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お客様ニーズを満たす問合せ応対ツールの導入について(全1記事)

2022.12.27

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顧客満足度13年連続1位の阪急電鉄の悩みは「WEBコンテンツ」 FAQサイトのアクセス数を倍増させたリニューアル施策

提供:株式会社PKSHA Communication

「営業時間外の問い合わせに対応できない」「FAQサイトがあまり利用されていない」……こういったカスタマーサポートの課題解決に、近年ではチャットボットツールの活用が話題に上ることが増えてきています。そんな中、チャットボットやFAQシステムで知られる、株式会社PKSHA Communication(パークシャ・コミュニケーション)が、 ユーザーカンファレンスを開催しました。さまざまな業界で、FAQ・AIソリューションがどのように活用されているのかを紹介します。本記事では、PKSHA Communicationの「PKSHA FAQ」を導入したアイテック阪急阪神株式会社が、FAQサイトのリニューアルの裏側について解説しました。

阪急電鉄の問い合わせ応対ツール導入事例

井阪宣之氏:アイテック阪急阪神の井阪と申します。短い時間でございますが、我々の事例をご紹介させていただきたいと思います。15時前のこの眠たい時間を、なるべくみなさんが眠らないようにしゃべれたらと思っておりますので、お付き合いいただければ幸いです。

「阪急電鉄におけるPKSHA FAQ、およびお客さまニーズを満たす問い合わせ応対ツール」がテーマということで、今日はご紹介させていただきます。こちらに阪急電鉄において現場で発生していた課題をいくつか図示しました。

電鉄会社のお客さま、いわゆる旅客のみなさまから、このように駅や交通ご案内センターなどで多岐にわたるお問い合わせをいただいておりました。こういった課題をFAQを活用することで解決へ導いていけたらなと思っております。

まず初めに阪急電鉄のご紹介です。阪急電鉄という会社は、創立1907年、明治40年に創業しました。阪急阪神ホールディングスの中核会社の1つとして、都市交通事業とエンターテイメント事業や不動産事業などを事業の中心としています。有名なところで言うと、宝塚方面にある宝塚歌劇団などがエンターテインメント事業です。

電車は、京都・宝塚・神戸・大阪梅田を中心に延伸している会社で、マルーンカラーの電車としてご存じではないでしょうか? ぜひ一度、関西にお越しの際には乗っていただけたらなと思っております。

私の在籍しているアイテック阪急阪神も少しだけ紹介させていただきます。アイテック阪急阪神は阪急阪神・東宝グループに属するIT会社です。グループ内外のシステムの導入およびご支援などを行っている会社です。

ですので、グループの阪急電鉄や阪神電気鉄道だけでなく、それ以外の会社さまのお仕事もたくさんしております。大阪の野田に本社を構えております。東京は大門の野村不動産芝大門ビルに東京の支社がございます。名古屋にも支社があります。

阪急阪神ホールディングスの長期ビジョンは「深める沿線 広げるフィールド」です。これをもとに我々が日々業務に埋進しています。グループが目指す長期的なビジョンを共有している状態です。

駅構内の落とし物をめぐる課題

今回FAQを活用することで、顧客満足度の向上を充実させるためにワーキングがスタートしました。課題のスライドになるんですが、駅などの現場では落とし物などがすごく(たくさん)あります。

スマートフォンや、最近だとAirPodsなどのBluetoothでつながる耳のイヤホンも落とし物で増えてきており、落とし物の問い合わせがきます。また、人身事故があった場合に「いつから電車が動くんですか」といった問い合わせが駅にきます。

あと、「学生割引とかの定期券は、いつ・どこに行ったら買えるんですか」と問い合わせをいただいたくケースがあります。また、キャラクターとコラボした電車やイベントをしているケースがあります。駅などでは、いろいろなことが電話などで問い合わせが来る状況になっております。

こういったところを何か解決できないかというところで、阪急電鉄における状況と課題のご紹介いたします。このように、お客さまからはさまざまな問い合わせをいただいております。そういったものを駅の係員の方や電話で応対するコールセンターの方、交通ご案内センターやお忘れ物センターなどで電話応対でリアルの対応をしています。

ただ、すべてのお問い合わせに対して完全には対応できない部分もあるので、そのあたりのケアが課題でした。また昨今は、スマートフォンやWEBで問い合わせいただくケースが非常に増えていて、コンテンツとして少し充実していかなければと考えておりました。

スライドは顧客満足度調査の結果で、毎年1回JCSI(日本版顧客満足度調査)において、阪急電鉄自体は13年連続1位を獲得しています。ただ、その中でいくつかの項目が低い評価でした。

それが、ここに書いている1〜5の項目なんですが、やはりご覧のとおりWEBの情報が薄いという評価になっておりますので、このあたりを踏まえてWEBのコンテンツを充実させていこうと考えて動いていきました。

阪急電鉄のWEBコンテンツの課題

阪急電鉄とWEBコンテンツの課題というところで、下記のとおり課題が3点抽出できたかなと思っております。阪急電鉄において、チャットボットの機能はホームページに搭載していますが、その内容とホームページにあるFAQの内容がリンクしていない状態になっていました。メンテナンスなどの2倍の手間がかかってくる状態が発生しています。

2点目がFAQサイトの更新が非常に煩雑だったことです。現状、当初のFAQサイトに関しては、WEB担当しか更新ができない状態だったので、各部の担当の方に対する確認作業などに手間がかかっていました。

レポーティング機能が不十分という点についてですが、こちらはグループ会社が作成したCMSツールのため、阪急電鉄の運輸部が特に必要としているレポート機能、帳票等の分析結果が出てこなかったという状態になっています。

ちなみに、このグループ会社が作ったCMSツールは弊社が作ったもので、汎用的に各社が使える仕様になっていたので、運輸部では不十分であったところが課題になっております。

WEBコンテンツ作成において重視したこと

これらを解決するために、「要件検討・お試し製作・本格運用開始・継続的改善活動」の段階に分けて対応させていただいております。

まず、要件検討において、既存のデータを最大活用していきたいと考えておりました。今まで使ってきた過去の棚卸しした内容を、よくある問い合わせサイトにうまく移行できないかと思いまして、既存のデータを最大活用していこうというコンセプトでした。

お試し製作でWEBコンテンツを実際に作っていく上で、出来上がったものの確認作業を定期的に行うことで、動くものを実際に見て改善点を見出しました。このプロジェクトとしては、WEBのコンテンツのパフォーマンスを最大限に持っていくことを目指して動いていきました。

また、各種システムの統合。ホームページ・FAQ、チャットボットと管理がバラバラになっていた点を統一することで、省力化につなげられないかと考えております。こちらが実際のPKSHA FAQを活用したWEBコンテンツのリニューアルの検討において、「既存のAIと新設のAIをどちらを使っていくか」という議論を整理した内容です。

既存のAIとは、試験運用時にチャットボットに「OKBIZ. for AI Agent」を使っていました。今回のリニューアルにおいては、「OKBIZ. for AI Agent」を移植して、FAQとチャットボットをうまく連携できないかを議論しました。

このあたりも新設するほうがいいのか、既存をうまく活用するかは、担当の方とお話を進めながら対応させていただきました。

セッションの保持について、阪急電鉄のチャットボットには、ホームページ上にチャットボットを貼り付けていました。FAQサイトに遷移してしまうと、今までのやり取りのセッションが切れてしまう問題がございました。

そこで、よくある問い合わせはFAQサイトにチャットボットをつけて、それ以外のお忘れ物用のチャットボットは阪急電鉄のホームページ側につけて、分離させていくことで2種類のチャットボットを使っていくことに決めました。今回のリニューアルの際にこの対応をすることで、セッションの保持の問題点も解決へ持っていきました。

チャットボット開発のトライアンドエラー

3点目、チャットボット側のカテゴリの整理についてです。FAQサイトには、やはりさまざまな細分化した項目、サブカテゴリを設けたいと思っていました。

チャット側で表現できる内容はやはり限られておりました。FAQのカテゴリでチャットボットを連携できる場合の集約を、上位3件にヒットの高いものだけを出せるようにチューニングしております。

これに伴い、今お客さまが意図していないものを上に出さないように、日々トライアンドエラーすると考えて、今回更新させていただきました。

ちょうど1年前の2021年10月に更新しました。ホームページ側のFAQで、チャットボット側で同じような質問をポチっとお客さまが押しますと、このようになります。これはホームページ側で出てくる回答なんですが、定期券を券売機で購入したい場合はどうしたらいいかを、FAQサイトから引っ張ってきて回答するという解決の道へつなげました。

継続的改善活動というところでは、分析会議を月1回、定期的に実施しています。その中で出てきた分析結果を、FAQの見直しやチャットボットのチューニングの参考にしました。

具体的にはFAQ閲覧ランキングや0件ヒットのランキングの分析、アンケートの評価もあぶり出しながら、今はどういう言葉が増えてきてるかを確認しています。

FAQサイトの問い合わせ数の推移

ここからは実際に、FAQサイトに年間どれぐらいアクセスがあって、それがどの程度の推移になっているかを紹介します。実際のサイトアクセス数がこの赤い線ですが、こちらは始まってすぐの時の10月の時点では10万2,260件だったものが、今は22万7,916件まで増えてきております。

このトップページから検索ページが表示された回数の合計の差を表掲しました。Googleなどの検索サイトからFAQサイトに流入してきた数を指標として、2021年度、2022年度の数字を記載しました。徐々に直接流入が増えてきている傾向が見受けられるようになっております。

引き続きまして、0件ヒットの率を記載させていただいております。目標としては、0件ヒットの確率を「0件ヒット÷検索件数×100」として、30パーセント未満にできないかと考えて、目標として対応しています。

初めは25パーセントぐらいから始まって、平均として25~26パーセントぐらいをずっと推移していました。9月に30パーセントに増えてしまったのは、台風14号が来て、「台風14号」というキーワードで検索されたのですが、これをキーワードとして入れていなかったので、0件ヒットの確率が増えてしまったという結果になっています。今後の対策としては、台風などの言葉を幅広に入れていく話になっています。

アンケート集計。実際FAQを使っていただいた、確認していただいた後にアンケートをとっています。なかなかたくさんの方にご回答はいただけていないんですけれども。

目標としては0.8パーセントの目標を掲げております。現状はだいたい平均0.33パーセントという状態で推移しております。ここをどんどん押し上げられるように工夫できたらなと考えています。

ここからは、より詳細なデータになります。2022年7月に起こったセッション数等の確認です。7月4日に台風4号が来ました。7月25日に京都線で人身事故がありました。その際にお問い合わせの件数が突出して増えているのが、数値を見てわかるかなと思います。

この7月上旬は満遍なく継続定期に関する問い合わせなどが多かったです。7月下旬には、子どもの乗車料金に関する問い合わせが増えてきたことが、この数値でわかってきました。このあたりを今後は活用できるかなと考えています。

同様に8月も同じような推移を見ました。こちらは人身事故が8月12日に発生しており、それほど飛び抜けてはいないんですけど、お盆に対するダイヤの確認や子ども運賃に関する問い合わせなどがありました。

分析した結果を見ると、9月に近づくにつれて、定期券の購入に関する問い合わせも増えたことがわかってきております。

阪急電鉄がFAQサイト作成を通じて得たもの

今日お越しのみなさんは、「FAQを作っているのか・作ったのか・作ろうかな」と思っていらっしゃる方が多いかと思いますので、ここからは阪急電鉄としてお伝えしたいことをいくつかお話します。

まずFAQの作成期間としましては、だいたい半年ぐらいかけて、今まであったデータを整理して文言を精査していきました。ホームページとチャットボットのFAQが別個だったことが一番の問題点だったため、我々はここの統一を重要視しました。

一方で、回答の見やすさもけっこうポイントだと思っています。そのあたりも力を入れて、チャットボットに連携する場合に、質問文を短めにすることなどもポイントとして重要視していました。

開発期間は1年間かけました。FAQはチャットボットと同時に開発していたので、1年ぐらいかけて対応させていただきました。一番初めにFAQは400~500件用意したと聞いております。現在は600件程度で運用しています。

FAQ見直しの頻度は、先ほどの分析会議を活用しまして、定期的に月1回程度で見直しをかけていくための既存のメンテナンスをかけさせていただいております。

コールセンターの電話がどれぐらい減ったかについてです。チャットボットの運用やFAQサイトの導入をすることで、入電数が減ったかというと……ちょうどコロナウイルスの感染症の影響があったので、減少した側面もあります。今は定量的に把握はできていない状況にあります。

ただFAQのセッション数の増加や、チャットボットを通じた問い合わせの数はどんどん増えていることは事実ですので、WEBサイトを通じてお客さまに対するご案内が対応できているのかなと考えております。

現在の状況といたしましては、みなさんからの問い合わせの内容に対して、FAQサイトをうまく使って的確な回答ができているかなと思っています。

一人でも多くのお客さまに阪急電鉄をご利用いただくために、リアルおよびオンラインを併用しながら、付加価値の高いサービス提供を今後も継続していきたいと思っております。お時間となりましたので、私からの発表を終わらせていただきたいと思います。ご清聴ありがとうございました。

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