2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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司会者:ナジャさんといえば、第六感の話がすごく好きなんです。お一人暮らしをされてる時に……ピザの配達員でしたっけ(笑)。
ナジャ・グランディーバ(以下、ナジャ):(笑)。詳しいですね? ピザの配達員じゃない。
司会者:違いましたっけ?
ナジャ:うどん屋のお兄ちゃんです。そんな話、ここでしていいんですか?
司会者:私はぜひ聞きたいなと思ったんですけど。
ナジャ:そうですか。
司会者:「五感」っていうのはありますよね。「第六感」っていうのは何でしたっけ?
ナジャ:私が大阪に引っ越してきてから、よく出前を頼んでたんですよ。とあるうどん屋さんで、出前をいっつも持ってきてくれるお兄ちゃんがものすごくタイプだったんです。プラス、ぱって顔を見た時に「あ、この人きっとゲイだ」って、私の中で第六感がピピッと来たんですよ。
でも、確証はないじゃないですか。だから、なんとかこの人がゲイかどうかを確かめたい。また、こっちもゲイですよというのを知ってもらいたくて。
どうすればいいかなって考えて、出前を頼んだ時に、玄関先にゲイしか知らないアイテムを置いとけば、向こうも気づいてくれるだろうと思って。それこそ初めて買ったゲイ雑誌を、玄関からちょっと見えるところに置いた。
司会者:うどん屋さんが「こんにちは」って来た時に、ちらっと見えるところに。
ナジャ:見えるところに置いて、うどんを頼みました。
ナジャ:「ありがとうございます」ってお金のやり取りをして、お兄ちゃんはちらっとその本を見たけど、だからといってそんなに反応はなかったんですよね。
司会者:あれ? 違うかな? と。
ナジャ:「あれ? 違うかな? いや、違うかもしれんけどちょっと見てたし、もうちょっとわかりやすいやつを置いてみよう」と思って。それで今度は、ゲイの人用のちょっとエッチなDVDみたいなのがあるから、そのパッケージを置いといたの。
それでうどんを頼んでみたら、また同じ感じやったんですよ。普通にやり取りをして、(DVDに)目は行くけど、だからといって「え? これ何?」なんて感じで話すわけでもなく、普通にうどんを届けてくれて帰っていく。
でも、「いやぁ。まだこれは確信が持てないな。どうしようかな」と思って。じゃあ今度は、ゲイの人が好きなスポーツのユニフォームを着て出前を受け取ってみようと思って。その時に、たまたま家にラグビーのユニフォーム一式があったわけですよ。
司会者:そうなんですね。
ナジャ:なぜそれが家にあったのかは、聞かないでください。
司会者:わかりました(笑)。
ナジャ:それで、次にうどんを頼んだ時に、ラグビーのユニフォームを着て受け取ったんですが、向こうはまた普通なんですよ。変なラグビーの格好をしてますから、ちょっと「えっ」て感じにはなるけど、結局また普通にやり取りをして終わっちゃったんです。
司会者:そうなんですね。
ナジャ:うん。だから、その人がゲイかはどうかわからないまま、やり取りすることなく終わったんです。
ナジャ:そのあとしばらくして、行きつけのゲイバーのママに「出前のうどん屋のお兄ちゃんが男前すぎて、しかも絶対にゲイやと思うねんけど。ゲイ雑誌を置いてみたり、ビデオのパッケージ置いてみたり、ラグビーのユニフォーム着てうどんを受け取ってみて……」という話をしてたんです。
そのあとママが何て言ったかというと、「あんた、そのうどん屋のお兄ちゃん、うちのお客さんやで」って言ったんですよ。
「え、何て言ってたん!?」って聞いたら、そのお兄ちゃんはお兄ちゃんで店に来て、「なんか、うちの近所でいっつも出前を頼む人がおんねんけど、ゲイ雑誌を置いてたり、(DVDの)パッケージを置いてたり。挙げ句の果てにラグビーのユニフォームで出前を受け取ってくれんねんけど、ものすごい気持ち悪い人がおんねん」ってそのまま言ってたらしくて、私の恋はそこで破れましたね。
司会者:破れましたねぇ……。
ナジャ:破れてしまいましたね。
司会者:第六感は、あんまり持つものじゃないですねぇ。
ナジャ:第六感は当たってたんですけど、結局タイプじゃなかったっていうことなんですよ。
司会者:そんなこんなで、一気にテレビに出られて、日本中に知れ渡るわけですけれども。
ナジャ:日本中に知れ渡ってるかはわかりませんけど、一気に世界が変わりましたね。
司会者:そうですよね。カミングアウトについて、どういうふうにされていたのかという話なんですが、テレビに出られたら当然ご家族も見られて、お知り合いも見られますよね。その当時はいかがでしたか?
ナジャ:それこそさっきも何回も言いましたけど、小・中・高と私が「オカマ」って言われたりしてたのは、もちろん家族も気づいてたと思うんですね。
ただ、「僕はゲイなんだよ」というカミングアウト自体は、自分からはしてませんでした。でも、この格好でテレビに出るとなると、もうカミングアウトするしかないじゃないですか。
私も、この仕事をやるって決めたからにはちゃんとやりたかったし、いきなりレギュラー番組が決まったので、もう思いきって親にカミングアウトするしかないなと思って。
司会者:ですよね。
ナジャ:母親に、「こうこうこういう事情で、実はレギュラー番組が決まりました。いわゆるオネエとして、女装をしてテレビに出ることになります」って報告したんですよ。
司会者:電話越しで。
ナジャ:電話で言いました。その時、母親は大反対してました。
司会者:そうですよね。
ナジャ:うちの実家が、兵庫県のすごく田舎でお米屋さんをやってるんですね。母親曰く、商売もしてるし、田舎はすぐに噂も広まるし、しかもそこの長男がオカマで、女装してテレビに出てるなんていうのは、「あんなオカマの店のお米、買うか!」って言われる可能性も高いわけじゃないですか。
だから、それを考えると、うちの母親は本当に反対したんでしょうね。「いや、それだけはやめてくれ。お母さんたちは田舎でゆっくり大人しく過ごしていきたいし、そんな過激なことやめて!」って、まず言われたんです。
ナジャ:それだけ反対されると、じゃあ、私もちょっと考えようかなと思って、その時は電話を切ったんです。だけど、次の朝に母親から電話がかかってきて、「お母さん、1日考えたけど、やっぱりあんたの好きにしたらいい。あんたの人生なんやから」と、認めてくれたんですね。
司会者:なるほど。
ナジャ:ただ、たぶんその一晩は家族会議か、夫婦でものすごく話し合いをしたんでしょうね。それで答えを絞り出したというか、私のことを最優先に考えてくれたんでしょう。「この子はそういう子で、これでやっていきたいって言ってるんなら、うちの息子のやりたいようにさせてあげよう」って思ってくれたんだとは思います。
司会者:そうですよね。
ナジャ:だから、その一言がなかったら、もしかしたら私も「わかった。家族も大切やし、やめとくわ」と言って、結局アンダーグラウンドなまま、ずーっとこっそりやってた可能性もある。たぶんそれがなかったら、カミングアウトは一生しないまま終わってたと思うんですよ。
司会者:そうですよね。
ナジャ:カミングアウトって、「自分はこうなんだ」と言って発表するわけですから、なんかかっこいい感じもするじゃないですか。
でも、私がまず思ったのは、母親なんかは特になんですけど、自分の息子が「お母さん、僕ゲイなんです」って言った時に、「あたしの育て方が悪かったのかな」「もしかしたら、妊娠中にすごくストレスがかかってこんなことになっちゃったのかな」って、息子を責めるというよりは、自分を責めると思うんですよね。
司会者:確かにね。
ナジャ:本当はそうじゃないんでしょうけど、この母親はきっと自分のことを責めるだろうと考えて(いたので)、もしこうなっていなかったら、私はずーっとカミングアウトしてなかったと思います。
もちろん結婚もしないですけど、「うちの息子はモテなかったんだなぁ。だからずっと独身だったな」という考えのまま、母親が亡くなるまでずーっと隠し続けてたとは思います。
司会者:でも、そういった家族の肯定というか、背中を押してくださったことがあってがんばれるところもあると思いますよね。
ナジャ:うん、そうですね。
司会者:やっぱりナジャさんとお話ししていると、「私は私らしくある」ということをすごく貫かれてる、背筋がピンと伸びてるような方だなと思うんです。私も含めてですけど、仕事だったりすると、「あらなければいけない」ということに意外と合わせている視聴者の方も多いと思うんですよね。
ナジャさんが思う「自分らしさ」って、どういうふうにお考えですか? 自分らしさを持ち続けるって、どうやればいいのかなと。
ナジャ:そうですね。自分らしさを持ち続けるというか、やっぱりみなさん仕事をやるにおいて、他の人と比べてたりすることが多くあると思うんですよ。
「私よりあの人のほうが仕事ができている」「あの人のほうが仕事が速いな」「同期だったのに、あの人のほうが先に出世しちゃった」とか、人と比べがちじゃないですか。
でも、よく考えると、もちろんその人のほうが仕事ができるかもしれないけど、それ以外のところでは、あたしのほうが・僕のほうが長けてる部分は必ずあったりすると思うんですよね。
だから、そこで比べることはせず、「あの人はそういう人なんだ。でもきっと、私はあの人よりはこういうことでは勝ってると思う。これが私なんだ」って、それぞれの自分の個性に自信を持って生きていくことが大切なのかなとは思います。
司会者:そうですね。本当に、簡単なようで一番難しいのかなと思うんですけど。
ナジャ:そうですね。特に私なんか、今で言うとマツコ・デラックスだったり、ミッツ・マングローブがすごく売れてるじゃないですか。やっぱり比べられるんですよ。
「マツコさんみたいにもっと毒を吐いたらどうですか?」「ミッツさんみたいにもっと勉強して、いろいろ知識を持って、引き出しをいっぱい持ったほうがいいんじゃないですか?」とかって言われるけど、私はそんなことは無理。
自分では無理なのもわかってるし、あの2人にはない、穏やかなのんびりしたところが私の個性だし、それが武器だなとも思ってるから。
私も(他人とは)比べずに、それを求めてくれてるところに行こうかなとも思うし、きっと周りもそれを見ていて、「ナジャさんののんびりした感じが好きだな」って思ってくれる方は絶対にいるんですよ。
司会者:なるほど。
ナジャ:だから、そういう人を求めてくれてる人のところにアピールすればいいかなと思います。
司会者:すばらしいと思います。自分の強みじゃないですけど、自分が決めるのではなくて、人から見えるところに自分らしさがあることに気づいてらっしゃるのは、すごく勉強になりました。ありがとうございます。
ナジャ:いえいえ。
司会者:こんなに時間があっという間に過ぎてしまって。
ナジャ:え、そんなに? もうあっという間なの?
司会者:そうなんですよ。ここから質問のコーナーに参りたいと思いますが、よろしいですか。
ナジャ:そうなんですか。どうぞ、どうぞ。質問、来てるかなぁ?
司会者:さっき、「私になんか質問は一切来ない」と言ってたんですが、おかげさまでたくさん来ております。
ナジャ:よかった! ディナーショーとか、けっこうやるんですね。そこでも質問のコーナーとかあるんですが、まったく手が挙がらない時もけっこうあるんです。
司会者:(対面だと)なかなか挙がらないんですけど、みなさん打ってくださってるので。
ナジャ:よかった。ありがとうございます。
司会者:時間がないので、いきますね。1問でも多く聞きます。
ナジャ:はい。行きましょう。
司会者:「『ダイバーシティ』の現状について、ナジャさんはどのように感じていらっしゃいますか?」。
ナジャ:なるほど。ダイバーシティの現状って、多様性ということですかね。
司会者:そう。多様性ですね。
ナジャ:そうですね。先ほども言いましたけど、それこそみんな個性が重視されていますし、その多様性の中でも、特にLGBTQという人たちの存在が当たり前になっていく過渡期だとは思っていますね。
ナジャ:本当に、あたしがここに呼ばれてしゃべっているっていう、この現状がすでにLGBTQの人たちの理解への第1歩、第2歩、第3歩になってるとは思うんです。いろんな多様性の中で、(話すとしたら)LGBTQについてになってしまいますが。
LGBTQという言葉は、みなさんもよくご存じですけど、「L」はレズビアンで、「G」はゲイ。「B」はバイセクシャル、「Tは」トランスジェンダー。でも、その4つだけじゃないんですよ。実は「Q+」とか、他にもいろんなジャンルがあるんです。
例えば、レズビアンとゲイの間に属する人もいたりします。みなさん、それぞれカテゴリー分けをしたがるんですけど、実はカテゴリーではなくグラデーションでいろんな人がいるんですよ。
だからLGBTQだけかじゃなく、多様性という意味で、「この人はこうじゃなきゃだめだ」という枠にはめるのではなく、いろんな人がグラデーションでいるから、枠にはめずに全体で受け止める・受け入れていくことが大切なのかなとは思います。
司会者:おっしゃるとおりです。SEKAI NO OWARIの『Habit』という歌が日本レコード大賞を取りましたけど、その中でも「分類したがる」という歌詞があります。
ナジャ:なんか、決めたがるじゃないですか。そんなものがなくなっていけばいいんです。実際、LGBTQなんていう言葉自体が、本当はなくなるべきなんです。
司会者:本当ですね。
司会者:じゃあ、次の質問に行きましょうか。「ナジャさんにとって、美しさとは何ですか?」。すごくシンプルな質問ですが。
ナジャ:(笑)。美しさとは何ですか!?
司会者:ずばり、一言でお願いします。
ナジャ:美しさとは……なんでしょうね。シンプルすぎて、逆に難しいんですけど。
司会者:「自分らしさ」とかですか?
ナジャ:私は思うんですけど、みなさん美しいと思います。ただ、それこそさっきの話とちょっと被りますけど、「私ってあの人よりはブスかも」「あの人のほうが私よりきれいかも」ということじゃなく、実はみなさんそれぞれ本当に美しいんです。
それも男女関係なく、みなさん美しさを持ってるんですよ。だから、そこに自信を持って、そこを伸ばして活かしてくださいね、ということかなと思います。
司会者:そうですね。でも、ナジャさんからは、美貌の秘訣は幸せを感じながら生きるっていうのを感じますね。
ナジャ:そうですか? 私、そんなに幸せを感じながら生きてないですよ。
司会者:本当ですか。
ナジャ:うん。ただ、無理はしないっていうことかな。
司会者:無理はしない。
ナジャ:自分の6割ぐらいの力で私は生きていて、無理をせず生きていくっていうのも、美しさの1つのきっかけになるのかもしれない。
司会者:「無理をしない」ということですね。
司会者:じゃあ、次お願いします。「幼少時代から自分の個性を強みとして捉えていたナジャさんですが、その強さはどこから来たのでしょうか?」。
ナジャ:えっとね、これはわかります。考えすぎなくて、鈍感だったんでしょうね。
司会者:鈍感。
ナジャ:「鈍感力」みたいなところから来てたのかなと思います。周りから「オカマ」とか「オカマラス~」なんて言われるのを真剣に気にしすぎていたら、「いじめられた」と思って、卑屈になってたと思うの。
いじられるのをそんなに気にしない体質というか、すごく鈍感だったんですよ。だから、逆に周りからはそれが強みに見えたんだと思います。「こいつにそんなことを言っても響かないな」というふうになって、結局友だちになっていけたのかなと思いますね。
司会者:鈍感でいることと、他の人と比べないって、幸福論の根本にあるような気がします。聞いてらっしゃる方々が、「自分を自分で肯定していいんだ」というお考えになるには、どうしたらいいですかね。
ナジャ:そうですよねぇ。でも本当に、みなさんそれぞれすばらしい素敵な人なんですよ。何回も同じことになりますけど、「自分は好きなことをやっていくんだ」って(他人と)比べないことかな。
「Going My Way」という言葉がありますけど、本当にGoing My Wayでいいと思う。私は「Going ナジャ Wayを行ってます」と言ってるんですけど、それでいいのかなと思いますね。
ナジャ:他に左右されてる暇があるのであれば、そこは排除して、自分の好きなように。やる気のある日は「さあ、がんばるぞ」でいいし、しんどい日は「しんどいからもう休もうかな」ぐらいでいいと思うんです。
しんどい日に、「隣の人ががんばってるから、あたしもがんばらないと」ってやってると、こっちが疲れてくると思うんですよね。
司会者:なるほどね。
ナジャ:こっちもがんばってるから、「今日はしんどいから休む日にし~よう」っていうのでいいと思います。
司会者:今の(お話)で、ナジャさんが長らく安定してみなさんから好かれている理由が(わかった気がします)。がんばってる感じじゃなくて、片意地張らずぶ自然体でいるから、みんなが安心してナジャさんを受け入れてるんだなとすごく感じました。
ナジャ:ありがとうございます。
司会者:時間が来ましたので、こちらで終了したいと思います。名残惜しいですが、ご覧いただいてるみなさん、それからカメラの向こうでお聞きいただいているみなさんに、勇気が出る言葉を一言をお願いできればと思います。
ナジャ:そうですね。難しいですけど、みなさんすべてに個性があって、素敵な方々だと思います。「私って、周りとはちょっと違うかもしれない」と思う人はたくさんいるかもしれないんですが、それはあなたの良さであって、個性でもあるので。
そこを受け入れて、周りと比べることなく楽しく、そして6割ぐらいの力の入れ具合で、のんびり幸せに生きていってくださいと言いたいですね。
司会者:ありがとうございます。自分らしく生きていきたいなと思いました。あらためて、ナジャ・グランディーバさん、ありがとうございました。どうぞみなさんも盛大な拍手でお送りください。
ナジャ:ありがとうございます。
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