100人の壁を乗り越え、組織の一体感を高める方法

司会者:では早速ですが、「100人の壁を乗り越え、組織の一体感を高める方法」というテーマにて、中平さんにご講演いただきます。中平さん、よろしくお願いいたします。

田中弦氏(以下、田中):よろしくお願いします。

中平健太氏(以下、中平):よろしくお願いいたします。まず僕から20分程話をさせていただきます。今日はみなさんとディスカッションをしたいなと思ってるので、ぜひよろしくお願いします。

僕はガラパコスの中平と申します。1981年生まれです。ガラパゴスという会社が一体何をしている会社なのかというところから簡単にご説明をして、組織の話ができればなと思います。

実はガラパゴスという会社は社歴が長く、2009年にできて今14期目です。創業からウェブサイトやスマホアプリを開発する、いわゆる「デジタルなモノづくり」をずっとやってきました。

2015年にAIの研究開発を始めて、2019年から「AIR Design」というサービスをリリースして、そこからちょっと会社の経営の仕方を変えました。いわゆるエクイティ調達をし、一気にスケールしていくような経営のスタイルにしたのが、ちょうど3年前です。

我々のやっている事業は、広告のデザインをサブスクで提供するモデルです。これは昔、弦さんもFringe81で似たようなことをやっていたという共通点もあって、仲良くさせてもらっています。あとはスマホアプリの開発もサブスクで提供しています。いわゆるデジタル領域でのモノづくりをやっている会社です。

「デジタルモノづくり産業革命」をビジョンに掲げる

中平:ミッションとビジョンとバリューをめちゃめちゃ大事にしています。僕と島田さんと細羽さんという創業者の3人は、もともとインクスという製造業のコンサルティング会社出身です。

製造業といえば「プロセス」。ガラパゴスは、「AI」というテクノロジーとプロセスの改善で、デジタルなモノづくりに関わる人たちを、よりヒトらしくしていこうというのがミッションです。ビジョンは「デジタルモノづくり産業革命」。バリューは(スライドの)この7つをめちゃめちゃ大事にしながら、会社を経営しています。

あとで本題に入るんですけど、組織において、これが僕はDNA、根幹だと思っています。まずここがぶれていると拡大できないんじゃないかなというのが、これまでやってきた感想です。ここは本当に軽視できないと思って僕はやっています。

働き方もけっこう挑戦をしていて、メンバーの98パーセントというほぼすべての人がフルリモートで働いています。採用に関しても、我々ものすごく採用力があると思っていて、求人の応募数も年間で7,000人、ちょっと前の数字だと1万人弱ぐらいの方々からご応募いただいています。

働いている人は関東以外が約3割、男女比率は男性42パーセント、女性58パーセント。ある程度バランスのとれた組織になっているのが現状です。

「会社が人を選ぶ時代」から「人が会社を選ぶ時代」に

中平:今日の本題の「急拡大する100人の壁」のところでいくと、もしかしたらこのあたりに壁があったのかなあと思うんですけど、あまり感じることなく、このまま一気にぐっと拡大していて。

もともとフルコミットの人たちが118名いたのが、ちょうど1年前。そこから現在は249名まで一気に拡大しています。この中で僕たちがどんな挑戦をして、どんなもがきをしてきたのかを、今日は共有できればなと思います。

ぜひ思ったことや感想でもコメントに入れていただけると嬉しいですし、素朴な疑問もQ&Aに書いていただけるとありがたいなあと思います。ぜひよろしくお願いします。

組織課題に関して、今日、アジェンダを3ついただきました。「ガラパゴスが抱えていた組織課題」「課題を解決するための実行施策」「施策実行後の定量、定性面の変化」というところで、一個一個お話していこうかなと思います。

まず大前提として、時代がどんな感じだったのかを捉えたほうがいいのではと思っています。僕は2006年新卒入社組で、当時は完全に「会社が人を選ぶ時代」でした。

その頃からこれまで、新卒大量採用も転職も「会社が人を選ぶ時代」だったと思うんですけど、ここ2〜3年、肌感覚で「人が会社を選ぶ時代」に変わってきた、というよりも、変わったとすごく感じています。

この大前提のもとで僕たちは会社を経営しています。選ばれなきゃいけないんだ、選んでいただくんだっていうのを、経営陣として理解しているし、人事のメンバーにもこれが大前提だと思ってもらっています。

「こういう会社で働きたい」を言語化

中平:もう1個、僕が組織の設計とか企画をする時にずっとおこなっているのが、まず「自分だったらこの会社入りたい?」って、自分に問いかけることなんですよね。

どうしても経営者って、主語が会社とか経営者になっちゃいがちです。そこを、逆に求職者の立場に立ってみて「そもそもこの会社入りたい?」って問う。この問いが僕は重要なんじゃないかなと思っていて。

僕もサラリーマンを3年やって、求職者だった時があったので、なんとなく「こういう会社で働きたい」って考えがあるんです。それを書いてみたんですよ。

まず、満員電車とか嫌だなと。あれ、ドキドキするじゃないですか。あと時間も、20歳超えて「8時に来い」みたいな。「いや、俺大人だよな」って。「場所も別にどこでもよくない?集まる意味ってそもそもあるんだっけ」とか。

とはいえ仕事は困難なことに挑戦するから、キツイ時には誰かに寄り添ってほしいよなあとか、がんばっているんだけど報酬が全然上がんないのっていやだよなあとか。あとはお金とか以外に、称賛されたいとか感謝されたいって、根源的な人間の欲求があるよなとか。

主役は自分だし、自分が輝ける場所がいい。こういうことを素朴に思うじゃないですか。この素朴に思うことをどれだけ制度に落とし込めるかな、とやってみたんです。

僕たちのバリューの1個に「憑依」という言葉があるんですけど、これは僕らのバリューでもあり、僕自身も人生においてすごく大事にしていることです。まさに先ほどの、求職者の立場に立って考えること、これが憑依なんじゃないかなと。働く人憑依。働く人側から見た時にそこで働きたいと思える環境を整える。

性弱説に立って見える化し、性善説で信じる

中平:あと、会社としての信念をどう持つかという話もあると思っています。僕の信念なんですけど、もう「性善説で信じよう」と。なんでかというと、性悪説で監視するとコストがかかるので、とにかくまずは信じようと。

とはいえ人は弱い生き物であるという性弱説の大前提に立った時に、僕も怠惰な人間なので、そこは見える化しようね、と。「性弱説に立って見える化するけれども、性善説で信じる」というのを、会社としての信念として持っています。

自由であるがゆえに責任は常にセットであるべきだと思ってるし、モノづくりをする会社だから長く活躍して欲しいと思っているし、サーバントリーダーシップという考え方を僕たちは信じていて重要視している。こういったことをと人事企画のメンバーとディスカッションしていたら、会社としての骨子ができあがりました。

「僕たちのミッションである“プロセスとテクノロジーで、人をよりヒトらしく”を、人事に置き換えた時には、どんな言葉になりますか」と。この言語化が僕はめちゃめちゃ重要だと思っています。「日本一科学的な人事で、安心して長く活躍し続けられる会社を作る」という、常にここに戻って来られる、この人事のポリシーを、人事のメンバー、人事のマネージャーたちが1年半前ぐらいに作ってくれたんですよね。

ここがたぶんターニングポイントだったなと、これが100人の壁を越えるための最も重要なポイントの1つなんじゃないかなと思っています。

人事の仕事は「安心して長く活躍できる居場所」を作ること

中平:さっきの「満員電車やだな」とか「時間と場所の制約にとらわれたくない」って大前提に立ったとした時に、やっぱり「Work From Anywhere」という、誰でも働く時間も場所も選べるっていう考え方は、この時代には僕は当たり前だと思っています。なのでコロナ禍になってから一気にリモートワーク率をぐっと上げたんです。

そこまでは決心がつかなかったのでできなかったんですけど、ぐっと上げて、その後はずっと98パーセントぐらいのリモートワーク率を保っています。それでも組織は拡大するし、人も増えるということを、証明できたんじゃないかなぁと。あとは事業的な成長もできていると思っています。ここはもう、経営者の覚悟1つなんじゃないかなと思います。

先ほどもコメントにあったとおり、新しい働き方を追及していくと、コミュニケーションが取りにくいんじゃないかとか、貢献を感じにくいんじゃないかとか、対面で会わないと共有とか称賛とかしにくいんじゃないかとか、バリューの浸透ってできないんじゃないとか、(そういう不安が)確かに思い浮かぶんですけど。

この一個一個(の不安に対して)、僕たちはさっきのポリシーに従って、「安心して長く活躍するのをどうやったら実現できるか」というのを(軸に)、企画一個一個に、制度一個一個に落としていきました。

安心して長く活躍できる居場所を作るのが人事の仕事なんじゃないかなと思っています。ちゃんと寝れるとか、安全であるとか、社会にいていいんだとか、(そう思える)居場所を作るのが会社の役割だし、人事の役割なのかもしれないなと、僕は思っています。

このマズローの欲求5段階説はけっこう信じていて、この下3つがそもそもできてるっけ?っていうのを、よく人事企画メンバーとディスカッションしています。ということで、ここまでが前提となるお話でした。