2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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定居美徳氏:「会社や取引先に数字を意識して話すには、双方に慣れが必要かなと考えますが、相手方にもそれを求めて嫌がられることはありませんか?」というご質問をいただきました。ありがとうございます。
確かにそうだと思います。特に「数字が苦手な方」に数字で話すと……ちょっと考えてみてください。例えば、あんまり数字が好きじゃない方は、経理や財務といったすごく数字に細かい方に、なんか話しづらいことってありませんか?
実際に(自分が勤めていた)前の会社がどうだったかと言うと、僕のファイナンス(財務・経理)部の隣の机にいつもお菓子を置いていたんですけど、みなさんが仕事に疲れたらうちに来て、「あぁ、疲れた」という感じでいろいろ悩み相談をされていたんです。
経理・財務のデスクにお菓子があっても、話しづらかったら疲れている時に行きませんよね? それは置いておいて、まず一番大事なところは、先ほどお話ししたように「まちがえてもいい」という風潮をなんとなく示すこと。
逆に言うと、自分を数字で固めようとか、数字で相手のことを防御しようとかしないこと。つまり、相手が楽をする、相手がわかりやすくなる、相手がより楽になるとか、そういうところを考えて、シンプルな数字を使うことが簡単だと思います。
先ほどの話じゃないですが、「ちょっと時間ありますか?」の代わりに、「5分ありますか?」という感じで、さりげなく使うのが最初のステップかなと思います。そういうことをやっていく中で、だんだんプラスの部分が出てきます。
3つ言うと、「まちがってもいい」「とにかく自分と相手に正確さを求めない」「できるだけシンプルにすること」。細かく「935万4,824円」とは言わないで、「1,000万円ぐらいかな?」という感じでいいと思うんです。なので、ざっくり言ってしまう。そんな感じでいると、だんだん数字で話すことに慣れてくるかなと思います。
もう1つ、ご質問ありがとうございます。「『未来の数字は小さな一歩』も共感できる反面、とてつもない大きな数字を掲げると、思いもつかないアイデアが生まれてきたことがある」。もう、おっしゃる通りですね。
未来の数字を挙げると、いいところが2つあります。本(『数字で示せ』)の中の「目標設定」のところで書かせていただいているんですが、まず「小さな目標設定」をやると、最初の一歩が踏み出せる。
もう1つが、まさにGoogleがやったところなんですけど、自分の目標を10倍にしてみる。そうすると、ご質問のように思いもつかないアイデアが生まれる。
「年収1,500万円」じゃなくて「(年収)1億5,000万円」としたら、自分だけじゃできないし、自分では答えが出てこないじゃないですか。
僕も最近言われたんですけど、(10倍にすると)できなくても自分を卑下することもなくなるし、「自分だけじゃできない」と、ある意味割り切ってしまえる。
いろんな方からアドバイスをもらえたり、まさに今日ご質問いただいたような、思いもつかない発想が生まれてくるんです。なんでかと言うと、今の積み上げ、今の延長ではできないので。
ごめんなさい。話があちらこちらに行っちゃいましたが、未来の数字を挙げる時は大きな数字。長期の理想の状態は、できるだけ大きな数字を挙げてみる。
もう1つ、一番手前の部分では、自分が最初の一歩を踏み出せるよう簡単な・現実的な「これならできる」というもの。この2つの組み合わせが、すごく大事だと思います。
(視聴者コメントで)「心が折れそうになることはなかったんですか? どのようにして乗り越えたんですか?」。心が鈍いのかな? いやいや(笑)、そんなことはないと思います。
確かに、心が折れそうになるというのは本当にその通りだと思います。すみません、数字の話じゃなくなって、根性論になってしまったら申し訳ないです。
どのようにして乗り越えたかと言うと、例えば今の数字の話もそうなんだけど、「相手と通じよう」として話をしていると、99人が理解してくれなくても1人ぐらい(理解してくれる人が)いるんですよ。「変わった人」と言ったら、これを見ていただいている方にごめんなさいなんですが。
なので、その1人の方に共感してもらえる。あるいは「この人のためだったら、自分はいろんな苦難があっても乗り越えられる」という人を見つけたら、その人を1つの拠りどころにするのはすごく大きいと思います。
あと、小さな一歩を踏み出したら、後ろを振り返って前の状態と比べて「こんなに行けたんだ」と、できたところをフォーカスして見ていましたね。
なので、心が折れたらあとは倒れます(笑)。僕も本当に突き進むんですけど、突き進んでいい加減ダメになったら、いったんちょっと休暇というか、倒れて寝て治すみたいな。そんなところがあったりします。
(視聴者コメントで)「15の仕事を同時並行されているということですが、頭の中はどんな感じですか? 混乱しませんか?」。混乱しますね(笑)。
自分がやりたいことというか、「おもしろそう」と思ったことしかやらないので、ある意味「ああいう遊びも、こういう遊びもしたら」と、15の遊びをどんどんやっていったら、その時の自分にとって一番重要なことをやっている、みたいなところがあります。
当然、急ぎの仕事が出てきた時には混乱している時もありますけれども(笑)。その時は、一緒に仕事をしている方が「大丈夫?」と言ってくれたりしますね。
もう1つ、数字で話すことによって、ある程度自分の中で「これぐらいの時間がかかるな」「これはいつまでにやればいいかな」「これは100パーやらずに、20パーセントぐらいやって相手に投げればいいな」という順序付けがしやすくなります。なので、あまり意識しなくても、だんだん整理がついているのかなと感じたりします。
いくつか事前に質問をいただいています。「見積もりを取っても、実際の数字や金額が変更になったり、数字でプレゼンするのが苦手です。金額面で良い印象を持たせる方法があれば教えてください」。
まずは金額面。細かいところは本を見ていただければと思うんですけど、ご自分が「自分の金額はいくらです」ということを見せる上で大切なのは、「定価をはっきり示すこと」です。
いわゆる“後出しじゃんけん”はあまり望ましくないというか、相手に良い印象を持たれません。なので、相手から「高いな」と思われても、まずは自分から「定価はこれです」と出してしまう。これはWebサイトでもいいですし、事前に何らかのかたちで見えるようにしておく。
相手のイメージとのギャップがあって、当然金額の差は出てくるんですが、「見積もりをして」と言われた時に初めて相手に出すよりも、定価があったら、相手の中での最初の印象というか、あらかじめ「これぐらいかな?」という感覚があるので、埋めるべきギャップが先に生まれているということですね。
なので、後出しじゃんけんをしない。相手が「これぐらいかな?」と思っている金額に対して、「自分の定価はこれぐらいです」と、先に提示しておく。このギャップを最初にできるだけ早く見せておいて、そこからだんだん近づいていくことは、交渉でできるわけですよね。
海外でお土産屋さんへ行った時に、「これは100ドル」と言われて、「いや、30ドルなら買うよ」「いや、80ドル」「いや、50ドル」「65ドル」「65ドル」みたいなやりとりがありますよね。
「相手と違う」という前提を、まずは自分の中で認識しておくと、「相手にどう思われるかな?」に対する抵抗がなくなります。
繰り返しになりますが、定価を初めから見せておくことがポイントの1つですね。あと追加するなら、できるだけシンプルな数字のほうが相手は覚えやすいと思います。
もう1つ質問をいただいております。「数字データをグラフや図示するのが苦手で時間がかかります。打開するコツを教えていただきたいです」。これはどちらかと言うと「プレゼン」かなと思います。
今日の僕のプレゼンの中に答えが入っていたらうれしいんですが、まず大前提は、1ページに1メッセージ、1ページに1つの数字。
僕も(スライドの中に)3つ書いたりしましたが、違うストーリーのものはできるだけ別出しにしたほうが、相手を混乱させないし、自分も混乱しないです。なのでそれを意識されると、もしかしたら自分で話をする時にやりやすいと思います。
プレゼンする時には、最初に大きい数字、あるいはインパクトのある数字を出す。実はそれによって、相手の中に「一番大事なポイントが何か」を埋め込むことができる。僕が心がけているところです。
あと、「数字に当てはめるのが苦手な人への、やりやすいアドバイス」です。なんでもかんでも数字にするんじゃなくて、「いつ」「いくら」「何パーセント」の3つに絞る。
それをできるだけ、相手にわかりやすい・伝わりやすいようにシンプルに伝える。だから「あまり細かい数字にしなくても、ざっくり覚えやすい数字を話していいんだよ」ということをアドバイスいただければと思います。
ご質問をくださった方は、ご自分は数字で話していらっしゃると思うんですが、相手に数字で話すようにアドバイスするなら、「シンプルにする」という部分と、「いつ」「いくら」「何パーセント」の部分がポイントですね。
さらに3つ目が、「まちがえてもいいんですよ」という認識を持って仕事をやっていくと、だんだん慣れて上手になっていきますので、もしよかったらやってみてください。
(視聴者コメントで)「『数字に弱い』という思い込みを払拭するにはどうしたらいいですか?」。すごくいい質問をありがとうございます。「まさにそのための本です」と言っちゃいますが、「数字に弱い」という思い込みは、先ほどの「誤解」とも通じると思います。
日本語で考えてもらえばいいと思うんですが、海外の方は別として、日本語を話す時に「私、日本語が苦手なので日本語をしゃべりません」という方はあまりいないと思うんですね。
なので、まちがえてもいいです。それがたぶん、一番最初のところだと思います。「まちがえてもいい」と自分の中で割り切る。でも、そんな簡単に割り切れませんと。割り切れないから、そのために数字で話すための慣れが必要になってくるんです。
その時におすすめなのが「パーセント」です。パーセントってまちがえてもいいんですよ。例えば、「自分の中で成功率は60パーセントです」と言うじゃないですか。
上司に「この案件、取引の交渉はうまくいけそうか?」「60パーセントOKです」と言った時に、実際にはうまくいかなかったとして、「いや、75パーセントだったじゃん」という指摘はしようがないですよね。あくまで「自分の中でこれぐらい」という感覚を相手と合わせるための数字なんですね。
これは未来の数字の話ですが、必ずしもぴったり合う必要がないというか、ぴったり正しい答えがなかなかないのがパーセントです。なので、自分の中での練習においては、「何パーセントぐらいいけそうです」というのをなんとなく使ってみるといいかなと思います。
繰り返しになりますが、まちがえてもOKです。そういうことを意識されない方って、「いや、数字がまちがっているじゃん」と言われるかもしれないんですけど、やっているうちに数字で話すことに対するメリットも絶対に出てくると思います。なので、まちがえてもOKです。そして、パーセントを使ってください。
(視聴者コメントで)「クラファンで出版する良さを数字で教えてください」。もしかしたら、僕がクラウドファンディングで出版の時にさせていただいたのをご覧いただいたのでしょうか。これは「100万円」という目標を立てたところが一番のポイントです。
僕が「100万円」と目標を立てたことによって、100万円に達するためのアクション1が「10万円は地域の人たちに相談する」、アクション2が「前の同僚に相談する」という感じで、自分の中で計画を立てられたというのがポイントの1つ。
2つ目は、「100万円を目標にがんばっています」とお伝えすることで、協力も得やすくなること。クラウドファンディングで100万円を目指した時に、リターンを「3,500円です」「これは1万円です」と言っていくと相手の協力も得やすくなる。
結果として、目標の100万円に対して233パーセント、233万円というご支援をいただけたので、233万円にいけたのは、まさにこういう理由だったと思います。
もし次回クラウドファンディングをする機会があれば、そのためのターゲット設定にも役立つかなと思います。数字で答えられていましたでしょうか? ありがとうございます。
そろそろいい時間になってきたかなと思います。長い間、この早口にお付き合いいただきまして、ありがとうございました。
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