2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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森透匡氏(以下、森):あらためまして、今日はお忙しい中ご参加いただきまして誠にありがとうございます。20時なので、日頃はビールで一杯やっている頃かもしれませんね。日本刑事技術協会の森です。よろしくお願いいたします。
うちの協会の稲村講師の出版記念のオンラインセミナーにお集まりいただき、ありがとうございます。さっそく始めさせていただきます。なるべくお顔を出していただけると、講師も張り合いが出ますので、ぜひみなさんご協力お願いします。ではさっそく講師の紹介をしますね。
本日の講師は稲村悠講師でございます。元警部補の稲村さんは警察学校を主席で卒業されて、同級生で最も早く警部補に昇任されました。元警視庁公安部捜査官として、多くの諜報活動の取り締まりおよび情報収集に従事。延べ1,000人以上から、さまざまな手段を用いて機微な情報を収集し、警視総監賞など多数受賞した元敏腕捜査官です。
経済安全保障に関わる技術流出等、諜報事案から得た知見や情報収集のスキル、人との交渉術や良好な人間関係の構築などを現場で体得してきました。また、刑事としても強盗致傷事件など数多くの強行事件を担当されています。退職後は大手金融機関の社内調査や大規模会計不正などの調査に従事していますので、社内調査に関する多くの知見も有しております。
現在は元公安捜査官としての経験を活かして、こうした「スパイ活動から学ぶコミュニケーション術」などの講演をしています。
そしてまさに今日、WAVE出版から『元公安捜査官が教える「本音」「嘘」「秘密」を引き出す技術』が発売されます。約1時間、ぜひみなさん楽しんでください。では稲村講師、よろしくお願いします。
稲村悠氏(以下、稲村):ご紹介ありがとうございます。今日は夜遅い時間ながら、みなさんお集まりいただきまして誠にありがとうございます。本当に感激しています。その気持ちを述べるだけで1時間経ってしまいそうなぐらい、本当にうれしいです。ありがとうございます。
実は今、自宅なので、妻の怒る声や子どもの泣き声が入ってくるかもしれません。一応厳しく言ってありますが、そこは見守っていただけたらと思います。
稲村:ではさっそく始めます。『元公安捜査官が教える「本音」「嘘」「秘密」を引き出す技術』。タイトルはちょっと仰々しいですが、営業やマネジメントにも使える「スパイの人心掌握術」に関する本となっています。抜粋しながらご説明していきますね。
みなさんは誰の本音や嘘、秘密を引き出したいですか? ちょっとイメージしてみてください。本音、嘘、一番知りたいのは秘密ですよね。これをどうやって引き出していくのか、イメージしていただきたいと思います。
例えば、「同僚は何を考えているのかなぁ?」「取引先が何を思っているのかな? この取り引きを受けてくれるのかな?」とか。あとは、奥さま・旦那さまですね。そもそも「何を考えているんだろう?」ですよね。私も、わけもわからず顔を見てため息をつかれたりしますからね。何を考えているのか、非常に気になります。
お子さんがいらっしゃる人であれば、「子どもが何を考えているのか」というのはやっぱり気になりますよね。いまいち本音が見えてこない。「何かあったの?」と聞いても、「別に」なんてつれない言葉が出てきます。これをどうやって引き出していくのか、ご説明していきますね。
私はこれまで、本当に数多くの方の本音や嘘、秘密を引き出してきた経験があります。ほとんどが情報収集の過程で引き出してきたものなんですね。
稲村:さて、ここから本題です。みなさん、なぜ人の本音や嘘、秘密を引き出したいのでしょうか? ちょっとイメージしてみてください。良好な人間関係を築きたいからですよね。それとも、「脅す」とか「破廉恥」なこととか、こういうよこしまなことを考えていませんか?
本音や嘘、秘密を引き出すプロとはどういった人なのでしょうか。今日は元公安捜査官のお話ですので、やっぱりスパイ(=諜報機関)だと思います。日本であれば防衛省が有名な情報機関です。あと、公安調査庁も非常に有名ですね。でも、私がしゃべるわけですから、やっぱり警視庁公安部ですね。私の中では日本で最強の諜報機関だと思っております。
みなさんは公安部にどんなイメージを持たれていますか。「〇〇な人だけがなれる」とよく言われているんですね。聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、実は「優秀な人だけがなれる」と言われています。それは、こんなところに由来するんですね。
例えば、みなさんが情報を得たい相手が手にメモを持ちながら歩いていたとします。そういった時に、パッと見たメモの数字を一瞬で記憶する必要があるんですね。そのために優秀でなければならないという話を聞いたことがありますが、これは俗説です。ちなみに今映した映像には、「InamuraID 868432」という非常に大事な情報が書かれていました。
稲村:では、あらためて公安事件専門家、稲村の自己紹介をさせていただきます。東京都出身です。元警視庁警部補で警察学校を首席で卒業。自慢したいので、字はでっかくしますね(笑)。ちょっとこれは置いといて、公安部・刑事部で勤務していました。
その後は不正調査を行ったり、今は経済スパイ対策のコンサルティングなども行っています。機微情報漏洩など、今は非常にピックアップされていますよね。
公安部で何をしてきたかというと、各国のスパイ活動に関する取り締まりですね。また、これまでの官民の経験で、1,000人以上から重要な情報収集を行ってきました。その中で、人と信頼関係を構築して、情報を引き出す技術を体得してきたんですね。
実は、民間でもそのスキルは存分に発揮されるんです。今日はそれを棚おろししながらご説明していきます。今日は冒頭で、日本刑事技術協会の代表の森が司会として出てきましたが、私もこちらの協会に登録しております。
(スライド)真ん中の代表の森は、「嘘の見抜き方」という鉄板ネタを持っていまして、私も負けないようにお話ししていこうと思います。
稲村:ということで話を戻しますが、今日の流れの1つ目は「スパイとは」。2つ目に「スパイによる情報収集の3つのアプローチ」。3つ目に「信頼関係を築く3つのステップ」。4つ目は「『本音』『嘘』『秘密』を引き出す技術」。ここらへんがミソですかね。最後にまとめということで、お話ししていきます。
まずは「スパイとは」ですね。なんとなくスパイの定義をイメージできますかね。「政府や他の組織のために、秘密裏に敵や競争相手の『情報』を得る人のこと」です。みなさんのイメージどおりだと思います。
(スライドの写真を指しながら)この方はわかりますか? スパイ・ゾルゲといって、ロシアの伝説のスパイと言われています。実はこの方は日本で諜報活動を行っていて、日本で死刑になっているんです。
そのご遺体は、東京都府中市多磨霊園に埋葬されています。今でもロシア大使館の職員や通商代表部の職員は、定期的にお墓参りにいらしています。このように、日本でも身近にスパイがいたんですね。
稲村:次に「スパイによる情報収集の3つのアプローチ」です。どうやっていくのか、ご説明しますね。基本的なこととして、「OSINT」「SIGINT」「HUMINT」という言葉があります。あまり聞いたことがないと思いますので、ご説明しますね。
まず「OSINT」とは、「Open Source Intelligence」ですね。なんとなくカッコよさそうな名前ですが、これはWeb情報、新聞、メディアなど、公開情報によって相手の情報を収集することです。実は、相手のことはOSINTで9割はわかると言われています。
最近有名な「べリングキャット」という集団がいます。この方たちは、オープンソースだけで世界の秘密を暴いてきているんです。
最近あったニュースですが、アルジャジーラの記者がイスラエルで殺害されました。誰が殺害したのかについて、イスラエル軍は当初否定していました。しかし、彼らべリングキャットは殺害現場の投稿写真の影の長さを見て「この方角から打たれた」と解析した。その時に、イスラエル軍が展開していたということで、誰が射殺したかを解明したんですね。
(スライドに表示したのは)SunCaicという無料のサイトです。例えば原宿であれば、「この時間にここから写真を撮ると、この方向に影がどのぐらい伸びる」といったことを示してくれるんですね。これも無料ソースです。
次の「SIGINT」は「Signal Intelligence」です。これはもう簡単で、代表的なものだとサイバー攻撃ですね。ただ、あまり身近には感じづらいと思います。
そして「HUMINT」は「Human Intelligence」です。これがスパイ行為の最も代表的なものだと思います。どういうことかというと、人から情報収集をして、対象者と信頼関係を築く。そして情報を引き出すことです。
稲村:この「信頼関係を築いて情報を引き出す」というステップの中で、「本音」「嘘」「秘密」を引き出す技術が使われていきます。図にすると(ピラミッドの上から)秘密、本音、嘘。やっぱり、秘密が一番引き出しづらいですね。ということで、これを引き出していく土台には、絶対に信頼関係があります。
じゃあ、どうやって信頼関係を築いていくのか。これには3つのステップがあります。本当は5つぐらいあるんですが、それは本で紹介していますので、今日は3つに絞っています。
3つのステップをどうやっていくのか。みなさん、イメージがわきますでしょうか? それを棚おろししたのでご説明しますね。
まず1番は「相手を知る」。2番が「好印象を与える」。3番が「心に寄りそう」ですね。すごく簡単そうに見えますが、これを基本に忠実に、丁寧にやるのがスパイの手口になります。
まずは1番の「相手を知る」。相手を知るために、スパイはどうやっているのか。その中の代表的なものとして、「評判を聞くテクニック」をご紹介します。スパイが相手を知るには、OSINT・オープンソースから情報を得て、HUMINT・人から情報を得るパターンが非常に多いです。SIGINTで情報を得るというのはなかなかないですね。
稲村:もう1つ、紹介していなかった「COLINT」という技術があります。これは「Collective Intelligence」といって、同じ利害関係を持つ組織から情報提供を受けて情報収集することです。例えば、金正男氏がシンガポールで毒殺されました。実は事前に、他国の諜報機関から日本の諜報機関に情報提供されていたという情報もあります。
これがCOLINTの代表的な例ですが、基本的にはOSINTとHUMINTで相手を知っていくんですね。「そんなこと言われても、僕たちはスパイじゃないし」と思いますよね。じゃあ、相手を知るためにどうするのか。私たちは意外に、その人の評判を聞くんですね。
民間の信用調査会社ではどうやって聞いているのかというと、取引先を装って「この会社の評判を聞きたいんですけど」と言うんですね。意外に教えてくれます。本当に、びっくりするぐらい教えてくれます。
じゃあ、どうやって怪しまれないように評判を聞くのか、そのテクニックをご説明しますね。例えば職場のXさんのことが知りたい時、そのまま「Xさんってどんな人ですか?」と聞く人はなかなかいないと思います。もしそう聞いたとしたら、相手の人は普通「なんで知りたがるんだ?」と思いますよね。
そこで、一言添えてあげてください。「Xさんに、この業務のことで連絡しなきゃならなくて、どんな人か知ってる?」。仕方なく聞いているというテイを見せて、Xさんのことを聞いちゃう。そうすると、相手の人は「業務上のことか」と思うので、意外に怪しまれないんですね。こうやって、無関心を装うんです。
そして、仕方なく聞いていると見せかけて、相手に悟られないようにする。ただし、1度で完全な答えを求めてはいけません。
業務上のことで仕方なく「どんな人か?」と聞いて、「あの人はせっかちだよ」という回答が得られたとします。本当は「怒りっぽい」とか、感情の起伏について知りたかったのに、「せっかちだよ」という情報だけが得られたと。つまり、核心の情報が得られていないんですよね。だからといって深追いすると、「なんで知りたがるんだ?」となります。
なので、いろんな角度から・いろんな人に聞くんです。ただ、いろんな人に聞いて回ると、「あいつがお前のこと聞き回っているぞ」という変な噂も立つので、バランスの見極めが重要です。今日はこういったかたちでテクニックを紹介していきますね。
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