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「働く」のすべてをオープンに Z世代の採用と定着とは? 〜1470万件のクチコミでわかった 優良企業の採用と組織開発〜(全5記事)

今どき「残業時間少・有給消化率高」を訴求しても「ふーん」になる 会社を伸ばす、優秀な若手人材を集めるための採用戦略

フロンティア株式会社が提供するビジネスマッチングエージェント「Ready Crew」のイベントシリーズ「The Mission」に、『1300万件のクチコミでわかった超優良企業』の著者で、日本最大の社員クチコミ情報サービス「OpenWork」を提供するオープンワーク株式会社の代表・大澤陽樹氏が登壇。「Z世代の採用と定着」をテーマに、「ゆるい職場」がZ世代には響かない理由や、就活生が「OpenWork」で見ている項目について語りました。

「ゆるい職場」はZ世代には響かない

大澤陽樹氏(以下、大澤):続いて、「Z世代に響く、採用説明会の内容について」。先にデータをお見せして、そこから議論できればと思います。今日私がこの「Z世代に響く、採用説明会の内容について」で一番残したいテーマがあるとしたら、「ゆるい職場」というキーワード。

これは私ではなくて、リクルートワークス研究所の主任研究員の古屋(星斗)さんという方が提唱している概念で、私はすごくこれに共感しています。Z世代に響くのは「ゆるい職場」ではない。「ゆるい職場」は響かない組織です。

意外ですよね。みなさんのZ世代のイメージって、「楽したい」「タイパ」「コスパ」とか。逆に「猛烈」や「熱血」「体育会系」とかは嫌いだと思うんですけど。そのこととゆるすぎる職場は別物という話をしたいと思います。

Z世代に響く採用の説明会はどんな内容がいいかみたいな話をした時に、おもしろいデータがあります。たまにTikTokとかインスタで、「すごくいい会社です」「残業ありません」「上司と社長とメンバーの仲がすごくいい」「メンバーが社長をイジっています」という動画が流れているのを見ます。

私もイジられるので、イジられる社長がいるっていいことだと思うんですけど、私は、若者はぜんぜんそれを求めていないと思います。特に本当に取りたい優秀な層は、そんなの求めていないですよ。これが私が一番言いたいことです。

「残業時間少・有給消化率高」を訴求しても「ふーん」になるワケ

大澤:これ(スライドの表)は、残業時間削減や有給消化率の向上が、本当に20代の人たちに刺さっているのかを調べたものです。

年が最近に近づけば近づくほど、残業時間が減ってもそんなに満足度につながらない。有給消化率がたくさん取れても、そんなに満足度につながらないことも最近わかってきています。

これは働き方改革で当たり前になっているからです。そこを訴求されても「ふーん」という感じだからです。再三同じ話になりますが、20代の成長環境と社員の士気のほうが、最近は会社の満足度につながりやすくなってきているんです。

なので、残業もない。有給もたくさん取れる。でも成長できない。優秀な同僚もいない。「ゆるい職場」は一番魅力的ではないです。一刻も早く出たい。抜けたい。なぜなら自分の将来が台無しになるから。

成長できなくて優秀な同僚もいなくて、でも毎日定時で帰れて、有給がたくさん取れる。楽だけど、私は本当に老後に2,000万円貯められるのかな。転職できるのかなという不安に駆られて辞めていく人がすごく多い。

でも間違えているんです。TikTokとかで「最高の職場です」みたいな動画を流している。どういう人を取りたいかによりますけど、会社を伸ばしてくれるような、エネルギーのある人材を採用したいとしたら、私はあのコンテンツは間違えていると思います。絶対やってはいけない。ミスマッチになると思いますし、ゆるい職場がどんどん加速する。

若い世代を採用して、その人たちをこれから中核にしていきたい。会社の利益や価値向上に向けて活躍させていきたい方であれば……もちろんいい働き方ができるのは押し出したほうがいいと思いますけど、それ以上に、ゆるい職場ではないこと。

滑りそうで怖いと思うことが多いと思うんですけど、成長もできるしすごく優秀な仲間が多くいることを会社の説明会でしっかりと伝えていただくほうが、優秀な人はこっちに来ると私は思います。ゆるい職場アピールは絶対しないほうが私はいいと思います。さしみさん、どうですかこのあたり。

藤澤:「20代、これ好きでしょ」みたいな、もう「舐めている」みたいなことが起こりかねないと思います。たぶん(TikTokの)再生回数が上がって、採用説明会の参加者は増えるけど、結局上辺で、ちょっと上っ面の声を出しながら進行するみたいな。めちゃくちゃ口悪いな、私。大丈夫かな(笑)。

そうなってくると、社会としても企業としても、いい目にあわないと思うので。ゆるい職場アピールをしないという腹積もりでやる方がやはりいいし、伸びるんだなと思いましたけどね。どうでしょう。

大澤:そう思います。

就活生が「OpenWork」で見ている項目

大澤:実は就活生の2人に1人が「OpenWork」を使ってくれていて、2023年卒の学生のうち、28万人が「OpenWork」の会員だったんです。

藤澤:そうですか。

大澤:大学生の就活生は一学年で50万人いると言われているので、2人に1人を超えているんですよね。その学生たちがどの項目をめっちゃ見ているかを調べたことがあるんです。

藤澤:すごい。

大澤:1位は残念ながら、当たり前ですけど「年収」でした。みんな年収大好き。他の項目に比べて3倍ぐらい見られています。2位は、こんな話をしておきながらですけど、「ワークライフバランス」です。

藤澤:ええ! そうなんですか?

大澤:ゆるい職場が嫌だと思っているわけではなくて、働きやすい会社であってほしいとか、自分の自由な時間が持てるようにしておきたいのは、前提にはあると思います。

ただ、そのあとが「会社の強み弱み」とか、「会社の組織風土」とか、そのあたりを見ている子がすごく多い。特に就活中、いろんな会社を受けに行っている時は、こっちがワークライフバランスの視聴率を超えることもあったりします。

ゆるいと言うか働きやすい会社、自分でコントロールできる会社で働きたい気持ちはありつつも、成長できないと今後が不安だなとか、彼女彼氏と一緒に楽しく生活できないな、とはみなさん思っている。

藤澤:なるほど。

大澤:前提として働きやすさは維持しつつ、でも成長できる環境があることを、説明会では入れていただいたほうがいいと思います。

藤澤:1個だけ思ったのが、陽樹さんは嘘をついたり、上辺だけでやることをすごく嫌われるのかなと思いました。それが「OpenWork」の根幹。全部オープンにして、本当に大事なことをちゃんと届けようと理念を持ってやられているんだなと、すごく今感じましたね。

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