2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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司会者:紫乃さん、よろしくお願いいたしま~す。
木下紫乃氏(以下、木下):みなさん、こんばんは……は早いか。ぎりぎりこんにちはという感じですよね。しのママでございます。拍手をありがとうございます。
Zoomの背景に自分のお店をちょっと置かせていただいているんですけれども、決して店からアクセスしているわけではございません。それでもいいんですけども、すみません。
この「キャリアの夏フェス」、すごい先生たちが集まっていて、「え、私?」という感じなんですけど、今日この1時間は、私もお茶か何かを飲みながらやりますので、みなさんも食べたり飲んだりしながら、本当にスナックに来たみたいな感じでリラックスして参加していただけたらうれしいなと思っております。
一応、タイトルを付けなきゃということで無理やり付けました。あんまり深く考えなくていいかなと思うんですが、「昼スナックママが教える らしく生きたい人のための処方箋」ということで。「自分のキャリアを自分でつかむヒント」なんて超かっこいいことを書いちゃっておりますけれども、私のほうでお話しをして、その後はスナックトークで、みなさんのお話を聞きたいなと思っております。
私の簡単な自己紹介でございます。木下紫乃と申します。今日来られている方でまだ生まれてない人もいるかもしれないんですけども、1991年に社会人になりまして、エンファクトリーさんの社長の加藤健太さんと同じ会社でリクルートという会社に(入社しました)。加藤さんは実は私の元後輩なので、どんだけ私が歳なんだという感じなんですが(笑)。
リクルートからのキャリアの出発なんですけども、まあ人生なかなかいろいろありまして、その後転職は5社しまして、離婚は2回しまして、結婚も3回しております、何でも数が多けりゃいいってものじゃないんですけれども。
木下:45歳の時……今年で私は55歳なので、10年前ですね。その時に大学院に入りました。それまでずっと会社員生活をなんとなくはやってきていたんですよ、25年ぐらい。5社転職したり、ちょっと休んだりとかもしながらなんですけども。
大学院に入って2年間ぐらい、本当に若い学生さんたちと普通の大学院で学んでいました。社会人向けじゃない「普通の」ということね。そこで「会社員も飽きたな」みたいに思うところがあって、独立をしました。
2016年、「キャリア支援」と書いていますけども、主には自分らの世代の人たちのキャリア支援をやっています。そういったことが当時はなかったし、今は「ライフシフト」なんていう言葉が言われていますけど、そんな言葉もなかったので。
うちらの世代を見ていると、なんとなく「ちょっと、もういいよ」みたいな感じになっちゃっている人が散見されたので、「いやいや、そんなこと言っている場合じゃないでしょ」と言いたくて、私も含めて「自分らが楽しく生きていったほうが、若い人たちにとってもなんかワクワクする未来が来るじゃん」と思って、HIKIDASHIという会社を立ち上げました。
今は実際こういうセミナーに出させていただいたり、本当にスナックママなのにすみませんという感じです。さらにすみませんが、企業研修の講師(もやらせていただいています)。
昨日も講師をしたんですけれども、オンラインでやっていると(座りっぱなしなので)腰が痛いんですよ。だから「1日はダメなので半日にして」とかいつも言っているんですけど、そんなことをやったり。
あとは個人向けでは、私はキャリコンの資格を持ってないんですが、キャリアの「壁打ち」をやらせていただいています。あとスナックが東京の赤坂見附にあるんですけども、そこを使って時々キャリアセミナーをやっています。スナックでキャリアセミナーって訳がわからないんですけども。
木下:前後しちゃいましたが、2017年、会社を作った翌年、ミドルの人たちのキャリア支援をしたいと思って。私らってなかなかセミナーとか、そういう堅い場に来ない世代なんですよ。あと自分にお金を投資するという世代じゃないので、そういう人たちが何を考えているのかを私も知る機会がなかったので、「スナックだったら人が来るかも」と思って、スナックを始めました。
とはいえスナックばっかりやっているわけにはいかないのでスナックは週1日だけ開ける。しかも平日の昼間にということで、「昼スナック」ということで始めさせていただきました。もう6年目ぐらいかな?
毎週木曜日の昼間14時〜18時のたった4時間なんですけども、実際お昼にスナックをやってみると、私達の世代だけではなくていろんな方が来てくださいます。最近は「静かなる退職」じゃないんだけど、「ちょっと今休職してます」とか、そういう方もよくいらっしゃいますよ。みなさんすごく真面目だから、「休職しているんだけれども、すごく罪悪感があって、家にいてもなんかモゾモゾしちゃうので来ました」とかいう方がいらっしゃったり。
でもそういう方とお話ししたら、実は仕事が大好きで、「もうちょっと本当はこうしたかったんだ」というので、「じゃあまた戻った時に、それをやってみたらいいじゃん」みたいな、そんな話をしたり。
有給を取って来てくださる方もいたり、個人事業主の方は時間を調整できる人も多いので結構来てくださいます。個人事業主って孤独なんですよね。本当にいろんな人が来られて、人生の見本市みたいな、サンプル集みたいになっています。
私自身もおもしろいし、来た人にとっても、ふだん同じ会社の人たちばかりといると、どうしても同質性が高い場所になっちゃうので、それをちょっとだけはみ出してもらうという、そんな場作りができればいいなと思って、細々と続けております。
最近は私が週1日しかいないので、他の曜日は他の人にお店を借りてもらって、その人独自のスナックをやってもらっています。意外にママさんやマスターをやりたい人がめっちゃ多くて、私の統計でいくと私ら世代の女性の3人に1人ぐらいはママさんをやりたいん感じです(笑)。普通にサラリーマンをやっている方でもそういう方が多いんです。そういうことで、スナックという名の「場作り」をやってもらったりしています。
こういうスナックのことを最近はメディアで取り上げていただいて、そこから来てくださる方も多かったりします。ということで、私に自己紹介をやらせると、たぶん3日ぐらいやっているので、このへんで切り上げて話を進めていきたいと思います。
木下:今日のテーマ「らしいキャリアって何よ?」という。これはたぶん「自分らしい」というのが付くと思うので、勝手に私がかっこで「自分」と付けたんですけれども。私はこんなことを思っています。
自分自身というのはこの世に1人しかいない。みなさん、自分の人生を生きていますよね。私も木下紫乃の人生を生きているので、それ自体が自分らしさ。もうこれでオッケー。以上。はい、今日は終わります。
というふうに言いたいんですけど、そういうわけにもいかないので(笑)。本当にそう言い切りたくて、私は本音でそう思っているんですけども。
でも今は「らしさ」とか「自分らしさ」とか、そういう言葉ってどうしてもみなさん追っかけたくなる言葉だし、私もそういうことを考えたりするんですが、ちょっとその前にね、「そもそもキャリアって何ですか?」という話を。
これはもしかしたら知っている人はいるかもしれないんですけども、キャリアの語源は、「馬車が通った道」だそうです。これはWikiとかから引っ張ってきています。今は馬車は走ってないですけど。
要は轍(わだち)とか、そういう英語の語源から「キャリア」という言葉が来ているらしいんですけれども、ここに書いているように「歩んできた人生」そのものなんです。
どうしても私たちは「キャリア」というと、仕事のことだけみたいに思ってしまう。いろんな取り方があるので、それも不正解というわけじゃないし、そういう取り方が一般的かもしれないんですが、本来の意味から言うと、いわゆる人生全部、今まで歩んできた道全部ということを本当は「キャリア」というそうなんです。
木下:ということは、人生に良いも悪いもないじゃないですか。たまに他人と比べる人もいますけれども、私はそんなものは比べようがないと思っているんですよ。本当にその人その人のユニークなものだから。だからキャリアには良いも悪いもないと思うんです。
ただひとつあるとしたら、やはり自分が今歩んでいる道に納得できているかできてないか。ここがポイントかなと思ったりしているんですね。
私なんてまさにそうなんですけど、流されて生きていたとしても、納得感があるならそれもいいじゃん。逆に言えば、「キャリアデザインが大事」とか、ここに登壇されている偉い先生のみなさんはおっしゃるかもしれません。石山(恒貴)先生とかタナケン先生とかね(笑)。
私としては、そんながちがちにデザインしなくても、納得感がありゃいいんじゃないかと。緩くて雑なんですけれども、そんなふうに思っているんです。
ただね、やはり世の中は今こんなことがいっぱい起きていますよね。要は一言で言うと、変化がすごく激しいし、そのスピードは上がっている。変化って別に悪いことばっかりじゃなくて、いいこともいっぱいあると思うんです。
木下:例えば副業とか起業とか、働き方が多様化している。こんなの、私が社会人になった時はぜんぜんなかったですよ。みんな1つの会社に入って働き続けるのが普通だったので、そういう意味では選択肢はすごく増えていると思うんですよね。
そのスピード感も変わって、今回もコロナがあってドカンと変わりましたよね。オンラインでミーティングをやるというのも、仕組みとしてはあったけれども、それを普通にするようになったというのは、私はある種のコロナのおかげかなと思ったりしていてね。そういう意味では、変化はどんどん起きているというのが、私たちの周りを取り巻く状況ですよね。
そしてそんな中、それこそ今回登壇されている大野(誠一)さんがタイトルにもされていますけれども、「人生100年時代」と言われて始めた。今、120年とか言っている人もいて「おいおい、長すぎるやろ」という感じなんですけども。働く時間、生き続ける時間は確実に延びていると。
今までは60〜65歳ぐらいで仕事を終えたら、その後は余生で年金暮らしをするみたいな時代だったんですけど、それどころの騒ぎじゃない。今は本当に会社にいながらにして次の準備をして、また次の準備をして、まだまだ続くよということで。
私たちは80歳ぐらいまでは何かのかたちで働いていくということも言われているそうですよね。「本当に勘弁してくれ」という感じなんですけれども。今と同じ働き方は無理だと思うんですが、ここはタナケン先生のお話がおもしろくて、チャレンジしていかなきゃいけないと。
そういう「変化していく社会」。しかもすごくスピードアップしていくと。「長くなる人生」、さまざまな選択肢があるということで、やはりモヤりますよね。
しのママもモヤっているんですよ。私だって「自分の人生はもう最高」と思っているわけじゃない。「ここで偉そうに話している私は納得感を持って生きてきたのか?」という感じなんです。
木下:ちょっとここでありがちな、自分のライフチャートを持ってきました。
細かい字は読まなくていいです。私も字がちっちゃいので読めないですけど(笑)。いろいろありました。大きいところはマルをしているんですけれども。はっきり言って、本当にしっちゃかめっちゃかで。
実は私はキャリアデザインを、自分で今まであんまりしたこともなくて、エージェントさんを使って転職したこともほとんどないんです。本当に「仕事がない。困った。どうしよう。ちょっと前に付き合っていた人たちに連絡して、何か仕事がないかちょっと聞く」みたいなのでやってきちゃった人で。
エージェントさんに初めて相談したのは、本当に一番最後の会社に入る時だけだったんですね。それがたまたまおもしろい仕事だったということで、ラッキーというかたちではあったんですけれども。本当にそういう意味では流されて、目の前にあることだけやってきたという人生が本音のところなんです。
私は今、日経ARIAという40代~50代の女性の人向けのメディアで、不定期で人生相談というかキャリア相談の連載を持っているんですけど、そのARIAさんが私の語録集ということで、スタンプを作ってくださったんです。みなさん無料でダウンロードできるのでよかったら。
その中にもあるんですが「どこに出しても恥ずかしい人生!」というのをよく自己紹介で使います。今の若い方から見ると「大丈夫?」というような人生だったんですね。ただ、今思っているのは「今となってはすべてここに至る道だったのさ」ということで、人生正当化をしているんです。これ、実は冗談じゃなくて、わりと本音で思っていて。
今までの人生デコボコあって、デコはいいんだけどボコもすごくたくさんあったんです。でもそのボコも、今から考えたらもうちょっとボコの幅を軽くはできたかもしれないけれども、そのボコを経験しているからこそ、今の自分がいるんだなという。
木下:過去は変えられないけど、過去の解釈は変えられるかなということで、それがすべて今の自分に至る道じゃないかなと考えています。それがある種の私らしさというか、たぶん来世でもう一回同じ人生をやっても、同じぐらいボコ数は多いんじゃないかと思ったりしているんです。やらかしちゃって、また立ち直って、またやらかしちゃうというね。
でもそれはたぶん、新しいものを見たらやりたくなっちゃうという、この私の性質がそれをそこに誘導しちゃっているので、あんまり変えられないかなと思っていて。
それを全体で見た時に、「私らしさ」じゃないかなと、今55歳になってから思っている。それが今の私の納得感ではあります。
でもね、みなさんに私みたいに生きろとかはぜんぜん思ってなくて。そういう私からのメッセージとして、それっぽいものを残したいなと思っています。
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