人生の一番のリスクは「やっておけばよかった」という後悔

井上祐巳梨氏(以下、井上):またちょっと違う切り口ですが、「挑戦が怖い時、どう乗り越えましたか」という(質問がきています)。お二方はいろんなご活動をされていて、まったく未知なところにチャレンジすることもたくさんされてきたと思うんですけど、それはどう乗り越えられてきましたか?

河野ゆかり氏(以下、河野):私にとっては医学部を目指すのも1つ、未知への飛び込みでしたし、あとはクイズを始める時も、私は昔からクイズをしていたわけではないので、すごく不安もあったし悩みました。けれども、今私が言えるのは、チャレンジを後悔したことは一度もないということです。

確かに本当に怖いし、リスクなんて考え始めたらキリがないと思うんです。けれども私は、人生で自分が死ぬ間際になって「ああ、あんなこともできなかった。こんなこともやっておけばよかった」と思うのが、一番のリスクだと思うんですね。そのリスクの回避のために、今チャレンジしておこうという考え方でいるようにしています。

井上:非常におもしろいですね。とにかく後悔をしないというリスク回避のために、いろいろと突き進んでいる。それが原動力になっているというお話でした。ありがとうございます。山本さん、そのあたりはいかがでしょう。

好きなことを見つけるには「ときめき」に敏感になること

山本愛優美氏(以下、山本):そうですね。私はこの「挑戦」を、自分では「ときめき」という言葉に置き換えているんですけど、この「ときめき」をとにかく大事にしたいなというのが、価値観としてすごく強くあります。

河野さんもおっしゃっていたとおり、自分自身、ときめきに向かって生きていくことが、確かに怖いしすごく不安定だなと思う時もあるんですけど。それ自体がすごく楽しいという自分の心を大事にして進んで行くことを、意識しながらやっています。

井上:ありがとうございます。まさにお二人は好きなことに突き進んで行っているような印象がすごくあるんですけれども。質問の中には、「好きなこと、興味を見つけるにはどうしたらいいですか」という質問もあるんですね。

「好きなことをやろう」というテーマではあるんですけど、「そもそもその好きが見つからないよ」という学生さんに対しても、もしよかったら(お言葉をいただきたいです)。

河野:世間一般に「こういうものがいい」「こういうものが格好いい」とされているものがあって。それを見ながら、けっこう「ああ、格好いいけど、そんなにやりたいかと言われると微妙だけどやっておくか」みたいな感じに陥ってしまいがちだと思うんですね。

私もそういう時期はあったんですけれども、結局続かないし、ストレスも掛かってしまう。そういう時に本当に自分がやりたいことは、(さっきの話と)かぶってしまうかもしれないんですけど、「ときめき」かなと思います。

本当に何でもいいと思うんです。ふだん生きていて「楽しい」と思ったことから、糸口を見つけて広げていくのがいいかなと思います。ときめきに敏感に生きていくことが大切です。

井上:ありがとうございます。テーマが「ときめき」になりつつあります。

(一同笑)

些細な「好き」でも言葉にしてみる

井上:楽しいですね。山本さんはどうでしょう。

山本:そうですね。好きなことが見つけられないのは、「気付きにくい」のが1つあるかなと思っていて。河野さんもおっしゃっていたんですけど、「自分自身が何が好きなのか」のハードルを、ちょっと低くしてみる。

私はめちゃめちゃ漫画オタクですけど、自分の本当に些細な「好き」でも言葉にしてみると、「こんなの好きって言ったら恥ずかしいな」って思う気持ちがちょっとずつなくなっていくんです。伝えてみることを意識していったら、少しでも自分の「好き」に近づいて生きていけるんじゃないかなと(思います)。まさに「ときめき」ですね。

井上:「ときめき」ですね(笑)。聞いていただいている学生のみなさんも、ぜひ「ときめき」を大切にしていただけたらなと思います。

次の質問ですね。「理系ってここがオススメ!というポイント」。さっきのお話だと、無理に理系という話ではないんですが、とは言え、進学されている理系分野の中で、お勧めだよと思うポイントとか(がもしあれば)。

山本:あります!

井上:どうぞ。

山本:(笑)。これは本当に、プログラミングがお勧めです。始める前までめっちゃハードル高いと思っていたんです。でも、ただ自分が作りたいものを言語を通して生み出せるので、自分で魔法を使っているような感覚になります。理系ではなくちょっと具体的になってしまうんですけど、何かしらプログラミング言語を学ぶと、作りたいものを作れるようになって、すごく楽しいです。

「わかるけど何かわからない」ものを定量化するおもしろさ

井上:ありがとうございます。これを聞いていた方、今すぐプログラミングを学ぼうという気持ちになられたかなと思いますが、本当にそうですよね。自分の考えたことをかたちにできるツールがあってそれを学んでいく。自分でやってみるのは、非常に楽しいことかなと思います。河野さん、どうでしょう。

河野:そうですね。特定のことというよりは、今までわからなかったことを、自分の中で理由を付けて理解することが、すごく楽しくなってきました。私も医学部を目指すにあたって、いろんな勉強をする上で、だんだん理系っぽい考え方みたいなものが自分の頭の中にできていって。それを通して世界を見た時に、自分の頭の中で「あ、これってこういうことなんじゃないかな」という仮説検証ができたりとか。

私がすごく思ったのが、先ほど山本さんが「ときめき」を「耳たぶの血管拡張」とおっしゃっていたと思うんですけど......。

山本:そうです。そうです(笑)。

河野:そういう「ときめき」のように、みなさんがぼんやりと「ああ、わかるけど何かわからない」と思うものを定量化するのは、すごくおもしろいと思います。そういった考え方がすごくお勧めです。

井上:そうですね。まさに体現化されたものが、(山本さんが)耳に付けていらっしゃるイヤリングですね。

「理系女子」と呼ばれることに戸惑いがあった

井上:次は、「女子中高生へのメッセージ」、このあとも、できたら質問のほうに移らせていただきたいと思います。今このトークを見ていただいている方、もちろん女子以外でも学生さんとか、保護者さん、もしくは教育関係者の方もいらっしゃるかもしれません。今までの話を踏まえながら、「ちょっと今やってみようかな」という気持ちになっている学生さんに対して、何かメッセージがあればぜひお願いします。

河野:そうですね。今は、これからも人生100年とかを生きる時代ですので、あと80年以上ある方が多いと思うんです。その中で今、その方向性を決めるのはすごく勇気がいることだと思うんですね。でも逆に残りの80年間を、自分のときめき、好きなことをやっていくために、自分に正直であってほしいなと思います。

そしてもし理系に興味があるのであれば、今の世の中で理系は、こういった会が開催されるくらい求められているので。そこは恐れずに自分の好きなものを信じて、進路を決めてくださったらいいのかなと思っております。がんばってください。

井上:力強いメッセージです。ありがとうございます。じゃあ、山本さん。お願いします。

山本:私は結果的に理系に進学したんですけど、もともと自分が文系だったのもあって、「理系女子」、「STEM女子」と今は言われていますけど、そう呼ばれることに対して、最初ちょっと戸惑いがあったりもしました。

でも本当に文理問わず、自分のやりたいことを考えていって、その結果、それが理系だったら突き進んでいってほしいなと思いますし、もしそれが文系でも、理系文系問われない新しいカテゴリーでも、自分の興味にひたすら突き進んでいってほしいなと思います。

1つスキルを習得したら、それは自分の財産になる

井上:ありがとうございます。今、コメントも「チャレンジしなかったことを後悔しないように突き進んでいきたい」とか、「『好き』に正直にいきたい」「ときめきを大事にしたい」など、かなりポジティブなメッセージに溢れています。こちらの「ときめき」の熱が伝播していったようで、非常にうれしいですね(笑)。ありがとうございます。

まだ少しだけお時間があるので、来ている質問について、お話をおうかがいしたいと思います。これは、理系に進学しているお二人ならではの質問だと思うんですけど、「理系進学のメリット・デメリット」みたいな質問が来ているので、もしよかったら1名ずつお願いします。ここがお勧めだ、メリットだよというところ。

山本:それこそ奨学金もそうですし、純粋に、挑戦に対してお金が付きやすくなった。やりたいことが理系の枠組みだったらラッキーだった、というのは、感じることがあるメリットですかね。

井上:でも非常に大きなメリットですよね。こういうサポートがあって、具現化していく力になっていくわけですから。河野さん、どうですか?

河野:メリット。そうですね。汎用性が高いところですかね。考え方は1回培うと抜けないですし、1つスキルを習得したらそれは自分の財産になるので。もしそれを使わなかったとしても、そういう財産を持っていると、いつかそれが役に立つ時があるかもしれないですし。そういうツールをいっぱい持っておく点で、いいのかなと思いました。

自分の「ときめき」に向かって

井上:ありがとうございます。まさにこのタイトル「最強?!Z世代TALK!SDGs時代の理系選択」に相応しく、最後にお2人のお話で上がってきたように、本当に理系の選択は、可能性が広がっていく。そうしたことがみなさんにも伝わった会ではないかなと思いました。最後にもしよかったら、一言ずつお願いします。

河野:これを見て、今、迷っているけれども、ちょっと勇気が湧いたなという方が1人でもいらっしゃったらうれしいです。みなさんのこれからのご活躍、応援しています。

井上:ありがとうございます。山本さん、お願いします。

山本:私も話していて、すごく楽しい時間でした。みなさんぜひ自分のときめきに向かって、生きてください。応援してます。

井上:それでは以上、オープニングのトークセッション「SDGs時代の理系選択」を終えさせていただきます。あらためまして河野さん、そして山本さん、すごく素敵な、ときめきがギュッと詰まったお話をありがとうございました。

河野:ありがとうございました。

山本:ありがとうございました。