「採用力」の3つの要素

石川哲也氏(以下、石川):では、これを踏まえた上で。今日の入口と出口の入口というところは、実はこの2つに関わるお話になります。要は会うべき人、適正な人を採る力と、採った人をそのまま惹きつけ続ける力ということです。この2つについてお話をさせていただけたらと思います。

まずは、この採用力というものを3つに分解していきたいと思います。

今まで採用力がある会社と言えば、たくさんの人を集めることができるという母集団形成に強い会社でしたが、もう少し解像度高く、今の時代に合う採用力というものを煮詰めていくと、この3つに分解できるのではないかと思います。

「採用ブランディング」「採用マーケティング」、そして「採用セリング」。ブランディングとマーケティングは聞いたことあるけど、「採用セリング」は、うちの会社の造語です。後で3つそれぞれ説明していく中で、「なるほど、そういうことか」と思っていただけたらなと思うんですけど。

3つカタカナだと分かりづらいですよね。「採用ブランディングやりましょう」って言われても、何をやったらいいかわからないですよね。採用マーケティングも同様ですね。この辺りをもう少し具体的にすると、こういうことです。

「採用ブランディング」っていうのは「訴求力」、もう少し言うと「選ばれる力」です。「うちの会社は、こういう会社ですよ」ときちんと打ち出すことで、「なるほど、だったら入りたい」って選んでもらう力です。

2つ目の「採用マーケティング」は、比較的イメージしやすいですよね。「集客力」「見つけてもらう力」、もっというと母集団を集める力です。たくさん人を集める力、今まで採用力と言えば、先ほどお伝えしたとおり、母集団形成の力こそが採用力になると言われていました。

3つ目の「採用セリング」っていうのは、これは「決定力」、要は「口説き落とす力」です。どれだけ人を集めても、集めた人に面接だとか、選考プロセスの場で魅力を伝えきれずに離脱されてしまう。内定承諾率が低い会社とか、離脱率が高い会社、内定承諾してもらえない、離脱されてしまう会社は、このセリングが弱い傾向にあります。

あるいは、うちの会社はこういう会社なんだという「選ばれる力」があったとしても、それを伝えきれずに離脱されてしまう。イメージ湧きますよね。

営業やマーケティングで例えると、本当にこの商品だったら買いたいよという選ばれる力があって、たくさん集めてくる力があっても、それを伝えていける、伝えきってコミュニケーションをとっていくセールスの力、つまりセリングの力がないと、うまくいかないですよね。

いかがでしょう。この採用後の3つで分解した考えてやってみようと。さらに1つずつ、深く見ていってみますね。

「誰にとっての楽園なのか」を言語化する

「採用ブランディング」「選ばれる力」ってなんぞやと。もうちょっと言うと、「我々の会社はこういう会社です」「あ、であれば入りたい」って思ってもらう力なので、自社は、私の会社でいけば白潟総研は、みなさんの会社でいけばみなさんの会社は、誰にとっての楽園なのか。

楽園ってすごい強い言葉ですけど、それくらい絞るべきで、それをきちんと理解し、理解するだけではなくて言語化し。言葉にできないものは伝えられないので。さらに、うちの会社ってこういう人にとっての楽園なんじゃないかなっていうのができたら、それを強化し、伝えることですよね。これができると非常に強いです。

採用ブランディングやりましょうってことで、色々ホームページ作りましょうとか、説明会資料かっこよく作りましょうとか、色々ありますよね。あるいは、ブランディングってところで、オフィスをかっこよくつくり変えましょうとか。

もちろん超大事ですけど、それってあくまで手段であって。そもそもホームページ作るにあたってもロゴだとか、説明資料とかかっこよく作っていくにあたっても、オフィスつくっていくにあたっても、「誰にとっての楽園なの」っていうところがしっかりとされてないと、結局選ばれないですよね。

もしくは、接点によって伝わるものが違うんですよね。繰り返しになりますけれども、誰にでも最高の会社ってのはないんですよ。そもそも価値観が多様化する前から、本当はないんだと思います。万人にとって最高の会社はないというものは。

誰にとってというのを研ぎ澄ましましょう。マーケティングは簡単に「母集団を増やすことです」というところでお話させていただきました。

数少ない応募者から「採り切る」重要性

採用セリングのところのお話をすると。今、人が少ないので、前半のビッグトレンドでお伝えしたとおり人口減少しますので、母集団形成、毎年毎年難しくなっていってると思うんですよ。

去年と同じ母集団数を集めようと思ったら、よりお金かけるかがんばるかしかできないし、しかもやる方法がないと思うんです。もっともっとがんばんなくちゃいけないってのが、今のマーケティングの状況なんです。母集団形成の状況なんですよ。

だったら、ここがんばるのももちろん大切だけど、そこそこにしておいて、採り切るっていう。数少ない応募者の、その中のわずかな採用ターゲットを、一撃必殺で採用するってことがすごく大事なんじゃないのというのが、採用セリングの考え方です。

事実、白潟総研の事例でお話します。

このブランディング、誰にとっての楽園なのか、もう一度見つめ直して言語化し、強化し、それを徹底的に伝え切る究極の採用セリングの力、変革を起こすことによって、去年1月から3月で中途を一気に採用しようという時に、本当に集客は難しいので、母集団集めるのは。集めたのは20人くらいなんですよ。

でも、その20人くらいをきちんと集めるにあたって、ちゃんと、誰にとっての楽園なのかっていうのを訴求した上で、20人来てもらって。さらにその20人の中で、私が採用で面接する中で、ドンピシャでうちの会社に入るべき、バスに乗せるべき人っていうのは、10人くらいだったんです。

10人くらいで1人離脱されちゃって、9人しっかり選考進めてったんですけど。すごい少ないですよね。9人の選考で7人採用してるんですよ。これができれば、今のこの時代でも、入った後もきちんと定着し続けてくれる人を、きちんと採り続けることができるんじゃないでしょうか。

この3つの採用力のところでお伝えしたいお話っていうのは、入口の適正化、それにあたって強化すべきは「選ばれる力」と、つまり「採用ブランディング」と「採用セリング」です。

今日は採用セリングのところについてはお話しし切れないので、次回の「採用の広報と採用の戦闘」で、また専門家と共催ウェビナーをやらせていただきます。私が採用の戦闘、採用セリングについてお話させていただくウェビナーがございますので、セリングのほうを学びたい、興味あるって人は、ぜひそちらのほうを使っていただけたらと思います。

“入口”の適正化の3つのポイント

今日はこの後、採用ブランディングのところで、入口のお話をさせていただきますね。

誰をバスにのせるか? 採用ブランディングっていう観点からいくと、入口の適正化においては3つポイントがございます。そのうちの1つ目が、まさに採用ブランディングに関するお話なんですが、3つのポイントをまとめさせていただくと、こちら。入口の適正化、これ順番が大事ですからね、順番。

1つ目は、というか、0番目って言ってもいいかもしれない。さっきのブランディングの話です。誰にとっての楽園か。楽園性の理解と言語化をしましょうよ、と。そこが行われないと、そもそも誰をバスに乗せるかのこの判断ができませんので。

何よりもまず手をつけるべきは何かって言ったら、我々の会社は誰にとっての楽園なのかの理解と言語化。これをまず第一にやるべきことですよと。

2つ目は、いいですか? 今、採用市場って、社員の交渉力のほうが高くて、社員が選ぶ時代だってお話しましたよね。そうなんですよね。、採用の選考プロセスって言っても、選考に入る前に、まずそもそも自社のことを伝えきって選ばれることってのがものすごい大事なんですよ。

いきなり選ぶんじゃないんですよ。それは、会社のほうが交渉力が高くて、働かせてくださいっていう時代の採用の仕方ですよ。これじゃ、もう絶対うまくいきません。、今。っていうか、もううまくいかなくなってきてると思いますよ。

まずは、選んでもらいましょうと。まず選ばれる。で、選んでくれた人の中から、誰をバスに乗せますかっていうふうに選ぶ。この順番じゃないと、採るべき人を、うまくバスに乗せるべき人を乗せられないです。

「楽園性」を言語化するためには

まず、1個目。「誰にとっての楽園か? 楽園性の理解と言語化」っていうところからお話させていただきますね。

先ほど出したスライドのとおりなんですけど、誰にとっての楽園ですかと。いかがでしょう。これ、ちょっと考えてみると、社内でもう本当「ここはその人にとっての楽園だな」ってくらい生き生きと楽しく幸せに働き、そして、そもそもパフォーマンス出さずに幸せに働くっていうのは本当に至難の技なので、パフォーマンスが出せるってことなんですよね、そういう人たちっていますよね。

逆にそうじゃない人って、合わずに辞めていく、あるいは辞めずに、その会社の中に居続けて、あんまりこういう表現が適切かわかんないですけれども、その人が組織の文化を壊していったりだとか、あるいは楽園じゃなくしていくっていう側面があるんじゃないかなと思います。

となると、改めて時間を取って。これは2、3時間くらいのワークです。やり方、ここにお伝えしますので、ぜひやってみてください。やり方わからない、もうちょっと具体的に聞きたいって方は無料相談入れてください。そしたら、無料相談の中で具体的なやり方を全部伝えます。

ちょっとお伝えすると、まず誰でやるか、誰がやるか。誰がやるかって言うと、経営陣と採用人事、このチームだけやってください。社員はここに入れなくていいです。で、その中で、ものすごく自社に合っているっていう社員を個人名でピックアップします。

例えば、佐藤さん、鈴木さん、田中さん。佐藤さんって出たら、その佐藤さんはどこがよくて、佐藤さんにとってうちの会社のどこがいいんだろうね、と。なぜ働き続けてくれてるんだろうね、と。なぜ活躍できてるんだろうねっていうのを、書き出していきます。

これでいくと、いいですか? 最初は、この観点で書き出していくと、抽象的なものが出るんですよ。社風が合ってるからとか、成長できるからとか。そうしたら、それをさらに具体的に落としてください。社風のどこが合ってるのかねと。これをやっていくと、楽園性っていうのが見えてきます。

採用の時は、自社の「楽園性」を伝える

例えば、当然白潟総研も、この楽園の言語化を行った上で、それを伝えながら採用しているわけですけれども。1個、白潟総研の事例を、楽園性として言語化されたものを1つご紹介すると。1つというか、2つ、3つくらいですかね。

うちは17個くらい、楽園性を感じるためのポイントがあるんですけど、この17個のうち選択、a・b・cのどれでもいいから当てはまってればいいっていうのと、14個は全部当てはまってないとしんどいよね、というのがあるんです。

1つ目は、「仕事を人生の中心に置きたい」。なので、仕事にものすごいのめり込みたいっていう人にとっては、白潟総研は楽園なんですよ。さらに、土日も会社の人と話したい、会いたい。仕事のことを土日だって、もうどんどんディスカッションしたいし、勉強したい、みたいな人にとっては楽園なんです。

そのところで行くと、例えば、白潟総研って、土日も社員みんなで、チームの仲間で、旅行とかドライブとか行きながら、さらにそのドライブとか行く中で、会社について熱く語り合いたいと。そんなような、仕事を中心に置いた人生を送りたい人にとっては楽園ですよと言語化してるんです。

これまたもうちょっと具体的に知りたいって方は、ちょっと個別でお伝えさせていただきますので、無料相談入れていただけたらと思うんですけど。無料相談入れて、入れてって言いすぎなんですけど、必要だったら入れてください。

会社に入るための「意思決定」は実は曖昧

この楽園性っていうのは、本当に具体的に言語化するってのが、まず1つ目のポイントになります。その上で、候補者から正確に選ばれることです。このポイントを見ていくと、実は多くの求職者は、感覚とか、雰囲気とかをもとに、かなり適当にその会社に入る意思決定をしているんですよ。

これ、本人に聞くと怒られちゃう、本人に言うと怒られちゃいますけど、私が転職する時なんかもそうですよ。もちろん、悩み抜いて意思決定してますけど、その「悩み抜いて」にあたっての勘の判断基準って、めちゃめちゃ曖昧なもの。っていうか、その会社のこと全然知り尽くしていないのに決めてるんですよ。

これ、あんまり適切な例えかどうかわかんないですけど、結婚で例えるんだったら、相手のことを知り尽くしてないのに、結婚しますっていう意思決定をしているようなのが、この採用の候補者の意思決定の仕方なんですよ。

これを正していくためには、全ての情報を開示して、自分で見定めていってもらうしかないんです。まずは、とにかく情報を必死に伝え切ること。伝え切った上で、求職者自身にまず白潟総研が合うかどうか、みなさんの会社が合うかどうかっていうのを意思決定してもらいましょうと。

それにあたって、例えばですけど、会社の説明資料とかピッチ資料ってあると思うんですけど。これ、我々の会社だとアピールブックって呼んでいます。会社の情報を全てまとめたもの。そして、必死に全てまとめ切って伝え切るために、ちゃんとブックっていうのを作りましょうよ、と。

その中で、自社の魅力や課題、こっちの魅力は白潟総研の例なんですけど、課題は記入例、な業界のやつをまとめてみた例です。それを全て開示しましょうよと。それが行われた上で入ってくるっていうのが、選んでもらうっていうのが、まず最初一番大事なことですね。

誰をバスに乗せるか=正確に選ばれること

ちょっと事情をお伝えすると、これ、実例をちょっとお見せしちゃうと。アピールブックはここに目次なようなものをまとめておくんですけど、これだけではなくて。もうちょっと見たいって方は後ほどご紹介、またさせていただきますけれども。必死に伝えてる全てを伝えて、その上でちゃんと正確に選んでもらう。

このバスだったら乗りたいっていって選んでもらう、というところでいくと、白潟総研の攻略本ってことで、今まとめて求職者に見せているんですけれども。

「白潟総研という船を知る」ということで、いろんな情報出し切ってるんですね。あ、ここに「誰にとっての楽園か」とかまとめてたりしますね。「白潟総研の社内用語」とか、「組織図」とか。「船長の歴史」って、あの代表の白潟がどんな人間かってのも、ものすごいですね。取り扱い説明書って言い方すごいですけども、白潟がどんな人間かというのが全部載ってたり。

あとは、実際に各キャリアのところで、これ、うちのランクなんですけど、何をしとけばランクが上がってきますよと。こういうのを必死に全部伝えきるんです。

今日はもう共催ウェビナーというところで、公開情報を共用していくお話になるので。公開できる情報を公開していく話になるので、あんまり詳しく出しきれないんですけど。これ何が言いたいかっていうと、多くの会社が求職者に選んでもらうにあたって出してる情報が、伝えてる情報が足りないです。全然伝えきれてないです。もっと必死の必死に伝え切って、だからこそ、だったら会いますと。あなたの会社、私、活躍できます。幸せに働きます。私はあなたの会社を楽園だと思えます。確信できます。っていう選考プロセスを作りましょうと。

それが入口の適正化、誰をバスに乗せるかっていうところで選ばれるために、正確に選ばれるために大事なことです。適当に選ばれて、さらに適当に選んじゃってる側面があるので、会わない人がバスに乗ってきちゃう、適正な入口にならないんです。

企業が人を正確に選び切ることはできない

じゃあここまで、「なるほど」と。「石川さん、わかったよ」と。楽園の言語化もしましょうと。これがんばるよと。さらに、まずは選ばれるために情報を伝え切るようにするよと、思っていただけたら。最後は、そんな選んでくれた人の中から、全員が全員ほんとにバスに乗るべき人かってのは、まだちょっとありますので。次はこっちが正確に選ぶ番になります。

正確に選ぶために何したらいいのって話でいくと、大前提は……。これちょっとテキストに載せていないので、必要であればメモしといていただきたいんですけど。そもそも、企業が人を選ぶっていう時に、正確に企業側が選び切ることができますよっていうのは、「できない」ってことが研究でわかっているんです。

これ、「選抜方法ごとの選考精度」ってことで、かなり精緻にかけた実験なんですけども。妥当性係数っていうのは、これ1.0に近づけば近づくほど予想が正確っていうことでございます。で、これ一番妥当性係数が高いワークサンプルや構造化面接や認知的能力テストみたいな話でも0.5しかない。もっと言うと、普段やってる面接って、最も妥当性形数低くて、0.3しかないんですよ。

そもそも正確に選ぶなんてできないんですね。それでも必死に正確に選ぼうって思ったら3つです。

会社や組織を揺るがす「EVILな人材」を見抜く

まず、下2つからご紹介します。さっきの表でお伝えしたとおり、ワークサンプルと構造化面接っていうのは、妥当性係数が高いです。で、妥当性係数の高いものを組み合わせれば組み合わせるほど、当然見定めの精度は高くなりますので、それは入れていただくといいかなと思うんですけど。

ただちょっと、今日この2つをご紹介しちゃうと時間がまたなくなっちゃいますので。中でも1つ目、「EVILな人材を見抜く“必死の選考”」っていうところを、最後にお伝えして終了したいと思います。

これ、必死に自社のことを伝えれば伝えるほど、さらにそこに、伝える中での使い方がうまい、採用セリングの力がある会社であればあるほど、いろんな人をやっぱり引き寄せちゃうんですね。

その楽園性に合ってる人をもちろん引き寄せられるように、楽園の言語化をするわけですけれども、そうじゃなくても、やっぱりまずい人って入ってくるんですよ。それをEVIL、悪魔性とかって言ったりするんですけど。

ちょっと本当にまずいよねと。その人が入ると、周りの人がものすごい不幸になるよね、と。問題行為って言ったらあれですけど、会社で組織を揺るがすようなことを起こしちゃったりとか、その人が1人いることで、半径5メートル理論、その半径5メートルの人はものすごいつらい思いをしたり、楽園性を喪失させちゃったりするような人材っているんですよ。

ここは見抜かないと、楽園かどうかってのは別に組織を壊します。といっても、見抜き切れないんで、それでも入っちゃった場合は出口をしっかりしましょうってことで、後半戦の今津先生の「バスの降ろし方」のお話になるんですけど。

これ絶対セットですよ。バスの降ろし方、きちんと押さえておかないと、中小ベンチャー企業なんて、もしEVILな人が間違って1人、2人入っちゃったら、崩れますから。ただ、それでも入っちゃうよりは、まず弾きたいよねというところで「EVILな人を見抜く“必死の選考”」についてお話させていただきます。

社内のオフィシャルな場でやらない

まず大前提、EVIL、悪魔性って呼んでもいいと思うんですけれども、人間であれば誰でも持っているんですよね。いろんなグラデーション、その悪魔性が強い人、弱い人、いろんな種類ありますけれども、誰でも持ってます。

問題は、その悪魔性がまずいって話ではなくて、悪魔性に関してそれが強すぎる人、あるいは悪魔サイド持っててもいいんですよ。というか持ってますよ、誰でも、と。だけど、そこに無自覚な人ってEVILが出ちゃうんですよ、組織内で。あるいは強すぎて、さらに超優秀な人って、巧妙にEVIL、悪魔性を隠します。

この3つがやばいってなった時に、必死の選考ってどうやってやるかっていうと、こちら。まずは1つ目、「本音が出やすい環境設計」。選考、プロセスの中で、どこかでEVILさを、EVILな人材を弾くための必死の選考っていうのを、1発、どこかに入れなくちゃいけないんですけど。

ここにおいて、本音がとにかく、そこでは出やすいようにしなくちゃいけないんです。「ん、本音が出やすいってどういうこと?」と。これ、必要な方はメモしておいてください。一言で言うと、会議室や面接会場だとかの、社内のオフィシャルな場でやらないことです。

できる限りカジュアルダウンし、普段の人間性が出しやすいような環境を作ります。ピンときた方、いらっしゃると思います。食事や飲み会なんです。「えー、石川さん、今さら食事、飲み会ですか」と。「昭和ですね」って言われるかもしれないですけれども、昭和かどうかは関係ないんですよ、これ。

海外って、アメリカだとか中国が、すごい強い。あとヨーロッパが強いって言われますけれども、今、面接選考において会食入れない会社って、本当ないですよ。特に優秀な人材、高い役職の人間であればあるほど。そこで飲み会とかがしんどいってなった場合は、喫茶店でやるとか、ランチミーティングにするとかっていうふうに、食事だとかをかませるかたちで、別で設定するんです。

これ、人間も生物なので、生物学的に言うと、京大の人類学の権威の山極教授が言ってますけど、ご飯食べる、一緒に食べるってことはすごい大事なんですよ。そこって、お互いの生物学的に腹を見せ合うっていう。まさに一番危険なシーンなので。

我々も動物なので、その感覚持ってるわけですよ。だから、ご飯を食べたりする場所っていうのを作ることです。

「自己開示しない人」は「隠す人」の可能性がある

で、その上で2つ目は、圧倒的な自己開示です。どういうことかっていうと、これが先ほどみなさんにお出しした、私の自己紹介ノートに関わってくるんですけど。

これ、私、候補者に必ず送ってるんですよ。これです。見えていますかね、これ。見てください。これ、子どもも家族も出したら、人間性ど真ん中でバシバシ出してるみたいな。さらに、「人生のあらましとこれから」って、これ、もし目を通された方「いや、ちょっと出しすぎでしょ」って思われたかもしんないですけど。もうこれ、生まれた時の話からしてるわけです。自分の子どもの時の写真出して。これ、1歳かな、の私です(笑)。

こういう話をしながら、自分の人生を語り、向こうにも本音を出しやすい場所で、どんな人生だったんですかって話をして、いろんな話を聞くわけですよ。

この時に、ここまで私のほうから開示しているのに、返報性の法則が普通の人であれば働いて「あ、私もすごい家族はこういう感じで」とかって。で、しゃべらない人っていうのが、まずやばいんですよ、1個。

自己開示しないっていうのは隠す人の可能性があって。まあ自己開示した時に、しないっていうのが確実にやばいってわけじゃないんですけれども。これ1個目の、開示した時に相手がどう感じてくれるかってこと。返報性の出方っていうのは、1個の指標というか、シグナルになります。

で、さらにその上で、自分の悪魔性について共有するわけです。例えば、これちょっと文章の中で、「父と母だけでなく、姉にも途方もないほどの愛情と期待をかけられていたと思います」と。「3人には直接伝えたことはないですが、その愛情と期待に応えたいと思ってましたし、それが『すごい自分じゃなけない』っていうプレッシャーにもなっていたように思います」と。

圧倒的な自己開示に対する返報性がシグナルになる

これ、本当の自己開示なんですけど、だからこそ、ちょっとあんまりこういう公の場で言う話じゃないかもしれないですけど、私個人の自己開示、悪魔性とかっていうのをそのまま開させていただくと。これを、本音の出やすい環境で伝えるわけですよ。「こういう人生だったってわかってくれたと思うんだけど、だからこそなんだけど、誰でも人間って悪魔というか、悪いところってあると思うんだ」と。

で、「僕のこと開示すると、ぶっちゃけね。すごい人に愛されたいっていう気持ちが強い。だから、愛されてないと愛されてるっていう自覚がないと、すごいそこにもっと愛してほしい、愛してほしいっていうところで、問題行動が出たりとか。愛されてないって感じると、他人と比較して、私のほうがすごいよっていうふうに言いたくなっちゃったりとかっていうのは、昔からずっと根っこにあるような気がする」と。

「これはもう僕の人間性で、悪魔性のところだと思うから、それをうまくコントロールできるようにしていきたいし、そこをコントロールしていくのが、人間としての成長だと思ってるんだ」みたいな話を開示するわけですよ。

そうなると、圧倒的な自己開示に対して、返報性が出てきます。で、ここでも出てこなかったら、どれかしらになる可能性があるんですよ。当たる可能性があるんですよ。その時のシグナル見てください、ぜひ。わかりますよ、やっぱり。ここまで開示すると。

悪魔性は、悪魔性が強い人から見るとわかる

そして、最後。この2つは、また全然別軸の話になるんですけども。悪魔性って、悪魔性が強い人から見るとわかるっていうのは結構あって。これ性格の悪い人。社内で本当に最高の人材だけど、すごい人を疑いやすかったりとかっていうのは、強い人は、その強みはここで活かせるので。

性格悪いって、ちょっと表現良くないかもしれないですけれども、ここのところを成功ベースに1つ入れると、うまくいきやすいかなと思います。

あんまり自分でいうような話ではないと思うんですけど、白潟総研の代表の白潟と、あと私って、多分ものすごい性格いいと思うんですよ。本当に自分で言うなって話なんですけど。

だから、結構見抜けないところがあって。社内できちんと相手を見定める目がある、悪魔性に気付きやすい人に、プロセスに必ず入ってもらってたりするんです。これも、1つの工夫かなと思います。

以上、私のほうからお話させていただく「誰をバスにのせるか」の入口の話でございました。