老後に備えたお金の準備、1位は「貯金」
ナレーション:みなさんが知りたいお金や経済の疑問は何ですか? 「お金のまなびば!」では、1,000人のみなさんにアンケートを実施し、気になるテーマごとにランキング。藤野さんが結果をもとに解説します。
(スライドを指して)今回の気になるランキングはこちら。1,000人に聞きました。老後に備えたお金の準備は?
老後資金2,000万円問題など、心配ごとは尽きませんが、今からどうやって準備すればいいのでしょうか? 藤野さんに聞いてみました。
藤野英人氏(以下、藤野):みなさん、この結果、どう思われますか? 違和感がありますか? それとも「あぁ、やっぱりそうだよね」と思うでしょうか。
老後の備えはやっている。「貯金」が多いのは日本らしいなと思います。日本とアメリカ、もしくはヨーロッパの大きな差は、日本人はとにかくお金を貯めることがすごく好き(ということです)。「貯金」が好きだけれども、それを「投資」にしていくことに関しては、実はアメリカとかヨーロッパの人に比べると少ない。
日本の資産が増えないのは「貯金」に偏っているから
「それに何か問題があるのか?」というと、問題があります。アメリカもヨーロッパもそうですが、投資をしている人は10年とか20年という単位で見ると、資産が増えているんですね。株式とか債権とか金融商品は上がったり下がったりするから、短期的に見ると下がることがあるんですけれども、10年とか20年という単位で見ると、資産は増えているんですよ。
普通のアメリカ人とかヨーロッパの人は資産が増えているのに、日本だけが増えていないんですよね。増えていない大きな理由は、貯金に偏っているからです。実際にアンケートを取ってみても、約5割の人が「貯金」しているということです。
2番目です。「何もしていない」という人が390人。これも4割くらいいます。これはけっこう危ないなぁと思いますよね。老後の備えは、なんらかのかたちでしたほうがいいと思います。
もちろん、お金を貯めることだけが大事じゃないし、将来年金をもらえるといっても少なくなるかもしれないけれど、多少はもらえるから、生活の仕方を小さくして、あまり贅沢しないで、コストの低い生活をすれば、老後は大丈夫かもしれない。
ただ、この「何もしていない」という390人のうち、よく考えて大丈夫だから何もしていないのか、本当に将来のことを何も計画していないのかの差が、すごく大きいなと思います。
「年金制度は破綻しない」が、受け取りの金額は保証されていない
「国がなんとかしてくれる」というのは......それはなんとかすると思うんです。ただ、なんとかするけれども、なんともならないかもしれない。(日本は)将来人口が減ってくると見えていますから、そもそも年金の支払われる原資が減ってくることが見えているんですよね。
よく政治家や官僚の人は、「年金制度は破綻しない」と言っています。そのとおりなんですよ。「制度」は破綻しない。けれども、受け取りの金額は保証されていないんです。将来下がってくるかもしれない。
私は別に「貯金をしなさい。投資をしなさい。これがすべてです」と言うつもりはまったくありません。ただ、将来のことについて考えてみて、それに対して多少準備をすることは、とても大事なことなのかなと思います。
最後の項目は、「投資」している人が227名です。約22パーセントですから、やはりこの日本における投資の比率が低い点が、アンケートでも見て取れたのかなと思います。
ただ逆にいうと、日本の中で少しでも投資をすれば、他の人たちよりも、将来に対してよりサポートできると言えるのかもしれません。この227名の数字が、もう少し増えていけばいいなと思います。
またぜひ定期的にアンケートを取りながら、どういう変化をたどるのかを見ていきたいなと思います。