながる絵」みたいなのを書くということです。足りなければ、他社事例を無理やりでっち上げて入れてくることをやりながら、お金を取って実績を示して成功すれば、次もあると思っていますね。

:まずは打席に立たないと、スタートできないですものね。でも、「ホワイトペーパー・動画・セミナーは費用対効果に見合わないので実施しない」というふうに、たぶん意思決定されちゃっているパターンですね。

垣内:「しない」と意思決定されているんだったら、「意味あるよ」と言って通すしかないという話ですね。

:先ほどの「外部から連れてくる」ということですよね。我々も過去にいろいろとやっていますが、たぶん単発だと効果は出ないじゃないですか。

岡田:出ないですね。

:何回かやり続けたりとかすると、「ここを改善するとよさそう」というのがその都度出てきて、うまくいくパターンとそうじゃないパターンがあるので、その方がどのくらいやったのかは気になりますね。

岡田:なるほど。

選択肢を挙げて全体像を示す

垣内:あとは、「全体像を示す」もいいと思います。先ほどの「リード単価」の話じゃないですけど、「リスティングはもう無理だから」と言われたら、「選択肢はこれだけあります」と示す。

それこそ、「オウンドメディア・ペイドメディア・アーンドメディアです」くらいのミーシー(MECE:漏れがなく、ダブりがない)な情報を見せて、「できることはこれ以外ないんですけど、あなたは何もしないということでいいんですよね」と言った上で、「もうこれしかないから、頼りにしましょうよ」くらいしかないかもしれないですね。

:それはわかりやすいかもしれないですね。

垣内:コンサルで説得する時は、そういうふうに言いますね。

:なるほど。消去法で「残ったものはこれなので、これをやりましょう」と。それはいいかもしれない。

垣内:「目標を達成したいのか、何もしないのか、どっちなんですか?」くらいしか、言いようがないですよね。

:これはなかなか言いづらそうなので、その時はぜひ垣内さんを呼んでください(笑)。

岡田:そうですね(笑)。

:言ってくれると思います。