日本のIT・デジタル化はこの2年で進んだと言えるか

矢島孝應氏(以下、矢島):(昨今)企業の中で進んできている内製化をどうしていくか、ということをベースにしたお話が進んでいると理解しています。

今日は、企業における内製化という現象だけを捉えるのではなく、なぜそういう方向に行っているかというところを、お二人の登壇者をお招きして聞き出し、それがみなさまのご参考になればと(思っております)。

私が理事長を務めるNPO法人でも、いろいろな企業からのご相談を受けています。「こんなかたちのことがいわゆるユーザー企業のIT・デジタルの推進で起こってるんじゃないか」「将来こうなっていく部分で今、経営が悩んでるよ」といった内容を簡単にざっと流して、お二人の状況を聞きたいと思うんですけど。

ここに出てますように、みなさまの会社もしくはお客さまは、この2年間ぐらいでIT・デジタルが進みましたよね。情報システム部隊が進めたのか、社長が進めたのかを聞きたいですけど、本当はコロナによってやらざるを得なかったというこの2年間。日本は外圧によって進むんですよね。デジタル庁もそうですし、リモートワークもそうだと思います。

ただ、進んだと思ってるんですけど……。こちらは、先だってウイングアーク(代表取締役 社長執行役員CEO)の田中潤さんがイベントで使った資料をそのままいただいたものです。

日本は「進んだ」と言っているのに、残念ながら、IMD(国際経営開発研究所)のデジタル競争力を見ると、この3年でどんどん落ちているんですよね。ということは、世界はもっともっと進んでいる。こういうことを今、経営者の方々にたくさんお話ししています。

投資分野も、今まではERP(基幹システム)だなんだと、企業はオペレーションの強化にお金をかけてきたんですけれど。今、顧客接点や働き方の改革にどんどんお金をかけている。そう見た時に、ITはどうなってきたか。

従来の縦割りの組織のやり方が通用しない時代

矢島:私がITを始めた70年代は、ワープロや表計算、個人のIT化がやってきていました。そして80年代は、組織のIT化、請求書や給与や入出庫。2000年ぐらいになると、エンタープライズでシステムを統合するんだ、企業で・サプライチェーンで統合するんだというものが流行り出しました。

今、2020年代に何が起こっているかというと、社会レベル、業界レベルでの市場との連携が非常に大きな課題になって、(顧客や取引先との結びつきを強化するための情報系システムの構築を)推進している。

昔のSoR(会計・経理や人事、受発注管理、製造管理などの情報の記録を目的とした基幹系システム)……。まあ今日はみなさまプロなので(用語の説明は省きますが)、大きなハードウェア・OS・データベースの上に何年もかけてどんどん(基幹システムを)作り上げていくような世界はもう、今はないんですよね。業界と統合するなんてありえないですから。

ならば、従来の基幹システム1本ではなく、必要なものをオープンプラットフォーム上に作り上げて、データ連携・プラットフォームを連携していく。基幹システムは要るんです。基幹システム(の構築)がまだ遅れているところは、やっていかざるを得ない。

市場・業界・お客さまとの連携に加えて、単に数字・文字だけの管理ではなく、非構造化データ、いわゆる(メールなどのテキストデータ、センサーデータ、画像、音声など)いろいろなデータが、今後デジタルの中で必要になってくる。

企業の中も大きく変わってきていて、例えば2000年頃までは電話やテレビ会議、コピーは総務部門がやってたんですけど、今やもう情報システム部門が全部進めています。工場、倉庫、物流、現場でOT(物理的な装置や工程を監視・制御するハードウェアやソフトウェア技術)を進めてきましたが、今はやはり、これをITと融合していかないといけない。

営業情報は昔は営業部門がやっていましたが、やはり技術も品質もサービスも(営業情報を)使わざるを得ない。設計情報、部品表は技術部門だと言っていましたが、これも工場、営業、サービスが使っていって初めて企業の力が出る。

いわゆる従来の縦割り企業の組織が、役割の枠・壁を越えていくという変化が、企業の中で起こり始めているということです。

真のDXには、自社・クライアント・業界との連携が必須

矢島:一方、コロナで始まったのが「大きなERPを作った」「データベースを作った」と言うてたのが「紙(を使ったアナログな業務)がいっぱい残っていた」「印鑑(のデジタル化を)やらなあかん」と。今までのシステムでは対応できない部分もいろいろとやらざるを得ない。

こんな中で私がヤンマーに(CIOとして)行った時に、農業は機械化によって進み、デジタル化によってさらに進みましたが、頭打ちになって。結局コマツでもヤンマーでも、自分のところの機械を使っていただいているところだけが効率化して、(業界全体の)完全な効率化にならない。

JR東日本の前の小縣(方樹)副会長と話していても、例えば数千億円の研究開発費をかけて、東京―大阪間の新幹線を15分早くすると。でも、みなさまが(新幹線を)降りて乗り換えるのに20分待っていたら、その人にとってみたらなんの意味もない15分間。これを我々はどうしていくか。

さらにはCO2(排出量)の問題、お客さまの困りごとや社会の課題をどうつかむか。人事システムでも、今までは勤怠・給与・評価はITでやってきましたが、人的資本経営をしていくのに人事の持っているシステムでは何もつかめない。IT・デジタルを使うところがどんどん広がっていくという世界に入ってきました。

ならば、企業の中で全員で進めていかない限り、IT部門・デジタル部門だけで進めるような世界ではなくなってきている。ノーコード・ローコードという技術がどんどん出てきていますし、IT部門はちゃんと昔のNotes(1990年代から大企業を中心に導入されていたグループウェア)みたいにならないために、マネジメントはしていかないといけない。

ITとデジタルの両面を進めていかないといけないし、お客さまと連携をしないといけない。だから内製も拡大していくし、マネジメントも強化しないといけないし、業界連携もしたい。

今日はこういうことをベースに、ユーザー企業の現状と課題、またベンダー企業とみなさま方はどんなかたちで付き合ったらいいか、企業は将来をどう考えていったらいいかを、いろいろと聞いていきたいと思っています。

まずは小和瀬さん、御社にとってみても、今いろいろな変化が起こり始めていると思うんですけれども。経営の方がCIOになられたというベースはありますけど、IT・デジタルベースでどういうことを期待されているか。経営の変化点が何かありましたら、ちょっと教えていただければと思います。

グローバル一体経営を実現するために

小和瀬浩之氏(以下、小和瀬):矢島さんにご説明いただいたストーリーどおり、私も日本のみならず、グローバルでもそういうトレンドになってきているのは間違いないと思っています。

ただ、やはり日本の会社は、ERPを入れて基幹系が整備できているか。それも国内だけじゃなくて、荏原(製作所)も今グローバルでかなり力入れてるんですけど、グローバルのグループ会社を含めて基幹系ができているかというと、もうほとんどの会社はできてない。

例えば、我々のような精密電子事業は、著名な大手のお客さまのほとんどがもうグローバル一体運営をやっている。だから、我々もグローバル一体経営をしなくちゃいけない。

そのために何をしなくちゃいけないかというと、やはり業務の標準化やグローバルの経営データを見える化していくことで、それに見合った仕組みを提供するというところが今、非常に重要です。

日本の会社と欧米の会社は、別に日本の会社にもいいところがたくさんあると思うんですけど、この20年ぐらいの間でそういう面では差がついてしまってるのかなと。

矢島:さっきの(国際競争力)ランキングもどんどん落ちてますからね。

小和瀬:だから今、我々は経営と業務部門とIT部門が全社一丸となって、そういうデジタル化を全社的に進めています。

現場と情報システム部門とITベンダーの関係

矢島:おっしゃるように、私も基幹システムは絶対不可欠(だと思います)。グローバルに(展開しているなら)エンタープライズレベル、もしくはグループ会社レベルで基幹システムを合わせていって、統一しないといけないところがある。

でも一方では、それぞれの中で進めていかないといけないこともある。もっと言ったら、先ほどおっしゃった外部のパートナーの企業さま、もしくはお客さま、市場ともつながっていかないといけない。

そういう中で、いろいろな各拠点や職場、部門でも、やはりどうしても(デジタル化を)進めていかないと(ならないと思います)。でも、全部「基幹システムができるまで待てよ」というふうにもできないですよね。このあたりの職場とみなさまとの関係はどうでしょうか。

小和瀬:荏原の場合は、私が入る前と入ったあとだとちょっと状況が違うんですけど。荏原はもともと、あまり本社のコーポレート部門が強くないというか、ガバナンスを効かせるようなかたちにはなっていませんでした。ベンダーさんも含めて、かなり現場が(主導して進めていました)。

矢島:(ベンダーさんが各現場に)直接入ってくるような感じでね。

小和瀬:それは別にベンダーさんが悪いわけじゃなくて、現場もそれを望んでいたので、そういうやり方をしていて。私が入ってから(わかったことですが)、例えば工場ごとにMES(製造実行システム)として同じツールが入ってるんですけど、その時々の契約で値段がバラバラで、2倍、3倍ぐらい違ったりしていました(笑)。

矢島さんがおっしゃるとおりだと思うんですけど、今「情報システム部門が付加価値をつけることは何なのか」と(改めて問い直しています)。これはたぶんベンダーさんにも同じことを言えると思うんですけど。

つまり付加価値をつけられるから、我々に相談がくると思っているので、我々が付加価値をつけられないことはもう、どんどん現場でやってもらうと。

矢島:そのあたりの、どんな付き合い方をしてもらったら企業としてはうれしいか、発展するかということは、今日聞いていただいてる方々に向けて、次のテーマで(お話を)お願いしたいと思います。

伝統を守りながらデジタル化を進める時は、既存事業ファースト

矢島:板野さん、どうでしょうか。やはりどんどん基幹システムをやっていかないといけない。でも職場の中で、さっき言ったように「紙が残っていた」から始まって、どんどんデジタル化していかないと、結局は職場も効率化しない。

効率化できないだけじゃなくて、外とのつながりも作れない中で、三菱マテリアルさんの職場と情報システム部隊との関係は、どうですかね。

板野則弘氏(以下、板野):(三菱)マテリアルの観点からいくと、(会社としては)非常に古い伝統をずっと持ち続けてきている。また生業としてもかなり、昔からのビジネスモデルの部分も守らないといけない中で、新しいものにも追随していかないとならない。古いものと新しいものが混在しています。

その中で、やはりさっき矢島さんがおっしゃったとおり、ERPに置き換えたいけど、既存のものを守りながらどう置き換えていくかという難しさに、今まさに直面しています。

(三菱)マテリアルの特徴として1つ(言えるのは)、わりと自分たちの手で作って、運用していること。自前でやるのが当たり前という部分が浸透していて、ユーザーとの距離がけっこう近い。

逆に言うと、今の最新のパッケージやクラウド、あるいは新しくいろいろなツールを入れる時に、スムーズにいけば問題はないんですけど、そこがなかなかスムーズにいかない。やはり古い仕組みと新しい仕組み(が混在している中で)、もう古い仕組みに何かを加えるというのは限界がきていて、刷新しないといけない。

ただ、パッケージとクラウドという部分によって、外部のベンダーさん・コンサルの方と、自分たちで作ってきた内部の人たちの役割が、今かなり変えられてきていると思います。そういう意味で、我々としては、まず既存のビジネスファースト、経営事業ファーストで何ができるかということで(取り組みを進めています)。

クラウドやパッケージといった、欧米先行で来ているものを入れる時は、どうしてもシステム主導になりがちですけど、本来はやはりユーザー部門が本気になって、そこをどう自分たちのものとして考えるかというところ(が重要です)。

そのギャップを埋めてあげる時に、外のパートナーのみなさまの力を借りながらやっていくのが理想的なんですけれども。ただ現実には、やはりいろいろなハードルがあるかなというところですね。

1社の中で、CIOとCDOはそれぞれどうあるべきか

矢島:大きなベースとしてのクラウドやソリューション。(そういった新しい仕組みが出てきている)一方では、名刺(という古い仕組みが残っている)。私がヤンマーの(CIOだった)時も、名刺管理や経費精算と言ったら総務や秘書室、もっと言ったら経理がやるというベースがありました。それをすべて「待て」と言っているわけにもいかない部分も出てきますよね。

その中で今、既存の部分と周りでやっていかないといけない部分があって、不易と流行みたいなところもありますけれども。企業の中のCIO(最高情報責任者)とCDO(最高デジタル責任者)という位置付けも、企業の中ではいろいろなパターンがあります。

名前がCIO、CDOとついてるかどうかは別として、「CIOとCDOが両方いる」「CIOが全部やってる」「CIOとCDOがいて、それを統括している誰かがまたいる」みたいな。

板野さんのところはまさに、今の会社も前の会社も明確にCIO・CDOがおられた。これはどうだったんですかね。また、逆にどうあればいいんでしょうか。そこを聞きたいのは、たぶんパートナーの方々も「CIOがいる、CDOがいる、職場がある。どこに何を攻めたらいいんや」というのも(課題としてあると思うんです)。

やはりさっきの話で、(個々の企業の取り組みの)背景をわかっておかないといけない部分もあるので、板野さんの前の会社、今の会社を含めて、CIO・CDOってどんな感じでした?

CIOとCDOの役割分担は可能

板野:先ほどのクラウドやパッケージが入ってきたことによって、どういう変化が起きたかというお話につながるかなと思っています。本来は今のDXのところでやっていることも、要するにシステムエンジニアやシステム部門としてやるべきで。

エンタープライズアーキテクチャ(企業全体のシステムを統一的な手法でモデル化し、業務とシステムの最適化を図る手法)も、そのトップ2レイヤーの、経営事業あるいはデータをどう使うかというところまで含めて、全部をシステム部門がやるのが当たり前だった時代がずっときていたはずなんです。

だけど「クラウドや外のいろいろな便利なツールをそのまま使おう」となった時に、システム部門も結局「自分たちは(業務)アプリとインフラを入れればいいのか」というようなところに(落ち着いてしまった)。「言われたことをやってるほうが楽ですよね」とか。

それをシステム部門に頼むほうも、要するにこういう便利なものを考えることをシステム部門に求めなくなってきてしまったというか、「そのまま使えばいいじゃない」というかたちになってくる。

それが1つ歪んだ世界を……歪んではいないですけど。結局、上の2つのレイヤーの事業・ビジネス、あるいはデータの利活用のところまで考えるのは一体誰なのかということに、急にみんなが気づいた。そこがDXにつながったんじゃないかなと思います。

やはりトップ2レイヤーのところでは、CDOの今の主たる目的は、どちらかというと……ちょっと語弊があるかもしれませんけれど、経営と一緒に「ビジョンを描く」ところが得意な方が多くて。

CIOは、ちゃんと最後まで実装して、運用して、メリットまで手に取るという。だから、それぞれの会社にお二方がいたとしても、私としても役割分担をうまくやってきているつもりですし(笑)、できているんじゃないかと思います。

守りながらも攻めていく体制をどう作るか?

矢島:私はよく野球で例えるんですが、今までの情報システムは、外野に100球のフライが飛んできて、守備範囲の中で100球受けるのは当たり前で、1球でも落としたら「何しとんねん!」と怒られる。だからもう守りに入っていく。

でも、今のDXの世界は極端な話、10回バッターボックスに立って、2回でもホームランを打てば「すごいやっちゃ!」と言われる。大谷(翔平)君みたいに両方できたらいいんですけど、なかなか(守りと攻めを)両立するのは難しいから(笑)。

両立はできないけれども、いつまでも守れるベースだけでもいかんよね、と。そこの付加価値も出していかないといけないところはありますよね。経営陣から見た時に、しっかりと守りながらも攻めていく体制(を作っていく上で)は、CIOとCDOの中で揉めることはないですか?

板野:当然ながら、(企業としての)ビジョンを描いて実行するという流れの中で……今回のDXのすごく良いところは、いろいろなチャレンジができて、失敗してもいいよということ。要するに、いろいろなトライアルをした中から、何か本当に新しいもの、Xに近いものを取り出すプロセスが一番大事なところだと思っています。

私はCDO・CIOの間柄というよりも、今日のテーマである事業部門やユーザー部門とITとの関係のほうにわりと大事なところがあると思います。たぶん、最初はDXをしようとしている会社の大半は、まずDXの専門部隊を作ると思うんですよ。そこが最初の立ち上げなどを引っ張っていく。

その中で、ある程度PoCをしっかりやることが(大切です)。私は「PoC祭り」と揶揄するのは反対なんですけど。

(PoCをする時は)心理的安全性のある領域にしてあげないといけないと思うんですね。それができないままPoCに入って、すぐに「で、リターンは何だ」「効果は何だ」と言ってしまうと、たぶん誰もチャレンジをしなくなっちゃうんですけど。

ただ、実行フェーズになった時に、結局当事者が本気になっているかどうか。専門部隊がいくら本気度を高めたとしても、現場が冷めてしまっていたり、あるいは本来やらないといけない主役が、本当にど真ん中にいるかどうか。

CDO・CIOともに、やはり会社の中でそれぞれのテーマにおいて、ちゃんと実行の中心人物を据え付けられるかどうかのほうがすごく大事なので、揉めたことはありません(笑)。

(一同笑)

どんな相談がきても、絶対に「ノー」と言わない情シス部門

矢島:小和瀬さんのところは、どちらかというと、CIO・CDOの役割を両方とも小和瀬さんが担っておられる。板野さんのところは、ちゃんと連携を取りながらうまく回していますと。

さらに言いますと、今(のお話に)出ていたように、職場もどんどんいろいろなソリューション、ツール、もしくはローコード・ノーコードというものを入れながら進めていく。サイボウズさんなんかもすごく今、宣伝されてますけど。

たぶんここからが、みなさまが一番聞きたいところに入ってくるんだけど。今、ベンダーさん、SIerさん、コンサルさんにどういう提案をしていただいたら……。もしくは「こういう提案持ってくるやつおんねんけど、ほんまに時間の無駄やねん」という部分でもいいんですけどね(笑)。

小和瀬さんはそのあたり、率直に言うとどうですか。おかしかったら黒田さんが「そんなん言わんといて」と言うてくれたらいいからね(笑)。

小和瀬:まさに今、荏原には情報通信統括部という、我々の部門があるんですけど。ユーザーからどんな相談がきても、絶対に「ノー」と言わない。なぜかというと、内製化の話にもちょっと通じるんですけど、私はIT部隊はやはりエンジニアリング集団だと思ってるんですよ。

我々は技術者集団だとなると、やはり必要な要素技術を持ってなくちゃいけないと思っています。そういうプロフェッショナル集団が「ノー」と言ってしまったら、相談する側は、まったくもうその先がないですよね。

矢島:それは大事ですね。

小和瀬:もっと言うと、多くのIT部隊が情報セキュリティを盾にして、相談がきたのに「あれやっちゃダメ」「これやっちゃダメ」という話がけっこうあるじゃないですか。やはり私はそれじゃあダメだと思っているので、もう絶対に「ノー」とは言わない。

もちろんできないこともあるんだけど、できなかったら例えばオルタナティブなアイデアを出したり、そこ(課題)に対してどうしていけばいいのかというところに歩み寄る。これと同じ構図をやはりベンダーさんに(も求めたいと思っています)。

さっき言いましたように、荏原は今すごく相談してもらえるようになったんです。昔は相談がこなくて、ベンダーさんと勝手に現場で(進めていました)。でも、そこに我々が入ることによって、やはり付加価値が(生まれてきています)。

矢島:付加価値を持っていこうという。