レオス藤野氏が選ぶ「心に残るお金の名言ベスト3」
ーープロの投資家は世の中のどんなことに注目し、投資の参考にしているのか。その頭の中をのぞいてみよう! 今回のテーマは「藤野英人の『心に残るお金の名言ベスト3』」。古今東西さまざまな名言の中で、藤野さんの心に響いたものを紹介します。
藤野英人氏(以下、藤野):(1つ目の)「お金がないから何もできないという人はお金があっても何もできない」。けっこうきつい表現かもしれませんが、でもこれって本当なんですよね。
「お金がないから何もできないという人はお金があっても何もできない」というのは、逆も言えるんです。どういうことかと言うと、何かをやろうと思った時には、お金がなくても関係ない。何かをやろうとする力が大事だ、とも読めるんです。
仕事柄、お金持ちや起業家・投資家と会う機会が多いので、「どんな子ども時代だったんですか?」「どんな学生時代だったんですか?」「若い時はどうでしたか?」と、その人たちに過去の話をいろいろ聞くんです。その時に、「金持ちだった」とか、もともとお金を持っていたという人はほとんどいないんですよ。
でも、思ったことはありませんか?若い時に「もっと親がお金持ちだったらなぁ」「もっとイケメンで生まれたらな」「美女で生まれたらな」と。「もっと幸せな人生だったのにな」「恨むぞ」「親ガチャに負けました」みたいに悔んだりします。その気持ちはわかります。なぜかというと、僕もそう思っていたから。
足りていないのは「アイデア」と「勇気」
藤野:でも、そういったものは全く関係ないんですよ。それよりも、その人が世の中のためにどういう行動をして、何をして、どうやって社会のために価値を与えたかのほうが大事なんですね。
実はお金って、日本の中でたくさん貯め込まれているんですよ。日本には個人金融資産として2,000兆円ものお金があって、そのうち半分の1,000兆円が現預金なんです。もう山ほどお金があるから、お金を出す人はいっぱいいて、投資家もいっぱいいるんです。
では何がないかというと、アイデアと勇気がないんです。アイデアがあって勇気を持ってる人にはお金が集まる時代になったということなんですね。
なので、「お金がないから何もできないという人はお金があっても何もできない」というのは、裏の意味がすごく大事です。「お金がなくてもやる気があればなんとかできる」というふうに読んでもらいたいな思います。
逆に不幸せなのは、「今だめなのは金がないからだ」ということを考えて、口にして、行動している以上は、そこから抜け出せないとも言えるんだと思います。
お金は「良い召使い」にも「悪い主人」にもなる
ーー続いてはベンジャミン・フランクリンの「お金は良い召使いであるが、同時に悪い主人でもある」。
藤野:これもお金の1つの本質です。ベンジャミン・フランクリンさんが言っていますが、お金は良い召使いだから、自分の言うことをよく聞いてくれます。でも一方で、悪い主人でもある。そして、お金に使われてしまうことになるわけです。これはお金の二面性を表してる言葉じゃないかと思います。
でも、よく考えてみてください。お金には意志がないんですよ。お金って、ただそこに存在しているだけで、お金を使うのは僕らです。だから、良い召使いになるのか、悪い主人になるのかは僕ら次第。僕らがお金とどう向き合うのかがとても大事です。
この『お金のまなびば!』では、いろんなゲストの方を招いて対談したり、お金の話をしています。
実はお金儲けの話だけじゃなくて、人生をどう生きるか、人生をどう楽しむのか、自分たちが主人公としてお金とどう向き合うのかをいろんな題材で伝えたい、というところがすごく大きいですね。だから、その思いも込めてこの名言を書きました。
お金を“ばらまく”と、結果として自分にリターンがある
ーーそして、クリント・W・マーチソンの「お金は肥料のようなものだ。ばらまけば役に立つが、1ヶ所に積んでおくとひどいにおいがする」。
藤野:お金は肥料だ。まあ、お金って目的じゃないから肥料ですよね。お金は食べられないし、お金は肥料だから「どう使うか」です。
使い方はさまざまですよね。1ヶ所にまとめてお金を置いておくのは役に立たないどころか、結果的に言うとネガティブな効果がある。イメージで言うと、貯金ばっかりしてしまうような状態かもしれません。
ばらまけば役に立つんですが、ばらまくとはどういうことかと言うと、投資や消費や寄付をすることです。
例えば、投資をすれば、その会社が大きくなる。消費をすれば、その会社が売り上げを上げる。寄付をすれば、その団体が成長することになるから、自分のお金をばらまくことによって社会が動いていきます。そこに肥料をあげることによって、果物が実ったり野菜ができたりするわけです。
私たちが、この『お金のまなびば!』を通じてずっとみなさんに話している価値観は、ある面で見るとお金のばらまき方なんですね。社会に対してお金を使うことによって社会に貢献し、社会に貢献することによって、結果的にそれが自分のところにリターンとして帰ってくる。
それは、ある時は儲けとして返ってくるけれども、ある時は「社会を良くする」とか「感謝される」ことで返ってくるということを伝えたいために、この『お金のまなびば!』というYouTubeの番組を作っているわけです。
なので、「お金は肥料のようなものだ。ばらまけば役に立つが、1ヶ所に積んでおくとひどいにおいがする」というのは、ある面で見ると、なぜ僕らが『お金のまなびば!』を作っているのかという理由の1つを書いたものじゃないかなと思います。