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評価制度が会社を長期自動成長させる(全3記事)

評価制度づくりで特に注力すべきは「何をどれだけ」の定義 会社を最速で拡大させる、評価制度の設計ポイント

株式会社識学が主催した経営層向けのオンラインイベントに、創業当初から営業部門を率いてきた同社副社長の梶山啓介氏が登壇。「評価制度が会社を長期自動成長させる」と題して、会社には評価制度が必要な理由や、業務評価シートの具体例などを解説しました。

なぜ会社には評価制度が必要なのか

梶山啓介氏(以下、梶山):評価制度でみなさんにお伝えしたいことの1つ目は、評価制度はとにかく設計する上での項目が多いということです。いろんなことを気にするあまり、「そもそもなんで評価制度が必要だったんだっけ」という基本を見失いがちになるんですね。

また、他社さまを悪くいうことではないんですが、評価制度に関するコンサルティングやサービスが今すごく増えていて、本質的なものではなく、テクニカルなところをどんどん増やすサービスもあったりします。なので、今日はみなさんに基本を押さえていただきたいと思います。

前半は「基本はこうですよ」というところを、後半は、その中でも特にここを押さえてほしいという各論をいくつかご紹介します。

最初の基本ですが、みなさんに考えていただきたいのは、「そもそもなんで評価制度が会社に必要なのか」です。

組織・会社に必要ないものって要らないですよね。わざわざ時間をかけて作るこの評価制度って何が目的なのかを、みなさんちょっと考えてもらえますか。

図示すると、こんな感じです。「会社を効率的に成長させるためのツールとして評価制度が必要だ」というのが結論ですね。

評価制度がなかったり不十分な組織は、個人個人がどこを目指せば組織の成長の最大化につながるかというベクトルが合いません。そうするとみなさんの力がいろんなところに分散され、本来の方向に向かっていかない。非常に非効率です。

評価制度が明確だと、「あなたの役割はこれで、これをしてもらうことが会社の成長につながるんだよ」と1本筋が通った状態になります。非常に効率的に、みなさんの投下した労力が成果につながるというのが、評価制度が必要な理由です。

従業員の「成長感」や「やりがい」が一番の理由ではない

梶山:みなさんが考えられた答えの中には、「個人個人に成長感を持たせる」とか、「個人のやりがいを持たせる」というお答えもあると思うんですが、不正解ではありません。正解ではあるんですが、それが一番ではないのです。

ここも注意していただきたいんですが、すべての活動は会社全体を効率的に成長させるために行われていて、その中に個人の成長を最大化する方法が内包された状態になります。個人の成長を一番重視すると、それが会社の成長と乖離することが起きるかもしれないですよね。

私も中小ベンチャーをやっていましたのでわかりますが、辞めてほしくないからと個人にフォーカスして、会社の成長というメッセージが抜けてしまうと、せっかく個人を満足させたのに会社は儲からないということが起きる。そうなると、給料をあまり払えないということが起きてしまいます。これが1つ目のポイントです。

組織が目指す方向に進むため、組織を成長させるために活動するということを念頭においてください。

評価制度の設計ポイント

梶山:では、従業員を目指す方向に進ませるためには何が重要なのか。これは「何をどれだけやったら」「何が得られるか」を明示する。これで評価制度はできあがります。

評価制度と言われると、いろいろ細かい項目を作らなきゃいけないと思うかもしれないんですが、シンプルにしたらこれだけです。何をどれだけやったら何が得られるのか。

もうちょっと具体的に言うと、「何をどれだけ」というのがいわゆる業務評価シートや役割定義表、「あなたの役割はこれですよ」というMBO(Management By Objectives)とかですかね。そして、その結果が自分の給与にどう反映するかという給与テーブル。この2つを整備すれば評価制度は回ります。

もっと言うと、前半部分の「何をどれだけやれば」という業務評価シートに多くの時間を割いていただきたいんですね。

業務評価シートをいきなり給与と連動させると、細かく修正したいのに給与と連動しているために動きが取れなくなります。

おすすめは、最初は給与に連動させずに業務評価シートをどんどん回して、日々の業務に一番適切なものを作っていくこと。それがある程度固まったら、給与テーブルとひもづけていく。だいたい前半部分(給与テーブルとひもづける前)で1年ぐらいかけてもいいかなと思いますね。

業務評価シートの具体例

梶山:イメージは、例えばこちらです。

四半期の業務評価シートの例で、とある営業部長さんをベースにしています。まず営業部の部長なので、営業部の売上と50パーセント連動する。これで言うと、黄色でマークした60点が目標値で、この9,000万円という目標を達成したかが比重の50パーセントを占めます。

次に、戦略的に増やしたい商材である商材Aの加入成約数が比重の30パーセント。3ヶ月間で90件成約してねというのが基準値です。

そして部下の育成ということで営業員のB資格取得数が比重の20パーセント。これは10件が基準値ですね。

今回、部長さんは売上が9,000万円で、商材Aの加入成約数が110~120パーセントで着地。営業員のB資格取得数がちょっと足りずに90~100パーセントの間でしたとなると、項目ごとの達成度が60点・70点・50点になる。

これに「比重」をかけます。一番上は、60点なので、比重50パーセントをかけて30点。真ん中が70点×30パーセントで21点。一番下は50点×20パーセントの10点。合計は61点です。

これが第1四半期だったとしたら、第1四半期は61点でした。第2四半期が59点だとしたら、足して割ると60点なので、「上半期のあなたの点数は60点です」というのが、評価シートの流れです。

評価制度が形骸化する理由

梶山:これをポイント換算して、給与テーブルに基づいて昇降給を決定する。ここから先はいくつかやり方があるので、「なんとなく点数とこうつながるんだ」ぐらいにとどめていただければと思います。

例えば、代表者が会社の業績を見て、今回は昇給ポイントをこれぐらいみんなに用意しますと。それを相対的に分けて、「あなたの部署は60点だからプラス1ポイントね」とポイント換算して、給与テーブルで上げ下げをしていく。

(スライドの)これは半年の年俸ですが、部長1等級の人の基準が368万4,000円でした。今回1ポイント獲得したので、給与テーブルが1段上がる。ざっくり申し上げると、こんな感じです。

評価制度の構築に迷ったら、これは「会社を伸ばすためにあるんだ」というところに立ち戻ってください。そして、何をどれだけやれば何を得られるかという2つの項目に分解すること。特に「何をどれだけやれば」に注力していただくのをおすすめしますというのが、ここまでの話になります。

評価制度は、どんどん複雑化していくものです。シンプルにやろうと思わずに設計すると運用ができないぐらい複雑化します。

四半期とか半期に1回の評価のたびにマニュアルを見て思い出したり、通常とは違う評価をするなどして形骸化するパターンがやっぱり多くあります。こうならないように、今の基本を押さえていただきたいと思います。

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