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「変革する企業のCIOが本音で語る! システムの内製化が進む今、ITベンダーに求められる付き合い方とは!?」 (全2記事)

2023.02.28

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企業にとって長く付き合いたくなるITベンダーの条件は? 大企業のCIOたちが語る本音

提供:ウイングアーク1st株式会社

ウイングアーク1st株式会社が主催する「WARP Summit 2023」は、WARPパートナー企業への感謝を込めて、新たな提案につながるヒントを届けることを目指すイベントです。本記事では「企業におけるITの内製化」をテーマに、国内大手企業のCIOたちが登壇し、これからのITベンダーに求めることを本音で語るスペシャルセッションをお届けします。後編では、企業とITベンダーとの理想の関係性や協力体制のあり方について意見を交わしました。

ITベンダーが「顧客にとって一番いいやり方」を認識しているか

矢島孝應氏(以下、矢島):黒田さん、(ITベンダーとして)お客さまのところを攻める時に、直接ユーザー部門を攻めるやり方と、情報システム部門もしくは経営者にアプローチするパターンがあるでしょう。職場に行く時に情報システム部隊には声をかけている? かけていない?

黒田研氏(以下、黒田):そうですね……(笑)。

矢島:まぁまぁ、いろいろあるやろうけど(笑)。

黒田:営業によって違うと思うんですね。できる営業は、やはり情シスにお断りをしていって、お客さま内のコミュニケーションがちゃんとできるような話に持っていくんですけれども。現場から声がかかると、やはり物売りのほうに行ってしまうと。

矢島:現場も「情シスにお願いしたい言うたら、また『あかん!』言いよるから、もう言わんといて」と言うやつもおるよね。

黒田:そうです、そうです。(情シスには)「言わないでくれ」「独自でやらせてくれ」ということもありますね。

小和瀬浩之氏(以下、小和瀬):でも矢島さん、だから私はベンダーの方が現場にどんどん提案すればいいと思うんですよ。ただ、我々が付加価値をつけられれば、現場から必ず相談がきます。

矢島:小和瀬さんは、もうそこをすごく理解してるから。だけど逆に、あの旧態依然としたCIO……。

小和瀬:「あれやっちゃダメ」「これやっちゃダメ」みたいなね。

矢島:「俺通さんか、あほ!」みたいなやつがいっぱい残ってますんでね。

小和瀬:(笑)。

矢島:いや、だから僕は思うのよね。チクるわけやないんだけど、やっぱり(ベンダーさんから)情報システム(部門)にもしっかりと伝えていただいて、情報システム(部門)から何かあれば我々が答えますから、というかたちにすることは大事だと思うね。

小和瀬:一番重要なのは、やっぱりベンダーさんがその会社にとって一番いいやり方をちゃんと認識するということ。だって、やりたいことは、その会社が前に進むことじゃないですか。

会社によっていろいろな(ルールがあったりして)、どうしてもIT部門の長を通さないといけないというのであれば、せっかく現場にした提案も逆に邪魔されちゃうぐらいの(壁ができてしまう)。要は「そんなのセキュリティでダメだよ」とか。そうならないように、やっぱり相手の会社の立場を考える。

逆に私がベンダーさんと付き合う時も、一度付き合うと長いお付き合いになるんです。ベンダーの方が会社が変わっても、長いお付き合いをするんだけど、私がもし相手の立場だったら、こんなことを言われたら嫌だなということは絶対しないです。

だから、やっぱり相手のことを考えるというのは、コミュニケーションとか人付き合いの基本かなと思ってるんですけどね。

情報システム部門とITベンダーは“戦友”になれる

矢島:板野さんはどうですか。(ベンダーさんが提案する時に)職場に行く、もしくは極論を言うと経営者に行く。でも、(CIOの)板野さんには黙っとけみたいな。あるかないか知らんけどね。

(一同笑)

板野則弘氏(以下、板野):ないです(笑)。

矢島:いや、今は本当にいろいろなソリューションがあると思います。さっきおっしゃってたクラウドやSaaS、いろいろなものがある中で、企業としてどういうかたちで接していただけたら、一番受け入れやすいし、一緒になって考えていけるでしょうか。

板野:私も2社にわたって、いろいろなベンダーコンサルの方から提案を受けて、うまくいったケースもうまくいかなかったケースもたくさん経験した中で、入り口はあんまり気にしないというか。

必ずしも(情報)システム(部門)を通さないといけない、あるいはユーザーと直でやるというのは、結果としてはあまり関係ない。いいものはやっぱりいいから。だけど、大事に円滑に、効率的にやるためには、入り口は別でも、結局は関係者がみんな集まってやっていかないと、いい結果には収まらない。

もう本当にローカルのベンダーさんにとっても、1回売れたら、それを全社に展開したいという思いは必ずあるでしょうし。我々としても、いいものは全社で展開して使いたい。

だから、(情報)システム部門は、ベンダーさんの発注者と受注者という関係性は、もう早急に捨てるべきだと思っています。これだけ複雑で、高度なものを使わないといけない時に、自分たちだけで何かできる時代ではないので。もう人間関係と一緒だと思うんですね。お互いにギブアンドテイクの関係がない状態では、たぶん長続きしないと思います。

ただ、会社の中でやっぱり経営レベルの人にしゃべることと、スタッフレベル、それからオペレーターレベル、もっとあるかもしれないですけど、やっぱり、それぞれに対するつぼを押さえるのは、我々自身もいつも困っているところです。

逆に言うと、本来だと(情報)システム部門は(ベンダーさんと)戦友になりうるポジションじゃないかなと思います。

だから、入り口はキーマンをうまく見つけて、ただ(取り組みを)やる時には、関係者みんなが集まっているのが失敗しない時の理想かなと思いますよね。

「ギブアンドテイク」か「テイクアンドテイク」か

矢島:そんな中で、例えばこんな営業とは付き合えなかったという事例もしくは、本当に深く付き合ったっていう。いい事例でも悪い事例でもいいんですけど、何か1つずつあればお願いします。小和瀬さん、どうですか。

小和瀬:私はやっぱりベンダーさんともWin-Winの関係を必ず作りますね。ベンダーさん、もしくはベンダーの営業さんもそれぞれ立場があるので、値引ける範囲も決まってるし。だから、ベンダーさんがうちと付き合うことによって、ベンダーさんにとってもうちにとってもWinになるか。

矢島:小和瀬さんみたいに、Win-Winに作っていこうと思ってくれる人ばかりだったらいいけどね。ベンダーさんから見た時に、「こんなやつ来たけど、俺もう二度と会えへんかってん」とか。「こういうやつのここにすごく心打たれてん」というベースみたいなものはない?

小和瀬:いや、私がもしベンダーの立場だったら、(クライアント側が)とんでもないところだったら、とんでもないことをやってもいいと思いますよ。ぼろもうけして。

矢島:(笑)。ただ、小和瀬さんや会社にとって絶対メリットがあるということを……。

小和瀬:いや、別に(良くない会社なら、ベンダー側も)食い物にしてもいいと思うんですよ。もしくはそういう担当しかいなかったら。その代わり、まあ、その会社や担当と長いお付き合いはできないですよね。

さっき板野さんが言われたように、そこはベンダーさんも対等の関係です。我々はお客さまで、注文をやるからと言っても、別に私個人のお金で発注をお願いしてるわけじゃなくて、会社の金を使わせていただいていて、我々だって自分で稼いでいるお金ではないので。ただ、相手がそういう会社だったら、それなりの付き合い。

矢島:……にしろと(笑)。そういうことです?(笑)。

小和瀬:そう思いますよ。ただ、やっぱりもっと考えなくちゃいけないのは、日本の会社がやっぱりがんばっていかないと、日本の社会が(良くなっていかない)……。

矢島:そうだね。やっぱり、そこの視点は大事ですね。

小和瀬:そうそう。やっぱり日本を盛り上げていかないといけないという視点を最初から(持っているかどうか)。

矢島:そういう意味での長い付き合いよね。

小和瀬:そうそう。だから、ギブアンドテイクができる会社だったらいいんだけど、そうじゃなかったら、テイクアンドテイクでいいんじゃないですか(笑)。

顧客でも言うべきことを言い、必要なら本気で怒ってくれる関係

矢島:板野さんはどうでしょうか。何かあれば短く。

板野:ネガティブワードはちょっと言いたくないですけど、ネガティブなほうが短く終わるので(笑)。

矢島:あ、いいよ。いいよ。

板野:少なくとも営業と技術の人が仲のいい会社であってほしいなというね。要するに、ユーザーの前に来た時に、ちょっとギクシャクしちゃうと、それはやっぱりちょっと……。

矢島:正直に言うてる技術系と、売りたい営業系。

(一同笑)

板野:信頼関係を築く上で、やっぱり1枚岩になっていてもらいたいなというのはありますね。

小和瀬:矢島さん、1点ね。私が今までで感動した営業が1人だけいるんだけど。(今でも)その人とお付き合いがあって、その製品を使っているんだけど、トラブルが起きるじゃないですか。そうすると、いの一番に営業が来る。それでトラブルの中、ずっと営業が帰らないんですよ。

矢島:しんどい時ほど、そういう姿勢を見せることは、相手のことを考えているものね。

小和瀬:営業は何もできないですよね。それでもずーっといる。

板野:すみません、1個だけ。いい話の時に申し訳ない。

矢島:(笑)。

板野:私は今まで2人の営業さんから、本気で怒られたことがあるんですよ。やっぱりユーザーと言えども、言うべきことはきちんと言うっていう。

矢島:そうですね。そこは大事やね。

板野:やっぱりそうやってくれる人のほうが(いい)。なんでも言われたとおりやりますというのは、むしろちょっとマイナスになる時もあるかなと思います。すみません(笑)。

矢島:いえいえ。私も今まで本当に一番信頼してきたメンバーは、その会社のソリューションじゃないとわかってても、困って聞いた時は答えてくれる。「うちはそこは対応しませんわ」で終わった人と、「1回考えてみます」言うて、ぜんぜん自分の会社のものじゃないんだけど、「ここの会社はこういうのありますよ」と持ってきてくれた人。僕は、この人とは生涯付き合ったね。

DXを進めていく企業に求められる視座

矢島:まあ時間もどんどん過ぎてきてるんですけども、最後に(お聞きしたいと思います)。今までのITデジタルだけで(は解決)できない分野が、どんどんできてきてる。SDGs経営とか、こんな世界にも今から踏み込んでいかないといけない。

そういうことも踏まえて、最後にみなさまから、今日聞いていただいてる方々に何を期待したいか。これから一緒にお付き合いしていきたいかというのがあればいただきたいんですけどね。小和瀬さん。

小和瀬:これからというか、今までもそうだったんですけど、やっぱり我々がやらなくちゃいけないこと、やりたいことというのが多々あります。

そういう意味で言うと、実は荏原は今、本当にDXで。DXはデジタルトランスフォーメーションなので、それ自体はあれですけど。経営改革や業務改革、事業改革を進めているわけですけど、やらなきゃいけないことが山のようにあるんですよ。

そういう中で、もちろん我々だけじゃできないこともたくさんあるし。我々はエンジニアの集団なので、技術を身につけていかなくちゃいけないんだけど。板野さんも言われてるように、新しい技術はそう簡単には身につかない。

だから、やっぱりベンダーさんにも相当入っていただく。人が足りなくて困るくらいなので入っていただいて、その中できちんと付加価値を上げて、価値を提供していただくことがすごく重要だし。

あと、SDGsの話になると、うちも今、温室効果ガスについて、E-Vision2030の中で、2030年までに1億トンのCO2を削減すると掲げているんですけど。例えば荏原は「つながるポンプ」ということで、我々がお客さまに納めさせていただいたポンプがどういう状況かというのをデジタルで(可視化していったり)。

矢島:相手の立場になって、相手の目的を達成するために支援していかないといけない。

小和瀬:そうですね。相手の会社さんにとっては、ポンプだけ、仮にCO2などをモニターできてもあんまり意味がなくて。だから、ドイツなんかを見てると、やっぱりそういう社会……。

矢島:インダストリアル(インダストリー4.0:サプライチェーン管理の効率化を図り、国内の製造業全体を一つの「スマート工場」として機能させようとする構想)だよね。

小和瀬:そう。1つの会社さんでそれをやるのは、ベンダーさんもすごく難しいと思うんですけど。

矢島:これは日本の課題やから、そこをどう解決するかという話はどうしようもないけど、企業はやっぱりそこ(業界全体の効率化)に取り組まないといけないということを、もう経営として考え始めている。

小和瀬:そうです。

SDGsもセキュリティもサプライチェーンも1社では対応できない

矢島:だから、ITデジタルもそこまで視点を持った上で進めていかなあかんというところで、みなさまもどんどん先を見た提案をしていただけたらいいんちゃうかなと思うんですけど。板野さん、最後にどうですか。

板野:はい。組織が違うことによって生まれるいろいろな軋轢を超えるには、やっぱりギブアンドテイクの信頼関係をどう築くか。

それから、内製化と言われていても、結局は役割分担をどう変えるか。本当に適正な組織ってないと思うんです。時代や必要性に応じてフレキシブルに変わるし、常に動いている状態が適正だと思うんですね。

一長一短ある中で、矢島さんの最初のお話にありましたけど、自分たちの会社さえ良ければいい時代はもう終わっていますので。要するに日本はグローバル、あるいは地球環境も保ちながら、ビジネスで何をしないといけないかとなると、必ず外に手を伸ばしていかないといけない。

だから、SDGsもセキュリティも(取り組まないといけないし)、これからサプライチェーンが重要になってくると思うんですけど。(その中で)セキュリティはもう極めてわかりやすいというか、実は一民間企業としては最先端のものはいらないんです。いくらやったって、100パーセント安全という世界はないから。

ちょっと語弊はありますけど、私は「世間並みのレベルを目指します」ということを公言しています。世間並みというのはすごく難しい概念ですが、要するに何かあった時に「やるべきことはやっていました」と言い切れることがまず大事で。

それは時代によって変わっていって、そのアンテナを一番持ってらっしゃるのは間違いなくベンダーの方、コンサルの方。環境問題もセキュリティも、欧州中心にどんどん個人情報からSDGs(まで)仕掛けだけ出てきてしまうので。それにどう乗るかというのは、1社1社で対応するのは、もう無理だと思うんですね。

だから、やっぱり外部のみなさまと高くアンテナをあげながら、一緒にギブアンドテイクしながらWin-Winの関係をしっかり築いていく世界を目指さないといけないと思います。

発注者・受注者という関係性だと、もう間違いなく何もうまくいかないと思います。だから、私はパートナーとしての役割を持って、「この部分はぜひ教えてください。逆に指導してください。怒ってください」というくらいのスタンスでいきたいと思います。

プロゴルファーとキャディにも通じる、企業とITベンダーの関係

矢島:ありがとうございます。あっという間に時間が来て、まだまだ聞きたいことがいっぱいあるんですけれども。今日は、会社を知る、考える、ギブアンドテイクする、キーマンをもっと知ってほしいとか、長い付き合いでパートナーとしてやっていくべきだというようなお話をいただきました。

今のお話を聞いていて、プロゴルファーとキャディの関係やなと。実はこの3人はよくゴルフをするんですけど、この間、松山英樹さんの専属キャディの方にいろいろお話をうかがったことがあって。

やっぱり、小和瀬さんという人間を知ってクラブを持っていかないとならない。小和瀬さんにふにゃふにゃのシャフトを持っていったって、絶対打たれへんから。

小和瀬:(笑)。

矢島:やっぱりガチンガチンのシャフトを持っていかないといけない。今、板野さんからやっぱりセキュリティも考える必要があるけど、100パーセントはできないと。

どんなプロでもOBは絶対に打てない……。それは打ったらあかんねんけど、打って崩れる人ではなくて、打った時もどうメンタルを維持するかというところを共に進めていく。

松山さんのキャディの方も言ってたのが、たまに試合中でも大喧嘩するらしいんですね。「いや、何番で打つ」「いやいや、もっと低く打ったほうがええ」って。松山さんのほうが上手いのはわかってるので、偉そうに言うたら「お前より俺のほうがゴルフできんねんから、指示すんな」と怒り出して、もう潰れちゃいますよね。

それと一緒やと思うんよね。その人(キャディさん)はちゃんと客観的に見てアドバイスをしたから、(松山さんも)あれだけの成績を残してきた。

最近女子プロで、キャディさんと口論になった動画がYouTubeに上がっていましたが、やっぱり(本来はお互いに尊重し合って)パートナーとして組んでいるからやっていける。

売り手・買い手ではなくパートナーとしての協働へ

矢島:本当に雇われキャディじゃなくて、その人のためのキャディだというかたちであれば、言うべきことは言っていただいたほうがいいし。(相手のことを)知って適切なものをちゃんと提案していく。

松山さんのキャリーの方ももう長くやってきたから、松山英樹さんがああやって優勝できるような世界に来たんやなと。

日本の企業のお話もありましたけど、やっぱり日本の企業をITデジタルによってどんどん強化していくために、みなさまも各企業に力強いご支援をしていただきたいと思います。

今日はいろいろないいお話をいただいて、小和瀬さん、板野さん、本当にありがとうございました。

小和瀬・板野:ありがとうございました。

矢島:黒田さん、おつかれさまでした。

黒田:ありがとうございました。日々の営業活動の中で、CIOの方々の本音を聞く機会は本当に少ないかと思います。

内製化というのは1つの事象であって、やはりその背景・理由を理解し、お客さまにとって何がいいのかを真剣に考えていく必要があると思いました。

そうすると、内製化によって、決して我々の提案範囲が狭まるわけではなくて、やるべきことはテクノロジーを通して、お客さまのできないところを補完し、お客さまと一緒になってIT化を推進していく必要があると思いました。

また、売り手・買い手という相対した関係性ではなく、パートナー同士といった関係を作っていくことが営業活動の中で必要ですし、お客さまもそういった関係を望まれていることを、本日は認識いたしました。

これからの営業活動に活かしていきたいと思います。本日はご清聴いただきまして、誠にありがとうございました。

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