2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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赤池実咲氏(以下、赤池):みなさま、大変お待たせいたしました。肉乃小路ニクヨさんをお招きしまして、藤野との対談を行ってまいります。
「人生に『メインロード』は存在しない」と言い切っておりますが、こういったテーマでお送りしてまいりたいと思います。こちらのセッションの進行は私、赤池が務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
まずはニクヨさん、会場のみなさまとYouTubeを視聴されている方々に、簡単に自己紹介いただければと思います。よろしくお願いします。
肉乃小路ニクヨ氏(以下、肉乃小路):はじめましての方もたくさんいらっしゃいますが、肉乃小路ニクヨと申します。一応、自称では「ニューレディ」という肩書きを謳っています。
ニューレディというのは文字どおり「新しい女性」。「女性?」って感じなんですが、ニュータイプのレディなのかなとご理解いただければと思います。
私がこういう姿になっているきっかけとして、一番最初はドラァグクイーンというジャンルの女装として出発をしました。始めたのは1996年です。当時は慶応義塾大学の総合政策学部で……って、学部まで言う必要なかったんですが、総合政策学部に通っておりました。
その時に(女装を)始めて、一応、女装業界ではコンテストのチャンピオンになったりしてがんばったんですが、ドラァグクイーンの「クイーン」の高圧的さというか、上からの圧の強い感じが自分にはちょっと合わないかなと、だんだん思ってきました。
「すごく参考にしたい」「この生き方を取り入れたいな」と思うのは、レディというような種族の人たちでした。だったら、そういった素敵なレディに少しでも近づけるように、レディ(と名乗るようになりました)。
だけど、ただのレディだといろんな方に納得していただけないのかなと思って、「ニューレディ」と名乗っています。
肉乃小路:職務経歴としては、証券会社、銀行、保険会社などを渡り歩いてきました。主に一般のお客さまに投資商品などを販売する仕事であったり、それをサポートする仕事をしてきました。
なので、一応お金に詳しい女装ということで、最近ではみなさんに取り上げていただいております。
それ以外にも諸々、社会人経験なども経ていますので、いろいろな相談ごとをやっております。あとは、非常にくだらないものばかり出してるんですが、YouTuberとしてもやっておりますので、もしよろしかったらご覧いただければと思います。以上です。
赤池:ありがとうございます。先ほども教えていただきましたけど、銀行、証券、保険会社での業務経験があるということです。お金に関する番組等もよくご覧になるということで、藤野やレオスのことは知っていただいていたと。
肉乃小路:存じ上げておりますよ。
赤池:実際に会うのはこれが初めてでしょうか。
肉乃小路:画面越しでは、もう何度もいろいろとお世話になってます。
赤池:すごい、お世話になっていたとは(笑)。
肉乃小路:はい。何のお世話でしょうか(笑)? 冗談ですよ。
赤池:実際に会ってみて、印象はいかがですか?
肉乃小路:すごくソフトな感じで、今日も白のパンツが爽やかで、逗子とかマリーナにいるような気分に私もなりましたよ。
赤池:藤野さんはニクヨさんに会ってみていかがですか?
藤野英人氏(以下、藤野):僕は今日、女装ってどうやったらいいのかな? ということをちょっぴり教えてもらおうと思って。ニクヨさんまでいけないと思うんですが、軽女装ぐらいはしてみたいなというのはありましてね。
肉乃小路:でも、どうでしょうね。体型的にもお着物で和装の女装が似合うような気がしてます。
藤野:なるほど。やってみます。
(一同笑)
藤野:私は意識して、最近は平日もなるべくこういう格好をしてるんです。コロナ前はスーツを着て、ワイシャツでネクタイをしてたんですけど、コロナをきっかけに服装も変えようと思いました。
あと、ある意味で見るとスーツやネクタイっていうのは、権威や力というものをよく表してる感じがすごくしたんですよ。
藤野:アンケートをいろいろとってみると、スーツとネクタイの人がお金の話をすると「なにか騙される感じがする」と。要は警戒するんですよね。
でも、カジュアルな服装の人がお金の話をしたら「なんか信用できる」「聞いてみたいと思う」というのが(意見として)あったので、そうなのかと思って。
どうしても金融機関の人は、「ちゃんとした格好をしてお客さんの前に出るのが失礼のないことだ」と思っています。これはぜんぜん間違いじゃないし、他の経営者がそういう格好をすることを否定するわけじゃないんだけれども、実はそうでない面もあって。
僕は体も大きいし、「カリスマファンドマネージャー」と言われていて、お金のことを扱ってる人だというと警戒したり、怖いっていう面もあって。かつ会社の社長で、最近上場もしたとなると、どうしても「話しにくい」「怖い」というメッセージが出てきちゃうことがあって。
なので、7、8年前から丸眼鏡なんです。丸い眼鏡じゃなくて、いわゆるスクエアの眼鏡とかだとすごくシャープに見えるんだけど、「怖い」というメッセージになってきます。
なるべく話しかけやすく、それから親しみやすくという面で見れば、どういうふうにしたらいいんだろう? というところで、だんだん服装がこっち側(今のような格好)になってきたんですね。
僕の勝手な想像なんですけど、スーツとネクタイの人よりも、おそらくニクヨさんにお金の話をされたほうがむしろ心に届きやすいんだと思うんです。
肉乃小路:よく言われます。
(会場笑)
藤野:ですよね。
赤池:ニクヨさんは、「お仕事以外の時は女装をされない」とうかがったことがあるんですけれども。
肉乃小路:そうですね。「職業女装」と言うとひどいですけど、仕事の時だけ女装をしています。なんでかというと、本来私はゲイの男性なんです。LGBTQの「G」ですね。
なんですが、おじさんの時の世間の扱いと、こういう姿になってる時の世間の扱いがちょっと異なるんですね。その違いを感じながら自分がいろいろなものを見ていきたいと思うと、おじさんの時も大事にしたいし、女装の時も大事にしたい。
だから実は、私はネイルとかはぜんぜんやってないんです。おじさんになった時にネイルがあると、ちょっとおじさんとしての違和感が出てしまうので(笑)。だから、していないんですね。
おじさんの時間も大事にして、女装の時も大事にして、2つの自分を楽しんで複眼的に世の中を見ていきたいなと思っているから、そういうふうにしてますね。
藤野:すごく共感するのは、実はみなさんが見ているこの外見って“着ぐるみ”なんですよ。背中にチャックがあって、ビーって開けると中に細いイケメンが入ってるんですよ。本当は僕はイケメンの細マッチョなんですよ。
肉乃小路:そうなんですか!
藤野:そうそう。強く主張するんですけど、イケメンの細マッチョなんですよ。みなさんが見ているのは僕の職業上の姿なんです。
だから、お風呂に入る時にはいつもチャックをヒューッと開けて(ハンガーに)かけるわけですよね。イケメンの細マッチたる私がそこにいて、「君、ご苦労さま」って言うみたいな。
(一同笑)
藤野:もちろんこれは本当じゃないんですけど、視点の確保なんですよね。「僕はこういう着ぐるみを着ている。中にイケメンの細マッチョがいる」というふうにして、僕へのすべての賞賛もすべての非難も、ぜんぶ着ぐるみが言われていると思うんです。
肉乃小路:おもしろい。
肉乃小路:でも、私も自分が着ぐるみをやってる感はちょっとありますね。着ぐるみっていうか、もうちょっとわかりやすく“ゆるキャラ”みたいな感じで。
藤野:僕もそんな感じかな(笑)。
赤池:今日はゆるキャラ同士(笑)。
藤野:そうですね、職業的な姿でのお話です(笑)。
赤池:お二人とも別の顔を持って、視点の切り替えをするとおっしゃってましたが、1個の視点しかない場合には、なかなか視点を切り替えることができないと思うんです。
例えば、「いくつになったら結婚をして、車を買って」とか、よく金融でライフプランとしてあると思います。いわゆる日本のメインストリートというか、メインロードと呼ばれるものから外れてしまったことに、なんとなく違和感や罪悪感を抱いてしまう人が多いかと思います。それについて、ニクヨさんはどう思いますか?
肉乃小路:私はもう、保険会社ではそれをとうとうと語り説得していて。「今、入っときなさい」って販売支援をしてきたことがあったんでですね(笑)。完全に否定するのは業界の人に後足で砂をかけるようでちょっと嫌なんですが、私自身はけっこう「そういうのどうでもいい」と思ってやってきて。
だって、人それぞれタイミングってぜんぜん違うじゃないですか。特性もぜんぜん違うんだから、すべての人に同じようなライフプランが当てはまるわけないとけっこう最初から思っていました。
だけど人には売りたいから、いろいろ語り説得して(笑)。そうやってやってきましたけど、個人的にはどうでもいいって思ってました。
赤池:ニクヨさんは、コンテンツとして人生の相談とかをされていると思うんですが、そういう方の中にはそうやって悩まれてる方も多いんですか?
肉乃小路:そうですね。悩まれてる方も多いんですけど、大事なのは自分がどうしたいか。「自分は何がしたいの?」って思います。
他の人からどう思われるのかでなく、あなたはどう考える? あなたが幸せになるにはどうする? どうしたほうがいい? って、しっかりと問いかけることが必要だと思ってるんですね。
やはり、人の声を聞いたり世間の流れに乗ってしまうほうが、ある意味ラク。思考停止にはなるんです。それに対して「自分で決める」というのは、自分に対する思考というか、自問自答を繰り返さないと決められないので、それもそれでつらいんです。
だけどせっかく生まれてきたんだから、自問自答して、思考して、考え続けて、思考停止に陥らないで人生を生きたほうがいいんじゃないの? というのが私の考えです。
赤池:藤野さんはどう思いますか?
藤野:そうなんですよ。私もライフプランみたいなものがすごく大嫌いで。本当に嫌いなんですよ。
というのは、仕事柄いろんな人と会うし、いろんな悩みを聞いたりすることもありますし、あれが普通って思われてるけど、逆にライフプランどおりの人を見たことがないんです。
藤野:例えば、有名中高大と出て、そこそこの会社に就職して、24歳か25歳ぐらいで良い人に会って、26歳か27歳で結婚する。
29歳で第1子、31歳か32歳ぐらいで第2子が生まれて、中学、高校と子どもたちを学校に入れて、いつマイホームを買い、今度は子どもたちがいつ大学に行く……みたいな感じのライフプランがあるわけですね。
でも、そのプランどおりの人ってほぼないんです。ほぼずれてたりするし、19歳で子どもができて結婚して、その時の彼と別れて、20歳でシングルマザーになって、それから働いて大学行き直してとか、いろいろなんですよ。
ずっと仕事一途で、42歳ぐらいで突然に良い人と巡り合って結婚したとか、45歳までに3回ぐらい離婚・結婚を繰り返すというのもあるし、あらゆるタイプがいます。
「正しい」とか「普通」がない中で、僕らが金融のサービスとしてどういうものを提案していくのかというと、標準的なモデルを押しつけるのは非常に良くないと思っているし、実際的でないなと思うんですね。
それぞれの人のそれぞれの多様な人生に、僕らが僕らの商品をどのように使っていただけるのか。
もしくは、僕らの商品だけでできるわけじゃないから、いろんなものを組み合わせて(よりよいプランが)できるかを一緒に考えることのほうが大事だろうと思います。それを前提とすると、標準的なモデルの人生なんてない。
藤野:あと、「普通の人生」なんて存在しない。普通の人はいない。みなさんと個別に話をすると、たぶん「普通の人」はいないと思います。みなさんぜんぶが特殊だと思うんです。
両親ともに仲が良くて、離婚もせずにずっと今も仲良く健康でいる。1回の大病もせずに、それから自分の学校も(受験で)1回も落ちずに行って、きょうだい仲良く、親戚仲良くっていう人はいないですね。
母の問題、父の問題、それから従兄弟、叔父や叔母、もしくは自分の中の体の病気、先天性のなにかがあるとか、親子の異常な関係とか、生活する中でのいろんな人間関係のトラブルとか、必ず1つ以上あるんですよ。
それがぜんぶない、サザエさんみたいな家ってないんです。でも、サザエさんみたいな家が普通であると思っちゃっている“普通教”の人が日本人はすごく多くて。自分の「普通じゃないところ」を嫌になって、責め立てることがすごく多いです。
実は人生というのは、まず「普通」がない。だから、まずは「普通」に対してコンプレックスを持つことはないと思っていただけることが、すごく大事なことかなと思うんです。
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