2024.12.24
ビジネスが急速に変化する現代は「OODAサイクル」と親和性が高い 流通卸売業界を取り巻く5つの課題と打開策
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安田雅彦氏(以下、安田):安田でございます。よろしくお願いします。これから30分ほどお話しさせていただきます。
リスキリングそのものが大事か大事じゃないかは、みなさん、たぶんもうおわかりだと思います。具体的にどうリスキリングをやっていくかについては、おそらくこのイベントを主催したカオナビさんやUMUさんが、ソリューションや手段としてすばらしいものをお持ちだと思うんです。
僕はリスキリングの前提というか、どのへんが大事かをお話しさせていただければと思います。簡単に自己紹介させていただきますと、私、安田雅彦と言います。67年生まれの55歳です。
今はWe Are The Peopleという会社の代表をしてますが、もともと大学を出て、スーパーマーケットの西友という会社に入り、そこで10年ほど人事をしていました。
その後、2000年前後は非常に総合小売りの調子があまり良くなかったものですから、人事のプロになろうということで、2001年に今のケリングであるグッチグループジャパンに転職をしました。
そこからはずっと外資系で、2008年にジョンソン・エンド・ジョンソン。2013年にアストラゼネカ。最後はラッシュというイギリスのコスメティックカンパニー。ラッシュジャパンはアジアのラッシュ店舗のすべての製品を作る、アジアの製造拠点みたいなところだったので意外と1,800人ぐらい社員がいる大企業で、そこで人事の統括責任者をやっていました。
気づいたら30年ぐらい人事をずっとやっています。これまでやってきたことで、より大きなインパクトを与えたいと思った時に、このまま外資系のキャリアを続けるよりは、日本の中小企業のみなさんのコンサルティングをしたりするほうがどうやら役に立ちそうだと思い、独立・起業いたしました。
そのように、私ははずっと大手外資系にいましたが、人と組織の課題は本質的には変わらないと思うので、なかなか人事にリソースを割けない中小企業の経営者の方に対して、いわゆる社外人事部長的にコンサルティングをしています。
今だいたい22社ぐらいのコンサルティングをしたり、今日みたいな講演をして、日々過ごしています。
企業人事を30年近くやっていまして、これは一通りすべてやっていますという、自慢のためのスライドです(笑)。
基本的に、ほぼ人事領域におけるすべてのエリアを経験してきたと思います。
今日お話しする内容はこれです。
人事と言っても広うございまして、どういうことを人事と捉えるかですが、グランドデザインはこうなっていると思います。一番下に組織文化や価値観、パーパスがあって。その下にマネジメントを概念的にどう理解しているかとか、努力して作る良好な人間関係やフィードバックカルチャーみたいなところがあって。その上にきちんと制度が乗っかっている。
これがあるから、人事戦略、人材戦略みたいなものが奏功して、結果的に「ヒト」をドライバーとしたビジネス成長やスタッフエンゲージメントが上がると思うんですね。
なので、これらはすべて因果があると言いますか、グランドデザインとして、構造として人事はこのようになっていると僕は理解しています。
私が人事の戦略をどう考えるかについて、後々キャリアの話にも関係してくるので、最初にお話しします。私の考えはすごくシンプルです。まずビジネスゴールがありますと。最近で言うと数値目標だけじゃなく、いわゆる価値ですよね。具体的に我々が5年後にマーケットからどう言われたいのかと。
我々のビジネスが2倍になったら、世の中にどういう変化が起きるかというところまでを具体的、写実的にイメージする。これをビジネスゴールとして描いた時に、当然そこに行き着くまでには、必要な能力があります。ケイパビリティとは「組織能力」と理解していただいてけっこうです。
今の組織能力と、将来行きたいところに必要なそれとはギャップがあるわけですよね。このギャップを“ヒト”で埋めるということを考える。当然、今はないわけですよね。将来行くために必要な能力が今あれば、到達しているわけですから。
戦略人事で言うと、将来の成長のために必要なケイパビリティギャップを人の成長で埋めると考えると、できることは育てるか採るかしかないわけですよね。これをクリアにすると。
要するに、「どうなりたいか」があって、そのために「何が必要か」を理解して、「今持っているものとのギャップ」を図ると。これをきちんと埋めていくことが人事戦略になります。
これをうまくワークさせるのは、戦略そのものもそうですが、そこで働く一人ひとりの社員のキャリア意志も同様に大切です。自分はどうありたいというキャリア意志を持っているかどうか。それをより良いキャリアにしていきたいというキャリアアスピレーション、野心ですよね。それがあるかどうかが、すごく鍵を握るところです。
今回はリスキリングというタイトルですが、そもそもそれがあってのリスキリングだと思いますので、いかに個人のキャリア意志や、組織におけるキャリアアスピレーションを向上させるかについて、お話ししたいと思います。
今更ですけど、リスキリングは2021年の経済産業省の「デジタル時代の人材政策に関する検討会」というところから始まったんですね。私、実はこれを調べて「そうなんだ」と思ったんです。最近の岸田首相の発言にもありますけども。これによると、主に企業の従業員が成長分野の仕事へ就労移行するために学び直すことが、リスキリングの定義だそうです。
なんですが、私の経験上このリスキリングをうまくやる勘所は、1点は先ほどと同じことを言うようですが、いかにして社員自身のキャリア意識と組織戦略を一致させるか。ここが非常に重要になります。
人材開発、能力開発においても、あえて新しい成長分野に行くためにリスキリングするにおいても、結果的には本人がどうなりたいかと、会社としてどうありたいかの方向性をきちんとクリアにして一致させることがすごく大事です。
もうちょっと前提を言うとエンゲージしている状態ですね。その組織や職場にエンゲージしている。エンゲージメントを日本語に訳すと、その仕事と深く関わりたいという意志とかですね。明日もここで働きたい、この仕事を続けたいと思う気持ちみたいなことを言うと思うんですけれども。
それがあるからこそリスキリングもするわけですよね。なので、エンゲージメントを高める状態を作ったほうが、リスキリングはうまくワークすると自分は経験上思います。
そこで、突然ですけどパーパス経営。先ほど、人事のグランドデザインの下支えになるベースのところでパーパスを黄色くしていましたけど。この2~3年ぐらいパーパスという言葉をよく聞きますけど、存在意義と訳されることが多いです。
会社は何のために存在しているのか。社会に対してどのような責任を持つのか。どのような変化を起こすのか。先ほどもちょっと言いましたが、我々のビジネスが今100億円として、200億円になったら何が起きるんですかというところですね。
そして、どのような価値を提供するのか。社員は何のために働いているのか。その問いの答えとなるものですね。
もともと経営理念とか共有する価値観などがあったわけですね。私が過去に働いた会社では、ジョンソン・エンド・ジョンソンの「Our Credo」(我が信条)や、ラッシュの「We Believe」とか。そういうものがあります。
パーパスは顧客、自社、社員という直線的な関係だけじゃなく、より多くのステークホルダーに同時に価値をもたらす、変化をもたらすものです。よく大きな船と言われますね。
最近の文脈で言えば、「地球」などば、例えば30年前にはなかったステークホルダーの1つだと思います。そういうことも含めて、きちんとした自社の理念を持ち、会社を経営していくことがパーパス経営です。
では、会社のパーパスがある一方で、個人はどうなのか。これは、僕がいつもワークショップをする時に、参加者に対する問いとして出すものですけど。
あなたは何を欲しますかと。みなさんがライフにおいて実現したいこと、欲していることをどれぐらい書けますかというのをやるんですね。
一方で、今みなさんがやっている仕事には、どういう価値がありますかと。世の中にどんな影響をもたらしているのか。仕事で世の中にどういう影響を与えているかを考えていただくんですね。
あなたが世の中で実現したいことと、それがもたらす価値が、どういう相関関係にあるのかを考えてみる。
つまり、あなたが所属する組織でも、あなたがいる会社でもいいんですけども、そこのパーパスと、あなた個人のパーパスがどういう関係にありますかということなんですよね。これが重なっていることが、これから非常に大事になってくる。
究極を言うと、パーパス経営は組織のパーパスと、そこに集まる人のパーパスが、ある程度の一致を持っていることが非常に大事であり、この構造がエンゲージメントを生み出す。結果的にはビジネスをドライブすると。
ということは、会社はいかにここの一致点を求めていくか。一致点となる、社員が共感できるパーパスをちゃんと持つか。言い方を変えると、共感できるパーパスを持つ個人をいかに会社に引きつけるかが非常に重要になるという話です。
個人が人生で成し遂げたいこと、こうやって世の中に影響を与えたいんだということと仕事がある程度一致している。さらに、それが組織のパーパスと完全に一致することってあまりないと思うんですけど、ベン図でいう「A∩B」の部分をどれぐらい増やすかが、これからの企業に求められる1つの姿勢ではないかと思います。
なので、さっきと同じ図ですけど、いかにその一人ひとりのキャリア、働くことに、それぞれの意志を持たせるかが、まず大前提としてすごく大事だと思います。
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