営業採用の専門家と考える「これからの営業採用」

石川哲也氏(以下、石川):それでは「セレブリックス×白潟総研 中小ベンチャー企業のための『これからの営業採用を語ろう』」。こちらの共催ウェビナーを始めさせていただきたいと思います。みなさま、あらためましてこんばんは。

今回、営業と言えばセレブリックスということで、そのセレブリックスの中でも営業の人材、人というところにものすごく特化して研究をされていて、事業部まで作っちゃったという、私もずっと大好き梅田さん。「ちょっと共催ウェビナーをやらせてください」とラブコールしました。

私も、営業採用の専門家の部分もありますけれども、それだけではなくて、入社した後の組織の部分なんかも含めて、一緒に語り合うようなウェビナーをやらせていただけないかということで、今回企画させていただきました。

なので、今日みなさんから頂いたお時間の中で、営業の採用、もしくは営業組織について、「すごく知見が深まったな」「考えが深まったな」と思っていただけるような時間にできたらと思いますので、どうぞ梅田さんもよろしくお願いします。

梅田翔五氏(以下、梅田):よろしくお願いします。

石川:では、実際どう進めていくのかというお話をさせていただきます。まずは、基調講演というかたちでセレブリックス社の梅田さまから、「今、営業採用で勝っている中小ベンチャー企業ってどんな傾向があるんだ?」というところを共有をしていただけたらと思います。

その上で、私から採用と組織の部分について。「今伸びている営業組織ってどんなことをやっているんだろうか?」という3つの組織戦略。いろんな会社を見てきて、この3つのどれかをやっている、あるいは複数やっているという営業組織はすごく伸びているなというところを、各パート15分、20分ずつくらい、やらせていただけたらと思っております。

その上で後半戦は、より梅田さんと一緒に深いところに入ってディスカッションしていきます。トークセッションとして「なぜ採用できないのか?」さらに「なぜ採用ミスマッチは起こるのか?」という、2つのテーマでディスカッションを進めていけたらと思います。

このトークセッションの時は、チャットやQ&Aにどんどん「これはどう思いますか?」と投げていただければ、拾いながらやらせていただきますので、みなさまもぜひ一緒に参加しながら盛り上がって、営業について深めていけたらと思っております。

ラストは質疑応答で、みなさまからご質問があれば、いくつかピックアップして、トークセッションを越えて答えていけたらと思います。そんな流れで1時間半のお時間を頂けたらと思います。

今、営業採用で勝っている中小ベンチャー企業の傾向

石川:では、まずは基調講演ということで、「今、営業採用で勝っている中小ベンチャー企業の傾向」。こちらを梅田さんにバトンタッチしてお願いしていきたいと思います。では梅田さん、お願いいたします。

梅田:ありがとうございます。石川さんにご紹介いただきました株式会社セレブリックスの梅田と申します。さっそく、資料共有をさせていただいて、お話しできればと思います。

今日僕からは「今、営業採用で勝っている中小ベンチャー企業の傾向」というお話をさせていただきます。大変恐れ多いテーマなので、何をお話ししようかなと悩んできたんですが、まとめてみましたのでよろしくお願いします。

まず、我々セレブリックスと僕の自己紹介を簡単にさせてください。セレブリックスは、BtoBの営業に特化した総合支援会社です。よくベンチャー企業と間違えられたりするんですけど、今25期目でわりと歴史のある会社となります。

大企業からスタートアップまで幅広く支援をしてきており、これまで1,200社・12,000サービス以上の営業支援をしてまいりました。

「営業支援って具体的に何なのか?」というところなんですが、左側の3つが主な事業です。営業のコンサルティング。それからコンサルティングに付随した営業の研修。あとは、いわゆるBPOである営業の代行ですね。

この3つがメインの事業で、あとはデジタルマーケティングの支援を一部していたり、セールステックと言われる、営業時に使うITのツールの代理店販売も行なっていたり、本当に幅広く、様々な企業の色々な営業をご支援させていただいております。

ミスマッチの原因となる、「営業職」という広すぎる括り

梅田:その中で、私はどんな人間なのか。実を言うと僕は、セレブリックスに2022年の2月に入ったばかりで、今勤めて1年ぐらいです。これまでセレブリックスも含めて5社やってきていまして、全部紹介するとちょっと長くなっちゃうので割愛させていただくんですけど、すごく簡単に言うと、営業と採用に詳しい人間かなと考えています。

13年以上、営業、マネージャーというところも含めて務めてきているのと、直近3社は自社の採用も担っています。企業さんの採用支援、個人の方々の転職・キャリア支援にも携わったことがあり、現在は「営業職に特化したキャリア支援・転職支援」の事業責任者を務めています。

これは今申し上げました「SQiL Career Agent」という事業で、これが営業パーソン特化の人材紹介サービスになります。「どんなことをやっているの?」ということに、ちょっとだけ触れさせていただきます。

僕らは、セレブリックスのナレッジを活かして営業の採用支援、あとは個人の方々の転職支援をしています。これは、簡単に言うと、「『営業職』というワードが広すぎるよね」というのを僕らが問題提起しているということなんです。

例えば「toCの営業とtoBの営業ってぜんぜん違うよね」とか、「直販と代理店の営業ってぜんぜん違うよね」とか。「有形商材と無形商材」、「フィールドセールスとインサイドセールス」とか、これらは全部ぜんぜん違う営業職なのに、世の中では「営業経験者」と一括りに語られたりしている。それはミスマッチが起きるよねということを問題提起しております。

セレブリックスだからこそできる細分化と、それぞれに求められるスキルや経験、素養を、今データで可視化している真っ最中です。それをもとに企業さんの採用支援や個人の方々の転職支援をしていて、僕はその事業の責任者になります。

中小ベンチャーにおける、営業採用の「勝っている状態」

梅田:僕の自己紹介は以上とさせていただいて、ここから今日のテーマである、「今、営業採用で勝っている中小ベンチャー企業の傾向」というお話をさせていただきます。

このテーマでお話しさせていただくに当たって、「そもそも営業の採用における『勝っている状態』って何なんだっけ?」というのを、僕もあらためて考えてみたんですね。

中小ベンチャーにおける営業の採用の「勝っている状態」って、まず大前提として、やはり採用計画を達成している。事業計画からブレイクダウンしてきて、これぐらいの人数が必要という数字が出ていると思うので、この数字を達成しているというのは恐らく当然かなと。これができていないと「勝っている状態」と言えない。

ただ、もうひとつ、色々な企業の支援をしてきて思うのが、「達成している計画の中身として、優秀な営業の方が採れているのか?」ということです。これが企業によって相当差が出ているなと個人的に思っています。

というのも、実際、いろんな企業さんの支援をしていて、「計画は達成したんですけど、ワークしていない営業がめちゃめちゃ多くいるんです」とか、「そういう人がめっちゃ辞めちゃっているんです」という話を最近よく聞くなと思っています。

なので、特に中小ベンチャー企業は大企業と違って、恐らく営業の仕組み化がまだまだできていない部分も多いし、組織づくりを一緒にしてくれるような営業が欲しい会社は多いと思うんですね。

なので、それも踏まえて、中小ベンチャーにおける営業採用の「勝っている状態」というのは、採用計画を達成していると同時に、その中身としてちゃんと優秀な人が採れているということだと定義したいなと考えました。簡単に言うと「量」と「質」両方を担保できている営業の採用でありたいよねという話かなと考えています。

「優秀な営業」と「普通の営業」は別の生き物

梅田:これをやるに当たって、どういうことを考えていくといいのかという話なんですけれども。「じゃあどうやって優秀な営業って集めるんだっけ?」ということですね。それを聞きたくて、今日みなさんもお越しいただいているんだと思います。

僕が今日お伝えしたいことは、シンプルに言うとこの一文です。「『優秀な営業』と『普通の営業』って別の生き物なんですよ」。これが僕の伝えたいことです。なので、「優秀な営業を採りたいんだったら、優秀な営業の生態に合わせた採用活動をしましょうね」ということです。ちょっと抽象的なので、ここから具体的に申し上げていきたいと思います。

僕は、本当にいろんな企業さんの支援をしてきたり、営業パーソンで言うと2,000人近くの面談とかをこれまでしてきたんですけれども、優秀な営業を採るためにはこの6要素が、すべて揃わなくてもいいですけれども、いくつかは必ず必要だなと考えています。なので、今日みなさんにはこの6要素を具体的にご紹介をするというのがメインの話になります。

まず、1つ目。「成長産業」もしくは「成長企業」。今日ご覧いただいている方々の中で、キャリア論とかキャリア系の最近の書籍を読んだことがある方がいらっしゃればピンと来るかもしれません。

最近キャリア系の話では、「成長産業に勤めることが一番重要だ」という論を唱える方が非常に多いんですね。というか、ほとんどの本に書いてあるぐらい。なので、若手の営業とかは「成長産業に行きたい」「成長企業に行きたい」という人が今ものすごく増えています。

なので、「優秀な営業」と上に書きましたけれども、成長産業もしくは成長企業に勤めることが、自身の市場価値向上につながるということを当たり前として考えているんですね。むしろ、それ以外選択肢がないぐらいに思っている人もいたりします。

一方で、「普通の営業」と書きましたけれども、やはりキャリアというところに対して情報感度が低い方だとそういった視点がなく、「おもしろそう」とか「興味あります」とかで企業を選んでいるケースが多いです。

ですから、もし御社が非常に成長している会社だったらぜひそこをアピールしてもらいたいですし、市場としてこれから伸びしろを感じているのであれば、ぜひその市場の魅力を伝える。そういった求人票の書き方ができるんじゃないかなと思っています。なので、優秀な営業に刺さる1点目は「成長産業」「成長企業」ですね。

優秀な営業は「成長機会」への感度が高い

梅田:2点目。言葉は似ていますが、「成長機会」と書きました。これはどういうことかと言いますと、結局、成長産業・成長企業に入っても、自分自身が成長機会に恵まれるかどうかはまた別の話だと考えています。

これも結局キャリアの話につながってくるんですけど、優秀な営業の方々は、「自分はいったいその会社でどういう経験が積めるのか」とか、「そこから僕はどんなスキルが身につくか?」「その先には僕のキャリアってどうなるのか?」という、キャリアに対しての感度が高く、中長期的な視点を持って会社を選ぶ優秀な方では非常に増えているんですね。

なので、「お任せしたい業務、そこから身につくスキルは何か」「それを例えば3年がんばった時にはその人の市場価値がどうなるのか」「その先のキャリアとしてどういうことができるようになるのか」。こういったものは、求人票に書いてもいいと思いますし、もしくは面接の中で面接官が伝えてあげるのも重要なポイントかなと思っています。

一方で普通の営業の方々は、営業職とか営業スキルを一括りで考えちゃっているんですね。なので、「営業スキルが積める会社がいいです」みたいなアバウトなことを言う方は、失礼なんですけど、情報感度の低い普通の営業の方々になります。

ですから優秀な営業に刺さる情報を提供したい場合は、あなたの会社のその業務で身につくスキルは何なのかを個別でお話ししてもらえるような、そんなアプローチがいいんじゃないかなと。これが2点目です。