若手社員が離職する理由、第1位は?

加藤想氏:今日は、優秀な若手社員を辞めさせないために必要なことについて考えていきます。先日、「若手キャリア官僚の退職、13年度比で43%増」というタイトルのニュース記事を見かけました。このようなニュース記事を見て、「自分の職場の若手は大丈夫だろうか」と感じた方も多いのではないでしょうか。

私の職場でも、年齢も若くて優秀な方が多く入社します。この記事を読み、自社は優秀な若手にとって働きがいのある職場になっているのか、考えるきっかけになりました。

では、そもそもなぜ若手社員が離職してしまうのでしょうか。とある調査によると、離職原因の第1位は「上司や経営者といった目上の人との人間関係」だそうです。多くの方が「仕事を辞めたい」と思う瞬間を経験していると思いますが、そのほとんどがこのような人間関係にあるのではないでしょうか。

また海外の企業だと、社員がメンタルダウンしてしまった時には問答無用で上司の責任になるそうです。そして、その上司に対してなんらかの対応をする場合は少なくありません。それほど職場のリーダーには影響力があると考えられています。

これらを踏まえ、優秀な若手社員を辞めさせないために、職場での人間関係で意識しておきたいポイントについて、考えていきます。

フィードバックを減らすことで、部下のリーダーシップが育つ

まずは、タイムパフォーマンスについて。若い世代の間では、時間に対する価値を非常に意識している層が増えています。やる意味を感じられない仕事が続くと、優秀な若手ほどすぐに働く場所を変えてしまいます。

また上司が本気で考えた指示なのか・そうでないのかは、部下は簡単に見抜くことができます。リーダーは、考え抜いた末に導いた効果のある打ち手や戦略をもとに、メンバーの仕事を割り振る必要があります。

具体例として、先日私が尊敬する管理職の方にうかがったお話をご紹介します。その方は「効果が出ると確信を持った数字に集中する。例えば、上司から部下への提案資料のフィードバック時間を半分以下に減らすことに、私は全力で取り組んだ」とおっしゃっていました。

それまでチーム内では、提案資料へのフィードバックを増やせば増やすほど、クオリティが上り、受注につながると信じられていたそうです。しかしこの方はその前提を疑い、あえて逆のことを行いました。結果として、そのチームはこれまでで最も良い営業成績を出しました。

フィードバックを減らすことで、上司に迎合しないメンバーのリーダーシップが育ち、余計な気遣いをしなくなった分、多くの時間を顧客訪問に充てられたことが成果につながった原因だと聞いています。

一定のスキルを満たすまでは、細かいフィードバックも実施

一方で、こうも付け加えていました。「フィードバックなしで任せられるかどうかは、メンバーの特性を考えて慎重に判断する」つまり、ある一定のスキルを満たすまでは、細かいフィードバックも行うそうです。

この話から、個人を把握すること、そして施策を考え抜く力と深い洞察力、さらに任せる度量が必要なのだと感じました。

私自身もつい、あまり深く考えずになんとなく過去のやり方を踏襲してしまったり、部下や後輩に任せずに、ずっと自分でやり続けている仕事があることに気づかされましたし、自分の努力だけでなく、周りが力を発揮するために自分ががんばれることにも目を向けたいと、あらためて考えさせられました。

今日は、優秀な若手の離職を防ぐために意識したいポイントについてお話ししました。ライフネット生命の創業者の出口治明さんも、「リーダーの仕事は、部下が元気に明るく楽しく行動する環境を作ること、これだけ」とおっしゃっていました。そんな素敵な職場にするために、私自身も日々意識して行動につなげたいと思います。