過去の出来事の捉え方を変える「第三者の視点で考える」コツ

中村:この書籍(『脳内編集力』)の中でも書かれていて、僕もそうなのかなと思ったのは、物事の最中にいる時って、その物事を第三者的な視点で見ようとしても、なかなかそうはいかないじゃないですか。

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「物事の捉え方」は、現在への捉え方もそうだけれど、過去の出来事をどう捉えるかはことごとく「自分の見方」なんですよね。見方によっては、良い捉え方もできるし、悪いようにも捉えられるんですよね。

「じゃあ(良い捉え方ができるようになるためには)どうやって見ればいいんですか?」って言われたら、まさにこの「編集力」なのかもしれません。ちょっとしたコツとかが活きるのかなって思いました。

僕も今の北村さんの話にすごく共感したんですけれど、過去を振り返っても。けっして良い物語ばかりではないんです。でもそれを自分の中で内的動機に変えていくことができるといいですよね。

ただ、その仕方・変え方がわからないと、いつまでも横に置いたままなんです。主観も客観もなく、他人事のようになかったことにしている。空白の期間になるような気がするんですよね。

この書籍でも出てくる「第三者的な視点を持つ」というのが捉え方を変えるコツとして当てはまるのかなと思ったんですけど、そんな解釈の仕方でも大丈夫ですか?

北村:もちろんです。この本の中にも書いてあるんですけれども、特に「第三者の視点で考える」って、言葉で言うほど簡単じゃないって言う人が多いんですよね。

映画のスクリーンの中に、自分の日常をイメージしてみる

北村:そのやり方なんですけど、目をつぶってもらってもいいですし、イメージ力が強い人は目をつぶらなくてもいいんですけど、そのシーンを思い浮かべた時に、自分を含めた登場人物がいるじゃないですか。

その人たちを第三者的にどうやって見るかというと、テレビを見ている感覚で、この状況を思い浮かべるんですよ。テレビでもいいですし、例えば映画のスクリーンの中に、今の自分の日常があるとイメージする。

そのシーンを思い出すように、あの時どうだったかな、こうだったなって記憶をたどってみると、案外客観的に見えてきます。

中村:これは再現性が高いですね。

北村:そうすると、「あれ。なんで今、俺、それを言ったの?」と。「普通ここでこう言っておけば(よかったのに)」って。絶対自分の持っていきたい方向に持っていけたはずなのに、表情含めてなんで今そんなことを言ったのか。「自分が嫌な顔をしたから、相手はそのリアクションをとったんだよね」みたいに(気づける)。

そうすると、自分が本当は成功のためにどういうアクションに結びつけなきゃいけなかったのか、成功パターンがわかるという技があるんです。

中村:なるほど。今のは新しい思考パターンを作るための一例ですね。『脳内編集力』の中のいくつかあるスキルの中の1つなんですが。

書籍の中でも触れられているんですけれども、時代が変わってきている中で、(自分は)赤信号だと思って止まっている間に、世の中は青信号ベースになっていたりするんですよね。そこで踏み出すとか見方を変えるとか、階層的に物事を見ていけるような思考力が必要なんじゃないか。

今一番求められている「自分の感情に素直になる」こと

中村:北村さん、この本を書かれている中で特に「ああ、これはやっぱり必要だよね」って一番熱がこもったのは、どのあたりなんですか?

北村:そうですね。熱はいろんなところにこもっているんですけれど。

中村:(笑)。もともと熱いですもんね(笑)。

北村:方法の中でも、いわゆるロジカルシンキングと言われているようなものですね。ロジックツリーや、階層で考えるというのも、深さを見たりとか。いろんなものを洗い出してみましょうって広さを見たりとか。

そういうのもありますし、プロセスで考えましょうと。A、B、C、Dの順番を考える時に、最後の「一番達成したいゴールは何なの?」というDの部分ををちゃんと考えてからやりましょうねとか。そういったところが基本としてすごく大事だなと思います。

ただそれって、昭和でも平成でもずっと言われているかたちなんですよ。それからすると、「自分の感情に素直になる」ことが、今一番求められているんだろうなって思っています。

中村:自分の感情に素直になる、ですか?

北村:はい。例えば、自分にもサラリーマン時代があったのですが、いかに歯車のように働けるか。「嫌だなぁ」という自分の感情を押し殺して、とにかくミッションをこなす。与えられたタスクをやる。

そういうことがあるんですけど、でもそれをやると、どんどん自分のストレスが溜まっていったり、いつのまにか心に負担がきて、自分がまいってしまうんです。

なかなかモチベーションが湧かなくなってしまう。とりあえずお金をもらえるから、それなりでいいやと考えがちになる。

自分の感情を「言葉」で理解できるようになるメリット

北村:であれば、「本当に自分がわくわくしている時って、この瞬間だ」とか「今、俺めっちゃ怒ってる」とか、(自分に素直になる必要があるんです)。怒っているということは、自分の価値観に反している何かがあるんですよね。だから今、俺は怒っているんだと、ちゃんと自覚的になることがすごく大事なんです。

ちゃんと自分の頭の中でもう1回、「俺はこれが好きなんだ」「俺は何がしたいんだ」と。なんなら、今の職場で、今の感情に素直にわくわくしながらやるんだったら、どんな働き方がいいのかとか、何をやるのが一番いいんだろうかとか。

そういうことをしっかりと考え直して、環境を作っていく。これがとても大事だと思います。

中村:なるほど、確かに。

北村:それだけを本で書いているわけではないんですが、感情をしっかりと捉える。そのためには、感情を自分の中で理解しておく・覚えておくことが大事です。

よく「喜怒哀楽」って言うんですけど、感情について4つくらいしか言えない人が意外と多いんですよね。でも感情語って本当は50でも100でも、「感情語辞典」というものがあるくらい言葉がいっぱいあるんです。

中村:本当に幅は広いですよね。

北村:そうなんですよ。例えばおもしろいなと思ったことで、フランス語には「肩こり」って言葉がないらしいんですね。

中村:そうなんですか?

北村:なんか肩が重いな、みたいな感じはあるんですけど、肩こりという言葉がないので、「肩こり」は感じないらしいんですよ。それって逆に言えば、言葉があれば自覚的になれるってことですよね。

中村:確かに。目の前に(概念として)持ってこれますもんね。

北村:そうです。感情も、言葉で理解しておくと「今の俺ってこういう感情なんだな」っていうのがわかるんです。

感情の後ろに「本当に得たいもの」がある

北村:最初は(喜怒哀楽のような)大きな感情しかわからないのですが、それに自覚的になって、どんどん繰り返していくうちに、小さな感情がふっと芽生えたタイミングで「今、俺はこう感じてるな」って気づけるようになります。そういった気付きをすごく大切にしてもらいたいと考えています。

中村:自分の中で喜怒哀楽だけだと思っていた感情も、北村さんに話してもらったように、素直に「自分は今何を感じているんだろうか」って(自覚的になってみる)。(そうすると)その怒りの後ろには当然、行動の目的である「本当に得たいもの」があるわけじゃないですか。

自分が発言していること、見ているもの、聞いているものの後ろにある「本質」にアクセスするためには、まず感情(を知る)というところですね。そのアンテナを磨いていくと、少しずつ感度が良くなって、その周辺のものを自分でも受信できるようになるような気がしますよね。

北村:まさにそのとおりですね。人間が得ている情報って、今と平安時代では、もう圧倒的に違うわけじゃないですか。

中村:情報量が違いますよね。

北村:このトークライブだけでも得ている情報は(とても膨大で)、僕も今、いろんなものを感じながらお話しさせてもらっているんです。

その一つひとつの瞬間瞬間で動く「感情」に、なかなか意識的になれない時があるんですよね。だからこそ、少しずつでもいいので、あえてそこに意識的になっていくことが大切だなって思います。

やりたいことがわからない人は、「感情」に素直になること

中村:そうですよね。(今の時代って)物事があっという間に目の前を流れていっちゃうんですけれど、自分が必要なものも必要じゃないものも、一緒くたに括られて動いていってしまいます。

その中で脳内編集力ができていて、自分の感情がわかっていたり、得たいものがわかっていたりしたら、必要な情報をちゃんと受け取れるし、それによって自分の進む方向も変わってくるかもしれない。そんな可能性を僕は感じたんですけど、合ってますかね?

北村:そのとおりです。

中村:そうですか、良かった、ありがとうございます。

北村:「自分が何をやりたいかがわかりません」という人が多くて、その点で言うと、わくわくするとか、おもしろそうだとか、なんかわかんないけどちょっと高揚感があるとか。そういった「感情」をベースに、自分自身がどうなりたいのかという明確な目標を形作ってもらいたいんですよね。

本の中では「明確なビジョン」とか「なりたい姿」って書いてあるんですけど、それって(人によっては)会社から与えられている(役職とか役割とか)、何かがあるのかもしれません。

だけど本当は「自分はどうしたいの?」って問いかけながら、感情に素直にこれだっていうものを(探して、)より具体的にイメージしていく(ほうがいい)。そうすると、人間はその具体的なイメージになろうとするので、外にもアクションをとったり、ちょっと辛くてもがんばろうと思えたりするので。

感情に素直になりながら、イメージをより具体的にしていくことがすごく大切かなと思っています。

自分らしく生きている人は「運が良かったから」ではない

中村:北村さんご自身の「もう行かない、辞めたい」という経験もそうですけれど、いろんな方の相談に乗る中で、客観的には常に成功しているように見える人もいるわけじゃないですか。

これから社会変化が一層大きくなる中で(でそうなるために)、表紙に書いてある通り「正解がない世界」で自分たちが生きるための思考法というのが、まさに「脳内編集力」なんですよね。これ、必要ですね。

北村:まさにおっしゃるとおりです。明日どうなるかわからない世界です。先日も僕がすごく慕っていた人の訃報が流れてきたりして、本当に明日何が起きるかわかんないなって思っていて。

中村:確かにね、お互いにわかんないですよね。

北村:そうすると、今までの既存の流れの中で嫌々過ごしていたら、このまま自分の一生が終わる可能性もあるんですよ。今のはちょっと極端な例かもしれないですけど、でも今の会社にずっといて、このまま「ちょっと違うんだけどな」って思いながら、嫌な仕事をずっとやり続ける。

それでも仕方ないなって思う人も多いのかなって、僕自身の社会人経験の中で思うんです。だけど、ちょっと外を見ると、自分らしく生きている人とか、感情をより豊かにお仕事をされているとか、プライベートを充実させている人がいて。

それって「運が良かった・悪かったから」じゃないと思うんですよね。

中村:確かになぁ。それは思います。

自分の「意志」の流れを変えるための1冊

北村:それができるのって「自分があっちに行こう」「今のこの流れを変えよう」という意志なんですよ。

この本自体、その流れを変えてもらう1冊(だと思っていて)。本を読んだ瞬間に、変えようって思ってもらえるか、思ってもらえないか。僕の勝負はそこなんです。もちろん、今充実している人はもっと充実してほしいんですけれども。

中村:そうですよね。

北村:でも「変えたい」っていう人がいれば、それをグッと変える本だと思っています。この本のコツをとりあえず信じてみようって(思ってくれた人の幸福度が)上がってほしいな思って書いたので、まさにおっしゃるとおりです。きっかけにしてほしいです。

中村:ありがとうございます。本当にあっという間に時間が来てしまって。

北村:短いですね。

中村:30分は短いですよね。今度はまた別の特番で座組みして、ご一緒させていただきたいなとも思います。

「人生100年時代」で大切にしたい2つの軸

中村:最後に今日は北村さんに1つ、この「人生100年時代」を生きるにあたって、北村さん自身が大切にされてきたこと、これから大切にしていきたい軸になるような言葉があったら、ぜひ、いただけないかなと思うんですけれど、いかがでしょうか?

北村:今日話してきた中で言うと、2つあります。まずは「自分らしさ」をしっかり考えてほしいです。他人の人生とか、他人が「これが成功だよ」と言う成功は、自分の成功ではない場合が多いと思うんです。なので、「自分らしさ」が何なのか、しっかりと考えてほしいなと思っています。

その上で大事にするのが2つ目なんですけれども、「自分の感情に素直になろう」ということです。自分の感情に気づけずに、押し殺しちゃうと、見えないんですよ。

ストレスが溜まっていくと鬱になったり、いつもモヤモヤしながら「俺の人生はこんなんでよかったのかな」って言いながら過ごしちゃうことになるので、まず自分の感情に意識的になる。で、気づく。

そして、自分らしさをも追求する。そういったところが100年時代のベースになってくるのかなと思います。以上を私の言葉にしたいと思います。

中村:ありがとうございます。自分の感情に気づく、そして、自分らしさを大切にする。この2点ですよね。

北村:そのとおりです。

中村:ありがとうございました。では最後に、別に僕が宣伝しても何かあるわけじゃないですけど、でも純粋におもしろかったので、もしよかったら『脳内編集力』を手に取っていただければと思います。

北村さんは本当にすごい方で、そのエッセンスがギュッと濃縮されたような状態になっています。ぜひお手にして頂きたいです、読むだけではなく、実践して頂き、その感想を北村さん宛に送っていただければとも思います。

北村さん、今後もよろしくお願いいたします。今日はありがとうございました。

北村:いえ、こちらこそ、すごい貴重な機会をありがとうございました。