2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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三井滉平氏(以下、三井):ではそれにちょっと絡むところなのかもしれないんですけど、テーマの2つ目「日本におけるweb3の現状と可能性は?」に移りたいと思います。今回のイベントの大きなタイトルにもなってるところです。
「web3を日本でやるには規制が厳しくて難しい」みたいな話も聞きますが、実際のところどうなのでしょうかみたいな、そういう側面が1個と。あと国としてもweb3を推進していきたいみたいな話も聞くんですけど、世界から見た時に日本ってweb3で勝ち筋はあるのかとか、どうやって戦っていくのがいいのかみたいな。そういう目線でお話をおうかがいできればなと思っております。こちらも國光さんからお話をおうかがいしてもよろしいでしょうか。
國光宏尚氏(以下、國光):実際どうだろう……視点が何個かあって、厳しさで言ったらめちゃくちゃ厳しいです。日本からやると不利な面っていうのはすごく大きいです。ただ一方で、厳しいからってシンガポール行く、ドバイに行くとして、今はシンガポールの物価とか含めて日本の1.5倍くらいなんですね。で、ドバイが2倍くらいなんですね。そういう中で日本の中でスタートアップを作って成功させるのも簡単じゃないのに、英語が大してうまくない、起業経験もない若い子らがいきなり外国に行って成功するのかな、という印象はありますね。
そういった中では渡辺創太くんみたいに突き抜けた方もいるから、みんな無理だとはぜんぜん言わないけど、やっぱりそこって相対的に難しい。レギュレーションが厳しいのは事実ではあるけど、とはいえやはり日本は海外と比べて良い面もあるから、だったら日本でビジネスをするっていうのは1つあるのかなと思っています。ちなみに放生會さんの投資先とかで、どうなんですか? 国内でっていうのと海外でとかって、こっちのが多いとかどうだとか。そのへんとか、なにかあったりします?
放生會雄地氏(以下、放生會):基本的に投資してるのは、やはり国内の会社にはなっているんですよね。もう少し全体感からいっちゃうと、web3っていう領域に取り組むためにはやはり國光さんがおっしゃったように、トークンを発行していったりとかNFT絡めていったりとかっていう話になってくると、どうしても規制が厳しい面があるので。
本当にそれっぽいことをやろうとすると、海外に出て行って規制から免れていったほうが、良いものは作れるんだろうなっていうふうに思うんですね。なので投資していく対象としては、なかなかそういったところには投資しにくいので、国内でやっていく理由があるところっていうものに、わりとフォーカスしがちになっているかなと思います。
放生會:そういう意味で先ほど例に挙げたJPYCなんかですと、国内のステーブルコインという立場を狙いにいったっていうものであるとか。あるいは、投資させていただいたスマートアプリさんなんかですと、やはり国内のクリエイターのために作るNFTマーケットプレイスっていうようなポジションで狙いにいったというところはあったので。
どうしても日本でやることの必然性みたいなのを考えながら投資しなきゃいけないかなって思っていますし、チャンスがあるところでもあるんだと思うんですね、逆に。海外から入ってきにくい部分でもあったりすると思うので。
國光:このへんの規制とかに関して、みんなが実は「日本は規制が厳しくて海外はゆるい」って勘違いしてるんですね。ただこれは間違いで、「日本は厳しいけど明確なルールがある、海外のほうはまだ規制が定まってない」。これだけなんですね。なので海外のほうは、いきなり明日から違法になるリスクはある。ここが意外にみんなわかってなくて。
で、今アメリカ中で大問題になってるところが、取引所を介したステーキングですら違法というか、証券だろって話になってきたりとか。実際に事業を始めたらいきなり明日から違法ってなって、いきなり訴訟されたりとか、いきなりすごい罰金とられるっていうところは海外ではあって。
それに対して日本のほうは、かなり厳しいレイヤーではあるけど、とはいえルールがしっかりと定まってる。なのでそこに対してしっかり向き合いながらやっていくと、合法にできて、いきなり違法って言われることはないと。
國光:なので僕が今やってることは大きく3つあって、gumi Cryptos Capitalというweb3に特化した140億円くらいのファンドをサンフランシスコでやってるのと、あとはThirdverseという、VRのゲームとブロックチェーンのゲームを作ってる会社を経営しています。あとは、フィナンシェっていう、次世代型クラウドファンディングサービスを提供している会社も経営してます。、FiNANCiEはスポーツチームを中心にエンタメ地方創生領域で約200のトークンを発行しています。
ちょうどこのフィナンシェというサービスで、日本でIEOします。IEOは、株式上場(IPO)のトークン版で、フィナンシェが発行する暗号資産が暗号資産取引所の審査を経て上場するというものです。
これ自体は暗号資産取引業者しっかりとした審査をして、最終的に業界団体JVCEAから認可が下りてる、ちゃんとライセンスが下りている認可済みの仮想通貨取引所から販売していくみたいな、そういうふうな感じの仕組みってとこなんですけど。フィナンシェも今年の冬にIEOっていうところを用意しています(2023年3月に実施済み)。
海外ではリスティングしてたとしても、どこの国も許可とかそういうのがないので、いきなり明日「非合法だ」って言われることもあると。例えばけっこう有名なのでいくと、つい最近韓国の大手のゲーム会社のWemadeさんがやってたWEMIXっていうのが、けっこう政府のほうから問題視されて、各取引所すべてからデリスト(上場廃止)されたという事例があったり。
やはり海外はルールが明確じゃないので、いきなり明日からNGになるという事があります。ただ日本の場合はIEOもすごくすごく大変ではあるんですけど、ちゃんと明確なルールがあるから、そこを乗り越えていけば許可を得た状態でできる。ここはわりと大きなチャンスかなと。
國光:もともとはただただ時間がかかって、やはり日本は遅いと思われてたんですけど。去年FTXの事件があって、結局日本のFTX Japanだけ顧客資産が守られて、世界中はまったく守られていないという事例が出てきて。
結局日本では、奇しくもコインチェックさんが2018年にハックにあって、それ以降暗号資産の取引所が登録制になったり、いろんな顧客保護に関するルールができてきて。そういう中で、FTXのような事件が起き、結果的に日本の個人投資家の資産だけは無事だった。
なので今、俄然世界の中で先行した日本の規制だったりとか、顧客資産の管理、透明性に対しての注目っていうのが高まってきています。
三井:なるほど、なるほど。日本の規制が早い理由というか、ルールができるのが早かった理由みたいなものってあるんですかね。
國光:これはシンプルに、やはり日本の官僚の方々が仕事熱心っていうのと。あと、よく言われてるのはオプトインとオプトアウトの考え方の違い。中国とかアメリカっていうのはとりあえずやってみて、UberとかAirbnbにしても。そこで問題っていうところが、グレーだったら進めみたいな。とりあえずやっちゃった上で問題が出てきたら、そこを直して新しい規制を作ってくっていうのが、わりとアメリカとか中国型のイノベーション。
というのに対して日本のほうは、あらかじめ何がダメで何が良くてみたいなのを決めようみたいな。ここはよく日本からイノベーション・スタートアップが育たないと揶揄されるところでもあるんですけど、そういうところもあるのかなとは思ったりしますね。
三井:なるほど、ありがとうございます。じゃあとらえようによってはすごくチャンスがあるというか、やり方が明確なぶんやりやすいってことですよね。大変なだけっていう(笑)。
國光:海外の「グレーなところは進め」でやった結果、想像以上にデカい問題が起こったっていうのが今なんだと思っています。結局、自由にやりすぎた結果、想像以上にデカい問題ができて、みんなちょっと「大丈夫?」みたいな感じになっているところなんです。
このへんはひょっとすると程度の問題というか、どっちが白黒、良い悪いとかじゃなくて。やはり過度にオプトインとかオプトアウトになっても良くないので、バランスがあるのかなと思うんですけど、この瞬間って意味でいくと、日本のほうがしっかりとそういうルールを作ってきたっていうのが今、相対的に有利なポジションにきてるっていうのはあると思いますね。
三井:なるほど、ありがとうございます。
三井:では続いてのテーマに移らせていただこうかなと思います。「web3の今後はどうなる?」ということで、こちらもちょっとざっくりとした質問で申し訳ないんですけど。
先ほども数年単位、数十年単位でディセントラライズドしていくみたいな話もありましたが、そういう「短期的にこうなっていくんじゃないか」であったりとか、あと「長期的に、数十年スパンで見た時にこうなっていくんじゃないか」みたいなところを、ちょっとお話をおうかがいできればなと思っております。じゃあこちらは放生會さんからよろしいでしょうか。
放生會:クリプトに限らずなんですけど、どのセクターでも最先端の技術的なものとかそういったものよりは、事業化されていくためにその技術に関連するエンジニアが増えていったりとか、ユーザーが増えていったりするようなステージになっていることが大事だと思っています。
そういう意味ではやはりクリプトってどんどん広がってきているところだと思うんですけども、その中でもキーワードとしてけっこう聞くようになってきたなっていうところで、これから広がっていきそうなところだと、例えばゼロ知識証明みたいなところであるとか。
アプリケーションのレイヤーとかで言えばソウルバウンドトークンみたいなものが、去年だとだいぶ広まってきたりしたので。そういったものを活用していったようなマーケティングであるとかゲームとか、そういったものが出てくるのかなということを期待はしているところです。
放生會:あとは制度の整備っていうところもやはりできていかないと、その周辺で法的安定性のもとで事業をやっていくのは難しいので。
そういった話ですと、例えばステーブルコインに関してであれば、昨年末に電子決済手段に関する部分の法律が少しずつ明確化されてきたりとかしたので。国内の中でもステーブルコインといったものが出てくるとか、そういったものはわりと近い未来のところでは出てくる部分なのかなと期待をしているところです。
もう少し長い目線とかで言い出すと、先ほどのパーミッションレスみたいな話であるとかディセントラライズド・インターネットとか、そういった部分に少し話が寄ってきたりするんですけれども。それを実現するためには、やはり今だとチェーンを運用しているノードの運営者が、パソコンの上でノードを動かしているわけですけれども。
これがネットワークに参加してくるようなユーザー、今であればみなさんモバイル、スマホを使ってるわけなので。こういったもので運用できるようにスマホのスペックが上がっていったりとか、通信のスペックが上がっていったりとか、そういったところになっていったりであるとか。
あとは証券規制との兼ね合いというのが、今まさに世界の中だとグレーな部分っていうのが少しずつ揺り戻して、規制が厳しくなってきているところではあるので。こういったところの折り合いがついてくることによって、クリプトを活用したような金融商品であるとか金融手段というものがどんどん発達していくということに、向こう10年とかだとそういった部分に期待しているというようなところです。
三井:ありがとうございます。
三井:では続いて國光さんもお願いしてもよろしいでしょうか。
國光:これはweb3に限らず新しいテクノロジーすべてがそうなんですけど、基本的にマスアダプションに向けてるのは毎回一緒なんですね。一番最初に出てくるユースケースは、まずはゲーム。ゲームが出てきたあとに出てくるのが、コミュニケーション。チャットであったり、BBSだったり、出会い系だったり、コミュニケーションが次に出てきます。
で、その次に出てくるのがコマースとフィンテック。このへんでC向けサービスというのがだいたいひと段落します。そのあとC向けで成功した、そういうものを使ってtoBが始まると。一番わかりやすいのでいくと、LINEが流行った3年後くらいにSlackが出てくるとか。で、結局Tinderが出てきた数年後にZoomが出てくるという流れです。
toB向けも、どういうところが導入していくかは毎回同じで、一番最初はイケてる新しいスタートアップが導入し始めます。その次に成熟したスタートアップ、メルカリとかMetaとかGoogleが導入して、そのあと大企業。いつもテクノロジーがますアダプションしていく際の最後に出てくるところが3つあって、政府・大学・病院。
なので基本的にはテクノロジーというのは成長曲線というのが絶えずあって、一番最初はイノベーター層、たぶんみなさんも聞いたことある。次がアーリーアダプター。その次に、キャズムを越えて成長期・成熟期・衰退期に入ってくる。こういう感じで、テクノロジーの成長カーブのどこにいるかっていうのを見ていくのが、最も重要なのかなと。
そういった意味でいくと今のweb3は、一切キャズムを越えてないので。まず入口のところの、ユースケースをどう作っていくかという段階にあります。
ゲームだったりコミュニケーション。そこに伴ってコマースやフィンテックが出始めてる状況です。この段階であることを踏まえると先ほど挙げた領域がいいんじゃないかなと思っています。
ただここから3~5年後って話になってくると、C向けはいろいろ出尽くした状態になってくると思うので、C向けのプロダクトをどうやったらtoBにできてくるかみたいな、そういうことを考えていくとか。このへんの成長曲線に合わせたかたちで現状をプロットしていった上で、どういうふうなビジネスが今タイミングにあうのかを起業する時のブレストスノがかなと思ってますね。
三井:ありがとうございます、非常におもしろい話をいただきました。みなさん、もし質問あればQ&Aのところに随時投げておいていただけたら、最後の時間で回収させていただきますのでそちらに投げておいてください。
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