余剰エネルギーを戦争に向ける人類の愚かさ
岸浪龍氏(以下、岸浪):「この祭り、結局誰がやりたいんだっけ」みたいなことってけっこうあるじゃないですか。
坂東孝浩氏(以下、坂東):あるある。会社もそうっすよね。
岸浪:そうですよね。だけど、「べき」で回ってて、誰がこれをやりたいと思っているのかがもうわからないけど、続いてるみたいな。
坂東:そうっすね、そうっすね。たけちゃんもよく言うけど、この売上、誰が作りたいんだっけみたいな。
岸浪:そうそう。
坂東:会社の中ではそういうのあるよねみたいな。
武井浩三氏(以下、武井):無駄な売上ね。
坂東:無駄な売上。
武井:『ブルシット・ジョブ』って最近言われ始めましたけど。デヴィッド・グレーバーさんが、社会の売上の8割ぐらいは、仕事のための仕事とか、お金のための仕事で、何の役にも立っていない仕事だって言っていて。本当そうだなと思って。
でも農業とか1次産業は人間が生きるために直結しているし。2次産業とかもね。だけど、そこから離れていけばいくほど、なくても良くなってきたり。エンタメとかは楽しいとかあるかもしれないけど、金融なんかは、もうほとんどいらないですからね。
岸浪:金融と事務はほとんどいらないでしょうね(笑)。
武井:そう、事務作業も。アズワンの創設メンバーの1人の小野(雅司)さんに言われて、すっごいハッとしたというか、そのとおりだなと思ったのが、「人間の想像力とか、エネルギーってこんなもんじゃねえから」って。
「今の社会はそれをどれだけ押しとどめてるんだ」と言っていて。「人間はこんなもんじゃねえ」と。すげぇ確かにと思って。だから、俺はベーシックインカムを出したいんですよね。
坂東:なるほど。
武井:人類に必要なのは、経済成長じゃなくて、文明発展なんですよね。経済成長で、お金で採算がとれるものしかできないってなると、教育とか医療とか福祉はできなくなっちゃうし。家族関係とか友人関係もコストでしかないし。
それからR&Dみたいな科学の基礎研究。例えばフリーエネルギーとか、量子コンピューターとか、量子インターネットとか、とんでもない技術への投資って基本的にできないんっすよね。
文明の発達って、エネルギー論で言うと、余剰エネルギーなんですよね。余ったエネルギーをどこに注ぐかが、文明の発達や人類の発達であって。でも、それを戦争に向けちゃっている人類の愚かさみたいな。
殺しあうエネルギーとか、軍事産業にかけているエネルギーを全部世界の発展に向けたら、どんだけの速度で人間は進化するんだよって、マジで思うけど。まあ、今はその過渡期を楽しむタイミングなんで。
「この仕事無駄じゃね?」を言える会社
坂東:そういうのが髪の毛に積もっちゃったんですかね。
武井:そうなんですよ。龍さんにも言いたいんですけど、俺、髪の毛を30センチぐらい切ったんですけど、そういう人類の悲しみみたいなのがぐわって入ってきちゃって。
坂東:(笑)。
岸浪:へ~。
武井:呼吸ができなくなって、涙が溢れたり、体に影響が出ちゃって。やべえやべえと思っていたら。インディアンに詳しい山下悠一さんって方が「それ、たぶん髪の毛だよ」って言って。
岸浪:へぇ~。
武井:切った瞬間に、ふわって軽くなって。あれはびっくりした。たぶん顔色とかもぜんぜん違ったんですよね。
坂東:私もその時一緒にいたんですけど、切った瞬間から目の輝きとかが全然変わってきて。こんなに人って変わるんだと思って。
武井:エネルギーってあるんだなって体感しちゃった。
坂東:さっきたけちゃんが言ってた人間の想像力とエネルギーってこんなもんじゃねえからっていうのが、おふくろさん弁当でも起きてんだなと思ったんですけど。
「この仕事無駄じゃね?」みたいなことを、普通の会社だったら思っていても言えないけど、おふくろさん弁当だったらたぶん言えるんでしょうね。
岸浪:そうですね。「こんなことしなくていいんじゃない?」とかね。
坂東:言いたいことが言いあえる良い関係性なら、自分のエネルギーもより良いかたちで発揮されるっていうか。
武井:そうですね。
坂東:たぶん当たり前のことなんだけど。
岸浪:そうですね。
言われてもいなのに社員が次々と新商品を提案するわけ
岸浪:僕ら、言ってみたら、実質ベーシックインカム状態にあると思うんですけど。
武井:あながち。
坂東:すごいです(笑)。
岸浪:その中で暮らしているから、例えばおふくろさん弁当って、なんかめちゃめちゃ新製品がばんばん出てくるんですけど。
坂東:へぇ~。
武井:(笑)。
岸浪:またこんなの開発したの? みたいなばんばん出てくるんですよ。
そういう実質ベーシックインカム状態の中で、安心して暮らしている状態になると、「あんなこともやってみたい」とか、「こんなこともやってみたい」とか、「こんなん作ってみたい」とかがばんばん出てくる感じがするんですね。
武井:そうそう。それそれ。
坂東:わかる。
岸浪:そのエネルギーと、「商品開発部なんだから、今週中にあと3つ商品開発しな」とか言われてやるのとでは、ぜんぜん出てくる質が違ってくると思うんですよね。
坂東:なるほど。
岸浪:狙っているわけじゃないですけど、結果としてそこが企業力になっているし。
坂東:結果としてですよね。
岸浪:そう、結果として。そっちから言ったほうが圧倒的に早いなって、やっていて思いますね。
坂東:ただ、そこに行くまでにけっこう時間がかかりますよね。
岸浪:そうですね。やっぱり親しくなるって一朝一夕ではいかないから。
坂東:いかないっすよね。
岸浪:じっくり時間をかけながら、それぞれがこうすべきだっていうのを下ろしていく。まあ、それも楽しみながらやっていく感じですけどね。
坂東:それって、事業の成長とかを目的に掲げていたら、たぶん耐えられないですよね。
岸浪:そうですね。そこまで待てないかもしれないですね。
坂東:待てないですよね。いや、おもしろいっすね。
幸せに楽に生きていくことの追求
武井:そろそろいいお時間になってきましたけれども。
坂東:そうっすね。最後に案内だけしてクロージングしていきたいと思います。
岸浪:はい。
坂東:ちょっと興奮しますね。なんか楽しい興奮だな。
岸浪:そうですね。
坂東:はい。ぜひみなさんアンケートで振り返りのメッセージをお願いします。それから寄付も受け付けていますので、今日はスパチャができて、すでに寄付をいただいた方もいて。ありがとうございます。本当にうれしい。
私たちは経営のアップデートや組織のパラダイムシフトをやっているんですけど、そういったことを具体的に知りたい方にはリアルとオンラインでセミナーをやっています。それからDXOの解説動画ですね。たけちゃんが6時間半語り尽くしたという。
岸浪:おぉ~。
坂東:そうなんすよ。すごいっす。6時間半でもちょっと足りないぐらいだったんですけど。これは有料ですけど、手に入りますので、よかったら購入してみてください。
最後にこれからコミュニティをどうしていきたいかみたいなところをおうかがいしてもいいですか。
岸浪:僕は小学生の頃から、戦争があるとか、人が人を殺しているとかが嫌だったんですよね。
仲良く暮らしたらいいのにみたいなのがずっとあって。だから今いろんなことを実験しているんですけど。自分たちが楽しく楽に暮らせたらいいっていうことを、そんなに目指してるわけでもなくて。もっと人類が進化して、幸せに楽に生きていくことを目指せないかなと思っていて。
その実験材料の1つになればいいなと思って暮らしている感じです。だから、20人でやっていた時は、20人が家族のように暮らすってどんな感じかなとか。
今は、100人、200人だったらどんな感じでやれるかなとか。さらに500人、1,000人になったらどんな感じで家族のような暮らしができるかなとか。
坂東:やっぱり、そっか、そっか。
岸浪:別にこの鈴鹿を大きくするということだけじゃなくて、本当に世界中の人が幸せに争いなく、暮らしていけるというのは、どういう姿なのかなって。それをまずは小さいラボで研究して、世界中の人に見てもらって、一緒に考えていきたいなって思っています。
坂東:なるほど、なるほど。世界中がつながっていくといいなと思っているんですね。
岸浪:そうですね。
坂東:家族のかたちって、やっぱり人数によって変わってくるんですか。
岸浪:僕らが20人の頃は、全員で集まって「どうする?」って話ができたけど、今のように200人ぐらいになると、全員で集まるのがなかなか難しくなって、どういう機構と運営を投入するかって研究が大事になってくる。1,000人だったらどういう機構と運営が必要かとかね。
坂東:なるほどね。おもしろいっす。
武井:おもしろいでしょう?
坂東:おもしろい。おもしろい。
「あー、そういう人たちもいるよね」で終わらせてほしくない
坂東:たけちゃんからも一言もらって終わりましょう。
武井:みなさま今日はありがとうございました。僕は組織のあり方を追求していて、どうやったらみんなが幸せになれる会社を作れるかって考えたら、社会が変わんなきゃ無理だなって思って。
ダイヤモンドメディアって会社を手放して、今、社会システムデザイナーって勝手に名乗っていますけど、街づくりとかいろんな活動をこうやっていて。でもなんかアズワンと「いや、結局やってること一緒!」みたいな感じなんですよね。
坂東:確かに。
武井:だから、僕も地域コミュニティを作って、地域コミュニティの中でお金も融通させるってことまでしたいなとは思うけど、けっこうなかなかハードルが高くて。
アズワンが経済共同体も一緒くたになれている理由って、やっぱりきちっと収益性のある事業をコミュニティの中でやっていることがけっこう重要だと思っていて。
坂東:確かに。
武井:しかも無駄がないんですよね。野菜作りからお弁当。それを自分たちでも食べるみたいな。そういうお店を今、僕は世田谷で作ろうとしているんですよね。
坂東:なるほど。
武井:アズワンと逆ルートから来てるみたいな感じなんだけど(笑)。
(一同笑)
岸浪:いいですよね。いろんなルートから。
武井:生きるとか暮らすって、それ自体が経済だし、経済の本質は助け合いなわけで。お金が経済じゃないから。今、日本だけじゃなく、世界中のいろんなところで、こういう取り組みの芽が出始めていると思うんですよね。なんだったらこれをブロックチェーンでやろうとか、暗号資産でやろうっていう人たちが出てきているぐらい。
だから僕はアズワンの取り組みを「あー、そういう人たちもいるよね」で終わらせてほしくなくて。
これが人類が向かっていく方向性だと思っているので。でも、そのあり方はそれぞれが好きなようにデザインすればよくて。でも、大きな方向性は絶対こっちなんで。もっともっとアズワンを知ってほしいなって思っています。
坂東:ありがとうございます。
岸浪:ぜひ一緒にやっていきましょう。
武井:ね(笑)。
坂東:いや、今日は本当にありがとうございました。楽しい時間でした。
岸浪:声をかけていただいて、ありがとうございました。
坂東:ありがとうございます。これにて、トークライブを終わります。みなさん、ありがとうございました。
岸浪:ありがとうございます。