2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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内田雅和氏(以下、内田):それでは、「プロティアンキャリア教育の可能性と展望」ということでお話をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
先ほど久保内(晶子)さんも書き込みをされていたんですが、話を聞いている最中に質問や感想がありましたら、ぜひチャットに書いていただければと思います。全部を拾っていくことは難しいかもしれないんですが、ある程度講演が終わったところで質問を拾って、お答えできるところはお答えしていきたいと思います。
それではまず最初に、あらためて自己紹介をさせていただきます。こちらの写真は、勤務する三田国際学園の中庭の写真です。夏は芝が非常にきれいに写真に写る時期になっています。
私は20世紀に学生時代を過ごして、そして21世紀の変わろうとしている時期にリクルートでキャリアをスタートさせました。ただ、別に優秀だったわけではありません。選考をいくつも突破して正社員で働き始めた、というわけではないんですね。
高校生の頃から教師を志していたんですが、私が大学を卒業する頃は今とはまったく状況が違って、教師の募集倍率が非常に高かった時代です。なので、「ストレートに教師になるのはちょっと難しいな」と思っていた時に、お世話になった高校の先生から「一般企業を経験するのもすごくプラスになるよ」というアドバイスをもらいました。
内田:大学を卒業した後に働く場所を探していたところ、リクルートの契約社員で学校を回れる仕事を見つけました。そこに魅力を感じて応募したのがきっかけです。
筆記試験を受けて、選考を突破した人にだけ電話が来ることになっていたんですが、電話がかかってきませんでした。正直、優秀ではなかったので、契約社員の筆記試験で選考を突破できなかったんですね。
僕のストロングポイントは、ここぞという場面で勇気を持って行動するところです。そこで、自分から「受かってませんか?」という電話をかけたんですね。
もちろん受かっていないので、「残念ですが不合格ですね。それでは」と電話を切られそうになった時に、「ちょっと待ってください。僕はぜひリクルートで働きたいんです。教育にかける思い、熱意は非常にあるんです。その熱意をかってもらえませんか?」と、電話で伝えました。
後でわかったことなんですが、めちゃくちゃラッキーだったんです。その時に電話を取った方が実はけっこう偉い方で、その次の選考につなげてもらえるくらい力を持っている方だったんですね。
その方が好意的に僕の電話を受け取ってくれて、面接に進めることになって、最終的に契約社員で働けることになりました。自分にとってその行動は、キャリアを切り拓いた初めの一歩となった出来事だと思っています。
内田:その後、1都3県の学校を200校ほど担当して、50校ほどの学校でキャリア講演をした経験の中で、「キャリア教育は非常に重要なものだな。これからの時代に必ず必要なものだ」ということを実感しました。
当時リクルートが導入したばかりのキャリアカウンセラーの資格を取得しました。その後、2004年から複数の学校でキャリア教育を担当したり、外資系の人材紹介会社でキャリアアドバイザーとして働いています。
そんな経験をして、後に三田国際学園に校名変更して共学化する戸板中学校・戸板女子高等学校で、2014年からキャリア教育の責任者となります。翌年に校名を変更・共学化して、中学1期生の学年部長も兼務することになりました。
1期生の学年部長として生徒にキャリア教育を伝えていく中で、自分も「生涯学習は非常に重要だな」と意識するようになって、2018年からは社会人大学院である法政のキャリアデザイン学部に入学し、そこでタナケン先生(田中研之輔氏)と出会います。
そして、タナケン先生からの指導のもと、たどり着いたキャリア教育の新たなかたちがプロティアンキャリア教育です。「プロティアンキャリア教育を世の中に広げていきたいな」というのが、現在自分の中で非常に大事にしていることです。同じ年に、プロティアンキャリア協会のアンバサダーにも就任をしました。
一貫して、教育とキャリアに関する分野で働いてきています。そして自分のキャリアの軸は、自分の学校だけではなくて、日本の中等教育に「キャリア教育」を推進していくこと。これが、自分のキャリア教育の非常に重要な軸だと考えています。
内田:変化の激しい時代で、「この時代を生き抜くことが大変だ」「AIに自分の仕事が取って代わられる」と、ネガティブに捉える人も世の中にはいると思うんですよ。だけどそうではなくて、変化の激しい時代をポジティブに捉えることも可能だし、「VUCAの時代を生き抜くためにキャリア教育は必要なんだ」という考え方もできると思うんです。
このVUCAの時代において必要なキャリア教育の変化について、ぜひ今日は話をしていきたいなと思います。
そして今日のコンテンツとして、1つはキャリア教育の変化について、、2つめに勤務校におけるプロティアンキャリア教育の実践例。そして、プロティアン教育の根幹となる関係性アプローチを意識することになった生徒たちにどんな変化が見られたのかという3つについて、具体的に話をしていきたいと思っています。あらためて、よろしくお願いいたします。
まず最初に、キャリア教育の変化についてお伝えしていきます。大きなポイントとして、社会が大きく変化する中で、キャリア教育のスタートは文科省だけでなくて経産省や厚生労働省などが協力をして、新たな人材育成が要請されていることだと思っています。
そして、今日参加したみなさんに覚えておいてほしい部分です。文科省って、1999年に文部科学省に変わっているんですよ。1999年に文部科学省に変わる時に国会で定められた設置法の第4条の中に、「文部科学省ってこうあるべきだよ」という95個の大まかな仕事が載っているんですが、その一番最初に「教育改革に関すること」と書かれているんですね。
これは、すべての省庁で改革を第一に掲げられているわけではありません。文科省と経産省の2つの省庁は、改革を第一に挙げています。それくらいに、1999年の段階で日本の教育は変わらなければならないとされているんです。
内田:そして2つ目。ここもぜひみなさんに覚えていってほしいなと思っているんですが、文部科学省の第4条の2つ目に「生涯学習に係る機会の整備の推進」と書かれています。
文部科学省って、小学校や中学校や高校や大学の若年層の教育のための省庁じゃないんですよ。生涯をかけて国民の教育に関することに携わっている省庁なんだということです。
そして同じ1999年、中央教育審議会の答申に初めて「キャリア教育」という言葉が登場します。キャリア教育という言葉が登場して、最初にこの答申の中で「省庁や関係団体の協力を得ながら、在学中のインターンシップなどの促進」「体験活動を重視」という言葉がしっかりと書かれているんですね。
こう書かれているから、この後のキャリア教育の中で、インターンシップや職場体験はものすごく進んでいきます。今、職場体験は多くの公立中学校で実施されています。政令指定都市や都道府県においては、実施率が100パーセントの学校もあったりします。これはかなり進んだ部分で、多くの学校において努力している成果だと思います。
ただ一方で、2011年の中教審の答申には「自分らしい生き方の模索」と書かれています。キャリア教育の意味することは、人生全体のつながりや積み重ねで、これは全部を伝えていくのが難しいです。
内田:中央教育審議会の答申で、大きくは4つ書かれているんですね。まず1つめが「職場体験活動のみをもってキャリア教育とするのはやめましょう」ということ。また、「次の学校への進学を見据えた指導がキャリア教育ではないですよ」とも書かれています。
そしてこれまでの価値観、在り方について。例えば、学歴社会や終身雇用だとか、こういったものの前提で指導していくのはやめましょう。そして最後に4つ目は、将来の夢を描くこと、キャリアプランの作成にばかり力点を置くのもやめようねということです。
これはどういうことかと言うと、キャリア教育とは、決して職業指導・職業教育ではないんです。だけど、世の中の中学校や高校では「キャリア教育イコール職業指導」「キャリア教育イコール進学指導」になってしまっているという現状がある。これはやっぱり、変わっていかなければならないところだと思います。
そうではない「キャリア教育」とは、ちゃんとしたキャリアの理論に基づいて生徒たち・児童たちに指導していくことが大事だと思うんですよね。
「計画的偶発性」という、(ジョン・)クランボルツのキャリア理論の中では「キャリアの8割は予期しない偶然で形成されていくものですよ」と言われています。
これは、プロティアン・キャリア協会でも言われていることです。だからと言って、「偶発で決まるから計画をしても意味ないよ」ということでは決してないです。
クランボルツは、「偶然で決まることが多いからこそ、主体的に努力することが非常に重要で、偶発的な出来事を積極的に作り出すように行動していこうね」と言っています。この「計画された偶発性」の5つの大きなポイントは、好奇心を持ち、持続し、楽観的にポジティブに行動していくことが大事です。
内田:そしてプロティアンキャリアにも通じることは、柔軟性を持つことです。冒険心、リスクを取って行動をしていくことが非常に重要になってくるんだという、クランボルツの考え方をちゃんと理解して、生徒指導していくことが非常に重要だなと思っています。
キャリア教育の1つの現状として世界に目を向けていった時に、高校の段階でキャリアカウンセラーが学校に常駐している割合はどれくらいあるのかと言うと、北欧諸国ではほぼ100パーセントです。
じゃあ、日本はどれくらいの割合でキャリアカウンセラーが学校に常駐していると思いますか? 僕が一方的に話をしているだけだとおもしろくないので、みなさんもチャットに書き込んでもらえませんか。選択肢の1番から9番までで選んでください。
みなさん、たくさん書いてくれてありがとうございます。「2パーセント」の1番が多いですね。たまに3番とかも見られるかな? という感じですね。書き込んでくれてありがとうございます。これの正解は2番の約5パーセントです。日本は4.4パーセントで、キャリアカウンセラーがいる学校に通っている生徒はすごく少ないのが現状です。
だけど実は、1999年に文部科学省が中教審の答申で「学校にキャリアカウンセラーを置きましょうね」と言っているんですね。企業経験者によるキャリアアドバイザーの配置を進めていこうとしているんだということも、ぜひみなさんに知っておいていただければなと思います。
ただ、いろんな予算の関係とかでなかなか難しいのが現状で、この現状を変えていくためには、プロティアン・キャリア協会などのNPO団体や企業の力が非常に重要になってくると思います。
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