リモートワークでメンタル不調になってしまう人の特徴

ーー池井さんは『「燃え尽きさん」の本』の著者であり、ご自身もバーンアウト(燃え尽き症候群)の経験者でいらっしゃいますが、産業医としてご勤務される中で、リモートワークによって燃え尽き症候群になってしまうような方は多かったですか?

『「燃え尽きさん」の本』(かんき出版)

池井佑丞氏(以下、池井):やはりリモートワークで燃え尽き症候群になってしまう方もたくさんいます。ただ感覚的に、コロナでリモートワークになってから、メンタル不調者は減ったと思います。と言うのも、もともと不調だった方にとっては社会との距離を置いてマイペースに生きられるので、「楽になった」という方のほうが多いんです。

相対的にはメンタル不調者は減った感覚のほうが強いですけど、一方で、出社している間は大丈夫だったのにリモートワークのせいで病んでしまった人が出てきたのも確かだと思います。

仕事量が増えた・減ったとか、リモートワークによる変化がプラスに働いている人とマイナスに働いている人でしっかり分かれちゃっています。リモートワークで「ラッキー」って思っている人のほうが感覚としては多いですけど、困っている人も同程度いるので、その人たちに対しては何かサポートしなきゃとは感じます。

ーーそうですね。リモートワークでうまく仕事ができている方と、そうでない方の違いについて、何か感じるところはありますか?

池井:あります。いろんな企業さんを見ているので、会社ごとでも違いますし、個人でも違いますが、従業員と会社の両方に言えることとしては、前提として「仕事の目的・目標が明確になっているかどうか」が大きいと思います。

働き方としてジョブ型、メンバーシップ型があると思うんですけど、やはり日本はメンバーシップ型が多いので「目標・目的が明確じゃないまま働いている人」がいて、それがリモートワークになって明らかになってきてしまった。

どうしても働きぶりが見えない分、成果を出していかなきゃいけないんですけど、意外とそういう働き方ができてない方が多い。そのあたりが、リモートワークでうまくいっていない人に多い印象です。

誰も見てない中でがんばる難しさと、がんばらなきゃいけない思いの葛藤

池井:もちろん業務の相談が難しい、雑談含めてコミュニケーション機会が減っている、等の問題も影響しているんですけれども、前提としては「目的・目標の明瞭さ」がないとリモートワークはうまく回らないケースが多く、結果精神的な負担となってしまいます。

ーー目的とか目標って、具体的にどんなことが挙げられますか?

池井:幅広いですね。いわゆる業務のKPIや納期、ノルマなど、数値的な目標もあると思いますし、「働く」ことに対しての哲学的な部分もあります。

何かを達成することを目的に働いている人は、働き方がどうであれ働けています。仕事の先にある目的がブレない人にとっては、リモートになったマイナス点は何もないはずなんですよね。成果とか貢献とか、本質的なものに目的意識を持っている人にとってはつらくないんです。

一方で、目的や目標もなく職場へ行っていたような方は、「自由」の難しさを感じてるんじゃないかなと思います。受験の塾とか予備校の感覚と一緒ですけど、やっぱり人って見られているとがんばりますし、みんなががんばっていればがんばるんですけど、それを自分だけでやるのは、シンプルに難しいことじゃないですか。

ーーそうですね。

池井:誰も見てない中でがんばるのは難しい。でも「がんばらなきゃいけない」。この思いと現実のギャップに苦しむ。当然、がんばらなきゃ成果が出せないから、成果が出ないとどんどん納期がタイトになっていったりして、自分で自分の首を絞めてしまって、「しんどいな」と感じてしまうこともあると思います。

そもそも成果より「がんばっている姿」で評価を得ていた方々にとっては、自分の価値の出しようがなくて、実際は自分に生産性や成果が少ないという事実と直面してしまうわけですね。バレてしまうと言ってしまってもいいんですけど、それに対する不安もあるんです。

評価する会社側の問題と、目的なく働く従業員の問題の両面がある

ーーなるほど。リモートワークではどうしても評価を「成果」で測ることしかできないと考えてしまいますよね。なので営業のような数字で成果を出しやすい職種もあれば、そうでない職種もある。

池井:おっしゃる通り、業務の質によって見える化しやすいものとそうでないものがあると思います。それこそ営業の方やクリエイティブの方は「成果さえ出しゃいいんでしょ?」って、成果が出せればある意味サボりたい放題なので、気軽に働いている方も多いかなと思っています。

一方で成果を見える化しづらい仕事もありますし、そういった仕事に従事している方は難しさを感じているかもしれません。ただ、海外とかを見れば当然、そういった職種の方も成果で評価をされるように会社が成り立っているわけです。

ここには両面の問題があって、そもそも従業員の成果を評価する体制ができあがっていない会社側の問題もありますし、従業員本人たちにも自分の生産性とか成果にフォーカスを置かずに働いてきてしまった現実がある。

誰が悪いとかではなく、単純にリモートワークによってどうしても(働き方を)ジョブ型に切り替えざるを得ない。そのギャップに直面している人たちが困っているのかなと思います。

ただ一方で、僕個人としては働き方はある程度ジョブ型であるべきだとは思っているので、むしろ今は適正化されていく過渡期にあるんじゃないかなと思います。要は社会が変わってしまったので、「前のほうが良かった」「新しく変わったのに順応できない」って言っていても、苦しむのは自分だけなので、合わせていくしかないとは思います。

リモートワークで感じる「がんばっても報われない不全感」

ーーそうですね。今のお話のように、本人に「がんばりたい気持ち」があるのに、やり方がわからなくてもがいている方が多いのかなと思います。

『「燃え尽きさん」の本』で、バーンアウトは以前よりも起きやすくなっているというお話と、その原因を挙げられていました。リモートワークでもそうしたストレス原因を感じる方が多いんじゃないかなと思いますが、燃え尽き症候群とどんな関係性があると思いますか。

池井:(「情報過多」「コミュニケーション過多」「雇用形態や価値観の変化」「がんばっても報われない不全感」という4つの原因のうち)ピンポイントで「がんばっても報われない不全感」のところだと思います。さっきの話と同じで、がんばりの見せ方が少なくなってしまっている。成果は見せられるんですけど、その姿勢が見せられないから評価を受けづらい。

「ありがとうね」とか「がんばっているね」とか、コミュニケーションベースでフィードバックを受ける機会も少なくなってしまっているじゃないですか。職場にいれば、「遅くまでがんばっているね」と声を掛けられたり、「ありがとうね」って直接言われたりすることで報われると思うんですけど、それが伴ってこないというのは間違いなくあると思います。

ただ厳しい言い方をすれば、仕事は別に褒められるためにやっているわけじゃないはずです。でも、その「褒められたい」が過度な人にとっては、リモートワークでそれが感じ取れない。もともとそれ以外の目線でがんばったことがないので、どうがんばっていいのかがよくわからなくなってしまうんです。

ーーなるほど。燃え尽きさんの中でも、「あまり燃えられなくてつらい人」の方が多いんですね。

池井:そう、苦しんでいる人のメインはそっちだと思います。結局、がんばった量がそのまま生産性につながるわけじゃないので、その壁にぶつかっているケースも一定数いますし、個人的にはそういう前向きな苦しみは「取ってあげたいな」とは思いますね。

いつの間にか「がんばる」ことが目的になってしまっている人が多い

ーーメンタル不調にならないためにも、また生産性を上げるためにも、適度に「休む」ことが大事だと思うんですが、成果を出そうと必死になると、休もうとしなくなってしまうと思うんです。

池井さんは産業医の他に、プロの格闘家でもいらっしゃいます。スポーツの世界ではよく「練習を1日休んだら、取り戻すのに3日かかる」と言われると思うんですが、これは休めない・休まないビジネスパーソンと似た感覚を持っているんじゃないかなと感じています。スポーツ選手として「休む」ことについてはどう考えていらっしゃいますか?

池井:めちゃくちゃ大事だと思っています。僕は現役時代から練習量は少なく、休みも大事にしていました。もちろん医師との両立だったので物理的に時間が取れないという事情もありましたが、結局無理にたくさんやっても練習の質が落ちたり、疲れがたまったりするだけであまり意味がないことに気づいたんです。

やはり重要なのはその練習に目的意識があるかどうかなんです。だいたいワーカホリックな人も、めちゃくちゃ練習する人も、いつの間にか「がんばる」ことが目的になっちゃっている方が多いんですよね。がんばっていると、心が安心するんです。課題に対して向き合っていることが一番の安心。

例えば、試合が近づいてきたと思ったら、時間があればもっと練習したくなっちゃいます。「あれもやんなきゃな。これもやっておこうかな」って。でも、それが疲労になったり、けがをしたり、逆に精度が落ちることになっていきます。やっぱり考えて練習ができてないと(ダメなんですね)。

例えば「サンドバッグを100発殴りましょう」という練習と、「10発よく考えて正しく殴りましょう」という練習の、どっちが強くなるか。時には100回殴ることも必要だし、時には10回丁寧に殴ることも必要なんです。都度都度、必要性を判断してやっていく。「がんばる」に固執してしまう人は、ここをおろそかにしている人だなと思うんですよね。

――確かに、がんばることが目的になってしまって、本来の目的を見失っていることも多いかもしれないですね。

池井:「がんばる」も、「悩む」も同じですね。悩むのってある意味楽しいじゃないですか。

何も生み出していない「がんばりたがり・悩みたがり」

池井:僕はよく「人は悩みたがりだよ」ってみんなに言うんです。悩みたがりが発動してる時は、本当に何も生み出してないから、気をつけてねって。

――(笑)。悩んでいるだけで、何も解決していない。

池井:別にがんばることも悩むことも、悪いことじゃないんですよ。でもがんばりたがり・悩みたがりの時が絶対にあります。それは本当にただ堂々巡りして意味がない時だから、それをやるぐらいだったらサボりましょうね、とよく言いますね。

そもそも「休むことに価値があるよね」って、知識がある人はわかると思うんですけど、がんばりたがりの人たちは、たぶん知らなかったりするんです。まず知識をちゃんと身につけること。何をやるにしても知識はすごく大事です。

これも言葉遊びみたいな感じですけど、僕はよく「知識を常識に、常識を無意識に変えましょう」と言っています。知識って、「へえ」って思っただけじゃ身に付かないんです。それを信じて、ちゃんと繰り返したり何度も口に出したりして、経験して当たり前になるんです。

例えば「週7働くなんてバカみたいだよ」っていうことが本当に自分の常識になるには、心まで理解してないといけない。そしてそれが無意識でもちゃんとできるように、自分の生活に落としこむところまでやりましょうって言っています。

頭の納得ができても、心の納得ができていないと行動は変わらない

池井:今日のテーマである「サボるといい」なんて話は、データとしてもいくらでも出せるし、読んでもらったら「へぇ」って思ってくれると思うんです。でもその「へぇ」って思ったものを、「確かに」と思えるところまで、ちゃんとやりこめるかどうか。

――実践まで持っていけるかどうかですね。「がんばりたがり」になってしまっている時に、休むことへの知識があれば、「あ、自分がんばりたがっちゃってるな」って気づけるのかなと思いました。

池井:所詮知識なんて、出会ったときは(常識として身についた時を10としたら)1ぐらいの重さしかないんですよ。それに対してその人が何年もの間がんばりたがって生きてきたのであれば、「休む」という知識が自分のがんばりたいという「頑固さ」を抑えられるところまでやらなきゃだめですね。

心が納得しないことなんて、結局意味がないんですよ。みんな頭の納得まではできるんですけど、心の納得のところまでできない。これはメンタル不調者もみんなそうです。

僕ら産業医が言うアドバイスや、僕の書いた本だって、もうある程度知性がある人から見たら「そうだよね、知ってる」みたいな感じなんです。それをちゃんと自分にインストールできるかどうかは、本人の心意気の問題。

結局これって格闘技とかスポーツでも同じで、あるスタイルであるところまでいったら、必ず頭打ちが来るわけですよ。その時に自分のスタイルを変えたり、アップデートしていかないと、次のステージにはいけないんですよ。それをやる勇気と覚悟を持てるかどうか、聞く耳を持っているかどうかが重要です。

――そうですね。心で納得しないと本質的な解決にはなりませんね。

依存症の治療プロセスと同じ、脱「がんばりすぎ」のアプローチ

池井:やめられないのって、要は依存症と同じなんです。依存症の治療のプロセスと似てるんですよね。生活パターンに落としこんで矯正していきながら、あわせて「お酒やめたほうがいいんだよ、こうなんだよ、ああなんだよ」って啓蒙しまくって、「今なんで飲みたいと思ったの?」と言うところを1回1回ひもといていく。

そうすると気がついたら依存から外れているという、物理的な制約と心理的な制約でやっていくんです。がんばりすぎに関しても、そういうアプローチがいいんじゃないかなと思います。

――『「燃え尽きさん」の本』の中で「5人のセコンドを持つというお話があったと思いますが、リモートワークにおける「がんばりすぎ」についても、話し相手がいることが大事なのではないかなと感じました。

池井:頑固になってしまっている方々は、信頼する人に口出ししてもらうのが一番やりやすいと思います。家族とか友だちとか、上司でも部下でも、「これからこういうのに気をつけようと思ってるから、またそうなっちゃってる時は言ってよ」とか、「ルール破ってる時は言ってよ」と言っておくんです。

そうすると「あんた、18時になったらパソコン閉じるんじゃなかったの」とか言われて。「ああそうだった……。でも、俺が言ってって頼んだやつだから文句言えないし」と。

そういうことから経験していくと、パソコンを閉じた後、最初はもんもんとするんですけど、次の日はなんかすっきりしているんですよね。

「ドライな存在」も相談相手にしておくメリット

――話し相手は「信頼できる人」としていますが、例えば他の部署のふだん仕事しない人と雑談するのと、メンターのような方とお話しするのとでは、効果は違うのでしょうか?

池井:個人的には、しゃべる相手は自分が選べばいいと思っています。会社から「この人がメンターね」って設定してあげることはいいんですが、基本的には自分がしゃべりたい人にしゃべればいいと思います。

話題によっても、例えば恋の相談は彼にできるけど、仕事のことは話さない仲とか、いろいろあるじゃないですか。なので、ご本人なりに選べばいいと思います。

ただ偏ったメンバーになると、フォーメーションとして良くない。一部は上司とか、僕らみたいな産業医といった「ドライな存在」や第三者的な存在を、必要に応じてセッティングをしていくのが大事です。

――社内でちょっとしたことを話せる相手が何人かいれば、状況に応じて相談できるのでいいかもしれないですね。

池井:結局、社内に友だちがいる人はあまり辞めないんですよ。1人でもいいです。プライベートで会うとか、悩みを相談できる人が社内に1人でもいる人は辞めないものなので、社内に1人2人見つけるのは、テクニックとしてもとても有効です。

ただ、そういうのが苦手な人もいるでしょう。それこそ社内の人とプライベートでもしゃべりたくはないとか。そういう適切な人が社内にいなかったら、僕らのような第三者を活用して代用すればいいと思います。

――おっしゃるとおりですね。

調子が悪そうな人に休めているのか聞く、2つの質問

ーー本の内容で、「体だけではなく心が休めているかが大事」という話がありました。実は本人が休んでいるつもりになっているだけで、休めてないような行動があるんじゃないかなと思っています。

あと休日に関しても、せっかくの休日だからとアクティブに動く方と、家の中でゆったり休む方もいらっしゃるので、どう休めばいいのかなってわからない方もいると思うんです。アドバイスをいただけますか?

池井:後者の話に関しては、(アクティブに動くこともゆっくり休むことも)どっちも大事です。

僕は調子が悪そうだなって思った人に聞くことが2つあります。「よく眠れてるか」と、「土日何してたか」を聞くんです。心だろうが体だろうが、寝れている人は基本的に休めてる人だと思っています。

プラス土日はいわゆる自分が一番リラックスしてたり、好きなことをやったりするはずの時間です。そういう時間で満たせていない人は、悩んでるか、疲れてるか、がんばりすぎてるかのどれかです。このどっちかを自他共にチェックするのはすごく大事だと思っています。

心が休めているかどうかは「ベッドで考え事をしてるかどうか」

池井:心が休めてるかどうかのチェックポイントはいろいろあるんですけど、一番わかりやすいかなと思うのは、「ベッドで考え事をしてるかどうか」。

だいたい悩んでる時とか困ってる時って、ベッドに入っても「ああ、そういえば明日こうだっけなぁ」とか考えてしまうんです。これがベッドで浮かんでるうちは危ないです。ふと仕事のこととか悩み事が頭にモヤモヤっと浮かんできている時は、休めていません。

ベッドだけじゃないですけど、例えばプライベートのリラックスしてる昼下がりとかに、「ああ、そういえば……」と考えているうちは、やっぱり心が休めていない。(その解決法は、)フーっと深呼吸してリラックスするという方法でもいいですし、代わりに楽しいことをして忘れるとか、なんでもいいんですけど。結果論として浮かばなくするのがいいですね。

――いや、そうですよね。ベッドに入ってから「あー、あの仕事、今日中に終わらせとけばよかったかなぁ」と思って、夜中に起きてパソコンをまた開いちゃうとか。そういうのはリモートワークのあるあるなのかなと思います。

池井:リモートワーク(で休めないの)は、パソコンのせいなんですよ。職場にしかパソコンがないなら、気になったってやりようがないので諦めがつきますけど、すぐそこにあれば開いちゃえばいいじゃんって話になるので。

それを例えば棚に片すとか、奥さんに渡すとか。最初は遊び気分で取り組んでみても構わないので、オンオフを分ける強制的なものを、スケジュールとかルールに落としこんであげるのが大事です。

シャットアウトの時間を確保して作る「サボる」成功体験

池井:僕が本とかに書いた方法だと、例えば毎週「バスケットの日」を設けていて、18時半からバスケって決めてるんです。何がどうであれ、この時間はシャットアウトされる。

それを経験しておくと、周りは「この人はこの時間シャットアウトだな」ってわかるし、自分自身も、シャットアウトしても世の中が大して何も不具合が出ないこと体感して、そうするとそれまでの焦りや不安がなんかバカバカしくなってくるわけですよ。

この3時間バスケをしてなかったら、「ああ、これもやっとくか」って過ごしたと思います。でもそれをやらなかったとしても、大して世の中は変わっていない。そういうのを経験していくと、「サボる価値」がわかるんです。

ここから先は成功体験で、サボるという行動をする覚悟や意識ができたら、あとはサボった後の成功体験を繰り返していくだけです。「サボるってめっちゃいいな」と。そうすると、最初は(「休むことで生産性が上がる」と)知識でしか入ってなかったことが、無意識のレベルまで入ってくるわけです。

がんばりたいとか成果出したいという気持ちと、サボりたいという気持ちがマッチするわけです。

――おもしろいですね。がんばりすぎをやめるのは、心情的に大変だろうと思っていたんですが、1回成功体験があれば、次のステップは、最初のステップより楽なんじゃないかなって思いましたね。遊び感覚でもいいから1回やってみるといいですよね。

池井:そうですよ。やれそうなことからやっていくことが大事です。

僕はよく「スケジュールでオンオフを作りなさい」と言います。僕はバスケットとかなんですけど、例えば「火曜日の7時は好きなあの番組を見る」とかでもいいんです。

本人がやりたいことだったら、その時点で絶対仕事のことは忘れてられます。そういうオンオフを切り替えた成功体験をしていく。さっき言ったように、1人だと取り組みづらいので、家族とか友だちを巻き込んでいけるといいですね。

――楽しくサボって成果が出せるといいですよね。「がんばりたがり」になってしまっている人が、この記事を見て、勇気を持って自分を変えてくれるといいなと思います。ありがとうございました。