誰かのモーニングルーチンが、自分にフィットする確率は低い

加藤想氏(以下、加藤):グロービス経営大学院の加藤です。月曜日は「トレンド経営学」というタイトルで、よく聞くニュースをいろんな視点から切り取った場合に見えてくることについてお話をしていきます。

突然ですが、YouTubeで話題の「GRWM」という言葉を知っていますでしょうか。「Get Ready With Me」の略で、私と一緒にお出かけの準備をしようという意味です。例えば、モーニングルーチンなどの朝起きてから出掛けるまでの過ごし方の動画。こういうのが数年前から流行っているようです。

恥ずかしながら、私もつい先日同僚に教えてもらったばかりですが、流行っているモーニングルーチンの動画を見て、気づきがありました。

モーニングルーチンの動画のパターンは大きく3つあると思います。芸能人やYouTuberなどの著名人が配信するパターン。そして化粧に関する配信。最後が効率的な朝の過ごし方の3パターンです。

著名人の動画は、好きな有名人の裏側を知りたいニーズがあるのだと思いますし、化粧に関する動画は主に女性からのニーズがある。こんなイメージができます。

過去のvoicyでもお話ししたんですが、最近になって効率的に過ごしたいというニーズが増えて、仕事の時間だけでなく、朝の過ごし方についてもより良い時間を過ごしたいというニーズが増えたと思います。ただ、個人的には効率的な誰かのルーチンが、自分にフィットするという確率は低いと思います。

例えば、私の朝起きてから仕事に行くまでのルーチンを簡単に話してみたいと思います。私は朝起きたら、まず寝たままの姿勢でその日のGoogleカレンダーを見ます。そして1分ほど、重たそうな仕事とそうでない仕事を眺めます。おおよそのTo Doを確認したら、朝日を浴びてから顔を洗って歯磨きをします。

パジャマのままソファーに移って、過去に読んだ本の内容を、A4用紙1枚に自分なりに手書きで20分ほどかけてまとめます。それが終わったら、40分ほど紙の書籍を読みます。そうこうしていると、奥さんと子どもが起きてくるので、朝ご飯の準備をして朝食を食べて、洗濯物、皿洗いをして出社の支度をします。

そして、電車の中で紙の本をドッグイヤーをつけながら読みつつ、会社にたどり着く。こんなルーチンです。

効率的に朝を過ごすためのポイント

これを聞いて、何か参考になる情報があったのかなと非常に疑問に思います。正直、あんまりないんじゃないかと感じます。理由は、多くの条件が組み合わさって、その人独自のモーニングルーチンになるので、真似たとしてもいろんな前提が異なってしまうということが起こると思います。

そもそも朝は慌ただしくて、時間がない人も多いと思います。そんな人が私のルーチンを見たら、「うーん、どれだけ早起きなんだろう」みたいに思うのではないかと思います。私は会社の始まる時間が朝の10時なので、比較的余裕があるほうです。また、私はけっこう朝起きるのが強いほうなので、早起きが苦手な方にはこのルーチンは参考にならないと思います。

また、私は今年の3月にMBAを修了したばかりで、学びの習慣を途切れさせないようにするために、朝の時間を何かしらの勉強に充てていますが、優先順位は人によって違うと思います。

健康維持のために朝は運動をする方もいると思いますし、その日の仕事の資料作りなどに時間に充てる人も多いと思います。少なくとも目的意識と自分の特性が乖離していないかを意識して、ほかの人のルーチンを参考にするほうがいいと思います。

仮にルーチンに関して、全員に共通して意識したほうがいいポイントがあるとすると、「自分の機嫌を取るための仕組み作り」、私はこれだと思います。意外と意識しないまま、朝の時間に自分の機嫌を損ねることをしている可能性があります。

例えば、朝起きてすぐスマートフォンを開き、準備をしている最中もTwitterやインスタを眺めている。こんな動き方をしていると、知らず知らずのうちに集中力を削がれます。私もそんな朝の過ごし方をしていた時期がありますが、SNSを遠ざける生活をし始めてから、1日の集中力の継続時間が格段に伸びました。

北野唯我さんの書籍『仕事の教科書』にも、「夜に明日のことをしっかり計画して、朝は黙々と実行できるようにしておくべし」ということが書いてありました。北野さんは鞄を持つのが大嫌いだそうで、前日までにパソコンを鞄に入れておくことが最も重要という記載がありました。

自分の機嫌を取るポイントは人によって違うので、それを把握しておくことが重要だと思います。私の場合は革靴を磨くのがあまり好きではないので、前日の夜に磨くようにしたり、少しでも朝の準備を楽にするために、リモートワーク時と同じ機材をオフィスにも備えています。

今日はモーニングルーチンについて話をしてみました。自分の文脈に合ったルーチンをぜひ取り入れてみてください。人によって合う合わないが分かれると思いますので、少しずつ改善していただければと思います。今日の話はここまでとします。