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未経験の仕事を乗り切るための「教わり力」(全1記事)

未経験の仕事を乗り切るために必要なのは「教わり力」 上司・先輩に質問をする時、気をつけたい5つのポイント

日本最大のビジネススクール「グロービス経営大学院」が、ビジネスパーソンに向けて、予測不能な時代に活躍するチャンスを掴むヒントを配信するVoicyチャンネル『ちょっと差がつくビジネスサプリ』。本記事では、未経験の仕事を乗り切るための「教わり力」を身につけるポイントを解説します。 ■音声コンテンツはこちら

未経験の仕事を乗り切るための「教わる力」

本山裕輔氏:今日は「仕事の教わり方」というテーマでお話しします。「教え方」とか「独学で学ぶ学習法」みたいな本はよくあるんですが、意外と「教わり方」「教わる力」について語っている本はないですし、人からしっかりと教えてもらうシーンも少ないかなと思います。

なので今回は、私自身の体験もベースにはなりますが、「未経験の仕事を乗り切るための『教わる力』」というテーマでお話しできればなと思います。

まず、教わる力とはいったい何でしょうか。ここでは「人さまの貴重な時間を割いていただいて、自分が知らないものについて教えを請う力」と定義しておきます。

私が「教わる力は大事だな」と痛感したのは、前職のコンサルティングファームで働いている時です。コンサルで働いているとプロジェクト単位で動いていくので、3ヶ月や半年といった短い期間にプロジェクトがコロコロと変わっていきます。

プロジェクトが変わるとクライアントの業種も変わりますし、クライアントが抱えている悩みも大きく変わります。なので、絶えず新しい情報をキャッチアップしていく必要があるんですね。

本やWebで調べても書いていないような専門的なことや、クライアント企業特有の業務知識など、相手に教えてもらわないといけないことも多いです。そんな中で、「教わる時にこれをやっておいて本当によかったな」と思ったことを5つ紹介できればなと思います。

遠慮しすぎずに、10分調べてわからなければ人に聞く

まず1つ目は「10分調べてわからなければ人に聞く」ということです。教えてもらうための力を身につける時の1丁目1番地は、わからなければ人に聞くことです。この姿勢を徹底しておく。ただ、「質問をして周りの人の時間を奪ってはいけない」と、気を遣いすぎて動けないこともあると思います。

私も同じように感じたことがあり、「部下から『教えて』と質問されるのって、正直面倒じゃないですか?」と正直に上司に聞いてみたことがあります。そうしたら、その上司からこんな回答をいただきました。

「確かに、こっちが作業を集中している時に『教えて』と言われると、正直面倒くさく感じる場面はある。『それくらい自分で考えて調べてこいよ』と、突っぱねたくなることもある。でも、聞かれる面倒臭さよりも、長時間部下の仕事が前に進まずに手が止まっている状態のほうがよっぽど迷惑だから、わからない点はすぐに聞いてもらったほうが助かる」と、こんなことを言ってもらいました。

それ以来、相手に嫌な顔をされようがムッとされようが、10分調べてわからなければ思いきって人に聞くようにしています。こうしておくと自分を守ることにもつながりますし、お客さんや上司のためにもなる。こんなことを学びました。

質問をする時は、余裕を持ったスケジュール確保を

とはいえ、相手の時間を超・超大事にしましょうということが、教わる力で大事なポイントの2つ目です。さっきの話と少し矛盾する部分はあるかもしれませんが、こっちが聞きたいタイミングで、なんでもかんでも聞きたいことをポンポン聞けばいいかというと、そういうわけではないですよね。

質問するということは、相手の貴重な時間を割いていただくということです。特に組織の上役など、責任ある立場の人であればあるほど、1分あたりの価値は高くなります。なので、教える人が教えやすいような時間を確保することが、教わる側の責任だと思います。ただ、これは意外と難しいですよね。

「これは聞かなきゃわかんないな」と思ったことが出てきたら、まずは上司のカレンダーを確認する。最低限大事な会議の前後は避けて、質問する時間をスケジューラーに登録する。これで50点です。「聞かないと作業が進まない」という状況になってから上司のカレンダーを見るのだと、実はタイミングとしては遅いのです。

そうではなくて、1週間後とか2週間後のタスクで「これとこれについて不明点が出てくるだろうな。だから、先回りして来週に質問の時間をあらかじめ確保しておこう」と、先回りして時間を確保していく。これが、教わる時間を確実に確保するコツです。

「質問の具体化」は、教わる側のマナー

教わる力の3つ目は、可能な限り質問を具体化しておくことです。これも教わる側のマナーだと思います。例えば「このシステムを使うと何ができるんですか?」と質問をされたとします。「いやいや。学校じゃないんだから自分で調べてよ」と言われそうですよね。

逆に、「このシステムでAとBの処理が実現できるのはわかったんですが、Cの処理がどうしてもうまくいきません。おそらくこの部分が原因かなと思うんですが、解決方法について教えてくれませんか?」と質問されると、どうでしょうか。

聞かれる側からすると、Cの処理についてだけ答えればいいので、教える時間が短くて済みますよね。それに「質問をここまで具体的にしてくれて、ちゃんと真剣に学ぶ意欲があるんだな」と、プラスの印象を持ってもらえるでしょう。

教わる力の4つ目のポイントは、質問の答えを聞いたあと、自分の理解が合っているかどうかその場で確かめることです。上司や先輩に教えてもらった時に、「つまり〇〇という理解で合っていますでしょうか?」と、自分の理解を確かめることも大切です。

自分の言葉でちゃんと言語化すると、理解度をぐっと高められますし、自分の理解が間違っていたらその場で正してもらえるというメリットもあります。

成果報告をすることで、教える側の自己効力感を高める

最後の5つ目のポイントは、ちゃんと成果報告をすることです。仕事を教えてくれた人に「教わった結果、こんな結果を出すことができました」と、きちんと伝えることはとても大事です。礼儀として大事という理由もありますが、実はもう1つ理由があるんです。

(成果報告をする理由として)こっちのほうが大事かなと思うんですが、それは教えてくれた人に自己効力感を感じてもらうことです。

自分が教えてあげた結果、相手にどんな影響をもたらしたのか。これを上司や先輩に実感してもらうように、きちんと成果報告をする。そうすると、教えてくれた人、先輩、上司たちの心の健康にもつながったりします。

ちょっといやらしい言い方をすると、教えてくれた人に自己効力感を感じてもらうと、「よし。次もしっかり教えよう」と思ってもらえて、継続的に教えてもらえるような関係作りができます。そのためにも、相手に教わった結果自分にどんな影響があったのかを、教えてくれた人にきちんと伝えていきましょう。

「教わる力」について5つのポイントをお話ししましたが、何か1つでも持ち帰るポイントがあればうれしく思います。

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