現場研修プログラム後の関わり方

加藤遼氏(以下、加藤):ここからは、「現場研修プログラム」を実施した後の、今後の関わり方について聞いていければと思います。

藤田さんは、今回ご縁があって楠木さんやアンサンブルのメンバー、そして琴平の地域とつながったと思いますが、今後このつながりの中で考えてらっしゃることはありますか。

藤田貴大氏(以下、藤田):せっかくこうやって携わらせていただきましたが、私自身がまだ琴平町を訪れることができていないので、ぜひ行きたいと思っています。子どもが小さく、風邪をひきがちなので今タイミングを計っているところですが、遠くないうちに伺いますのでその際はよろしくお願いします、というのと。

あと楠木さんにはメールでお声がけしていますが、今後実際に提案したサービスを進めていく中でお困りごとが発生したら、ご連絡をいただければと思っています。アンサンブルのほかのメンバーも同じ思いですので、その際はぜひご連絡ください。

加藤:ありがとうございます。楠木さん、近江さん、今のはめちゃくちゃうれしいお話でしたね(笑)。

楠木泰二朗氏(以下、楠木):そうですね、ありがとうございます。琴平に来ていただいた時には町を挙げてお迎えしますので(笑)。

(一同笑)

近江淳氏(以下、近江):フルアテンドですね。

藤田:それは楽しみですね(笑)。妻に、「こんなに優遇してもらってるよ」って自慢できますね。

楠木:(笑)。先ほど藤田さんにおっしゃっていただいたように、この取り組みの行く末をみなさんが気にしてくださっていることをうれしく思います。早くかたちにできるように進めていきますので、随時相談をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

藤田:よろしくお願いいたします。

加藤:ありがとうございます。今後の関わりについて、非常に楽しみに思っています。受け入れを盛大にやっていただけるということだったので、私もタイミングが合えばそこに参加したいなと思いました(笑)。

ご提案いただいた企画についても、粛々と準備を進められていて、アンサンブルのメンバーもサポートをしたいという気持ちがあるようですので、ぜひコミュニケーションを取っていただいて、継続できるといいなと思います。

地域企業がプログラムでDXを体験することの効果

加藤:今回は、テーマが「デジタル人材育成・確保」や「地域のDXを推進する」という文脈なので、現場研修プログラムを少し俯瞰で見た時に、この取り組みがどう地域のDX戦略と結びつくかについて、ぜひみなさんのご意見を聞いてみたいと思います。

デジタル田園都市国家構想も含めて、自治体の方々が、自治体自身のDXを進めていくというのももちろんありますが、加えて、地域全体がDX推進をしていく動きもあると思っています。

DXはあくまで方法なので、目的は多様だと思いますが、今回の取り組みがどう地域のDX戦略と結びつくのか、関係性はあるのかといった点についてお聞きしたいと思います。自治体のDXを推進されている方にとっても学びになるかなと思います。では、楠木さんからお願いします。

楠木:けっこう琴平は田舎町でして、DXを活用して解決できることはまだまだたくさんあると思っていますが、地域全体としてはデジタルに馴染みがないのも事実だと思っています。でも、こういう機会を得ることで、少し「やってみよう」という機運につながるのかなと。本当に良い機会をいただいているなと思っています。

今、近江さんと一緒に地域のメンバーと連携したDXにも今後取り組んでいこうという話をしているので、この流れをうまく活用していきたいと思います。

地域でのDX推進を拡大するために必要なこと

加藤:それでは、近江さんお願いします。

近江:冒頭で楠木さんが、当初は「DXかぁ……」と思ったとおっしゃっていましたが、これだけ(新しい取り組みをするなど)ぶっ飛んでいるコトバス(琴平バス)さんですら、DXに対して臆してしまうという(現実があった)。

ただ、地域の事業者さんや経営者の方々と接していると、経営課題はもちろん、やりたいことややるべきことがたくさんあるんですよね。

そこに「このデジタルが効きます」「DXでこうなります」という、加藤さんがおっしゃっていた手段をひもときながら、どう結びつけていくか。そのプロセスを得ると、「あ、こんなことができるんだ」ということになるのかなと思っています。

今回、琴平においては、楠木さんのコトバスさんと、中野屋さんという非常に良い事例ができました。これを琴平の他の事業者さんに「こんなことが、こんなふうにできるんですよ」と広めつつ、琴平だけではなく、香川、そして四国全体に伝えていく。

その中で、「翻訳者」と言ってしまうとおこがましいですが、我々のような地域コーディネーターがわかりやすく伝えていくことが、重要かなと思いました。

加藤:DXと聞くと「何ができるかな?」という感じだと思いますが、経営者の方々はそれぞれ経営課題や、「こんなことをやりたいな」という夢をお持ちなので、それを実現する方法として、デジタル技術を活用するプロセスが明確になると、非常に取り組みやすくなると思っています。

そして今回、楠木さんの琴平バスさんや中野うどんさんで好事例ができましたが、他の企業さんにオススメする時に、「あそこがやっているなら、うちもやろうかな」といったことにもつながると思います。他の企業さんに事例を広めていく上でも、地域コーディネーターの方の役割は非常に大きいなと思って聞いておりました。ありがとうございます。

企業へのDX支援に関心を持つ外部人材に求められる心構え

加藤:最後に言い残したことや参加される方にお伝えしたいことなどがあれば、一言ずついただいて締めたいと思います。

このディスカッションは、本当に多様な方に聞かれています。プログラム参加に興味を持たれている企業の方もそうですし、企業の人材活用支援やDX支援をされていて、「このプログラムを進めたらおもしろいかもな」と思ってらっしゃる方。さらにこのプログラムが広まるように応援する自治体や政府の方など、いろんな方に参加いただいています。

そういった方々にお伝えしたいことがあれば、忌憚なくメッセージをいただければと思います。それでは、藤田さんからお願いします。

藤田:私からは、企業側ではなく、本業とは別にDXの経験をしたいと関心をお持ちの方に向けたメッセージになります。

今後もこういった企業さまとマッチングして、DXを構想する取り組みはあると思います。その時に、チャレンジをためらわれるかもしれませんが、「関心をお持ちでしたらぜひチャレンジしてください」というのが、私のメッセージになります。

先ほども言いましたが、経験したもの勝ちです(笑)。「現場研修プログラム」は模擬体験プロジェクトではできない、非常に良い経験だと思います。私は本業でDXに取り組んだことはありませんでしたが、取り組みの前に模擬体験のプロジェクトがきちんと設けられていたので、それを踏襲して達成することができました。

今日の私たちアンサンブルからの提案を聞いて感じたと思いますが、特に目新しい、斬新な手法ではありません。世の中にすでにある既存の手法を、企業さまの課題に合わせて、カスタマイズして提案したということです。誰でも、関心と熱意があればできることだと思いますので、ぜひ恐れずにチャレンジしてください。以上です。

加藤:ありがとうございます。勇気をもらえるコメントでした。

リモートでのDX支援で見えた2つの可能性

加藤:それでは楠木さん、お願いします。

楠木:参加する企業側も同じで、まずはチャレンジしてみることをオススメしたいと思います。

実際の成果以外でも、藤田さん他、チームのメンバーの方とつながりを持てました。別のメンバーの方とは、「琴平でこんなのをやってみよう」と進めている新しいプロジェクトもあります。

いわゆる副業という入り方ではなく、プロジェクトとして企業のDXに関与する中で、地域との関わりや企業との新たな関わりを持つことができる。そういうご縁を持っていただける場にもなっていると思います。

こんな良いプログラムはないと思いますので、ぜひ機会があればご参加されることをおすすめしたいと思います。

加藤:ありがとうございます。それでは最後に近江さん、よろしくお願いします。

近江:このプログラムによって、行ったことのない場所、地域とデジタルの力でつながり合うことができました。これはデジ田(デジタル田園都市国家構想)が目指すところでもあると思います。

あと1つ、「デジタル」「DX」という言葉にはなんとなくドライなイメージがあると思いますが、オンラインのコミュニケーションでも、人と人とのつながりから信頼関係ができて、次にもつながるのかなと思います。

それが実現できたすばらしいプログラムだなと思いますし、こういった取り組みをもっともっと広げていかなくてはいけないと、地域にいる立場としてあらためて思ったところです。

加藤:藤田さん、楠木さん、近江さん、本当にどうもありがとうございました。パネルディスカッションは以上で終了させていただきたいと思います。

やはり、キーワードは「つながり」だったなとあらためて思います。本日はどうもありがとうございました、

一同:ありがとうございました。