6割以上の人が、金融商品を「持っていない」と回答

ーーみなさんが知りたいお金や経済の疑問は何ですか? 『お金のまなびば!』では1,000人のみなさんにアンケートを実施し、気になるテーマごとにランキング。藤野さんが結果をもとに解説します。

今回の気になるランキングは「持っている金融商品は何ですか?」。1,000人に聞いたところ、6割以上の人が「持っていない」と答えました。あらためて、金融商品のリスクについてどう向き合うべきか、藤野さんが語ってくれました。

藤野英人氏(以下、藤野):1位が「持っていない」ですね(笑)。「持っている金融商品は何?」という質問なのに「持っていない」が1位で、回答者が634人もいるということですよね。

いかに日本が金融に対してネガティブといいますか、消極的なのかがわかるアンケートになりました。

2位が「日本株」で212人、3位が「投資信託」で142人です。これを見ると、金融商品に対する理解、それから行動があまり伴っていないことがわかります。

「金融商品を持っていない」という634人の理由の多くは、「投資が怖い」というのもあると思うんですね。

リスクがあるのは、金融商品に限った話ではない

藤野:投資がなぜ怖いのかというと、「知らない」ことと、もう1つは「リスクがある」ことだと思います。だから僕らは、リスクとどう向き合うのかを学ばなければいけない。

でも、金融商品だけにリスクがあるわけじゃないんですよ。ニューヨークがだいぶ安全になったとはいえ、僕らが1人で深夜に人通りの少ないところに行くのは安全じゃないじゃない。そもそも、僕らは死んじゃうじゃないですか。

金融商品だけじゃなく、僕らってリスクに囲まれているんですよ。それを僕らはよく理解して、学校に行き、会社に行き、旅行に行き、そして仕事をしたりといろいろなことをしているわけですよね。なので、金融商品のリスクだけが特別なものではないんです。

「どういうことが待ち受けているのか」に対する知識がつけば、お金が増えたり、資産が増えたり、長期的な恩恵を受けることができるんじゃないかなと思います。

金融の知識の有無が、将来の「資産の差」を生む

ーーその「恩恵」を受けるためにはどうすればいいのか。それは、藤野さんがこのチャンネル『お金のまなびば!』を始めた理由とつながっていました。

藤野:もともと私がなぜ『お金のまなびば!』というYouTubeのチャンネルを作ったのか。金融商品についてより知ることは、単に当社がビジネスで成功することだけではなくて、日本にとっても必要なことだと思っているんですね。

他の国に比べてみても、金融商品に対する接し方や取り組みが少ないことは、結果的に僕ら個人の資産が増えないことになってしまいます。もちろんお金だけが幸せの基準じゃないけれども、お金が少ないのと多いのと、どっちのほうがいいのかは考えれば明らかだと思うんですよね。

多くの人に金融の知識を広めて、金融の力やリテラシーによる差をなくしたいんです。金融について知識があるかないかが、10年後、20年後、30年後にそれぞれの人の資産の差になってしまうことはずっと起きてきたし、これからも起きるでしょう。

金融をやった人とやらなかった人とでは、格差が出ます。だから、金融をやった人を儲けさせなくすることも格差の是正ではあるんだけれども、これは逆でしょう。

みんなが金融に触れて、接する機会を持って、資産を増やす機会がある。誰もが金融のサービスを味わうことができる社会を作ることのほうが大事なんじゃないかなと思っています。

だから私はこの(アンケートの)数字を見て、金融の知識の差や、金融商品を持っている・持っていないの差による社会の格差がない社会を作りたいなという気持ちに、余計に拍車がかかったと思います。

金融の知識の格差による富の格差とか、将来の格差がない社会にしていきたいなと思っています。