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ー急成長ベンチャー経営者に学ぶ!ー 100人の壁を乗り越え、組織の一体感を高める方法(全4記事)

人的資本も心理的安全性も、最初は「流行り」でいい 不安定な時代を生き残る「応援される会社」になるには

急成長するベンチャーでは、組織の急拡大によって会社のビジョンが見えにくくなり、組織が機能しにくくなる「100人の壁」があると言われています。この「100人の壁」を乗り越え、組織の一体感を高めるにはどうすればいいのでしょうか。そこで今回は、「日本一科学的な人事で、安心して長く活躍し続けられる会社をつくる」ことを目指す株式会社ガラパゴス中平健太氏が、1年間で従業員数が2倍以上に増加するという急拡大フェーズの中で、組織の一体感を高め続けてきた「組織づくり」のポイントについて語ったセミナーの模様をお届けします。最終回の本記事では、人的資本や心理的安全性を重要視する理由について語りました。

人的投資に厳格なルールを設けない理由

司会者:ではちょうど11時になりましたので、みなさまのQ&Aにお答えしていきたいなと思いますので。さっそく「がらぱじお」、社内ラジオですね。「どれくらいの社員が見られてますか? また、聴いてもらう、見てもらう工夫とかありましたらお願いします」とのことです。

中平健太氏(以下、中平):「がらぱじお」は月に2回社内メンバー2名をゲストに招いてお昼の1時間やっています。8月までは週に1回、ゲストは社内メンバー1名・30分という形式でやっていました。今はリアルタイムだとだいたい40人くらいの方が参加していて、アーカイブ動画は110回以上視聴されています。だから、約50パーセントくらいの方が聴いてくれているので、まあまあですね。まだまだ上げなきゃいけないんですけど。

あと社内報も、とにかくSlackでの見える化をすごく重要視をしています。とにかく何かがあると、Slackに共有する。みんなが入っているチャンネルに広報が投稿してくれるので、それで「あ、こんなのがあるんだ」と。とにかく目に触れるというのを(徹底して)やっていますね。

田中弦氏(以下、田中):なるほど。ありがとうございます。ちょっとじゃあクイックに、ザザザーっと全部いっちゃいますか。

「人的投資に重要視されていることと、経営視点でPL上では人事組織にどれくらいの費用をかけるなど、どうイメージされていますか。こんな、例えば売上の何パーセント必ずかけるとか」。

中平:そこまで厳格なルールはなくて、どちらかっていうと、これはボトムアップで出していただいていて。人事企画だったり採用チームから、「このくらいの人が必要です」と。そこから「なんで?」というディスカッションを毎回やっています。

田中:めちゃくちゃかけることは決まっているけど、何パーセントって決めちゃうと、そればっかりの頭になって限界が訪れちゃうから、あまり決めてはいない感じですかね。

中平:そうですね。「きつくなさそうだな」くらいな承認の感覚にしますね。

田中:なるほど、ありがとうございます。

会社の中で「偉い」はない

田中:「まだまだ心理的安全性より根性や! という中小企業社長は多いんじゃないでしょうか? 概してそんな企業はどんどん淘汰されていると思いますが、どうでしょうか?」。

中平:そうだと思います。

田中:そうですね。先ほどのシーン現象じゃないですけど、あれは結局シーンとしてるので、他の人の脳みそを一切使えてないじゃないですか。

ってことは、偉い人のCPU1個で会社を経営するのか、全員で「こういうアイデアがいいんじゃないですか?」とか「会社、こうしたらいいですよ」って100個のCPUでやっているのと、どっちがこれから超不安定な時代に生き残りやすくなるかっていう話なのかなとは思いますけどね。

中平:大前提、僕は会社の中で「偉い」ってないと思ってるんですよね。責任と権限があるだけで、偉くはない。権限がある分、責任も大きいですよっていう立場だと思っていて。その人が偉いなんていうことは、おこがましいんじゃないかなと思ってる。それが前提にあるんじゃないですか、この中小企業の社長さんは。

田中:そうですね。ただ、減ってきてると思いますけどね。淘汰というよりも、そういう人たちも変わって、「これじゃいけないな」って思ってくださってる方が、けっこう増えてるんじゃないかなという感じはしますけどね。

人的資本も心理的安全性も「応援される会社」になるため

田中:では次に、「人的資本開示のISO30414認証取得前に、心理的安全認識が必要かと思います。言葉だけ先行していて、『流行り?』と勘ぐっている私がいますが、実際はどうなんでしょうか?」。

人的資本も心理的安全性もそうなんですけど、僕が考えるに「流行り」でいいと思うんですよ。最初は全部そうだと思うんですよね。すべての新しい概念。

例えば、それこそ「ビジョン・ミッション・バリューの選定ちゃんとしましょう」みたいな話も、最初出てきたときは、「行動指針を英語にしただけでしょ」みたいな感じだったと思うんです。それは「流行り」でいいんじゃないかなと。

ただ中平さんもおっしゃっていましたけど、時代の話。時代が変わってきてるときに概念が変わるという話なので、「流行り」じゃなくなってくるのかな、とは思うんですよね。

中平:うんうん。「この数字を達成するために企画を考えよう」は本末転倒だと思っていて。「何のために人的資本開示が必要なんですか」とか。「なんで心理的安全性が必要なんですか」っていったら、僕はシンプルに、「応援される会社」になるため。

田中:なるほど。

中平:求職者にも、働いている人にも、社会にも、資本市場にも、お客さまにも応援されるためには、応援される状態になるにはどうしたらいいんだろう。それがやっぱり、社会になじんでいくことになるのではと、僕は思っています。

SDGsとかも、人的資本開示とかも、全部その話なんじゃないですか。それを「時代はこうですよ」って、誰かが指し示してくれてるだけなんじゃないかなって、僕は思ってますね。

田中:本当に受け入れられない人は別ですけど、あきらかに、さっきのCPUの数じゃないですが、「そっちのほうが今の時代、得だよね」って思ったら、乗っかるのが一番いいかなって思いますけどね。

中平:そうそう。

社内で称賛を送り合うのは、ラブレターに似ている

田中:これは「Unipos」の話かな。「妬みとかが生じ、歪んでしまう可能性も考えられそうですが、この点についてはいかがですか。褒めたり叱ったりするのは対面でやるのが基本ではないですか」と。でも、ガラパゴスさんだと対面すらできないですからね(笑)。

中平:(笑)。これは社風があると思っています。僕たちはバリューの1つである「オープン&フェアネス」っていうのをすごく大事にしていて。それがいやな人は、ガラパゴスは無理なんですよ。

だから、妬み嫉みみたいなのは別にあると思うんですけど、うちは「オープン&フェアネス」だし、それがみんな心地いいでしょっていう人たちが集まっているから、「開示するもんでしょ」って。それが前提だから、もしかしたらUniposさんがはまっているのかもしれないですね。

田中:叱るのはみんなの前じゃなくてもいいかもしれないですね。

中平:それはそうですね。称賛の話だけですね。

田中:でも、褒めるのは別に対面じゃなくても、例えば北海道に住んでて仕事している人を褒めるって、別に普通だと思うので。対面にはこだわらなくても、今はいいのかなという気はしますね。

リモートワークもまったく許されなくて、全員が1つのところにいるオフィスだと、たしかに対面でやってもいいよねっていう話になるのかもしれないですけどね。

中平:昔って、想いをラブレターに書いて送ったじゃないですか。それって、面と向かって想いを言えなくても、言葉をラブレターにしたためれば、なぜかできるじゃないですか。僕、それと似てると思ってて。

「あなたのことが大好きです」って目の前で言うのはこっぱずかしいけど、「あなたのことが大好きです」って書いて送れば、「もう送っちゃった」って。それに近いから、僕はすごく意味があることだと思っているんですけどね。

田中:そうですよね。別に、飲みに行って「すごいぞ、お前」って言っててもいいし。カジュアルに、でも離れてる人も含めてみんなに伝えたいよね、ってなると、「Unipos」みたいなやり方もあるのかなとは思いますけどね。

称賛を「反芻する」仕組みが、ヒーロを生む

中平:「褒める」と「称賛」は、僕はぜんぜん違うものだと思っています。

田中:さっきの「感謝」と「称賛」が違うのと、けっこう似てると思う。

中平:そうなんですよ。で、「叱る」は絶対にオープンにはしないですよね。

田中:そうですね。あと「(Uniposでの称賛と)Slackでの称賛は何が違いますか?」。さっきやっていただいていた社内のイベントとか、そういったもので「反芻する機会」が必ずあると思うんですね。どういう活躍をしていたとか。それが(しやすいというのが)Slackとかチャットツールとの一番の違いです。

「称賛」との一番の違いは、僕が思うに、やっぱり何度も何度も反芻する仕組みが重要かなと思っていて。この間、あるメーカーさんの工場にいったんですよ。そしたら、外部の方への工場見学がものすごい仕組みになってて。

中平:うんうん。

田中:その人がめちゃくちゃ自慢するんですよ。「私はこういうDXをやりました」とか「改善やりました」って。外部の人に自慢すると、周りの人が「この人、こういう活躍してたよね」って、組織の記憶力を呼びさます感じになっていて。

「Unipos」で送ったものを、さらに工場見学で何度も何度も(反芻して)記憶が呼びさまされると、ヒーローがいっぱい生まれてくる。組織のいい行動の記憶を呼びさます仕組みがあると、もっといけるんじゃないかなと思っているんです。Slackだと、飛んじゃうんですよね。そこが違うところかな。

中平:そうですよね。確かにSlackだけでやりましょうってなると、100人を超えてきたりすると、習慣にならなくなっちゃうんですよね。一部の人は、Slackだとやるけど続かない。「Unipos」のような特別な場所を用意されると、「あ、ここは称賛する場所なんだ」と。

Slackって「会話する場所」だと思っているので、(別の)場所があるっていうのは、けっこう重要なことなんじゃないかなと思ってますね。

個人に個性があるように、会社にもそれぞれの生き方がある

田中:ありがとうございます。最後の質問にいきましょうか。「以前より違和感ありありでしたが、社風とかなんかかっこいい言い方で、新しいことに取り組まない企業が多いのがナンセンスと思います」。どういうことかな。

中平:そうですね......。「社風とかかっこいい言い方で新しいことに取り組まない企業が多いのは」......。どういうことだろう。取り組まない企業が多いっていうことですか?

田中:「社風という言葉に逃げているように感じる」。

中平:ああ、なるほど。そうですね。僕は各個人に個性があるように、各会社もそれぞれの生き方があると思っている派なので、別にそれは自由だと思っているんですよね。それぞれが好きなようにやればいいじゃん、と。それで選ばれるか選ばれないかはあなたの責任でしょ、と思ってる派です。

僕らのバリューには「フェイル&グロウ」(早く失敗、早く成長)というのがあります。これがもう僕たちの遺伝子だし、DNAなので。だから新しい取り組みをしないのはあり得ないんですよ。とにかくどんどんやってみようっていうチームなので。

まあ、いいんじゃないですか。やらないところも、それで別に。社会に価値を提供できてるんだったら、それはそれでいい会社だと僕は思います。

田中:ありがとうございます。そろそろお時間になりましたので。本当に、今日は別にベンチャーじゃない方もいらっしゃったかなと思うんですけれども、学ぶところがめちゃくちゃ多かったんじゃないかなと思います。

また4、5年後、あの中平さんがこんなこと話してたなって思い出すことになると思いますので、またTwitterとか、会社のホームページとか、そういうところで中平さんを見かけたら、ぜひお願いします。今日はどうもありがとうございました。

司会者:中平さん、弦さん、ありがとうございました。

中平:ありがとうございます。

田中:ありがとうございます。

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