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シーンに応じた最適なカスタマーサポートによる顧客体験の向上を目指して(全1記事)

2022.12.21

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カスタマーサポートで重要なのは「お客さまの今知りたい」に寄り添うこと ANAが取り組む「PKSHA Chatbot」を使った顧客の課題解決事例

提供:株式会社PKSHA Communication

「営業時間外の問い合わせに対応できない」「FAQサイトがあまり利用されていない」……こういったカスタマーサポートの課題解決に、近年ではチャットボットツールの活用が話題に上ることが増えてきています。そんな中、チャットボットやFAQシステムで知られる、株式会社PKSHA Communication(パークシャ・コミュニケーション)が、 ユーザーカンファレンスを開催しました。本記事では、航空大手ANAグループが進めている顧客からの問い合わせを効率化する取り組みについて、ANA X株式会社 才津亮氏が語ったセッションの模様をお送りします。

チャットボットを活用した顧客体験向上の実例を語る

才津亮氏:ただいまご紹介にあずかりましたANA Xの才津と申します。本日はこのような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。では、時間もありますので、さっそく内容に入らせていただきたいと思います。

今回ご紹介するのは、「PKSHA Chatbot」の導入事例です。シーンに応じた最適なカスタマーサポートによる顧客体験の向上について、お話させていただきます。

私たちは、2019年8月にチャットボットを導入しており、今年で3年目に入るところです。活用していく中で心がけている、シーンに応じた最適なカスタマーサポートについて、実例を交えてお話をしたいと思います。

それから最後に、カスタマーサポートをさらに向上させていくために、どういったことを考えているかについて共有させていただこうと思っております。

「マイルで生活ができる世界」の実現に向けて

最初はイントロダクションということで、会社の紹介をさせていただこうと思います。私どもはANA X株式会社と申しまして、設立が2016年でANAグループの中では比較的若い会社になっております。

頭文字3文字でおわかりいただけるように、ANAホールディングス、つまりANAグループに所属する会社です。

ただ、このANA Xという会社が実際に何をやってるのか、知られていない部分があるのではないいかと思います。スライドの沿革で書かせていただいているとおり、昨年2021年4月にANAセールス株式会社で行っていた旅行事業を継承し、現在はこの旅行事業が1つの主要な事業となっています。それ以外にもライフサービスやBtoBソリューションなどの事業も行っています。

もともとANA Xはどういった会社かというと、ANAマイレージクラブ会員さまのプログラム運営や、そこから派生したデータの活用を行っておりました。他にもお客さまとのタッチポイントの部分で、ANA公式サイトやアプリ、LINEといったものを運営する会社です。

お客さまとコミュニケーションをとっていくタッチポイントを数多く運営しておりまして、公式サイトやSNSのほか、2021年に「ANA Pocket」という、日常の移動を基軸としたサービスも始めました。

あとはスライドの真ん中にあります、マイレージクラブのアプリですね。こちらは時期を図ったかのように、本日大幅なリニューアルをしております。データ活用に関しては、Orbiticsという関連会社を設立し、そこでより高度なデータ分析を行っています。

これ以外にも「ANA Pay」や「ANAカード」、今後新しくオープンする予定のECサイト「ANAモール」などがあり、航空以外のいろいろな事業を多角的に運営していく会社になろうとしています。

総じて言いますと、ANAの顧客やマイレージのプログラムをうまく活用したプラットフォームビジネスの展開、平たく言えば「マイルで生活ができる世界」を作っていく会社になろうということです。今日は旅行事業でのサポートのお話をさせていただこうと思っております。

顧客は常に手厚いサポートを求めているわけではない

では最初に、チャットボット導入に至った背景や課題についてご説明します。やはりチャットボットは、コンタクトセンターの応答率を向上させたり、業務効率化を図るといった目的で導入されることが多いと思います。

ですが、実は私たちのアプローチはちょっと違っています。スライドには「ニーズ分析からのアクションプラン」と書いておりますが、お客さまがコンタクトセンターに何を求めているのかを深堀りして分析していった時に、どういった施策がいいのかという観点で検討していきました。

ちょっと手前味噌になってしまいますけれども、外部に調査を依頼したところ、私たちのコンタクトセンターはそこそこ品質が高いという評価をいただいております。より手厚いサポートについては、できていたのかなと考えております。

その一方で、コンタクトセンターやコンタクトセンターのメンバーの意見を聞いて分析していくと、お客さまは常日頃からこういった手厚いサポートだけを求めているのかいうと、そんなことはないのではという意見が内部から上がってきました。

(スライドには)「サクッと解決したい」、「サクッと教えてほしい」というニーズが書かれています。スピード感をもって、今知りたいんだというニーズであったり、自己解決したいというニーズですね。1回1回電話するのも手間なので、人手を介さずにその場で答えを聞きたいと。

分析の結果、こんなことが分かってきました。そこで「PKSHA Chatbot(旧:BEDORE Conversation)」を導入しようということになりました。

データ分析から最適な問題解決シナリオをつくる

実際の活用事例を何点かご紹介させていただこうと思いますが、その前に「理想的な顧客サポート」についてお話しします。

研修などではよく出てるような話ですけれども、お店で服を見ているお客さまがいるとします。優秀な店員の方は、お客さまが服を見ている時にすぐ話しかけるのではなく、お客さまがどういう行動をされているのか、どんな好みなのかを観察した上で、最適なタイミングで声を掛けていくと言われております。

私たちもこの店員さんと同じように、お客さまの仕草や状況に応じて、最適なタイミングで最適なサポートを行おうという思想で、AIチャットボットを入れています。

例えば、シーンに応じた対話内容を行っています。私たちは旅行プランを販売しておりますが、旅行を予約するにはいくつかのステップがございます。今スライドに映っているのはフライトとホテルを選択いただく画面になっています。

お客さまにもよりますけれども、このシーンでお客さまが欲しいサポートは、例えば「友だちと一緒に旅行へ行くんだけど、自分は他の用事があるので、行きの便の時間を友達とはずらしたい。こんなことってできるのかな?」といった内容が想定されます。

この場面で何秒間か止まっていると、チャットボットが「お客さま、何かお困りですか?」と聞いてくるので、今回知りたいことがある「フライト」を選択すると、次に「お客さまによって出発日や帰着日が異なる」という選択肢が出てきて、解決できるようになっています。

この「シーンに応じて」というところがけっこう難しく、いろいろと分析をしながらシナリオを組み替えているところです。事例として、まず1つご紹介させていただきました。

インテントの設定で国内/海外によるシナリオ分けも可能

続いて2番目です。今度はフライトも便も選んだ後、お名前や連絡先といったお客さま情報を入れようとするシーンでは、どんな困り事があるかというところです。

例えば、最近はあまりないかもしれませんが「携帯のメールアドレスは使っていいのかな?」という疑問について。これもボットに聞かれる質問内容の中から「住所・連絡先」を選ぶと、「携帯のメールアドレスが使えるか」という項目が出てくるので、そこで答えにたどりつけるといった仕組みです。

似たような事例で、シーンに応じてシナリオを出し分けているというかたちになります。私たちもちょっと数えてみたんですけれども、だいたい26シナリオぐらいをご用意していて、それぞれのページにあったシナリオを出し分けています。

次の事例ですが、AIのチャットですので自由文で質問を入力される場合もあります。この時、私たちは国内と海外の両方の旅行を扱っていますので、「キャンセル」という1つのキーワードに対しても国内旅行と海外旅行では答えがまったく変わってくるんです。なので、国内と海外でそれぞれシナリオを分けています。

これは「PKSHA Chatbot」の魅力でもあるんですけれども、自由文の応答で私たちがやっているのが、インテントに分類タグを設定することです。これで国内なのか海外なのかを識別しています。

ちょっとマニアックな話になっちゃいますけど、プレアクションフローで定義することで、自由文の中でもお客さまが国内旅行なのか海外旅行なのか、お客さまの(ご覧になって)いるページによって判断ができます。このように出し分けをしているという事例でした。

台風接近時の対応シナリオを3日で実装

今まで3点、シーンに応じた対話内容についてご説明させていただきました。次にもう1つのご紹介したい事例として、スピード感のあるチャットボットの実装があります。

これは2019年の台風19号ということで、だいぶ前の事例で大変恐縮なんですが。台風が近づくと便の変更やキャンセルなど、コンタクトセンターには非常に多くのお客さまからの電話着信がございます。

こういった台風発生時の問い合わせ対応を、もう少しお客さまに寄り添ったかたちで提供できないかと考えました。当時、ニュースなどで台風19号が近づいてきており、規模も今までより大きそうで、お客さまのご利用の多い羽田空港などにも影響が大きそうだということが分かりました。

当時の手帳を見返してみると、10月7日にチャットボットに実装しようと決めて、8日にシナリオを作って、9日には実装していました。3日間ぐらいでチャットボットを実装し、そこでお客さまの問い合わせに対応することができました。

(悪天候イレギュラーページの会話数が)1日あたり400件以上あったということで、この何パーセントかのアクセスがコンタクトセンターに集中すると、お電話がつながりにくい状況にもなってしまいます。スピード感をもって対応できてよかったなという事例となります。

その後もどんどんチャットボットにシナリオを入れたいという要望が現場からたくさん出るようになりました。現場のニーズにスピード感をもって対応できるというのもPKSHA Chatobotの魅力の一つでもあるかなと思っています。

次は今話題の全国旅行支援のページですね。これも非常に多くのお客さまからお問い合わせをいただいております。

この旅行支援のページにもチャットボットを入れていますが、都道府県ごとに運用が違ったりしますし、難しい制度の内容をWEBコンテンツだけで説明するのもけっこう大変なんですけれども、チャットボットをうまく活用して案内をしているという事例です。こちらは3日ではなく、2週間ぐらいでシナリオの作成から実装まで行いました。

チャットボットとFAQシステム導入後の課題感

今後の検討内容について、少しお話をさせていただこうと思っております。ここまでご紹介したのが「PKSHA Chatbot」のチャットボットの部分なんですけれども、実はチャットボットで応じきれない部分に対しては、コンタクトセンターの営業時間内にはなりますが、有人チャットで対応しております。

この有人チャットはSalesforceの「Live Agent」を使っていますが、比較的簡単に「PKSHA Chatobot」と連携することができます。

一方でチャットボット以外ですと、FAQのサイトや社内のナレッジなどについては、バラバラに管理している状況です。FAQに関しては別ツールを使っておりますし、社内に関してはツールどころかExceに頼っている状況でございます。

課題としては、最初の有人チャットで言いますと、この連携をもっと強化していきたいというのと、コストも抑えていきたいという点がまず挙げられます。

2つ目の課題は、チャットボットの二十数個あるシナリオを一つずつメンテナンスしていくんですけれども、それに加えてお客さま向けのFAQや社内のFAQも一通り管理しているので、それぞれに対してメンテナンスが必要であり、業務に負荷がかかっている状況を解決したい点です。

3点目としては、そもそもツールすら入っていない社内FAQの運用です。お客さま向けのFAQと社内のFAQは内容が違うんじゃないと思われる方もいらっしゃるかと思うんですが、実はお客さまにお答えする内容と、社内内部で質問を確認する方法は深さが違うだけで、質問自体はけっこう同じだったりします。そのため、社内向けなのかお客さま向けなのかで回答を出し分けられればと考えております。

スライドのTo-Beに書かせていただいたところですが、お客さま向けFAQと社内のFAQを統合して管理し、AIなどをうまく活用することで、ツールの統一や一元管理、連携強化を図っていきたいと考えています。

今日は、この後ユーザー会の交流もありますので、そこでチャットボット以外のお話もぜひおうかがいできればなと思っております。

大事なのは「お客さまが今何を知りたいのか」に寄り添うこと

では、まとめに入りたいと思います。

従来の丁寧なカスタマーサポートも重要ではありますけれども、同時に自己解決したい、サクッと知りたいというニーズは年々高まっていると考えております。

カスタマーサポートで(注意すべき)重要なことは、(提供側が)どうしても押し付けがましくなる傾向があることが挙げられます。「私たちが何を伝えたいか」という思いから、過剰なFAQを提供したくしまいますが、大事なのは「お客さまが今何を知りたいのか」を分析し、それに応える形でお客さまに寄り添っていくことではないかと考えています。

最後は、年々高度化する問い合わせ内容についてですね。私たちも今までは旅行事業だけだったのが、ECサイトや決済、金融だったりと、どんどんビジネスが広がっています。その対応をカスタマーサポートやコンタクトセンターで受けていくことになります。

高度化し事業が広がっていく中で、ツールの一元化や集約による効率化や、AIなどをうまく使ってオペレーターをサポートすることで、「お客さまが今知りたいこと」へ応えていきたいと考えています。

今後も私たちANA Xは、お客さまが今知りたいことに寄り添い、顧客体験価値の向上を図っていきたいと考えております。私からの事例紹介は以上となります。ご清聴ありがとうございました。

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