2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
中国EC事業におけるプラットフォーム選びの新基準!(全1記事)
提供:株式会社Nint
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堀井良威氏:あらためまして、堀井と申します。よろしくお願いします。私のパートでは、Douyin ECにおいて、プラットフォームの1つとして各ブランドさん含めてどう接していくか。その基準をお伝えできればと思います。
簡単に会社概要を説明させていただきます。今回このカンファレンスを主催させていただきました、株式会社Nintと申します。私は今、上海側におりますが、東京と上海でだいたい500名ほどの会社で、今日このあとご説明させていただくECデータ分析サービスの解析・分析の事業を生業としている会社です。
事業の概要、つまりデータです。我々の技術は、インターネット上に公開されているデータをクローリングして統計技術を自然言語処理を行い、中国ECでなにがどのくらい売れてるのかを推計・可視化し、事業者様に提供しています。
我々の今提供しているサービスは大きく分けて3つ。中国データに関してですが、データ分析のリサーチクラウドと、チャネルオブザベーション・ブランドインサイト。カスタマイズレポートとなっておりますが、いずれにせよ中国のデータを収集、整理、可視化して、お客さまにご提供しています。※以下より記事内で出てくるデータは全てNint社の推計データです。
ご利用のお客さまは、今回ご参加いただいているお客さまもいらっしゃいますが、美容コスメから生活日用品まで、幅広くご利用いただいています。
簡単に自己紹介すると、今、上海におります。堀井と申します。よろしくお願いいたします。
会社概要とサービス概要はここまでにして、さっそく今日のテーマをどういう設計にしようかなというところで。(Douyin ECという)プラットフォームについては、黄さんに先ほど講演していただきましたが、通常DP3社が一堂に会するのは、カンファレンスとしてはなかなか珍しいんじゃないかなと思っています。
その中で我々、このサードパーティのデータ会社が何ができるか考えました。今日のテーマは、「Douyin ECへの進出」が、今回ご参加されてる各ブランドさんにとってどういう貢献になるか。
プラスに働くというのは当然なんですが、1つ考えられるのは、例えばほかのプラットフォームに進出していて、新しくDouyin ECに進出するというのは、当然投資になるわけです。
新しいユーザーが獲得できるのか、1ブランドに対して1.5倍、2倍になる可能性を秘めてるのか。そういったところでどのように中国事業に貢献できるかというのを、我々のデータを用いて、いくつか仮説立てできればと思います。
先ほど黄さんのところにありましたように、非常に大きく伸びている市場でありプラットフォームである中で、我々からできることは、それを客観性を持って証明していくこと。そこで、まずカテゴリーをいくつか分類し、いわゆる伝統的なEC市場と今回のDouyin ECのシェアを比べてみました。
簡単にお話しさせてもらうと、(Douyin ECでは)アパレルのシェアが約過半数です。アパレルというのは、どのプラットフォームでも一番ボリュームの大きいカテゴリーですが、Douyin ECが正式にEC市場に参入してちょうど2年ぐらいになる中で、世界の52パーセントを占める中国ECの中で成長力の高いプラットフォームであり、かつカテゴリーとしても一番大きな母体を占めています。
一方で3C家電(コンピューター、通信製品、消費電子製品)や家具インテリアは、これからの成長に期待されるところなのではないのかなと思います。
今日お集まりのみなさんの中で多いところで美容関連やベビーマタニティ関連で言うと、ベビーマタニティが25パーセントぐらい。美容関連はもうちょっと高くて、30パーセント強というマーケットシェアになっているのが現状です。
このカテゴリーの成長力はどれぐらいかというと、当然まだ2年目、3年目なので、倍々計算のように大きく羽ばたいている途中です。一番右の縦のグラフが成長率をプロットしたところなんですが、規模と、それに伴って成長率は、大きいところだとMAXで140パーセントのプラス成長をしています。
ご覧のとおりマイナス成長はなく、どのカテゴリーも全方位的にプラスになっています。ここに日本の企業さんが参入するのは、非常にビジネスチャンスとしては大きいんじゃないかなと思います。
今ちょうど3月なので、仮に日本のお客さまが4月から参入した時に、来年度に向けてどんな予算組みをしていくべきか、どんな貢献が期待できるかというところを、月別で流通金額をプロットしてみました。
灰色の部分が他プラットフォームを含めた、いわゆる一般的なECです。平均は単純に100を12で割って8.3パーセントなので、何もない1年間を過ごせば毎月8.3パーセントで、12ヶ月で100パーセントに着地します。
中国はご存知のとおり、春節前の年貨節、6月の618(大手ネット企業の京東商城が毎年6月18日に開催する、中国最大規模のECセール)、年末に向けたW11(シングルデーを祝った中国最大のECイベント)が平均値を上回ります。平均値を上回るのは1月、6月、11月。だいたいこの期に大きく成長します。
このように各社さんも売上目標を作ったり、予算組みをしていると思います。ではDouyin ECも同じような予算組みが妥当なのか、そういう投資体制が正しいのかというと、実はそうでもなくて。
その背景は、非常に成長力が高いところ。特定のキャンペーンや季節要因でグッと伸びるというよりも、今のところ常に右肩上がりなので、前月比でプラス、プラスで計算していくのが、もしかしたら妥当かと思います。
なのでこの緑のグラフだけ見ると「年後半に強い」「冬に強いのか」と思いがちですが、そうではなく、ずっとプラスで成長しているのがこのプラットフォームの特徴です。
これが来年、5年、10年と続くかというとまた違う景色になるとは思いますが、当面この1年、2年は常に前月比もしくは前四半期比でプラスに転じているのが、おそらく事業性としては正しいことになるとは思います。
「今まで成長してますよ」「全カテゴリー増えてますよ」「月次でも増えてますよ」という中で、どこに成長要素があるか。先ほど第1部ではDAU(デイリーアクティブユーザー)の大きさとか、UIもいろいろ見せていただきましたが、いわゆる消費者側の目線では1つ回答があったと思うんです。
我々サードパーティで言うと「ブランド側」、つまり供給者側の目線に立ってデータを見てみました。大きくはブランド数が増えてるか、それを販売する店舗数が増えてるか、そして商品数が売れてるかという目線で分析しました。
いずれにおいても、当然参入するブランド数も増えてますし、それを取り巻く販売店さんも増えてます。そこで販売されてる商品の数も増えている。
ここのグラフ上では、増加率が売上に一番大きく貢献してるのは店舗数になってます。いろんな売り方・捉え方があると思いますが、この「店舗数の拡大」というのも1つ(のポイントです)。ブランドさん側から見たDouyin ECとの付き合い方の中で、店舗数がどう増えていくかも、1つのKPIになるんじゃないのかなと考えています。
そんな中で、ここが今日のテーマの1つの回答になると思ってはいるんですが。Douyin ECに進出した時に、みなさんの中国事業全体におけるインパクト、貢献がどうあるのか。すでにDouyin ECに進出している企業さんの伝統ECプラットフォームと、Douyin ECに参入してその結果どうなったかを、去年1年間のデータを一通り見て分析しました。
簡単に説明しますが、我々はAからFまでの6パターンあると考えています。伝統的なプラットフォームにも進出し、さらにDouyin ECにも進出し、結局1年間ブランド全体として大きく育った。これがプラスのプラスなのでAパターンです。
一方で伝統型のECに、当然店舗があって、新たにDouyin ECに……例えば2020年6月早々に参入したけど、去年はマイナス成長だった。ただ伝統ECががんばったので、全体貢献がプラス。こういうパターンもあり得ます。
もう一方で、ここが比較的多いんですけど、伝統ECのプラットフォームでの流通がちょっと下がってしまった。ただDouyin ECでの流通額が上がって、ブランド全体としてはプラスになった。そんなかたちで、A、B、Cのパターンは全体貢献プラスです。
D、E、Fに関しては、伝統ECとDouyin ECのプラスマイナスは先ほどのご説明のとおりですが、結局ブランド全体としては1年間マイナスになってしまったと。D、E、Fになってしまう、つまり新しいDouyin ECに投資をかけて結局マイナスで着地してしまったというのは、投資失敗側に入ると思います。
このパーセンテージを計算していただければわかるんですが、Douyin ECに参入することによって最終的にプラスで着地するのは、およそ7割ぐらいの確率で起きます。一方で逆サイドの3割ぐらいは、当然Douyin ECに進出したとしてもマイナスに転じてしまうというケースもあります。
これはDouyin ECに参入したこととの直接的な帰結ではないと思いますが、一応結果としてはあり得ます。A、C、E(のパターン)で、この1年間かけて参入した方々は当然、平均すると89パーセントぐらいの企業さんはプラスで着地しています。
ただ、全体への貢献がどこまでインパクトがあるかは、各社に委ねられているところがあります。例えば伝統ECもあり、さらにDouyin ECが追加され、そして全体としてはプラスで着地したのがL'Orealさん。健康食品のSwisseさんはプラスでした。
あと資生堂さんは、伝統ECと呼ばれるプラットフォームは若干落ちてしまったものの、Douyin ECに新たに投資をしてプラスになったと。資生堂グループ全体としては若干マイナスに着地したというところで、パターンFになります。
このあとDP(DouyinPartner)さんの講演がありますが、その中でどういう今の課題感にあるのかを含めて、当然Douyin ECへの取り組み方は変わってくると思います。その辺はぜひディスカッションできればと思ってますが、データから見るとAからFの6パターンがあり得ます。その中で、高確率で全体貢献はプラスになります。
ただ、このあと簡単にご説明しますが、我々の見解としては、何を売るか、どのブランド・どの商品を売るかも当然重要な要素だと思いますが、やはり「どう売っていくか」が非常に重要なパーツになってくるんじゃないかなと思います。
何を売るかよりもどう売るかが重要だという根拠を、このあと2ページぐらいでご説明しようと思っています。
ちょっと話が戻りますが、無名ブランドでも売れるかどうかというところに着地します。さっきお話ししたとおり、何のブランド、何の商品を売るかよりも、どうやって売っていくか。先ほどあった短尺動画を含めて、どういうコミュニケーションをユーザーとしていくかが最も重要だろうと我々も思っています。
その根拠の1つが、いわゆるノーブランド、無名ブランドの流通金額のシェアが、非常にDouyin ECは強い。つまりブランド力を全面的にぶつける必要はないと。無名ブランドでも、これから新規に参入したとしても、まだまだ勝ち目があるよっていうのがDouyin ECだと思っています。
この1つのエビデンスになり得ると思い掲載させてもらいましたが、カテゴリー問わず、3C家電でもスポーツアウトドアでもマタニティでも、ブランド名がついてない商品でもしっかりと売れます。つまり、何を売るかよりも、どう売っていくか。どう消費者とコミュニケーションを取っていくか次第で勝てるというところだと思います。
中国市場へこれからDouyin ECに参入するとして、もし「ブランド力ないから売れないんじゃないか」というご心配があれば、こうして無名ブランドでも十分に戦える余地がありますので、1つの参考にしていただければなと思います。
最後に1つの事例ですが、ちょうどさっき黄さんの動画で白いパンツの動画が流れてました。たまたま同じパンツで、男性用のズボンなんですが、これは我々の推計データだと去年のアパレルカテゴリーの年間第4位のアイテムだったんです。
ここはブランド名で言うと、我々の定義上はノーブランドとなっています。ただご覧のとおりで、昨年の10月から12月にかけて、非常に大きく売れたわけです。手取価格が99元なので、今の為替レートだと2,000円ぐらいです。比較的安いところではありますが、流通量・流通額ともに非常に高いランキングで、アパレルという一番大きなカテゴリーの中で第4位です。
ここは先ほどから申し上げているとおり、何を売るか、どのブランドを引っさげていくかというよりも、どうやって売っていくか、どういう動画コンテンツがユーザーに刺さるか。どういう訴求をすればブランド名に頼らず売れるかという、1つの事例だと思います。
ここは特にやはりDPさんの領域が一番発揮される部分だと思いますので。ぜひこんな事例もあるというところを念頭に置きながら、ぜひ中国に参入していただければなと思います。
ちょうど私のパート20分ぐらい経ちましたので、以上とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。
司会者:堀井さん、ありがとうございました。
株式会社Nint
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