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出版記念&特別対談 北村嘉崇が語る「脳内編集力」の重要性(全2記事)

事実は同じでも、「紐づけ方」を変えたら解釈も変えられる 失敗パターンを成功パターンに変える「脳内編集力」の重要性

『6つの思考スキルが最高評価をつくる 脳内編集力 正解がない世界で自分らしく生きる思考法』の刊行記念イベントとして、著者の北村嘉崇氏とキャリアコンサルタントの中村英泰氏の対談が行われました。本記事では、「脳内編集力」とは何か語られました。

“3足のわらじ”をはく著者が語る「脳内編集力」の重要性

中村英泰(以下、中村):みなさん、こんばんは。本日の「人生100年時代の生き方ライブ」は特別対談編ということで、時間を拡大して30分間たっぷりお送りします。

私がしゃべっていると「今日聞きたいのは中村じゃない」と言われますので(笑)。本日は、北村嘉崇さんをお招きしています。現在、株式会社HuBeauuuとAshantiの両代表に就いていらっしゃいます。いずれも美容関係の会社です。

経歴を話し出すと、元東大であったり、大手コンサルファームにいたり、医療機器販売の大手で誰もが知っているところにいらっしゃったり。また個人的にも、いわゆるキャリアの領域から心理学の領域まで(幅広くご活躍されています)。

また、私と北村さんがどこで出会ったかというと、たまたま東京の青山学院大学の、ワークショップデザイナー(WSD)の育成プログラムの同期でした。そのよしみで今日は登壇いただけないかということで、お越しいただいています。

まずは簡単な自己紹介からお願いしたいと思います。北村さん、お願いいたします。

北村嘉崇(以下、北村):みなさんはじめまして、北村と申します。私は現在仕事を3つやっています。1つ目が、美容室のコンサルティングです。美容室に対してどう売上を上げていくのかとか、店舗展開していくのかとか、ブランディングしていくのかとか。そういったコンサルティングが1つ目です。

2つ目が、美容室の経営自体もやっています。Ashantiという会社なんですが、基本的にファンドは「会社を安く買って、高く売ろう」という事業を行うのですが、その際に「プロ経営者」を雇い入れます。

ファンドが買った会社の経営を任せるということで、逆に僕は任されている立場でやっています。任された当時は45~46店舗くらいで、今は56~57店舗くらいにまで増やしました。

中村:すごいですよね。

北村:この仕事を去年からやっています。

手がけている店舗を全部合わせると、60店舗以上に

北村:もう1つは、少し似ているんですけど、僕自身が立ち上げた株式会社HuBeauuuという会社で、事業投資という形で店舗を持っています。今年から出店を始め、1月から6月までに4店舗できました。

中村:これもまた、すごいですね(笑)。

北村:さらに8月と9月に3店舗一気にできまして、今7店舗でやっています。大きくはこの3つの仕事をやっている人間になります。

中村:どうもありがとうございます。今おっしゃったように、本当に多忙を極めていらっしゃるかと思うのですが、その中で無理を申し上げても、どうしてもお越しいただきたかった理由が、実は、こちらの『脳内編集力』を、8月10日にAmazonと全国書店でリリースされたからです。

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お読みになられた方も多いと思いますが、この本を私もワークショップデザイナー同期のよしみでいただいて。読み進めると、ホントに新しい、それで面白い、だから「これはぜひ、ライブに登壇いただけないか?」ということでお呼びしました。

個人的にはみなさんにもぜひこの本を読んでほしいなと思って。一言で言ったら実務書ですよね。それでは、「脳内編集力って何なのか?」ということも含めて、このあとタップリとおうかがいしたいと思います。

まずは、北村さんがこれまで歩まれてきたキャリアについて伺いしていこうと思います。コンサルファームから、本当にいろいろな業界、領域、人を見てきた中で、まさに店舗を立ち上げられたり。北村さんが手がけている店舗を全部合わせると、60店舗くらいあるんじゃないですか?

北村:もう60店舗は超えていますね。

中村:そうですよね(笑)。いろいろな人を見てきたからこそ、成功・失敗等々の引き出しがあると思います。あらためてよろしくお願いいたします。

北村:こちらこそ、よろしくお願いします。もう、なんでも話しますよ(笑)。

中村:ありがとうございます(笑)。

「捉え方」を考える、アフリカの国に派遣された営業マンの話

中村:さっそくなんですけれども、「もう読んでいるよ」という方もいらっしゃるかもしれませんが、『脳内編集力』の159ページについて。

ここに、「脳内編集力」の軸になっている、「物事の捉え方」という部分があると思います。物事の捉え方によって人生は大きく変わるわけです。いわゆる、「脳は騙されやすい」なんて言い方もしますよね。

「捉え方次第だ」という1つの軸があるんですけど、ここのくだりを私が1回声に出して読ませていただいて、聞いていただいている方も一緒になって考えていただいて。その後、まずどうして「捉え方」という軸が必要だと思ったのかというところを、北村さんにおうかがいしていきたいと思っています。では、よろしいですかね? これ、ネタバレじゃないかって言われませんかね(笑)。

北村:いやいや、ネタはバレていいんですよ。おもしろいなって思うのですが、まったく内容がわからない本って、誰も買わないんですよね。

中村:確かに。

北村:一部知っている本のほうが、みんなの興味をそそってくれるので。「なんて良い企画をしてくれているんだ」って、今心の中でめっちゃ喜んでいます。

中村:私も「確かに」と思ったところなので、そのくだりを一緒に共有させていただきたいなと思います。それでは、共有します。

まず「あなたはアフリカの国に派遣された営業マンで、靴を販売している」という前提ですね。しかしその国に着いた時に、驚くことに気づいた。それは、その国の人たちがことごとく素足だったこと。

あなた自身は、靴を販売して、大きく成功したいと考えていた。本社の期待も大きくて、販売量を各段にアップできると見込まれて、アフリカに送り出されたわけですよね。

しかし、その国の国民は靴を履いていないと(笑)。そんなあなたは上司から、「その国に到着したら、売れそうかどうか、まず第一声で見たものを報告しろ」と言われている。ここから始まるんですよね。

「さあ、あなたはなんと報告しますか?」ということで、「物事の捉え方」が始まるわけなんですけど。みなさん、ちょっと考えてみてくださいね。

いろいろなビジネスシーンで使える「脳内編集力」という言葉

中村:「脳内編集力がなんたるか?」というところから北村さんに話していただいて、「捉え方が重要だよ」という流れで解説するのが、ひょっとしたら伝わりやすいかなとも思うんですが。そもそも、この「脳内編集力」って造語ですか?

北村:造語です。

中村:でも、据わりがいいですね。スーッと入ってくる。

北村:そうですね。おもしろいなと思うんですけど、特に「出版」を意識していて。基本的には本って、王道のタイトルをガンってつけるか、もしくはキャッチーなタイトルをドンってつけるか、どっちかなんですね。

その際に「思考法」とか「仮説思考」とか。それこそ今回の「捉え方」についての話も、心理学的な名前がついています。でもそれを集合させたものの総称は、世の中にないんですね。

中村:確かに、確かに。

北村:ピタッとくる単語を自分で作んなきゃいけなくて(笑)。どうしたらキャッチーに響くのかというところで、何度も考えて、バシっとハマったのが「脳内編集力」でした。

中村:個人的には、いろいろなビジネスシーンや研修、セミナーなどでも使える言葉だなと思いますし、書籍と共に「もしよかったら気軽に読んでくださいよ」ってお伝えすれば、(この言葉はすぐに)「脳内編集力」は定着しそうな気がしますよね。

北村:そうですね。WSDの仲間うちでワークショップを開いている任意団体の「車座」ってご存じですか?

中村:ありますね。

北村:この間、出版記念講演会をオンラインでやっていたんですね。その際、「車座」の人たちが2人くらいいらっしゃってくれていて、「今度、『車座』でワークショップをやりましょう」と言ってくれて、今その企画が動いている最中です。

中村:さすがWSDですね(笑)。

北村:本当に早いですよね。ありがたいです。

中村:早いですね(笑)。「それ、何?」っていう、一瞬考える間はあるんだろうけど、その次の瞬間に「おもしろいか、おもしろくないか」とか、「楽しめるか、楽しめないか」で考える軸があるのが、WSDの方たちかもしれないですよね。

北村:すごいですよね。すばらしいなと思うのが、知的好奇心と、「自分だけでとどめないで、誰かを巻き込んで何かをやろう」という、広めようという動きが強いなとすごく感じています。本当に良いコミュニティに出会えたなと思っています。

「失敗パターン」を「成功パターン」に変える

中村:なるほど。さて、「捉え方」はいくつか軸があるんですけど、まず「脳内編集力とはなんたるか?」について話していただいてもいいですか?

北村:わかりました。「脳内編集力」という言葉について、本で紹介しているのは、ざっくり言うと「今までやってしまった失敗パターン」。「またこの失敗しちゃったよ」とか......。

中村:あるあるですね(笑)。

北村:それってビジネスのシーンでもプライベートでも、特に人間関係とかでも、「またアレを言っちゃった」ってあると思うんですね。そういった失敗パターンを、成功するパターンに変えていきましょうということです。「変える」というところを、「編集」と表現させてもらっています。

失敗パターンから成功パターンに変える際に、まず1つ大きな要素になるのが、メンタルです。まずメンタルを切り替えましょう。その後、それが切り替わっても、失敗パターンはわかっている。今まで散々やってきた。だけど、自分の成功するパターンがわかりませんと。

結局、失敗パターンとは違うパターンでやっても、失敗しちゃうかもしれない。ですので「成功するパターンをどう作っていくのか」が大事になるのですが、本書ではその成功する思考パターンを作る6つの思考スキルを紹介しています。そういう本なんですね。

そのうちの1つに「捉え方」があって......。物事には「事実」があるじゃないですか。みんな、事実をいろいろな角度から見て、自分の経験とか、生活、価値観と紐づけて、そこに事実とは違ったその人なりの「解釈」が起こるんですよね。

中村:なるほど。わかりやすいですね。

北村:ということは、その事実に対して、自分の経験、価値観といった何かの「紐づけ方」を変えたら、結局その解釈は変わるんです。例えば、めちゃくちゃネガティブに考えていたことでも、ポジティブに変えられます。ポジティブを、スーパーポジティブに変えたりとか。「捉え方は変えられる」と紹介しています。

目の前の「事実」の向こうにある「やりたいこと」を考えてみる

中村:先ほどのアフリカのくだりでも、「無理です、ここでは売れません」というのは1つの「捉え方」ですよね。

靴を履いていないわけですから売れないと思いますよね(笑)。そうやって見たままを伝えるんだけれど、でもそれに対して、自分が課されていることとか、「そもそも自身の目的、何をしたいのか?」というところですよね。

目の前の「事実」の向こうにある、やりたいことを考えた時に、目的の達成に向けていろいろ調査を進めていくと、ひょっとしたら、靴を履いていないがゆえに感染症にかかっていたりとか、衛生上の問題とかがあるのかもしれない。

そうすると目の前の事実が変わる可能性に辿り着く、そこ(人々が靴を履いていない=靴が売れないという捉え方)を変えていける可能性がある。すると、上司に伝えることが違ってくるんですよね。

「自分は何が一番ワクワクするんだろう?」と考えて、自分の実力・経験から、事実をどう捉えるかによって、その後のストーリー自体が変わってくるんじゃないかなとも思ったんですけれども。こういうことって、合ってますか?

北村:変わりますよ。というか、それこそみなさんの人生も、たぶん同じなんですよ。僕でいうと、今40歳なんですね。40年生きてきました。その40年は事実(として)あるじゃないですか。

中村:そうですよね。過去はありますよね。

北村:それをどう捉えるのかは、その時その時を生きている今の自分が、過去を見て解釈するんですよね。

歯を食いしばるような辛い経験も、捉え方で「学び」になる

北村:例えば、僕がコンサルティング会社の時に経験した、めちゃくちゃ辛いエピソードがあって。今でも思い出すと辛いエピソードなんですけど......(笑)。

例えば、月曜日の朝に仕事で家を出るじゃないですか。その時に、ふと思うんですよね。「俺、この家に次はいつ帰れるんだろう?」って。

中村:本当ですか?(笑)。

北村:外資系のコンサルティング会社ってハードで、特に新人だと、結果が出ないのであれば時間と量で解決するしかないんです。徹夜を何日もやることがあって。その時は確か2泊3日、水曜日の夕方にやっと帰れた気がするんですけれども、そういうようなことがありました。

その際には、毎日のように上司に怒鳴られました。「こんなんでいいと思っているのか!」「もっと考えろよ」とか。「いや、考えてるし」と思っても、言い訳もできない。「仕事で結果も出ていないのに」と言われるから。

その瞬間「辞めたいな」とか、「俺、コンサルティングとかぜんぜん向いていないな」とか、なんなら「俺、社会人として不適合なんじゃないか」「なんで俺、こんなにイケてないんだろう」と思うんですよね。本当に当時は、今すぐこの場から逃げたいという感じだったんですよね。

今からもう十何年も前です。でも今思うと、「あの時の苦労があるから、今がある」って思えるんですよ。そうすると、今自分が経営者としてやれていたり、いろいろな人に対してコーチングをしたり、指導したりというところも、やっぱりあの時の経験、この「密度の濃さ」がめちゃくちゃ重要だったなと考えられるようになりました。

このコンサルティング会社で歯を食いしばった経験があったからこそ、本当であれば僕の年齢よりももっと歳を取ってから経験するようなこともギュッと経験できて、プロ経営者という道も歩めたんです。逆に言えば、この本を出せていること自体も、人よりもいろいろな経験をさせてもらったり、学びが多かったからです。

あの時、「本当に仕事ができない、やべー、やべー」って思っていました。その時の苦労や劣等感が(自分を)駆り立てて、今の自分を作ってくれたので、昔は恨んでいましたが、今はいいやって感じです。

その時の上司にもある意味で感謝しているので、本当に捉え方が大きく変わるな、と思います。

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