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ビジネス書グランプリ2023セミナー:言語化の魔力 言葉にすれば「悩み」は消える(全4記事)

悩みを解消するのに「原因解決」は必要ない 「どうしよう」「もうダメだ」という思い込みから抜け出す方法

「読者が選ぶビジネス書グランプリ2023」にて自己啓発部門賞を受賞した、『言語化の魔力 言葉にすれば「悩み」は消える』著者・樺沢紫苑氏の特別セミナーの模様をお届けします。本記事では、悩みを解消するための方法について解説されました。

悩みの解消に「原因解決」は必要ない

樺沢紫苑氏(以下、樺沢):さて、「言語化の魔力」の最も重要なキーワードが3つあるんですが、そこを1つずつ解説していきますね。本1冊を丸ごと解説するのはこの時間では無理なので、一番重要な概念だけをいくつか紹介していきたいと思います。

1つは「原因は解決しない」。原因解決は必要ないですね。こういう話をすると、「私の悩みを解決できるはずがありません」ということを言います。例えば、上司と人間関係で揉めちゃっている場合において、どうしたら解決できるかというと、上司が転勤するか自分が転勤するか、あるいは自分が仕事を辞めるか。

「毎日顔を合わせている限りは無理だ。でも、上司は最近来たばかりだし、自分も今の部署は短いから、両方とも転勤することなんかあり得ない。そしたら、俺は仕事を辞めるしかないんだ」というふうになるんだけど、「解決」はできなくても「解消」はできるんですね。

でも、だから「どうしようもない」と言って余計に落ち込むんだけれども、この樺沢のメソッドは、原因は変えなくていいです。とりあえずやれることをやっていきましょう、ということなんですね。

例えばどんなことがあるのかというと、「上司との人間関係が悪いです」(と言う人に対して)、「それはそれとして、気分が落ち込んでいるみたいだから、朝散歩したら気持ちよくなるよ」と言っています。

「そんなもんで効くかよ」と思うけど、とりあえずやってみたら「あれ? なんか少しスッキリしたわ。心に余裕が出来たかも」と、マイナス10点がマイナス9点になりますね。

あとは上司との人間関係でいうと、上司に逆らってばかりいないで、例えば上司に気に入られることを言うとか、お世辞を言うとか、そういうこともあると思うし。

あなた自身が仕事でミスしたりするから怒られるので、自分自身が成長してミスをしないようにすることで、上司の機嫌が良くなるかもしれない。上司が変わったり、あなたが仕事を辞めなくても、やれることってたくさんあるはずなんですね。なので、やれることを1つずつやっていきましょう。

そうすると、マイナス10点がマイナス9点になり、マイナス9点がマイナス8点になり、いつの間にかマイナス3点くらいになったら、「なんかけっこう楽だな。仕事、そんなにつらくないな」となるよね。

こういうふうにマイナス10を一気に0にするものを「解決」、マイナス10をマイナス9にちょっとずつ減らしていくのを「悩みの解消」というふうに、本書では呼んでいます。

だから、一気に悩みを解決するのは難しくても、ちょっとずつでいいから減らしていく。楽になっていく「悩みの解消」というのは、「もう絶対死にたい」というぐらいの状態にあっても、どんな状態であってもやれることがあるから、やっていったらいいよねということなんです。

地震の心配とか、いろいろありますね。「原因があって結果がある」というふうにみんな思うんですね。結果というのは、今の(状況における)「つらい、苦しい」「どうしたらいいかわからない」「前に進めない」ということなんですが、(いったんマイナスの気持ちは)置いておいて、やれることをやる。1つずつやっていきましょう。

「コントロールできること」に集中する

樺沢:悩みを解消していくのに、原因を取り除く必要はないです。むしろ、それはそれとして放っといて、やれることをやってください。やれることとは何か、今から言っていきます。

「コントロール感」というキーワードがあります。つまり、さっき言ったように、上司を変えることは現実的にできないですよね。なので、コントロールできないんですよ。自分の親を変えることもできないですよね。親を殺したら大変です。そういうことをしちゃいけません。変えられないんですよ。

じゃあ、何をコントロールできるのといったら、自分の行動、自分の考え方、自分の言葉遣い、自分の気持ちの持ち方は、自分で変えられますよね。

「過去と他人は変えられない」という、エリック・バーンという精神科医が言ったすごく有名な言葉があります。他人は変えられないんですが、自分は自分の意志で変えられるから、自分で何かを変えることによって、全体の状態がちょっとずつ良くなっていくんですね。

なので、コントロールできることに全集中しようということと、やれることをやれる範囲でやっていこう。それが「コントロール感」ですね。

ネガティブなことを言えば言うほど、ネガティブな感情は強まる

樺沢:みなさん、どうしようもないことを考えるんです。「仕事で失敗して怒られた。どうしよう、どうしよう」と言うけど、起こったことはどうしようもないわけです。今、何ができるかということを考えたら、それをリカバリーするためにお詫びの電話を掛けるとか、菓子折りを持って謝りに行くとか、できることがあるでしょ。

「ああ、どうしよう、どうしよう」と言っても、何も事態は良くならないから、やれることをやっていけばいいんですね。コントロール可能なことに集中したらいいです。

言葉というのは、私たちの心理状態をものすごく反映します。「ああ、もうダメだ」「どうしよう、どうしよう」と言うと余計に混乱してきて、余計に気分が落ち込んで、何もできなくなってくるんですね。なので、そういうふうにパニック状態に陥った時には、「無理」「もうダメ」「あーどうしよう」って言っちゃダメなんです。

思ってなくてもいいので、あえてそういう時こそ「いや、なんとかなるはずだ」「なんとかなるさ」「俺はなんとかできる」と、ポジティブな言葉を言うとかね。

あと、樺沢はよく「やれることをやれる範囲でやってきゃいいじゃん。そんな焦ってもしょうがないし」と、自己暗示のように自分で言うことで安心感が出てきます。これが言葉の魔力ですね。ネガティブなことを言えば言うほど、ネガティブな感情が強まります。ポジティブな言葉を多く使うほど、ポジティブな感情が強まります。

「今できること」にフォーカスする

樺沢:あと、悩みを解消するのにもう1つ重要なのは、「今」をチューニングすることです。ほとんどの人は、過去のことを心配して、過去に起こったことを後悔し、これから起きることには「もし何々したらどうしよう」と、不安を感じるんですね。

今この瞬間にフォーカスできたら、みなさんは動画を見ながら「樺沢、なんかおもしろいこと言っているな」と、ただ思っているだけで、それ以外のことはないと思うんですよね。

「会社で怒られた」「明日ちょっと重要な発表があって緊張する」とかあるかもしれないけど、みなさんが今ここに集中して話を聞いていたら、「樺沢がなんか話してるわ」ということしかないはずなんですね。そこには何も不安もないし、そうするとネガティブな感情もなくなってくるので、今できることにフォーカスしてほしいんですね。

『言語化の魔力 言葉にすれば「悩み」は消える』(幻冬舎)

『言語化の魔力 言葉にすれば「悩み」は消える』では、過去を振り切って「今」に切り替えるいろんな言葉を紹介しています。困った時に言葉を発することで、ちょっとでも元気になる。そういうイメージですね。「それはそれとして」「今できることは?」ということを、自分に投げかけてほしいんです。

例えば、仕事で失敗して「さっき怒られた」「相手の取引会社に迷惑をかけてしまった。ああ、どうしよう、どうしよう」と言うんだけど、起こってしまったことはしょうがない。それはそれとして、じゃあ今できることは何ですか?

さっき言ったように、菓子折りを持って謝りに行くこともあるし、失敗をリカバリーするために違うプランを提案したり、新しく納期を変えて「これでお願いします」とか、明日提案しに行くための書類を準備するとか、いろいろあると思うんですが、「あー、どうしよう」と悩んでもなんの意味もないんですね。

だって、あなたが悩んでも状態は少しも改善しないので、「それはそれとして」と過去を1回置いて、今できることを考えてみよう。それをやろう。これしかないと思いますね。

悩みを分析する3つの軸

樺沢:私の好きな言葉が「今を生きる!」です。戦争をしている国とか、餓死しそうな国とかは別ですけど、日本で生きている限り、今この瞬間に苦しい状態の人はそんなにはいないはずなんですね。

今にフォーカスしましょう。過去に大変だった人はいるかもしれないし、これから大変なことや心配なこともあるかもしれないけど、この瞬間を生きる。(今この瞬間に)フォーカスして、もしうまくいっていないのであれば、今できることを1つずつやっていくしかない。

悩みを分析する軸には「コントロール軸」「時間軸」「自分軸」というのがあります。他人は変えられないので、自分が変わるしかないということですね。自分ができることを考えましょう。この3つを使うことで、今の自分はどっちにフォーカスして、どっちに行っているのかをイメージしやすいんですね。

あとは「ポジティブな言葉」。さっきから「ポジティブな言葉を言ってね」と言っていますが、ネガティブな言葉を言うとネガティブな気分になります。例えば、「自分には無理」と言うとネガティブ感情が強まるし、「仕事で失敗して怒られた」と言うとネガティブな記憶を強化してしまいますね。

「自分にはできる!」というふうにポジティブな言葉を言うと、自己効力感、自己肯定感が上がります。「なんとかなるさ」と言うと、楽観性が上がり、緊張が弱まります。

人間って、過剰な緊張をするとパニックになってパフォーマンスが落ちるんですが、適度な緊張状態だと仕事力がアップしますので、「なんとかなるさ」と言ってがんばると、危機の状態でもよりよいパフォーマンスを発揮することができます。

「言語化による悩みの対処法」としては、ネガティブな言葉を減らして、ポジティブな言葉を増やしましょう。困った時に「あー、困った困った」と言わないで、「なんとかなる、なんとかなる。なんとかする方法は何だろう?」というふうに言葉を変えるだけで、パニくらないし、ぜんぜん心持ちが違ってくるんですね。

ほとんどの人は、誰にも相談せずに1人で悩んでいる

樺沢:「視座の転換」というのもいい言葉だと思うんですが、見方を変えると楽になるということなんですね。ほとんどの人は、自分1人の狭い視野で物事を考えているので解決できないんですよ。広く見てみると、意外と解決できることがあると思います。

あと、「他の人に聞く」のが一番いい方法なんだけど、他人の視座を借りる。専門家とか、みなさんの先輩や上司に聞く。あるいは専門家やコンサルタント、その道の分野の人に聞く。

「こうやったらうまくいきましたよ」「今まで、こういうふうにうまくいった例がありますよ」と、ご高齢の実践経験のある人やいろんな経験の多い人に聞いて、自分では知り得なかったことを教えてもらえば簡単なんですね。

本書ですごく強調したいのは、困ったらとにかく誰かに相談したらいいのに、ほとんどの人は誰にも相談しないで1人で困っています。

なぜか不思議なもので、メンタルの患者さんもそうですね。自殺する患者さんの3分の2が、誰にも相談せず、誰にも言わずにいきなり自殺するんですね。誰かに相談していれば、自殺というところまで追い込まれないはずなんですが、なぜかみんな相談しない。

日本人は相談するのが下手です。最近だとChatGPTで人工知能が流行っていますが、そこに書くだけでも、言語化されるからスッキリするはずですね。こういうのを使うのもおもしろいかもしれない。

言語化して「ガス抜き」するだけでも、ストレスは抜けていく

樺沢:今言ったのが「ガス抜き」なんですね。私たちは「つらい」「苦しい」「ああ、どうしよう」と、ストレスを誰にも言わずにグッと我慢していると、どんどん(ストレスが)溜まって、風船が膨らむようにどんどん膨らんでいって、どこかでバーンと爆発します。

爆発するというのは、メンタル疾患になったり、体の病気になったりするということです。そうしないためにはどうしたらいいかというと、風船がワーッと膨らんできた時に、それを抜いていくようにすればいいんですね。どうやったら抜けばいいのかというと「言語化」です。話すだけでスッキリします。

実際にみなさんが何か困ったことがあって、誰かに相談したり、友だちに相談(するわけ)じゃなくても、「こういうことに困っているんだよね」と言うだけで、意外とスッキリしますよね。これが言葉の力です。

「ガス抜き」という言葉を私は作りました。(「相談」と)何が違うかというと、今まで患者さんやいろんな人に「相談しましょう」と言っているんだけど、相談しないんですよ。「相談」と言うと、解決法やアドバイスを求めることのハードルが上がっちゃって、相談しづらいんですね。

患者さんに「なんであなたは相談しなかったんですか?」と聞くと、「相談しても解決しないからです」と、必ず言います。一番最初のところですね。解決できないような原因をお持ちの方は、「相談しても意味ないじゃん」と、最初から相談しないんですね。

相談しなくていいから、ガス抜きしようよ。ガス抜きはただ話すだけです。なので、別に解決する必要はないです。話を聞いたほうも、解決法やアドバイスを言う必要はないです。「ああ、そうなんだ」という共感だけあればいいので、「それは大変だね」と言うだけで(相談した側の)「ガス抜き」ですね。

なので、「相談」がやりづらかったら「ガス抜き」でもいいので、お茶を飲みながら、あるいはお酒でも飲みながらワーッと話すだけで「ガス抜き」になるんです。それで風船は小さくなって、ストレスは抜けていくんですよ。

(ガス抜きをしていたら)風船、爆発しないですよ。メンタル疾患にならないですよ。体も壊さないですよ。だから「ガス抜き」してくださいねということは、この本の中でもけっこう重要なテーマの1つです。みなさんにもやっていただきたい。

「ガス抜き」は相手1人につき1回だけ

樺沢:ただ、「ガス抜き」する時に1つだけ注意してほしいことがあります。例えば、特に女性の方が失恋されて、「いやぁ。昨日、彼氏に振られちゃってさ」とAさんに言って、それが終わったらBさんに「実は昨日彼氏に振られちゃってさ」と電話を掛けて、次の日Cさんに「ちょっとお茶でもしようよ。彼氏に振られちゃってさ」と、同じことを何回も話す。

私の『アウトプット大全』には、「2週間に3回アウトプットすると、記憶にがっちり残りますよ」ということが書いてあるんですね。

英単語を覚えるのもそうでしょ。」2週間に3~4回復習するとしっかり記憶されちゃう。だから、「失恋しました」「昨日、上司に怒られてさ」と何回も言うと、1年経っても2年経っても忘れられない状態になってしまうんです。

つらいことや苦しいことは、あなたが信頼できる人に1人1回だけ全部バーっと話して、スーッとしたらあとはもう言わない。

「もうそれは終わったことだから。以上、終了」というのを「1回法」と言うんですが、そういうふうにガスを抜いていかないと、多くの人は(ネガティブな体験を)何回も話しちゃっているんですよね。「おしゃべりはストレス発散になる」と言って、女子の方とかは女子会で何回も同じ話をするんだけど、間違いなくマイナス効果です。

ストレス爆発の原因は「弱音を吐いてはいけない」という思い込み

樺沢:最後ですね。言葉で話して言葉が返ってくる、言葉によるコミュニケーション。会話、交流、コミュニケーションと言いますが、こういうふうに人と話すと、人間の脳の中でオキシトシンという物質が出ます。オキシトシンというのは、癒し、リラックス、心を落ち着かせる物質です。そして、ストレスを取り除く作用があるんですね。

こういうことが脳科学的にも証明されているので、嫌いな人と話しても(オキシトシンは)出ないんですが、自分の信頼できる人、リラックスして話せる人としっかりと話してガス抜きすることによって、みなさんのストレスの解消をしていきます。

なので、ぜひ友だちや家族とか、信頼できる人とコミュニケーションをしっかりと持っていってほしいなということです。言葉に出してあなたの気持ちを伝えてほしい。

「つらい」とか「苦しい」という弱音を吐いていいんですね。日本人のみなさま方は、つらい時って「弱音を吐いちゃいかん。我慢しなきゃいかん」というふうに思っているかもしれないけど、それだとガスがどんどん溜まってバーンと爆発して、鬱になったり、会社に行けなくなったりするわけです。

お互いさまなので、あなたも何かを相談したり、話したり、相手の話も聞いてあげる。そういうかたちでお互い助け合えるような社会、コミュニティを作っていけると、みんながストレスフリーになって、楽しく幸せに生きていけるんじゃないかなというメッセージを込めまして、「言語化の魔力」、みなさまの悩みの消し方・解消法について、短い時間ですがお伝えさせていただきました。

原因が変えられなかったら、とりあえずできることをやる

中村直太氏(以下、中村):ありがとうございます。みなさんを代表して拍手をしたいと思います。拍手したい方は、チャットに「8」を連打していただいて、ぜひみなさんもこの場にご参加いただければと思います。

樺沢:すごいです、いっぱいね。ありがとうございます。

中村:まずは、貴重なご講演をありがとうございました。(視聴者からコメントで)「いつもYouTube拝見してます。元気もらってます」というチャットを一番最初にしてくださっています。

私もYouTubeをたくさん拝見していたので、「あぁ、本物だ。リアルタイムだ」と思って、すっかりファンの気持ちで聞いてたんですけど(笑)。切り替えて、しっかりやらせていただきたいなと思います。

時間もあるのでコンパクトにいきたいと思います。まず、本を読んで一番大事だと思ったのが、ご講演の中にもありましたけれども「悩みは解決せずに解消せよ」。チャットでも、多くの方がこれに反応されてたと思います。これが目から鱗だったんですね。

あと、悩みと向き合う肝だと思ったんですが、この考え方の転換がすごく難しいなと、おそらくみなさんも思われていることだと思います。その重要性であったり、考え方を変えていくためのポイントを、もう少し教えていただければと思います。

樺沢:原因が変えられなかったら、とりあえず置いといて、できることをやっていくんです。どんなことができるかというのは、この本にすごく詳しく書いてあるんですけど、例えば「体を整える」。悩んでる人って、だいたい睡眠不足に陥ってるんですよ。残業が多くて5時間しか寝てないとかね。

そうすると不安が強まってきて、脳科学的に悪いことしか考えないサイクルに陥ってしまうんですね。だから、まず睡眠をとろう。

例えば、セロトニンが下がってくると鬱になるんですけど、朝に散歩をするとセロトニンという物質が出てくるから、やや前向きに考えられるようになるんですね。そうすると、それだけでマイナス10がマイナス9になるんですよ。

人生は、なかなかうまく解決できない問題のほうが多い

樺沢:あと、さっき言った「ほかの人に相談する」というのもいいんです。例えば、いじめの問題があるんですけど、いじめが直らない、いじめっ子がいじめをやめないとしたら、「もういじめは直らない。どうしようもない。死ぬしかない」というふうになるんです。

だけど、親身になって支えてくれる人が誰か1人でもいると、弱々しかったお子さんが急に元気に学校に行きだしたりするんですね。きちんと話を聞いてあげて、心をサポートするだけで、いじめはなくならなくてもすごく元気に行くようなお子さんも出てくるんですね。だから、やれることっていっぱいあるんですよ。

みんな「原因を解消できないとやっても無理」というふうに思っちゃうんです。さっき言った睡眠や朝散歩もそうなんだけど、とにかくやれそうなちっちゃいことから一つひとつやっていくと、「やらないよりはちょっと気分いいな」「楽だな」(と思えるようになる)。こういうことから始めていくといいかなと思いますね。

とにかくみんなマイナス10を一気にゼロにしようとするので、つまずいちゃうんですね。あと、やはりみなさん目標が高すぎるんですよね。真面目な人ほど目標が高いので。とりあえず、マイナス10をゼロにしなくていいから、マイナス9か8ぐらいにならないのかな? ぐらいの感じで取り組んでいかれると、「なんかいい感じだ」ってなると思いますね。

中村:ありがとうございます。どうしても「問題を解決すること」というふうに問題設定しちゃうんですけど、「悩まなくなること」というふうに問題設定をした瞬間に、今おっしゃっていただいたような「できること」が浮かんでくるっていう感じですね。

樺沢:特にビジネスマンの人ほど、そうなっちゃうかもしれないですね。仕事とか、ふだんやっているものの問題解決をしなきゃいけない、という発想になっているのでね。

人生の問題っていうのは、なかなかうまく解決できない問題のほうが多いから、「少しでも心の負担やストレスが減ればいいや」ぐらいの構えで臨んでると楽になりますね。

中村:大事なポイントをありがとうございます。

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