2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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佐野創太氏(以下、佐野):次に、「自力で見つけないといけないのか」問題。自分を俯瞰できるタイプだったらいいのかもしれないですけども、僕は俯瞰できず、ぜんぜん自分では見つけられなかったです。なので、強みを見つけ直せる3つの矢印を使います。
自分が何かをやった時に、「何やってんの?」と興味を持たれた経験、たぶんみなさんもあると思う。思い出してほしいです。学生時代でもいいし、最近の経験でもぜんぜんかまわない。「何やってんの? どうやってんの?」みたいに、興味を持たれた経験。これが強みにつながります。
評価された経験から掘っていくのは、ありです。「それ、すごくない? なんでできるの?」と言われたことはないですか。例えば(このイベントの運営者の)福馬さんも、これまで経験がないのになぜかいきなりイベント運営をガンガンしているわけです。
「なんで? どうやってするの?」みたいな。だんだんこれが積もっていくと、「もうそれやっといて」と頼まれる。「それやっといて」と言われ始めると、それは強みです。
これがすごく大事で、「キャリアの棚卸しをしましょう」と言うと、人生を全部振り返ってしまおうとするんですけど、経験を積めば積むほどこの作業は疲れるんですよ。なので、興味を持たれた軸。僕だったら最初は、文章を「なんで書けるの?」「なんでそんなに言語化できるの?」と言われた経験があったんです。
なので、言語化してきた歴史を棚卸ししました。小学校の時、中学校の時、高校の時、大学、新卒、20代後半、30代というところで、言語化のところだけでプロフィールを作っている感じです。そうして生まれた時から今までずっと言語化の歴史が作れる。これを副業(複業)とかのプロフィールにすると、選考に通るんです。
「この人は、生まれた時から今日までずっとそれをやっている」。これは実は後づけでかまわないんです。なのでみなさんも、興味や評価や依頼された経験で、自分のすべてを振り返ってみる。
僕だったら、言語化の最初の記憶は、母が読み聞かせをしてくれた経験。僕の父は経営者ですけど、論文とか専門書を書いていた人間です。こういう話から始めていくと、「こいつ、言語化の血があるぞ」となってくるんですね。
「だから今、私は本を書けるんです」と言うとつながるんですよ。ちなみにこれ、後づけです。僕、これまで小・中・高とサッカーしかしてこなかったんですよね。ヘディングしたら英単語を忘れるような生活でした。
でも、サッカーノートに書いていたんですよ。言語化しているんですよ、くらいの粗さでかまわないので、何か1つ「興味」「評価」「依頼」を受けた経験をガーって全部棚卸ししてみてください。これが副業(複業)につながります。これが僕流のキャリアの棚卸しです。人を使っていいというやつですね。
佐野:強みと出会い直せる3つの質問。依頼される機会が多い場面や役割は何だろう(Where)。何でもいいです。飲み会の時に幹事を任される人と、乾杯の挨拶を任されるって人はキャラが違ったと思うんですよね。みなさんはどっちでした?
僕はちなみにどっちも任されずに、隅っこで2~3人と飲むしかできなかったので、なかなかなかったんですけれども。依頼される機会が多い場面とか、「自分はこういう役回りが多いな」と、振り返ってみてほしいです。
あとは、どんな人にどんなことを頼まれるか(Who、What)。会社だったら上司から頼まれることが多いのか、後輩から頼まれることが多いのかとか。お客さんのほうが多いのか、じゃあそういった人はどんな性格の人が多いのか。
人から緻密に頼まれることが多いのか、ざっくり「こんな感じでやっておいて」という依頼が多いのか。僕は「こんな感じでやっておいて系」のほうが圧倒的に多いです。
事業部長の方とか社長さんとか、なるべく上流工程をやっている方と仕事をするほうが、話が早くて楽です。逆の方もいるはずです。現場の方と関係を作れて、緻密に進めるのがうまい方もいらっしゃるはず。
日々の生活も使って大丈夫ですよ。キャリアの棚卸しで、仕事だけを棚卸しするケースがすごく多いんですが、仕事は、言われた、渡された役割を果たすことでもあるので、自分の本音が入っていないことが多いんですよね。
学生時代とか自分のオフの時間とか、最近の趣味とか、そういったところから、何か見つけ出せるのではないかということもヒントにしてみてください。Lifeですね。僕はそれこそこういう仕事(転職)の活動をしていますけれども、到達点はLifeです。
さきほど僕はGLAYが好きという話をしましたが、GLAYのTAKUROさんと共著するところに、向かうようにやっているんですよね。完全にキャリアの夢が私利私欲ですけれども、うまいこといっている感じがするんですよ。ライターをやっていた時は、それでGLAYの記事書けましたし。2022年はアベプラ(ABEMA Prime)に出た時に、GLAYのHISASHIさんと共演できました。近づいてきているんですよ。
なので、自力で見つけないといけないと思っている人は、ちょっとその頭を置いて、他人を使っちゃってぜんぜんかまわないです。人に言われたことを、最初はみんな謙虚になってしまうんです。「いや、とはいえ」とか「いやいや、お世辞だよ」と言うんですけど、1回置いておいて欲しい。
評価とか依頼されたものも「丸投げだよ」と思わないで、1回その経験を全部振り返ってみてほしいです。そうすると、すごく見つかる。他人を使え。
佐野:最後。「天賦の才能でないといけないのではないか」問題は、けっこう根強いストレスだと思います。強みは、息を吸って吐くように、無意識にやっていることです。なのでみなさん、絶対にやっているんですよ。みなさん何年生きてますか? 30年40年生きているわけですよ。正直強みがなかったらたぶん生きていない。なので無意識にやっているところから探してくる。
「無意識にあると言われても、そんなことを言われても」という感じだと思うので、仕事のみじん切りをしてみてほしいです。今のみなさんの仕事、どれくらい分けられますか?例えば(スライドの)これ。
3月1日に出る『ゼロストレス転職 』(PHP研究所)から抜粋しているんですけど、転職エージェントの仕事をみじん切りしています。これくらい細かく1回みじん切りにしてほしいんですよね。みなさんこれくらい細かくやったことあります?
ある相談に来てくださった方は、自分の仕事を80分割しました。これだけやると、その中に何かしら、自分は大事だと思っているけど、周りがやっていないことが絶対あるんですよ。
「なんで、これをやっているんですか?」と聞いた時に、「いや、これやらないとあとが大変ですよ」とか、「これ、みんなやっているんじゃないですか」と、ちょっと拍子抜けするようなことがあるんです。それが実は強みだったりします。無意識にやっていること。
僕は転職エージェントの時、求人票を書くのが大好きだったんですよ。営業ですけど、テレアポはしたくないし、お客さんのところに行きたくなかったんですけど、求人票を書くのはめっちゃ好きだったんです。
これを先輩とかに言うと書いてくれって言われたんです。先輩は逆だったんですよ。求人票を書くのだけは嫌だったんです。みたいなエピソードが出てくるんです。
求人票の中でも僕は、職種名を操作して、営業と言われたやつを「提案型営業にしていいですか」みたいなことをやっていたんですね。そういうちょっといじって、コンセプトを作る感じです。
佐野:今回のこの本の『ゼロストレス転職』というタイトル。基本的にタイトルって出版社側が決めるんですけど、『ゼロストレス転職』と出したの、僕だったんですよ。すごく意外だと言われました。
「(タイトルは)絶対触らせたくないんだけど、これが一番良かった」と言われたぐらいだったので、僕は長い文章よりもちょっと題名とかを変えて、新しくコンセプトを作るのがけっこう上手。こういうの僕は意識していなかったんですよ。
なんなら僕、長文を書くのがうまいと思っていたんですよね。「3,000字くらいから本領発揮です」みたいな感じだったんですけど、それは他の人からすると逆にうざかったんです。
というくらい、みじん切りにした中の「え、ここ?」みたいな。この「え? これかよ」とちょっと拍子抜けするくらいのものを探してみてください。まずみじん切りしてみてください。できたら同じ職種の人と一緒にやってみて、「何これ? こんなこと俺やってないよ」と聞かれたりすると、すごく強みがわかったりします。
他にもエージェントの中で、トップエージェントだった人がやっていたのは、入社した人のヒアリングを、すごく丁寧にやっていた奴がいるんですよね。それをやると、求める人物像が本当にわかると言っていたんですよ。採用をしたあとに一番現れるらしくて。それでその人はトップエージェントだったんですよね。
普通の人はやりたくないですよ。入ったあとは放っておきたいから。数字に結びつかないから。このように「みんなやってないの?」から探してみてください。
佐野:これ(次のスライド)もさっき言った、強みと出会い直せる3つの質問ですね。「これをやらないと後が大変だけど」と自分で考える作業は何かなとか、「なんでそれをやっているの?」と聞かれて、「やってないの?」と思った経験はないかを、振り返ってみる。
Lifeも全部使えます。学生時代も若手時代も最近も全部、どこから見つけてもいいです。
なので強みを見つけ直す方法は、「仕事をみじん切りしろ」。「企画」とか「エンジニア」とか、大きいんですよ。そこをみじん切りにします。『やってもやっても終わらない名もなき家事に名前をつけたらその多さに驚いた。』という有名なコピーライターの梅田悟司さんの本をご存知ですか。「名もなき育児」とか「名もなき家事」とか。
「ゴミ捨て」と言われても、集めて分別して、紐縛って捨てに行くんだ。1つの家事とか育児に対して、8も10も細かい仕事が混ざっていることを、「名もなき家事」と言うんですけど、仕事もそうです。名も無き仕事がたくさんある。名もなき仕事の中に強みはあります。
キャリアの棚卸しは、他人目線で見える一貫性を巡る旅だと思っていただければいいかなと思います。自分が「え? これちゃう?」というものからではないんですよね。さっきの他人の評価とか、「何やってんの?」と言われたところから、自分の40年50年に旗を立てていくんです。そうすると、一貫性があることが絶対出てきます。
正直「1,200名以上に話してきたので信じてください」というしかないんですけど、何かしらやはり一貫性が出てくるんですよね。ぜひぜひ見つけてみてください。
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